家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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【物理編】理科が好きになる!「物理」の雑学5選を現役京大生が解説

  • 理科・科学の雑学
  • 2023.12.01
  • 現役京大生ライター R.H

中学・高校から新しく習う科目に、物理があります。物理は覚える公式や複雑な理論があり、難解な学問だという印象があるかもしれません。しかし、その物理法則を正しく理解することができれば、私たちの身の回りで起こる現象の多くのことを思考して、説明することができます。

今回のコラムでは、物理学に関わる身の回りの現象を紹介しながら、中学・高校で習う物理について、解説します。堅苦しいイメージのある物理という学問に、面白さを感じるきっかけになれば幸いです。

なお、勉強のやり方に困った際には是非私たち家庭教師にもご相談ください!

重力とは、どのような力なのか?

重力とは、どのような力なのか?

物理において落下する物体の運動を考える際に、必要になってくる重力という力の正体を理解することが、物理現象を理解するためには重要になってきます。まず、地球上に存在する物体に働く力について考えてみましょう。

地球上の全ての物体には、地球からの引力(=物体が互いに引き合う力)が働いており、地球と引き合っています。それと同時に、地球は自転しているので、遠心力(=回転する物体に働く力)が働いています。これらの引力・遠心力二つの力の合力こそが、重力です。

重力は場所によって異なる

上でも述べたように、重力とは引力・遠心力という二つの力で構成されています。従って、物体に働く引力が異なれば、重力も異なるわけです。例えば、月での重力について考えてみましょう。

月上の物体に働く引力は、地球上の物体に働く引力の6分の1ですので、月での重力もその分小さくなります。宇宙飛行士が月で移動する際、飛び跳ねて浮遊できる理由は、自身に働く重力が軽くなっているからだったのです。

「重さ」と「質量」は違う?

私たちが日常生活で口にしている「重さ」「質量」という単語は、実は物理においては少し意味合いが異なっています。「重さ」とは、その物体に働く重力の大きさのことで、「質量」とは、物体の慣性の大きさ(=動きにくさの度合い)を表しています。

より具体的に、月における「重さ」と「質量」について考えてみましょう。月では、物体に働く重力が地球上とは異なります。従って、同じ物体でも、月上・地球上のどちらに存在するかで、「重さ」は異なってしまうのです。一方で、「質量」とは動きにくさの度合いを示しているので、月上でも地球上でも等しくなっています。

有名なニュートンのエピソードについて

リンゴが木から落下するのを見て、ニュートンが万有引力の法則を発見したという有名なエピソードを皆さんもご存知かもしれません。このリンゴが落下するという現象は地球からリンゴに働く重力(=引力+遠心力の合力)によるものです。

ニュートンはこのリンゴに働く地球からの引力が、月にも同様に働いているはずなのに、月が落下してこないのはなぜだろうと考えました。月が落下してこないのは、月に働く地球からの引力と、月が地球の周囲を回転することによって受けている遠心力が、打ち消しあっているからなのです。

このように、日常的に身の回りで起きている物理現象も、その物体に働いている力を一個ずつ考えてみると、容易に説明がつきます。例えば皆さんが授業中に机から消しゴムなどを落としてしまった時、その消しゴムの落下には、地球からの引力遠心力の合力である重力が関与しているのです。

私たちが見ている「色」とは、光の波長である

私たちが見ている「色」とは、光の波長である

信号の赤・青・黄、授業で使う真っ黒な黒板、怪我した時に流れる真っ赤な血など、私たちの日常生活は様々な色で溢れています。色の正体とは一体何であるのか、皆さんはご存知でしょうか?

簡潔に言ってしまえば、太陽などの光源(=光を発するもの)などの光が物体に当たった際に、特定の波長の光(光は電磁波という波の一種です)だけが反射されて目に届いているために、私たちは様々な色を認識することができているのです。

光は波長によって色が異なっています。リンゴを例に考えてみると、リンゴ上では波長の長い光、つまり赤色の光だけが反射されて、それ以外の光は吸収されています。このようにして、私たちの目にはリンゴは赤色に見えているのです。

目で見えない光の存在

先程も出てきた通り、可視光とは、電磁波という波の一種です。電磁波のうち、ある範囲の波長のものは、私たちの目で見ることができるのです。それでは、その波長の範囲外の電磁波には一体どのようなものがあるのでしょうか?

可視光よりも波長が長い電磁波に、電波があります。電波はラジオやスマホに使われており、もちろん私たちが見ることはできません。逆に、可視光よりも波長が短い電磁波に紫外線X線があります。X線は病院に行ってレントゲンを撮る際に使用されています。

虹はどのように現れているのか?

