家庭教師ファースト教育コラム勉強のコツ

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【中高生向け】英語のリスニング勉強法を現役家庭教師が解説

  • 勉強のコツ
  • 2023.11.30
  • 現役家庭教師ライター K.M

英語という科目は数学と並んで非常に重要視される科目で大学入試でもその配点は大きいです。しかしながら、数学と同様に非常に好き・嫌い、得意・苦手に別れやすい科目でもあります。ただでさえそんな立ち位置の英語ですが、最近ではリスニングも重要視され、大学入試での配点も増えるといわれています。今回はリスニングにスポットを当て、中高生のための勉強法を紹介していきます。

なお、勉強方法にお悩みの際は是非私たち家庭教師にもご相談ください!

代表的な英語のリスニング勉強法

英語の勉強法

まずは一般的に知られているリスニングの勉強法という観点からみていきましょう。リスニングの勉強法としては以下のものが知られています。

① 英語音声を聞く

最も一般的で、リスニングの勉強法としては当たり前ともいえるのが英語音声を聞くことです。音声の聞き方も様々あり、非常に範囲も広いです。

中高生の場合で話をすると、最もやりやすいのは教科書の音声を聞くことでしょう。デジタルエイジである現代では、教科書の音声はQRコードの読み取りで簡単にできたり、インターネットで検索することもできます。

このようなことは一昔前にはできず、CDやもう少し時代をさかのぼるとカセットテープなどでしか音声を聞くことができませんでした。当然、CDプレーヤーラジカセと呼ばれる再生装置が必要で、準備にも手間がかかりました。

それが今ではスマホタブレット端末など、手軽な身の回りのデバイスから再生できるので非常にやりやすいです。テーマに沿った読み物が書かれている教科書であれば、本文の内容を書くだけでなく、音声を聞きながら勉強することによって理解の幅が広がります。

文法問題集単語帳であれば、単調な暗記の勉強に音声を加えることで記憶が強化されます。目だけでなく耳も使うことでより多くの感覚チャンネルで英語に触れることができ、記憶も定着しやすくなるといわれています。

音声を聞くことの注意点

この方法で注意しなければいけないのは、自分が全く理解できないものをリスニング音声として使用しない方が良いということです。例えば、中学1年のレベルの英語しか知らないのに、いきなり英語のニュースを聞き取ることは高確率で難しいでしょう。

リスニング音声に選ぶのは、少なくとも聞き取れる単語が文章中に何個かあるくらいのものが良いでしょう。聞き取ろうと思っているのに何も聞き取れなかったら、ストレスでしかないですよね。

かといって学校の「教科書が聞き取れない」といって最初から投げ出すのもなしです。何事も最初は大なり小なりのハードルがあるものです。運動したことない人がいきなりマラソンを楽しめないように、それなりに楽しむためにはまずは体づくり、リスニングで言えば耳を作るところから始める必要があります。

英語音声を聞くための教材

英語音声の聞き取りに使用する教材は学校で使っている教科書が基本となります。特に語彙が自分のレベルに合ったものが望ましいので、自分の学年の使用教科書が最も適している場合が多いですが、前学年のものを高速再生するなどの使用方法もあります。

最近の単語帳も聞き流しの勉強ができるように音声が工夫されています。何度も発音してみる、また、聞いた音声をすぐに理解できるようになるまで聞いてみるなどしてみると良いでしょう。

昨今ではYouTubeに聞き流しようの音声がたくさん挙げられているので、自分の興味テイストに合ったものを探してみるのもよいでしょう。ポッドキャストも英語のコンテンツが豊富であるので、アクセスできる人はチェックしてみると良いです。

