家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて

家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて

発達障がいの小学生にオススメの勉強法【タイプ別・学年別】

  • 発達障がいについて
  • 2023.11.22
  • 家庭教師ライターH.K

近年、医学の発展や研究が進んだことにより、発達障がいが以前よりも広く社会に知られるようになってきました。しかし、広まったのは「発達障がい」という言葉だけに留まっている場合が多く、それぞれの障がいの特性や、適切な支援方法というのは依然としてあまり広まっていないというのが現状です。

発達障がいには、「自閉スペクトラム症(ASD)」、「注意欠如/多動性障がい(ADHD)」等様々な障がいがあり、それぞれの障がいの特性という観点では、概ね確立されてきているものがあります。しかし、私たちが風邪や病気に罹患した際に有効な治療方法や楽に過ごすことが出来る方法が異なるように、発達障がいについても個人差が大きいということが特徴です。

本記事では、学年や障がいのタイプ別にオススメの勉強方法をご紹介していきますが、先に述べたように個人差が大きいという特徴があるため、必ずしもすべての方法が有効であるとは限りません。ここでご紹介する方法を参考に、それぞれのお子様の状態に合わせてアレンジを加えて頂ければと思います。

なお、個別の勉強法にお悩みの際は是非私たち家庭教師にもご相談ください!

発達障がいのそれぞれの特性

発達障がいのそれぞれの特性

本項では、本記事で取り上げる発達障がいのそれぞれの特性について簡単に解説していきます。ただ勉強方法や学習の支援を考えるといっても、それぞれの障がいの特性を理解していなければ、個性を理解せずに通り一遍の内容を与え続けることと似たような状況になってしまいます。

そのため、後に述べる勉強方法がなぜオススメなのか、どのような支援が有効であるのかを理解しやすくするための土台として本項の内容を捉えて頂けますと幸いです。ただし、先に述べているように、障がいの特性には個人差があるため、そちらは十分考慮した上で読み進めて頂けたらと思います。

自閉スペクトラム症(ASD)

発達障がいの診断については、「DSM-5」というものが世界的な基準として用いられており、DSM-5の1つ前の基準となっていたDSM-Ⅳでは、「広汎性発達障がい」というカテゴリーの中で「自閉性障害自閉症スペクトラム」という位置づけが成されていました。

そこから、DSM-5に改訂されたことにより、名称は、「自閉スペクトラム症」に変わり、同カテゴリーの中に位置づけられていたアスペルガー障がいは自閉スペクトラム症に含まれる形となりました。

したがって、従来の考え方ではアスペルガー障がいの診断基準に該当していたとされる場合であっても、今後新規にアスペルガー障がいやアスペルガー症候群と診断される可能性はほとんどなく、発達障がいとしての診断には至らないか、自閉スペクトラム症として扱われることとなります。

自閉スペクトラム症の特性としては、他者とのコミュニケーションを構築することへの困難さが挙げられます。この特性は、自閉スペクトラム症の特性の中でも多くの人に見られるものです。このような特性が表れる理由として、自閉スペクトラム症の場合は他者の気持ちを理解することが難しいという根本的な特性が挙げられます。他者の気持ちの理解だけではなく、他者に関心を持ちにくいということも特性の1つです。

コミュニケーションを取るということは、他者と関わりたい意欲があったり、コミュニケーションを図ろうとする気持ちの下で相手と作り上げていったりするものであるため、他者に何らかの関心や興味が向いているということが大前提になります。この根底となる部分に難しさがあるため、コミュニケーションの構築にも難しさが生じるということです。

ここで、誤ってはいけないのが、意識的に他者に関心を向けようとしていないのではありません。そもそも、「他者に関心を示す」ということがどのような状態なのか分からない部分があるため、コミュニケーションを上手く取ることが出来ない場合に叱ったり、理屈を説明したりすることは逆効果になります。これは、学習を行う場合でも同様です。

