家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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【天文学編】理科が好きになる!宇宙の雑学11選を現役京大生が解説

  • 理科・科学の雑学
  • 2024.02.28
  • 現役京大生ライター R.H

皆さん天文学という学問をご存知でしょうか。小・中・高と、星座や惑星について一通り学習します。しかし、天文学がどういう学問で、宇宙を知ることが実生活にどのように役に立っているのか、ということを意識しながら勉強している人は少ないのではないかと思います。

天文学は4000年以上前から研究されてきている古い学問です。今回のコラムで、そのような古代から続く学問を一緒に勉強しながら、宇宙という未知の領域に興奮と感動を感じ、天文学という学問に少しでも興味を持ってもらえると幸いです。

なお、お勉強の事で困った際には是非私たち家庭教師にもご相談ください!

地球は回っている

地球は回っている

皆さんもご存知の通り、地球は太陽の周りを公転しながら、それと同時に自転しています。自分がいる場所が太陽に面している場合は空が明るく、逆に面していない場合は暗くなります。つまり、地球で昼夜の区別があるのは地球が自転しているおかげなのです。

それでは地球はなぜ回り続けていられるのでしょうか。これは物理で習う慣性の法則で理解できます。慣性の法則とは、「力が加わらない限り、運動は変化しない」という法則でした。

つまり、一度何かの力で回転を開始した地球は、それを止める方向に力が働かない限り、止まることなく回転を続けます。地球は何かの力が働き続けることによって回転を持続させているのではなく、回転を妨げる力が働かないことによって回転が持続しているのです。

宇宙の雑学①天動説と地動説

最初から地球が太陽の周りを回っていることが人々に受け入れられていたわけではありません。実は、2世紀ころに始まり、長い間天動説が支持されてきました。天動説とは、地球が止まっていて、動いているのは太陽だという考えのことです。

16世紀にコペルニクスが地動説を世間に広め、ガリレオ・ガリレイが観測的な証拠を集めて地動説を証明しました。ガリレオは天体望遠鏡を使って金星の満ち欠けを観察することによって、地動説を証明しました。金星の満ち欠けのパターンは地動説で予想する満ち欠けに合致していたのです。

宇宙の雑学②夏と冬で見える星座が異なるのは何故?

地動説の証明により、地球は太陽の周りを公転していることが分かりました。地球から見て太陽の方向にある星座は、太陽が明るすぎるため、見ることはできません。逆に、太陽と反対側にある星座は、夜になると見ることができます。

地球が公転する通り道のことを黄道といい、その上に12星座(誕生日星座)が位置しています。地球は1年を通して公転するため、地球から見て太陽と反対側にある星座も1年を通して変化します。従って、夏と冬によって見える星座が異なるのです。

12星座(誕生日星座)はどのように決定されているのかご存知でしょうか。実は、誕生日星座は、誕生日の日に太陽が見える方向に位置している星座なのです。故に、誕生日の夜に観測することは出来ず、約半年後あたりが見ごろになります。

宇宙の雑学③流星群と隕石を監視する「地球防衛会議

毎年12月になると、ふたご座流星群が観測できるということがニュースになります。皆さんも一度は望遠鏡で観測したことがあるかもしれません。それでは、なぜ毎年12月に観測することができると分かるのでしょうか。まず、流星群の正体が何なのかを解説します。

流星群とは、彗星が放出したチリが地球の大気圏に突入し、燃えながら落下していく物体群のことです。彗星は太陽の周りを回りながら、チリを放出し、そのチリは彗星の軌道上に残されます。

地球も太陽の周りを公転しているため、1年に1回彗星の軌道上を通過することがあります。その時に、チリが地球の大気圏に突入し、燃焼することによって流星群を観測することができます。地球の公転周期は決まっているので、流星を観測できる時期もおおよそ決定されているのです。

小さなチリの場合は、大気中で燃えて流星群になりますが、大きな石の場合、大気で燃え尽きることなく、隕石となって地球に落下することがあります。6600万年前、直径10kmほどの隕石が地球に落下し、恐竜が絶滅する原因になったと言われています。