また、後でまた説明しますが、英語でアニメ映画を見ることもおすすめです。洋楽などは発音などの参考にならない場合もありますが、とっつきやすいのでこれもおすすめです。

② ディクテーション

ディクテーションは、英語音声を聞きながら英語を書き取るという勉強方法です。音声を聞くことプラスアルファの勉強方法とも言えます。

この方法は英語の音声と書き言葉を同時に書き取ることになるので、自分が聞き取った英語を目で見て確認しながら勉強を進めることができます。

ディクテーションの注意点

しかしながら、ディクテーションはある程度レベルが高くないとあまりうまくいかない上に、テストの点数が挙げられるような即効性があるわけでもなく、ディクテーション自体が中高生にとって直接的な課題の解決につながりにくいという欠点があります。

とはいえ、音声を文字に起こすということは英語音声をメタ認知的に理解することにもつながり、普段であれば気づきにくい聞き落としや、和文英訳問題では気づきにくい弱点に気付くことができるという点で効果があると言えます。

その点を踏まえると、ディクテーションが生きてくるのは定期テストや単元テスト前に教科書や文法書の例文を音声として流し、それを書き取ることで最終チェックをするような時でしょう。

③ 音読

③ 音読

国語などでも行う音読ですが、これもリスニングには効果があるとされています。

第一に、自分で発音することによって自分が発する音声を自身で聞くことになります。このことで聞く力が身についていきます。自分に適したリスニング音声を探すのが難しい場合、自分自身で読むことで自分に合った音声を聞くことも可能であり、非常に合理的なリスニング練習でもあります。

第二に、文字を読むことによって暗記などでインプットしていた情報を音声処理するという過程を経ることによって、情報と音声がつながっていきます。語学の学習でまず大切であるのは聞くことであるというのは第二言語習得論でも言われていることです。私たちが日本語を覚えたのも、最初はほとんど耳からであったということを思い出してみると良いでしょう。

ついつい書くことや文字を目で覚えることをやってしまいがちですが、単なる記号である文字の羅列が音声と結びつくというのは非常に重要なことなのです。

また、音読は情報の理解度をチェックするバロメーターともいえるので、文字と音声の情報の結びつきを確かめるのにも有効な方法です。

音読の注意点

音読をするときにはあまりにも英単語が読めないという場合にはストレスになってしまうので、簡単な言葉から始めていくことや、小まめに発音を調べるなどの下地作りが必要です。勉強が苦手な子にはこれが非常に手間に感じられるので注意が必要です。

ですから、音読もまた英語の音声をきく時と同様、自分のレベルに合ったもので勉強することが大前提となります。

しかし、アルファベットを記号としてではなく文字として理解していれば、意味が分かっていなくとも音読をすること自体は比較的簡単で(このことは後述します)、アルファベットさえ読めるようにしておけば比較的スムーズに行うことができる勉強法です。

音読の使用教材

ちなみに、音読に適した教材は学校の教科書がもっとも身近ですが、子ども向けの英語の絵本なども教科書英語とは違った響きを味わうことができ、またシンプルでわかりやすいためお勧めです。

単語帳や文法問題集などは音読してもあまり面白くないかもしれませんが、これらは音読をメインとして使用するよりも、むしろ単語の勉強や文法問題集の課題をやりながら発音するというような使い方が良いでしょう。

また、高校生以上になったら英語の小説英字新聞にもチャレンジしてみると良いでしょう。どちらも難しく聞こえるかもしれませんが、英字新聞は学生向けのものがありますし、小説もレベルが表示されているものも多くありますので、自分に合ったものが見つかりやすいです。

何より音読は英文さえあればいつでもどこでもできるという手軽さが魅力で、音読習慣をつけることで英語学習のタイパを上げることができます。

④ 速読

英文を高速で読む練習である速読は、音読と共通している部分が多いです。しかし、速読をあえて別の項目として挙げるということはそれなりに意味があります。

まず、英語リスニングで多くの人が感じるのは「速度が速い」ということです。この「速度が速い」というのがネックで、日本語のひらがな・カタカナ一文字の発音をする間隔と、英語のアルファベット一文字を発音をする間隔とを比べると、英語の発音の方が非常に間隔が狭いことに気づきます。