このような場合には、まず、気持ちを受け止めてあげることが周囲の人に出来ることです。相手の気持ちを理解することが難しいことから、特に子ども同士では諍いに発展することも少なくないため、思い通りに出来なかった気持ちを受け止めてあげることが大切になります。

その上で、視覚的な情報にすると理解が高まる場合があるため、イラストや簡単な絵にして、「相手の子はこういう気持ちだよ」ということや、「これは○○君(ちゃん)ものだよ」と声掛けをすることで分かりやすく理解が出来るように働き掛けてみてください。学習を進める上でも、情報を視覚的に提示することは有効です。

また、自閉スペクトラム症の場合、ある特定のことに強い興味や関心を示すことがあります。この特性は、学習を進めていく上で活かすことが出来るため、どのようなことに興味や関心を持っているのか理解しておき、1人ひとりに合った学習方法を展開出来るようにしていくと良いです。

好きなキャラクターや、この分野に関しては暗記力がずば抜けている等、遊びに関連していることでも効果があります。勉強は、子どもが出来る限り苦痛と感じずに進めていくことが大切であるため、遊びに近いものほど興味や関心をリサーチしておくようにしましょう。

注意欠如/多動性障がい(ADHD)

注意欠如/多動性障がいは、先に述べたDSM-5からこの名称へと変更になった障がいです。DSM-Ⅳでは、注意欠陥および破壊的行動障がいというカテゴリーの中に位置づけられており、注意欠如多動障がい(混合型、不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型)と特定不能の注意欠如多動障がいから構成されていました。

これがDSM-5では、「注意欠如/多動性障がい」となり、注意欠如/多動障がい(混合発現型、不注意優勢型、多動性・衝動性優勢型)と他で特定される注意欠如/多動性障がい、及び特定出来ない注意欠如/多動性障がいの構成となりました。

注意欠如/多動障がいの特性の中で、学習へと活かすことが出来るものとして、自閉スペクトラム症と同様に「情報を視覚で表す」ことが挙げられます。発達障がい全般に当てはまることですが、情報を提示する時は、視覚的な方法で表したり、一度に提示する情報量を抑えたりすることが基本です。

その中でも、特にこの障がいの場合は、物事に注意を向けることが難しかったり、注意の持続時間が短かったりするため、情報を提示する際には視覚的な方法を用いることを強く心掛けてみてください。学習を進めていく上でも、押さえておくべきポイントとなります。

また、苦手なことや不安なことに直面した場合、物事を思うように進めることが出来ない場合には、衝動的になる傾向が強いことも特性として挙げられます。学習場面においてよく見られる状態であるため、このような状態になった時にどのような対処法を取ると再度落ち着いて学習が出来るのか知っておくことも大切です。

一般的に、衝動性が高まる傾向がある場合には、そのようになった際にクールダウン出来るスペースを学習空間の中に設けておくことが有効であるとされています。簡易的なものでも、スペースが出来ることに意味があるため、パーテンションやカーテン、段ボール等で部屋の隅に一画の空間を設置してみてください。

はじめは、自分自身でクールダウンするということがとても難しいですが、衝動的な行動が出現した際に設置した空間に共に行き、「不安なことやイライラすることがあって今のようになったらここに来ると良い」ということをその場で繰り返し伝えるようにします。この取り組みを行うことにより、少しずつ自分で自分の感情をコントロールする力も身に着いていくため、学力向上だけではなく、社会性の向上も共に育んでいくことを目指してみてください。

学習障がい(限局性学習症/LD)

学習障害(限局性学習症)

一般的に「学習障がい」と呼ばれているものは、正式にはDSM-5の中で「特異的学習障がい」というカテゴリーに属するものになります。特異的学習障がいは、「読みの障がい」、「書き表現の障がい」、「算数の障がい」に分類されており、DSM-Ⅳからの改訂では「特定不能の学習障がい」という分類が無くなりました。