過去に、日本にも隕石が落ちた例があります。1996年つくば市に落ちたつくば隕石です。恐竜絶滅時の隕石に比べるとかなり小さなもので、埼玉・千葉で家が振動するほどの衝撃音があったものの、地面に小石がバラバラと落ちてくる程度でした。

このように、大昔のように地球に大きな隕石が落ちてくる可能性はゼロではありません。そのような事態に備えるために、地球に接近する、衝突する危険性の高い小天体を観察する「スペースガード」という活動や、「地球防衛会議」という国際会議などが開催されています。

私たちは太陽からエネルギーを得ている

私たちは太陽からエネルギーを得ている

先ほども説明した通り、地球は太陽の周りを回っています。私たち人間は、日々肉や魚や野菜を食べて、必要な栄養を体に取り入れて、生活しています。その生活に太陽は欠かせない存在なのです。

私たちが食べている動物は、植物や他の動物を食べて生活しています。植物は、根から吸収した水分と、葉から吸収した二酸化炭素と、太陽から得られる光エネルギーを源に、光合成を行い、グルコースと酸素を得ています。また、人間は日光を浴びることによって、ビタミンDを体内で合成し、骨などを丈夫にしています。

このように、私たち人類だけではなく、地球上に存在する多くの生命は、太陽からエネルギーを得て、生活しています。

宇宙の雑学④太陽や他の星の輝きの基準

夜になると、空に多くの星を観察できます。それらの星は恒星と呼ばれ、太陽と同等の大きさを持ち、太陽のように自ら燃えて光を発しているのです。しかし、太陽ほど地球に近くはないので、太陽ほど明るく見えません。太陽の次に近い恒星でも、太陽に比べて約40兆も遠くに位置しているのでとても小さな点としてしか観察できません。

恒星は明るさによって、1等星から6等星まで分類されています。1等星は6等星より100倍明るく、1等明るくなるごとに、約2.5倍明るくなります。また、ヒッパルコスという古代ギリシャ人によって選ばれた20個の恒星を1等星にして、それを基準に他の星を分類しています。

従って、1等星より明るい恒星には、1より小さい数値で明るさを表現します。例えば、こと座のヴェガは0.03等級です。また、太陽以外に最も明るい恒星である、おおいぬ座のシリウスは−1.46等級であり、太陽は−26.74等級と言われています。

宇宙の雑学⑤太陽は何が燃えている?

太陽を含む恒星は、何もない宇宙空間で自ら燃えて、光り続けています。小学校の理科の実験で、燃焼という現象を学んだかもしれません。燃焼には、燃料である炭素と、酸素が必要になってきます。

しかし、もちろん宇宙空間に酸素は存在していません。また、炭素を燃料に燃焼していると仮定した場合、太陽はわずか1万年以内に燃え尽きてしまいます。それでは、太陽はどのように、燃え続けているのでしょうか。

アルバート・アインシュタインの証明した相対性理論によると、質量はエネルギに変換されます。実は、太陽では水素原子4個がヘリウム原子に核融合反応によって変換され、質量が減ることによって、その分の質量がエネルギーに変換されているのです。

この事実は、ニュートリノの観測によって証明されました。核融合反応では、エネルギーの他に、電子ニュートリノも発生しているはずです。その電子ニュートリノが地球上でも観測できたので、太陽で核融合反応が起こっていることの証拠が得られたのです。

電子ニュートリノは、ニュートリノ振動という現象によって、他の種類のニュートリノに変換されます。日本の岐阜県にあるスーパーカミオカンデという実験施設では、ニュートリノ振動によって変換されたニュートリノまで観測することができます。

宇宙の雑学⑥生命の起源は星である

太陽などの恒星では、核融合反応によって水素がヘリウムに変換されていると説明しました。元をたどれば、この水素とヘリウム原子は、宇宙誕生の際のビッグバンという大爆発によって作り出されました。従って、恒星を含む宇宙のほとんどは、水素とヘリウムによって構成されています。

続いて、恒星の中で3つのヘリウム原子が特別な状態で核融合することによって、炭素原子が生み出されました。さらに、その炭素を使って酸素やその他の重い原子が続々と作られていきました。

恒星の核融合反応によって生成された多くの原子は、恒星風超新星爆発によって宇宙にばら撒かれます。このようにして、私たちの生活に欠かすことのできない酸素や炭素などの数多くの原子は、長い年月をかけながら、少しずつ蓄積されていったのです。

また、地球上の生命の体は炭素によって構成されています。その炭素は元々、恒星の中の核融合反応によって生み出されたので、生命の起源は星である、と考えることも可能なのです。

銀河とは何なのか?