たとえば、「スプリング」と「spring」では、実際に発音してみるとよくわかりますが、「スプリング」の方が発音するのに時間がかかります。一方、「spring」の方は一瞬で発音されます。これは厳密にいえばスピードの違いということにはならないのですが、この音の間隔の狭さが英語リスニングを難しくする要因の一つであるのです。

速読をすることがなぜ良いのかというと、速読をすることによって私たちは普段発音する音の間隔よりも早く発音をすることになるので、英語のスピードについていきやすくなります。車で高速道路を走った後に一般道を走ると遅く感じるのと同じように、自分のスピードを上げることで普段のスピードが遅く感じるようになります。これが速読のわかりやすい効果と言えます。

速読の注意点

速読をする上でも注意点はあります。それは、「カタカナ英語」で速読をしても効果が薄いということです。

先ほどの「spring」の例を挙げると、これを「スプリング」と発音している以上は一定以上スピードを上げることができません。これは実際にやってみるとよくわかります。逆に、「spring」を辞書などで発音してくれる音声の通りに発音してみると非常に早く発音することができます。

また、これも後述するのですが、英語独特の音変化(「an egg」が「アンネッグ」と発音されるなど)を無視しても効果は薄くなってしまいます。できれば英語は英語としてそのまま吸収できると、受験だけでなく将来コミュニケーションをとるような場面でも英語を役立てられる基礎能力が身に付けられます。

速読は音読と同様タイパが非常に優れている学習ですので、実践していない人には強くお勧めします。

速読の使用教材

速読の使用教材は基本的には音読と同じです。

しかし、速読で特に意識したいのは、まだ知らない知識を吸収していくという点ではなく、すでに知っている知識をどれだけ素早く引き出しながら情報処理をしていけるかという点です。数学で言えば、計算です。足し算を知っていることと、素早く正確に計算ができることは全く別物と言えます。

ですから、速読の場合は単語帳などを読むだけでも非常に効果が高いので、速読の教材の範囲は音読よりも広いです。

長期的なリスニング力向上の取り組み

長期的なリスニング力向上の取り組み

以上が代表的なリスニング勉強法ですが、ここまでのことはどこでも手に入るような情報で、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

ここからはもっとリスニングの学習に踏み込んで、長期的な勉強法を紹介していきます。これまで挙げてきた方法は一般的で取り組みやすく、続ければ非常に効果も高いものです。

しかしながら、実際にこれらのシンプルな方法を実行する人は驚くほど少なく、机に向かって演習問題を解くような勉強法がまだまだ主流であるのが現状です。

このような現状の背景には「テストのための英語」が根強く残っていますが、残念なことにテストのための英語を中学・高校の6年間行ってもまともに英語を使えるようになる人はほとんどいません。

それどころか、大学入試のために苦労して勉強する割に大学に入って英語を使用することもあまりなく、受験の過酷な戦いの反動から英語を避けるようになってしまう人も決して少なくはありません。英語の学習はそれほどまでに日本語を母語とする人にとっては負担が大きいのです。

では、どうすれば英語の学習の負担を減らしながら効果的に英語を学習でき、リスニング力を伸ばすことができるでしょうか。以下よりその方法を見ていきましょう。

① 音声学(フォニックス)

音声学というと堅苦しく聞こえますが、フォニックスという言葉なら聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。音声学は英語でphonologyと言いますが、フォニックスはこれに基づいたアルファベットの音とつづりを体系的に学ぶ勉強法です。

英語にはアルファベットは26文字ありますが、その一つ一つが音を持っています。aという母音には[æ] という音があり、bという子音には[b]という音があります。これらはいずれも「ア」でも「ブ」でもありません。英語特有の日本語とは違った音です。