雨がやんで、晴れて太陽が出てきた時に、美しい虹の橋を見られる時があります。なぜ雨上がりの時に虹が出現するのでしょうか。それは、雨がやんだ後に空気中に存在している水滴に、太陽の光が反射することによって七色に光り輝いているからです。

少し詳しく説明すると、光は、水滴に屈折して入射し、一度反射した後に、また屈折して水滴から出て行きます。光は波であり、波長によって屈折の角度も異なっているので、色によって、水滴から出ていく角度が異なります。このような波長の大きさによる屈折の角度の違いが原因で、七色の虹が出現しているのです。

「音」の正体も波である

「音」の正体も波である

光は電磁波という波の一種であると述べましたが、実は音の正体も波です。(音の波のことを、音波と言います。)この音波が空気を振動させ、その振動が空気中を伝わっていくことによって、我々の耳にも振動が届き、音を聞くことができているのです。

音波の形の特徴によって聞こえる音も変わってきます。そのような音の性質のことを、音の3要素と言います。1つ目は、音の大きさです。音の大きさは音波の振幅(=波の振動の大きさを表す量)によって変化します。音波の振幅が大きいほど、音も大きくなります。

2つ目は、音の高さです。音の高さは、音波の振動数(=1秒あたりに振動した回数)によって変化します。振動数が大きいほど、高い音に聞こえます。最後の要素は、音色です。

音色は波形の違いによって変化します。例えば、ギターとピアノの音色が異なるのは、二つの楽器の波形が異なっているからなのです。

水中で音は伝わるのか?

音の正体は波で、空気中を振動が伝わることによって音が聞こえているということは、既に説明しました。振動が伝わっていく媒体があれば、音は伝わります。つまり、水中では水が振動を伝える媒体になるので、音が伝わります。

音が伝わる速さ(=音速)は、振動を伝える媒体の性質によって異なります。空気中での音速は、秒速約340mですが、水中での音速は、秒速約1500mです。水の方が振動を伝えやすいため、音速も早くなっています。

雷が落ちた場所を推定できる

今まで習ったことを使って、落雷地点までの距離を推定してみましょう。例えば、雷がピカッと光った5秒後にゴロゴロという音を聞いたとします。光は音に比べて伝わる速度が格段に速く、落ちた瞬間に雷の光を見ることができます。

一方で、音は先程も述べた通り、秒速約340mで空気中を伝わります。今回は光を見た5秒後に音を聞いているので、音は落雷地点から340×5=1700m移動してきたことがわかります。このように、物理の知識を利用すれば、雷が落ちた場所などもおおよそ推定することができます。

人間には聞こえない音の存在

音の3要素である音の高さは、音波の振動数で決定されます。ある一定の範囲の振動数の音しか、人間は聞くことができません。この範囲よりも低い振動数の音波は「超低周波数音」と呼ばれ(音波の場合は振動数と周波数は同じ意味です)、高い振動数の音波は「超音波」と呼ばれます。

超音波は、人間の耳では聞くことができませんが、コウモリやイルカなどの一部の動物では聞くことができます。超音波は通常の音波よりも真っ直ぐ進む性質があります。このような超音波の性質が、水中でのソナー(探知機)や病院での超音波検査(エコー)に使われています。

力と運動について

力と運動について

力は、物体の速さや運動の向きを変化させる原因になります。例えば、私たちが机を手で押した時、それまで静止状態だった机に速さが生じて、机を動かすことができます。また、机を押す力を強くすれば、机の速さも速くすることができます。

このように、速さが速くなることを加速といい、逆に遅くなることを減速と言います。先程の話でも出てきた重力も力なので、物体の速度を変化させます。例えば、机から落とした消しゴムは、重力の作用によって加速しながら、地面に落下していきます。このように、物体は力を受けて、その運動の速さや向きが変化してしまうのです。

重い物体ほど、速く落ちるのか?

例えば、葉っぱと石を真空中で同時に落としたと仮定した時、感覚的に重い石の方が先に落ちてしまうのではないかと思うかも知れません。しかし、実は葉っぱと石は同時に地面に落ちます。なぜなら、落下するときに物体にかかる重力による加速度(=加速の大きさ)は、どの物体でも等しいからです。

それでは、なぜ日常生活においては、石の方が早く落ちるのでしょうか。そこで、空気の存在が重要になってきます。空気が存在している状況では、物体は空気による抵抗を受けます。葉っぱの方が空気抵抗を多く受けやすいので、重力から受ける加速度は等しくても、抵抗によって減速してしまい、石に比べて落下速度は遅くなってしまいます。

初めに仮定した真空とは、空気が存在しない環境なので、空気による抵抗を受けず、葉っぱと石の速度は等しくなっていたのです。このように、私たちの日常生活での物理現象を考える際は、重力だけでなく、空気抵抗、さらには風のような自然現象など多くのことを考慮する必要があります。

ニュートンの3法則って何?