銀河とは何なのか?

私たちが住む地球は、太陽系を含む銀河(=銀河系)に存在しています。宇宙には、銀河系以外にも多くの銀河が存在しています。七夕伝説でも出てくる天の川とは、無数の星が集まっているものであり、実は地球から見た銀河系だったのです。

銀河系は2000億個もの星が集まってできており、その直径は約10万光年(光の速度で10万年かかる)で、数本の腕を持つ渦巻状の形態をしていると言われています。つまり、私たちが住んでいる地球は、宇宙に無数に存在している銀河の中の1つの銀河系に存在しているのです。

宇宙の雑学⑦いろいろな銀河が存在している

この宇宙には、銀河が1000億以上存在しています。地球から目で見ることができる銀河を何個か紹介しようと思います。1つ目は南半球から大マゼラン銀河小マゼラン銀河です。この銀河は、地球が存在している銀河系の近くにあり、行動をともにしています。そのため、伴銀河と呼ばれています。

大マゼラン銀河は、大きな重力の影響を受けて形がゆがめられ、いびつな形をしています。このような形の銀河を、不規則銀河といいます。大マゼラン銀河は銀河系から約15万光年のところにあり、小マゼラン銀河は約20万光年離れたところにあります。

他にも、アンドロメダ座のアンドロメダ銀河があります。アンドロメダ銀河は秋に、北半球から観測することができます。直径約13万光年の大きさで、銀河系の3倍の重さがあり、銀河系と類似した渦巻の形状をしています。銀河系からの距離は約230万光年であると言われています。

銀河は、他の銀河と繋がり、群れを作って宇宙を漂っています。数個〜50個くらいまでの銀河が集まったものを銀河群、数百から数千の銀河が集まったものを銀河団と言います。地球が存在する銀河系もアンドロメダ銀河を含む約30個の銀河と一緒に宇宙を旅しています。

銀河系やアンドロメダ銀河は、渦巻状の形態をしていると紹介しました。渦巻以外の形をしている銀河も存在しています。例えば、楕円銀河があります。楕円銀河では渦巻の形状は見られず、中心ほど明るい円形あるいは楕円形の形状をしています。

渦巻銀河では、中心で赤く年老いた星、腕の部分で青く若い星が見られるのに対して、楕円銀河では、青く若い星は見られず、赤く年老いた星が多く見られます。楕円銀河の大きさや質量は、渦巻銀河とあまり差がないと考えられています。

宇宙の雑学⑧七夕伝説も銀河が関係している

実は、七夕伝説にも銀河が関わっています。昔の中国で生まれました七夕伝説について紹介しようと思います。天帝という天空で最も偉い神様には、織女という娘がいました。織女は天の川のほとりで、毎日神様の着物の布を織る仕事をしていました。

遊びもせず働き、恋人もいない織女のことを天帝はかわいそうに思い、天の川の対岸で牛を飼っている真面目な青年牽牛を織女に紹介し、2人は結ばれました。2人は結婚後、毎日遊んで暮らし、仕事をしなくなったため、神様の着物はボロボロになり、牽牛が世話をしていた牛も痩せて病気になってしまいました。

2人の生活に激怒した天帝は、天の川の対岸に2人を引き離してしまいました。しかし、引き離された2人はあまりの悲しさに、仕事に手がつきませんでした。その様子を見た天帝は哀れに思い、年に1回7月7日の夜に2人を会わせるように約束しました。

これが七夕伝説です。天の川は、先ほど出てきた銀河系のことです。日本では織女のことを織姫、牽牛のことを彦星と呼んでいます。織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイルのことであり、両者ともに1等星です。