さらに、特定のアルファベットが2文字以上並ぶことによって新たに音が生まれることもあります。例えば皆さんもよく知っている“rain”の“ai”は[ei]と発音します。この発音はa単体やi単体の音とは違います。

このような規則を習うことで、英語初学者は英語の文字を読むことができるようになります。もちろん、例外的な発音もそれなりにありますが、それはどの言語でもある程度起こりうることであり、そこまで気にするようなことではありません。

文字はあくまでも文字ですから、例外で支障が出てしまうようでは言語そのものが成り立たなくなってしまいます。

フォニックスが教えてくれるのはそんな英語の基本的な読み方であり、これができれば英単語全体の8割程度が初見でも読めるようになるとも言われています(これには諸説ありますが…)。フォニックスは今では非常に知られるようになってきており、小学校・中学校の教科書や教材としても普及しています。

フォニックスに関する注意点

前述したとおり非常に英語学習には効果的であるフォニックスですが、これにも注意すべき点はあります。

まず、最も重要である点でもあるのですが、フォニックスを順序だてて体系的に教えられる教師が多くはないという点が挙げられます。

背景としてはフォニックス・メソッドが教員免許取得のための大学の授業ではほとんど取り扱われないことや、小学校においては既存の教員がそもそも英語科教員養成のための授業をほとんど受けていないか、受けていても非常に限られた範囲のことしか教えられていないことがあります。

フォニックスは非常に有効な英語学習方法であるにも関わらず、教える側の教員がその重要性やポイントを押さえていないため、実際の授業では教科書や参考書の音声を流して生徒に繰り返させるだけとなってしまいがちです。

また、反復の練習がされなかったり、実際の教科書に登場する単語などがフォニックスで習った読み方のルールと関連付けて指導されなかったりするので、長期的にみて基礎力として定着しにくい場合が多いです。

これらの点への対策としては、日ごろから音声を反復して定着するまで何度も聞くことが挙げられます。つまり、日ごろの習慣としてフォニックスに取り組むというとてもシンプルなものです。

使用する教材は教科書のフォニックスだと局所的過ぎてあまり個人的な学習には役に立たないことが多いので、専用の教材を買うかYouTubeなどの動画を参考にするとよいです。

フォニックスの学習でとにかく大切であるのは、つづりの規則を教えること以上に、学習者が自ら英単語のつづりや音の規則に気付くことです。長期的な取り組みによってその段階まで至ればフォニックス・メソッドが功を奏したと言えるでしょう。

学習者の目線から見ればほとんどの英単語が、たとえそれが初見であっても、読めているという状態になっているはずです。もっと理解が深まると、つづりから意味を推定できるようにすらなっていきます。まるで漢字の部首のように英語にも意味のある音のまとまりがあることにも気づけるのです。

以上の注意点から、リスニング力に役立つフォニックスは、逆に言えば長期的な取り組みなしにしては成立しないということがわかるかと思います。

フォニックスと単語の暗記

フォニックスの有益性は実は英語のリスニングや音声と文字情報を結び付けるつづりだけのものではありません。

フォニックスを覚えることが、実は単語の暗記にも役立つということはあまり知られていません。さらに、単語の暗記に役立つと言ってもそれは単につづりが覚えやすくなるなどという単純なメリットだけを指しているのではありません。

例えば、grape, these, pine, home, tubeという5つの単語があったとします。フォニックスを習っていなかったり、習っていても十分に理解できていない人がこれらの単語を覚える時には、これらの単語のつづりを単なるアルファベットの羅列として記号的暗記します。

そんな人が次にshape, Chinese, bike, Rome, cuteなどの5つの単語を新たに覚える際には、やはりこれらを記号的に暗記することになります。この時点でこの人は10個の単語分のつづりを記憶することになります。

さらにこの人は単語のつづりだけでなく、そのつづりに対応する音丸暗記しなければなりません。そこで10個の単語分の音を記憶することになります。

もちろん、単語の意味も覚えなくてはいけませんから、さらに10個の単語分の意味も覚えなくてはなりません。これだけでも単純に10×3=30個分の情報の断片が必要となります。