改訂による大きな変化はありませんが、元々はそれぞれ「読字障がい」、「書字表出障がい」、「算数障がい」という表現が成されていたため、より分かりやすい名称へと変更された形になります。

学習障がいの主な特性は、学習全てに障がいが生じるわけではないということです。「読字」のみ、「算数」のみというように、苦手とする部分が必ず1つしかないということにはなりませんが、基本的には苦手のメインとなる部分はある特定の領域に限定される場合が多くなります。この点が、知的障がいと異なる部分と考えて頂くと分かりやすいかもしれません。

全般的な知的の発達に遅れが生じている場合には、学習障がいではなく知的障がいということになります。学習障がいと知的障がいとの区別は難しい部分ではありますが、基準としては、学齢期以降に目立つようになったのか、あるいは学齢期以前から目立っていたのか、苦手ということが目立つようになり始めた時期を考えて頂くと良いです。

学習障がいは、苦手とする領域が限定されることもあり、学齢期以降に目立つようになります。これは、他の発達障がいと比較すると、発見の時期が遅くなる傾向にあるため、より一層早い段階に対応することが大切です。

また、障がいが生じる領域が限定的であるがゆえに、周囲から中々気付かれず、発見が遅くなることも特徴の1つです。読みの障がいの場合には、文字を読むことが困難ということであり、書字には特に大きな困難が見られないため、音読練習が不足しているのではないか、読書を多くさせるべきなのではないかと捉えられることも少なくありません。

算数の障がいに至っては、数的な処理能力に困難さが見られることから、算数だけ苦手で勉強を怠っているのではないかと捉えられてしまう場合もあります。そこで、学習障がいの勉強を支援していく上で大切なのは、苦手を感じていない他の領域の学習レベルと比較しないということです。

ある特定の領域に困難を抱えているため、「勉強が出来るか否か」ということは関係なく、その領域だけ配慮をして学習を進めていくということが勉強方法を考える上でも、支援を行う上でも考えるべきポイントになります。「その領域に困難を抱えているのか」ということをしっかりと受け止め、楽しんで学習出来る環境を整えることが大切です。

学習障がいは、決して日頃の勉強を怠っていることで生じるものではないため、苦手なことを責めるのではなく、達成目標を細かく分け、少しずつ改善していくイメージで学習を進めて頂くと良いと思います。

タイプ別オススメの勉強方法【小学1・2・3年生向け】

タイプ別・年齢別オススメの勉強方法 小学1・2・3年生向け

ここまでは、オススメの勉強方法や有効な学習支援を考えていく上で知っておくと良い、それぞれの発達障がいの特性について見てきました。ここからは、実際に障がいのタイプや小学生の学年別に分け、オススメの勉強方法についてご紹介していきたいと思います。

【小学1・2・3年生】自閉スペクトラム症(ASD)の勉強法

自閉スペクトラム症のお子さんは、興味や関心が強いものを活かした勉強方法を取り入れることが有効であるため、学習用具に興味や関心がある物を貼り付けて学習する方法がおすすめです。

車(トミカ)や電車(プラレール)等の乗り物系に関心がある場合には、それらを簡単なイラストにしたり、ポケモンやワンピース等のキャラクター系に関心がある場合は、イラストが難しい時はシールを用いたりし、計算で使われるおはじきや、鉛筆・消しゴムに貼り付けて学習をスムーズに遂行出来る環境を整えることが大切です。

自閉スペクトラム症単体の場合は、学力向上メインに学習していくというよりも、学習に向かうための環境を整えていくことが有効になります。興味や関心が向かないものには、モチベーションを維持することが非常に難しくなるため、学習内容は発達を見ながら該当学年の内容に近いものとし、その学習をよりスムーズに取り組むことが出来るような方法を実践してみてください。

また、自閉スペクトラム症の場合は、他者への関心が向きにくいという観点から、言語面についての遅れが気になるというケースが多くあります。そのような場合には、無理に会話を強要したり語彙を増やしたりしようとはせず、興味・関心が向いている内容を扱っている漫画や活字が少ない本を読むことがおすすめです。