天の川の対岸に2つの星が光り輝いている様子を観察することができます。七夕の行事は、旧暦の7月7日に行われてきたもので、現在の暦の7月7日とは1ヶ月ほどずれています。旧暦の7月7日は現代の暦では8月に相当し、天候が安定して星空を楽しむのに適した時期です。

国立天文台では、旧暦の七夕の日を伝統的七夕と呼んでいます。皆さんも8月の夜、織姫と彦星に思いを馳せながら、夜空に浮かぶ天の川の対岸に位置しているベガとアルタイルを観察してみると、もっと七夕を楽しめるかもしれませんね。

宇宙誕生の秘密

宇宙誕生の秘密

宇宙は現在から138億年前、ビッグバンによって誕生しました。ビッグバンから始まる宇宙誕生には、ビッグウィンバーと呼ばれる終焉があると予測されています。終焉を迎えると、宇宙は活動することを辞めて、ただそこに存在するだけのものになります。

その終焉までの時間から比べると、ビッグバンから現在までの時間は、ほんのわずかであり、現在は宇宙が誕生した直後であると言えるのです。それでは、誕生した宇宙の様子と、具体的にどのように宇宙が誕生したのかを、見ていきましょう。

宇宙の雑学⑨宇宙を構成するものは?

最新の観測によって、宇宙の構成が明らかになりつつあります。宇宙の7割以上がダークエネルギー、2割以上がダークマター、4%が元素であると言われています。ダークエネルギーは宇宙膨張を加速させる物質で、ダークマターは、重力の作用を受けるものの、光で観測できない正体不明の物質です。

ダークマターが周りよりわずかに多い部分に、重力の作用によってより多くのダークマターが集まり、宇宙に立体的な網の目の様な大規模構造が作られました。ダークマターが多いところに、普通の物質もより多く集合するので、その網の目構造に沿って銀河が分布するようになりました。

宇宙の雑学⑩宇宙誕生の瞬間~ビッグバン~

先ほども説明した通り、宇宙は138億年前に誕生しました。宇宙誕生の直後、大量のエネルギーが熱に変換され、超高温・高密度の火の玉になり、ビッグバンが始まりました。ビッグバン開始直前の僅かな時間の間にインフレーションと呼ばれる猛烈な加速膨張が起き、生まれたばかりの宇宙空間が広がっていきました。

また、宇宙誕生すると、素粒子が誕生し、陽子・中性子が集まり、水素やヘリウムの原子核が次々と生成されました。この時に生まれた原子核は、総数92%が水素、残り8%がヘリウムでした。このように、現在私たちの周囲に存在する全ての物質のもとになるものが生み出されました。

宇宙の雑学⑪「無」から生まれた宇宙

宇宙の始まりにはさまざまな説が存在します。1つの説では、宇宙は物質・空間・時間さえない「無」の状態から生まれたとされています。その「無」の状態の中ではごく小さな宇宙が絶えず生まれては消滅しており、その1つが消滅することなく拡大していったのが、現在私たちが暮らしている宇宙であると考えられています。

宇宙は最初11次元で、やがて余分な次元が縮小していき、3次元空間と時間の1次元が残ったという説もあります。この様に、宇宙の誕生はまだまだ謎が多く、解明されていない部分も未だ多く存在しています。

まとめ

私たちが生活している地球から始まり、宇宙の誕生まで幅広く、天文学に関わる話を簡単に解説してみました。いかがだったでしょうか。このコラムを読んで、日常生活で常に見ている星や太陽、そして宇宙とは何なのかということに興味を持ち、積極的に学校などで勉強するきっかけになれば幸いです。

なお、お勉強の事で困ったら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!

参考文献

津村耕司 「天文学者に素朴な疑問をぶつけたら宇宙科学の最先端までわかったはなし」

国立天文台 宇宙図 https://www.nao.ac.jp/study/uchuzu/univ02.html

この記事を書いたのは

現役京大生ライター R.H

家庭教師ファーストの登録家庭教師。京都大学医学部医学科在学。基礎的な内容から難関大学受験まで幅広く対応します。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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