コンピュータの容量で考えてみるとよくわかるのですが、情報量は多ければ多いほど保存しなくてはいけない量も多くなりますし、その数が増えていけば記憶を検索する際にも素早く処理することができません。つまり、思い出しにくかったり、間違って思い出してしまったり、思い出すのに余計な時間がかかってしまいます。

ところが、フォニックスを知っている人は音とつづりが一致していることが多いので、それだけ文記憶の容量を減らすことができます。

よくよく考えてみれば当然なのですが、大学入試には5000~6000語の英単語を覚える必要があると言われていますが、仮に5000語の単語を覚えるとして、つづりとそれに対応する発音の情報を5000語分覚えるよりも、5000語文の音に対して、非常に限られたパターンのつづりの規則を覚える方が圧倒的に楽なのです。

このことだけでも他教科も勉強しなくてはならない中高生にとっては非常に大きなアドバンテージです。がりがりと力任せに暗記をすると、効率が悪い上に発音も向上せず、実用性のない英語を学ぶことになると考えるとそのインパクトは思いの他大きいのです。

他にもフォニックスは英語のリーディング問題の読みのスピード向上の効果が得られるなどのメリットもあります。

このようにフォニックスを知っている、つまり英語のつづり字の規則を知っていれば英語の学習効率は飛躍的に上げられるのです。

② 「聞く」「読む」から始める

② 「聞く」「読む」から始める

「それって勉強法?」と疑問に思うかもしれませんが、英語の学習を音声から始めるというのは一つの勉強法と言ってよいでしょう。

非常に難しく聞こえるこの勉強法ですが、これは第二言語習得理論に裏打ちされた根拠に基づいています。

この記事の読者を日本語母語話者と想定して話しますが、私たちが日本語を覚えてきた経緯を考えてみてください。私たちは先ず、両親をはじめとした周囲の人間が発する言葉を聞き、それを真似て話すことから始めているはずです。

順序として「聞く」の次には「読む」、「話す」ことが続き、小学校に入ってようやく本格的に「書く」ことを始めます。つまり私たちは子どものころ、日本語を覚えるのにリスニングからはじめていたのです。

第二言語の習得も同様に、「聞く」ことから始めるのが良いとされています。なぜなら、言語を言語として使うのであれば、私たちは相手の発する言葉を聞くところからコミュニケーションを始めることになるからです。

今の時代でこそメールSNSというコミュニケーションツールが先だつことは多いですが、リスニングが中学校・高校における英語科の主要4技能とされている以上は避けて通ることはできません。

ですから、「聞く」「読む」から始める勉強法は中高生が取り組むべき方法と言えるかもしれません。

使用する教材

「聞く」「読む」から始める教材は、一昔前までは非常に限定されていましたが、今ではどの教科書にも手軽にアクセスできる音声がついているので、そうした音声がついているものであれば全てが対象と言えます。

学校の教科書はもちろん、単語帳でも構いません。とにかく学習する順序を「聞く」ところから始め、次に「読む」ということを徹底します。

文法書は意外にもこの方法が役に立つ教材です。文法書で新しい文法を学ぶ場合、聞きながらこれまでの既習の文法との相違点を探したり、音声的な特徴を掴むという学習ができます。

仮に「現在進行形」を新しく学ぶとします。最もよくある間違いの例としてMy father is working in his study.(父は書斎で仕事をしている。)とするところを、My father working in his study.とbe動詞を抜いてしまうというものがあります。

これを「聞く」ところから始めると、音声的にisを聞き取ることができるので、be動詞の抜けを防ぐことができます。つまるところ、「be ~ing」という文字的な情報のみで学習してもbeをいまいち理解できていないためにbe動詞を認識できず抜いてしまうというミスが発生しますが、音声から入ることでこのような間違いを防ぐことができると考えられるのです。