勉強に対して「しなければいけないこと」という印象を与えてしまうと、勉強に対する興味・関心を持つことが出来ず、意欲を見出すことも難しくなるため、出来る限り「楽しいことである」という印象を持つことが出来るような介入をすることが重要になります。

発達障がい全般に概ね共通していますが、知的能力にアプローチした学習方法というよりも、それぞれの発達段階と特性に応じた学習を展開することが効果的です。学習道具や環境を工夫することで、より学習に前向きに取り組むことが出来る状態を作り出すように捉えてみてください。

【小学1・2・3年生】注意欠如・多動性障がい(ADHD)の勉強法

小学校低学年での注欠如・多動性障がいについては、学習において情報を1つずつ提示することが大切になるため、問題を少しずつ読み解くことが出来るように練習すること方法がオススメです。

国語の文章問題については、読み進める段階で、段落やまとまりごとにどのような内容が書かれている部分であるのか明記しながら読む習慣をつけると良いと思います。注意の持続が難しかったり、一度に多くの情報を保持することが困難であったりする特性があるため、文章を読みっぱなしにして先に進めることは避ける必要があります。

問題を解く段になった時、どの部分にどのような内容が書いてあったのかを一目でわかるようにすることで、注意の持続時間が短くてもポイントを絞って解答していくことが出来るようになります。

段落を読み終えるごとに、この部分にはどのような内容が書かれていたのか、登場人物やキーポイントとなる単語は何か、穴埋めが出来るワークシートや吹き出し等を用いて記入がしやすくなる工夫をしていくことが効果的です。

算数についても、根本的な考え方は同様で、手順が複数に渡る問題であっても1つずつ進めていくことが鍵になります。例えば、繰り下がり・繰り上がりがある計算の場合、繰り上がった数、繰り下がった数は必ず分かるように記入することを心掛け、頭の中で計算するということは避けなければなりません。

暗算に関しても人によっては困難が生じるため、暗算の練習をするための問題は必要に応じて取り組むという柔軟なスタンスとし、基本的には計算用紙を用いて解くことをオススメします。

また、算数の文章問題については、文章を一文ずつ絵や図で表す習慣をつけると良いです。特性として、知覚的な情報の方が処理しやすいとされているため、文字だけで表されているものよりも目で見て理解が出来る情報を作成する必要があります。一文ずつ理解しやすい情報へと変換しながら、文章をかみ砕くようなイメージで解くように学習を進めてみてください。

【小学1・2・3年生】学習障がい(LD)の勉強法

小学1・2・3年生 学習障がい

小学校低学年の学習障害の場合には、第一に早期発見が非常に大切です。小学校から本格的に学習が始まることもあり、低学年のうちは「勉強が苦手な子」という印象になってしまい、学習障害であると気付かれるケースは少なくなっています。

障がいの場合は、知能だけではなくその他に根本的な要因があるため、苦手を克服するような勉強をしても改善されることはほとんどなく、反対に出来ないことを責められたり自分自身もなぜ出来ないのか分からなかったりすることがほとんどであるため、自尊心や自己肯定感の低下に繋がりかねません。学習障がいでは、特にこのような傾向が強いため、周囲の大人は注意深く見守ることが大切です。

学習障がいにおける勉強では、特定の方法に捉われた学習を無理に続けないことが重要であり、算数に苦手を抱えている場合には電卓を、書字や読字に苦手を抱えている場合にはパソコンやタブレットを用います。

小学生には早いと感じる方もいるかもしれませんが、苦手なことを補う方法を早い段階に見つけ、早い時期から取り組んでおくことにより、その後の生活をスムーズに送ることが出来ます。

私たちは、幼少期から読み書きに触れ、小学校や中学校で様々な内容を学ぶことにより、言葉を用いてコミュニケーションを取ったり、買い物で計算が出来たりするようになります。将来、仕事に就く場合も、義務教育期間に培ったことが土台となっているわけです。