力と運動に関係する物理法則に、ニュートンの三原則という法則が存在します。もしかすると、皆さんも耳にしたことがあるかも知れませんね。今回はその三つの法則を簡潔に解説したいと思います。

まず一つ目に、物体の速度は力を受けなければ変化しない、という法則があります。この法則は、「慣性の法則」と呼ばれることもあります。例えば、静止状態の物体は、力を受けない限り、静止状態のままです。また、ある速度で動いている物体も同様に、力を受けない限り、その速度が変化することはありません。

二つ目は、力と運動と加速度の関係についてです。物体の加速度は、物体が受けた力に比例し、質量に反比例するという関係式です。これを式で表すと、力=質量×加速度という関係式になります。つまり、同じ大きさの力を加えても、質量が軽いほど加速度も大きくなります。

三つ目は、作用反作用の法則です。例えば、私たちが壁を押した時、壁が私たちを押し返します。このように物体Aが物体Bに力を与えるとき、物体Bは物体Aに同じ大きさで逆向きの力を与えます。このように力が対になって生じることを作用反作用の法則と言います。

不思議な力、「磁力」

不思議な力、「磁力」

磁石に鉄の釘を近づけると、釘が引き寄せられ、磁石にくっ付きます。このような磁石の不思議な力のことを、物理では「磁力」と呼びます。磁石にはN極とS極という磁極が存在し、棒磁石を中心で吊るした時に、地球の磁力の作用で北(英語でNorth)を向いている方がN極、南(英語でSouth)を向いている方がS極と定義されています。

上記のような不思議な力「磁力」を持つ磁石の性質のことを、「磁気」と呼びます。磁石は、糸などで物体を引いているわけではないのに、物体を動かすことができます。そのような目に見えない、磁気による動かす力が届く空間のことを「磁場」と言います。

地球は磁石で出来ている

皆さん人類が生息している地球も、実は大きな磁石だったのです。そのことは、イギリスの医師で物理学者であったウィリアム・ギルバードによって実証され、その200年後にドイツの数学者で物理学者であるカール・フリードリヒ・ガウスによって精密に解析されました。

地球は磁石であり、その磁石としての力による磁気によって、地球環境は太陽風(=太陽からの高速粒子の流れ)や宇宙線の脅威から保護されてきているのです。もし、地球に磁場が生成されなかったら、生命が生きていくために必要な大気・水も存在できず、生命も誕生しなかったと考えられています。

鉄はなぜ磁石に引き寄せられるのか

磁石はN極・S極が一対で存在しており、N極付近ではS極に引きつけられます。一方で、磁気を帯びていないはずの鉄などの物質を磁場の中に置くと、その物質が磁気を帯びることによって、磁石に引き寄せられます。そのように磁気を帯びる現象のことを「磁気誘導」と言います。

鉄のように、磁場中で磁気誘導されて磁気を帯びる性質を持つ物質のことを、「磁性体」と言います。水も磁性体の一種ですが、鉄とは違って磁場に対して逆向きの磁気誘導が起こるため、「反磁性物質」と呼ばれています。

反磁性物質は、磁場に対して反発する力(=斥力)が働きます。従って、局所的に強い磁場を水に加えると、水面は低くなります。この効果のことを、旧約聖書「出エジプト記」でモーゼが海の水を割る場面にちなんで、「モーゼ効果」と呼ばれています。

磁力の利用

永久磁石や電磁石は日常生活で様々なことに利用されています。例えば、自動車には大小100個以上の磁石が内蔵されています。最近話題のリニアモーターカーでは、磁石のN極S極の引き合う力や、N極同士・S極同士の反発する力を利用して、浮上し、推進力を得ています。

他にも、医療現場でも磁場が利用されています。MRI(磁気共鳴映像法)では数テスラの磁場を利用して、詳細な医療診断を可能にしています。MRIは体内の水素原子が持つ弱い磁気を、強力な磁場で揺さぶり、原子の状態を画像にしています。

MRIによって、これまで診断が難しかった脳卒中や脳腫瘍などの病変を早期発見することが可能になりました。このように、磁力は実は身の回りの多くの機械で利用されており、私たちの生活を豊かにしてくれています。

磁場を感じる生物の存在

地球の磁気を感じて北や南へと向かって泳ぐ微生物が、1975年に発見されました。この微生物は体内に磁性粒子の列を保有しており、その列が全体として生体磁石を形成しています。

その微生物は酸素濃度の低い環境を好んでおり、生体磁石を利用して地球の磁力線からのずれを検出することによって地球の磁気の方向に沿って低酸素の領域まで走っていると考えられています。

鳩やミツバチなどの生物も体内に磁性体を持っており、視覚による太陽の位置の情報に追加して、地球の磁気による方向の確認もしていることが明らかになっています。しかし、現段階では、どのように磁場を認識しているのかのメカニズムは完全には解明されていません。

まとめ

身の回りの物理現象や、物理がどのように日常生活で活用されているのかということを紹介しながら、学校で学ぶ物理の一部を簡潔に説明してみました。いかがだったでしょうか。私たちの生活にも物理がたくさん関わっていることを実感していただけたと思います。このコラムが、物理の面白さを知り、学校で物理を楽しんで勉強するきっかけになれば幸いです。

また、物理の勉強のやり方に困った際は是非私たち家庭教師にもご相談くださいね!

参考書籍

啓林館 物理

山崎耕造 トコトンやさしい磁力の本

この記事を書いたのは

現役京大生ライター R.H

家庭教師ファーストの登録家庭教師。京都大学医学部医学科在学。基礎的な内容から難関大学受験まで幅広く対応します。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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