「聞く」「読む」から始めることの注意点

「聞く」「読む」から始めることの注意点は、これもまた難易度の高い音声を聞くことは避けるべきであるという点に尽きます。

音声を認識するためには、一度聞いた音声を頭の中で反復し、自身の音声として再現できる必要があります。「話すことができない音は聞き取れない」とよく言われますが、まさにこれです。

しかしそうすると、「じゃあ、英語を聞き取ることなんて無理ゲーじゃん」と思いたくもなりますが、聞き取れない音を再現するには、ある程度の訓練をすればそれ自体は難しいことではありません。

例えば、entrepreneurという高校生が習う単語があります。実際に音声を聞いてみるとよくわかりますが、初めて音声を聞いてこの単語をそのまま再現できる人は、日本語を母語とする人にはまずいません。

ですが、単語レベルなら音声を何度も聞いて根気よく発音を繰り返せば、そのうちその発音を再現できるようになりますし、聞き取れるようにもなっていきます。

では、何が問題か…それは、速度です。あまりにも速度が速く、しかも知らない単語が多すぎると、人の頭は音声を記憶しておくことができなくなっていきます。私たちは音声情報を処理する時には短期記憶を使います。したがって、聞きなれない単語が連続すれば、当然古いものからすぐに忘れていってしまいます。英語の音声を聞いた時に「早すぎて聞き取れない」と思うことがありませんか?この時がまさにこの状態です。逆にある程度ゆっくりであれば、私たちは聞きなれない単語であっても少しであればその音を記憶しておくことができるのです。

以上のことをまとめると、「聞く」「読む」から始める学習においては、最初の「聞く」の段階で自分のレベルに合った音声を使って学習を始めるべきであるということになります。

なんか聞いたことがある注意ですが、このことは何度でも言いたくなるほど重要なのです。

環境的にリスニングを伸ばす

環境的にリスニングを伸ばす

次は長期的なリスニング勉強とは少し違った、環境を変えるというアプローチについてもお話しします。英語は言語です。言語は人との会話を通したコミュニケーションである以上、目や耳、時には他の感覚を使って情報を得て、口や体を動かして伝えるという運動を伴います。

机の上での勉強をしているだけではどうしてもこのような視点は失われがちになりますが、端的に言えば言語を使用するということは技能を要する運動なのです。となると、スポーツでも環境が重要であるように、英語を学習すること、とりわけリスニングなどの技能においても環境が重要となります。

もっと分かりやすく言えば、英語を使用する頻度を増やすための環境設定が非常効果的であるのです。

以下は日常で英語を使用する環境設定としてできる事です。

① 音声認識機能を英語にする

iPhoneなどの文字をすべて英語にするなどといった勉強法をしている人がこれを読んでいる人の中にもいるかもしれません。

これは環境設定の一環としてある程度効果があることですが、これを音声で行うこともできます。iPhoneであればSiriという音声認識機能がありますが、実はiPhoneの言語設定を英語にすればSiriも英語で話してくれるようになります。

これを利用して英語の音声をこちらから投げかけ、それに対するレスポンスを英語で得るという疑似的な会話をすることができます。

これまで述べてきたとおりの根拠から英語で話しかけることも、聞き取ることもリスニングには効果的であるので、このような設定をしておくことも有用でしょう。

なにより、この方法は心構えとしてもいいですよね。

② オンライン英会話

日本にいながら英語を日常で使用することは非常に難易度が高いですが、グローバルなこの時代ではオンライン英会話が普及しており、比較的安価に日常で英語を使用する環境を設定できます。

オンライン英会話は週2、3回レッスンを受けても学習塾よりも安価である場合も多いです。当然、毎日ライブで英語に触れられる方が良いのですが、オンライン英会話はそのような理想に環境的に近づけることができます。