したがって、学習障がいである場合、出来ないことを無理に出来るようにすることに力を入れるのではなく、苦手な部分をどのようにして他のことで補っていくのか考えたり、補っていくことの学習を積み重ねたりしていくことが大切になります。

学習というのは、将来をより良く過ごすために必要となることであり、学習の単元や内容を理解することが最終的な目的ではありません。文字の表出が出来るようになるためにパソコンやタブレットの使い方を学んだり、計算が出来るようになるために電卓の使い方を覚えたりすることは、将来を見据えた学習として有効になります。

進路選択という観点では、道が狭くなってしまうという課題があることも事実ですが、子どもが苦手なことに取り組み続ける時の心身への負担は非常に大きいため、障がいの克服に努めるのか、あるいは出来ること・得意なことを伸ばして将来に活かしていくのか、お子さんの性格や特性を見極めて学習を進めることが重要です。

その中で苦手なことを克服していく場合、どの領域に困難さを抱えていても初歩の部分から取り組んでいく手順になります。学習方法に明確なマニュアルは無いため、それぞれの困難さの程度や特性を十分に理解した上で、読字や書字では一文字の読み・書きから、算数では数を数えるという部分から始め、一歩ずつ着実に積み重ねていく方法で進めてみてください。

タイプ別オススメの勉強方法【小学4・5・6年生向け】

タイプ別・年齢別オススメの勉強方法 小学4・5・6年生向け

【小学4・5・6年生】自閉スペクトラム症(ASD)の勉強法

小学4・5・6年生の自閉スペクトラム症の場合も、小学校低学年の場合と根底は大きく変わりませんが、学習内容が高度になってくるため、可能な限り「難しくて出来そうにない」という印象を与えないような勉強方法にすることが大切です。

オススメの学習方法として、算数では、戦闘系やカードゲーム系に興味や関心がある場合に攻防におけるポイントで計算の練習をしたり、その他のことに興味や関心が強かったりする場合でも、お買い物形式のような遊びを用いて計算の練習になるようにすることで、「勉強」という感覚に捉われないようにすることがオススメです。

「勉強=ドリルを必ず用いなければいけない」、「学習を身に付けていく=椅子に座って進めること」というような勉強を進める上での決まりというものは無く、1人ひとりに合った方法や環境で学習を進めるということが最も重要になります。

自閉スペクトラム症の場合、発達障がいの中でも特に「こだわり」ということに対する特性が強く表れることが多いため、周囲の大人は「勉強とはこのようにするものだ」といった概念に捉われないことが大切です。学習内容は学校での授業に沿った形をベースに、強みや興味・関心を活かした内容や教材を用いて進めていくと良いと思います。

【小学4・5・6年生】注意欠如・多動性障がい(ADHD)の勉強法

小学4・5・6年生 注意欠如・多動性障がい

小学校高学年での注意欠如・多動性障がいにおいては、問題を解く上での情報を視覚的に表すことが出来るように練習することがオススメの勉強方法となります。小学校低学年の部分でもご紹介しましたが、視覚が優位に働く情報は、注意欠如・多動性障がいの場合、情報に対する理解が促されやすくなります。

特に、小学校高学年では、学習内容が複雑化し始める時期であり、教科に限らずつまずきやすいポイントが増えてきます。計算問題では手順が多くなったり、文章問題では文章が長くなったりするため、理解が出来る容量の部分までをひとまとまりとして、イラストや表、図等を活用して問題に取り組むようにしてみてください。

また、漢字の練習や計算の練習等、繰り返すことで定着する学習内容がありますが、このような学習では、1回に取り組む量を細かく設定することをオススメします。この障がいの場合は、長い時間集中して椅子に座っていたり、物事に取り組んだりすることが苦手となるため、一度に多くの学習をすることは難しいです。