オンライン英会話に関する否定的な意見としては、「講師が東南アジア系の人ばかりで、発音がなまっている」というものがあったりしますが、近年の傾向としてはそのようななまりがある英語を聞き取ることも英語話者としての重要な素養と言われています。

とはいえ、それでも気になる人は講師を変更できる場合も多いようなので、自分に合った講師を根気よく探してみるのもよいかもしれません。

③ 映画を字幕で観る

③ 映画を字幕で観る

これも環境設定としてはよく挙がるものです。音声を英語にし、字幕を日本語にするだけです。映画をそれが作られた国の言語で理解できれば、吹替では味わえない臨場感が得られます。これは何にも代えがたいことです。

ですが、この方法もやはりハードルは高く、誰かと一緒に映画を観る場合には字幕で観ることを反対されることもあり、結局一人でさみしく映画を観ることになることもあります。

これさえ克服できれば興味深い映像が伴う映画は理想的なリスニング力向上のためのツールとなります。普段からこうして映画を観られる環境が作れればこの上ないことです。

④ 親の姿勢

急にシリアスに聞こえるかもしれませんが、最後に挙げるのは親の姿勢です。

親のあり方が子どもの成長に影響を及ぼすというのは言うまでもないことですが、英語の習得に関してもこれは非常に大きいです(何も英語に限ったことではないですが…)。

親に学ぶ姿勢がなければ、当然子どもにそれを期待すべくもありません。

英語に関してはこれは非常に顕著で、親が「英語は嫌い」という態度でいれば子どももそうなっても何ら不思議ではありません。なんせ、子どもは身近な保護者を社会的規範とみなしますので、周囲の大人がやっていることは子どもにとって「やってもいいこと」となってしまいます。

「やってもいいこと」は「必ずやること」とは違うことにも注意せねばなりません。仮に「私は英語が嫌いといつも言っているが、子どもは英語を好きになった」という人がいたとしても、それは確率的な結果の話であって親の態度が子どもに影響を及ぼすことを否定するものではありません。

もし我が子に英語を話せるようになってほしいと思うのであれば、自分も英語を習得するというような心構えと態度が必要です。こうした姿勢であれば、英語に対して前向きな姿勢が育まれていきます。

子どもを英会話に通わせてどうにかしようと思っている人がいたらその姿勢は改めた方が良いでしょう。間違ってもそのような「自分はやらないけど、お前はやれ」などという理不尽はしないことです。

時間があまりとれなくとも、親が自ら指さし英会話を始めるくらいのことはできるはずです。少しの変化ですが、こうした環境的な変化は長期的に子どもの姿勢に影響していきます。

最後に

さて、今回はリスニング勉強法として様々な観点でお話をしましたが、いかがでしたでしょうか。英語の中でもリスニングの比重が高まってきている今、まだその変化に慣れていない学校や教師も多いでしょう。ですから、当然生徒やその親という立場であれば不安であることも多いかと思います。

しかし、今回説明してきた通り、リスニングの勉強法には今手元にある教材でできるものも多く、習慣づけさえできてしまえば比較的簡単なものが多いです。

さらに言えば、大学入試レベルのリスニングは長期的な取り組みができていればそれほど難易度の高いものでもないので、中学や高校1、2年のうちから習慣づけができると後が楽です。

最後にプロフェッショナルとして英語教育に10年以上携わってきた人間としての助言です。英語は技能です。ホームランを打つための筋力を作るのに日常の鍛錬が必要であるように、英語の技能にも訓練が必要です。

英語学習に魔法の方法はありません。しかし、訓練を積み上げてきた人は魔法を使用しているかのように見えるのです。

英語は難しくありません。毎日訓練を続けることが難しいだけなのです。

この記事を書いたのは

現役家庭教師ライター K.M

家庭教師ファーストの登録家庭教師。教員免許所持。塾講師・家庭教師歴10年以上。学習上のつまずきを環境面から考えて指導します。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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