取り組む量が一定に決まっている場合でも、こまめに休憩を取って数回に分けて取り組むようにすると、注意の持続が困難な場合でも負担が少ない状態で取り組むことが出来るため、学習への集中力も維持したまま学ぶことが出来ます。

設定していた問題数や課題量よりも早い段階で、集中力の低下が見られることもあります。その場合には、叱ったり無理に続けたりしようとはせず、一度気分転換の時間を設け、新たな気持ちで取り組むことが出来るようにすることが効果的です。

課題や時間を設定する場合は、具体的な目安を約束するようにします。「この問題が解き終わったら」、「〇時〇分から次の勉強を始める」というようにし、「少しだけ休憩」、「解けそうな問題まで解いたら」といったような曖昧な設定は混乱を招くことになるため、具体的な設定を心掛けましょう。

【小学4・5・6年生】学習障害(LD)の勉強法

小学校高学年での学習障がいについては、低学年で確立した学習方法を定着させたり、苦手とする領域の学習内容の難易度を高めたりして学習を進めていきます。基本的には、低学年の段階でどのような領域に困難さを抱えるタイプの障がいであるのか診断がついているため、その領域に特化した学習を中心に展開する形です。

学習の手段として、パソコンやタブレットを用いるという代替のものでの学習が確立されている場合は、無理に用紙と筆記用具の方法に戻す必要はありません。パソコンやタブレットを用いての学習を継続し、その中で出来ることを増やしていくようにしましょう。

一方で、学習の手段として電子媒体や代替となるものは用いず、苦手とする領域の克服に努める形で低学年から学習を進めている場合には、それまでの流れを汲んで計画性を持った学習を進めることが重要になります。

読字に困難さがある場合は、一文字ずつ文字を読む練習から始めていることが考えられるため、二文字の単語、三文字の単語と一文字ずつ文字数を増やしていき、最終的には文章をまとまりとして読んだり、意味を理解しながら読み進めたり出来るように学習を進めていきます。

最も難しい部分は、「文章の意味を理解しながら読む」ことです。文字を追うだけでエネルギーを非常に多く消費するため、はじめは文字の羅列を追う練習を行い、続いて単語としての意味を確認しながら文章の意味を理解するという流れで進んでいくと、学習に対する負担をより軽減させながら無理なく読字の力を身に付けることが出来ます。

書字に困難さがある場合、小学校高学年になると漢字の書き取りでつまずくことが多いです。お手本を横に置きながら書き取りの練習をしたり、偏と旁をパズルのようにして当てはめながらゲーム感覚のように学習したりすることで、漢字の構造から理解出来るようになり、形が似たような漢字や複雑な漢字でも対応が出来るようになります。

算数に困難さがある場合は、単純な計算練習であっても数字だけで解くのではなく、おはじきやシール等を活用しながら計算の概念を理解する方法がオススメです。理解が進んできたら、10のまとまり、100のまとまりというように数を大きくし、数字のまとまりを意識した計算練習をすると良いです。文章問題の場合も、同様の手順で取り組むようにしましょう。

おわりに

本記事では、発達障がいのタイプや小学生の学年に応じたオススメの勉強方法についてご紹介してきました。「発達障がいだから」という理由で勉強方法を特別なものにするということではなく、発達障がいのそれぞれの特性をきちんと理解し、その特性を活かして勉強を進めていくことがポイントになります。

また、発達障がいは特に個人差が大きく、勉強方法も根底にある軸となるものはあっても、そこからの方法は1人ひとりに合った内容を実践することが非常に重要です。どのようなことが得意なのか、興味や関心があることは何かということを周囲の大人が理解し、楽しく学習が出来る環境を整えることも併せて考えて頂けると良いと思います。

是非私たち家庭教師にもご相談いただければ幸いです。

この記事を書いたのは

家庭教師ライターH.K

家庭教師ファーストの現役家庭教師。大学及び大学院では児童心理学を専攻。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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