家庭教師ファースト教育コラム社会・歴史の雑学

家庭教師ファースト教育コラム社会・歴史の雑学

【地理編】社会が好きになる!地理の「雑学」5選を現役名大生が解説

  • 社会・歴史の雑学
  • 2023.11.29
  • 現役名大生ライター A

「地理なんて楽しくない!」と思う人がいるかもしれません。どうして楽しくないのかを考えると、多くの人は「社会は総じて暗記科目で、覚えることがたくさんあるから嫌い」というのではないでしょうか。確かに暗記することが多い科目であることは間違いありません。

一方で、もちろん「地理が好きでもっと知りたい!」という人もいるでしょう。そういう人たちはどうして地理が楽しいのでしょうか。地理を楽しめる人の多くは、裏側を知っているからだと思います。

地理を知識の暗記ではなく、知識の裏に隠された秘密を知る科目だと思うだけでなんだかワクワクしてやる気が湧いてきませんか?今回は地理が好きじゃない人が裏側を知りたいと思うきっかけになるような、そして地理好きの人の知的好奇心を満たす一助になるような地理の雑学・豆知識をお伝えします。

なお、勉強のやり方に困ったときには、私たち家庭教師にもぜひご相談ください!

リアス海岸

地理の得意不得意に関わらず、多くの人が知っているであろうリアス海岸。海岸線に対して尾根線が垂直な山脈が、海水面の上昇もしくは陸地の沈降によって沈水することでできた海岸です。日本では秋田県、宮城県にかけて広がる三陸海岸や三重県の志摩半島、海外ではスペイン北西部のリアスバハス海岸や朝鮮半島南岸が有名です。

ちなみに、現在20代以上の方は「リアス”式”海岸」で覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。平成20年度以降の教科書では近年の学会の動向等を踏まえて「リアス海岸」と表記されるようになっているようです。以上、余談でした。

ところで、下の衛星写真はどこを写しているでしょうか。また、この地形の成因はなんでしょうか。

地形
出典:GoogleMap

まず、場所はアドリア海に面する国、クロアチアの沿岸部です。クロアチアはユーゴスラビア連邦共和国が解体された結果できた小国のうちの一つであり、様々な文化を持つ人が住んでいます。

そして、この不思議な海岸線の成因は、リアス海岸と全く同じです。ただし、山脈の尾根線が海岸線に対して水平に位置していました。その結果、この山脈が沈水した後には海岸線に対して水平に細長い島々が形成されることとなりました。

ところで、この海岸線の成因を問われる問題が出題された時、あなたはどのように考えるでしょうか。まず、海岸の地形は、陸地の沈水または離水、もしくは砂の侵食または堆積によって作られています。陸地の沈水ではリアス海岸やフィヨルドが、離水では海岸平野や海岸段丘ができます。

この4つの中で、海岸線が非常に複雑になるのは基本的に陸地の沈水に起因します。陸地が離水した海岸は元々海底だった部分が露出するので単調な海岸線になりやすく、砂の侵食や堆積でできる地形は(三角洲など、不思議な形になることは多いですが)そこまで複雑ではありません。以上から、これが陸地の沈水によって形成されたと判断できます。

次に、沈水によってできた他の海岸を思い出しましょう。よく問われるのはリアス海岸、フィヨルド、エスチュアリーの3つです。見た感じエスチュアリーには見えませんし、ここに山岳氷河ができたとは考えにくいのでフィヨルドでもありません。以上から、リアス海岸と成因が似ているのではないか、と推測することができます。

とはいえこの推測はかなり難しいのも事実です。こんな地形があるんだなぁ、と頭の片隅にでもとどめておいてもいいかもしれません。

地理の「革命」たち

革命、といえば歴史の分野でよく出てくるワードだと思いますが、地理の分野にもいくつか有名な革命があります。そもそも革命とは広辞苑第六版によると「従来の非支配階級が支配階級から国家権力を奪い社会組織を急激に変革すること」だそうです。ここでは、どちらかというと改良のようなニュアンスで使われています。

緑の革命

緑の革命

三大穀物といえばなんでしょうか。まずは米、そして小麦、あとはトウモロコシが含まれます。米と小麦の生産量は7億トン程度で大差なく、トウモロコシは10億トンほどと意外にもトウモロコシの生産量の方が米や小麦の生産量を上回っています。

さて、緑の革命とは米の生産量を増加させるために行われた世界規模の革命です。では、米の生産量を増加させるために必要なこととは何でしょうか。大きくまとめると、生産性を上げることに他なりません。

生産性は、土地生産性と労働生産性に分けることができます。今現在、米を多く生産している東南アジアやアフリカにおいて、人口が多く、(それが良いことなのかどうかは置いておいて)労働力は過剰にあります。いずれは労働生産性も向上することが求められるでしょうが、今早急に改善しなければならないものではありません。しかし、土地生産性の向上は急務です。少ない土地でできるだけ多くの穀物を生産できるようにならなければ、過剰な人口を支えていくことができません。

よって、緑の革命と称して、米の土地生産性向上を目指して様々な努力が行われました。まず、米そのものの高収量品種化を進めました。この当時開発された米の品種はIR8と呼ばれています。最適な環境に置けば、1haあたり10tもの米を栽培することが可能です。

しかし、その最適な環境作りが非常に難しいものでした。その環境には、大量の水、そして肥料を必要としたのです。つまり、大規模灌漑と大量の農薬の投入が求められました。また、IR8の最大の問題は、IR8と同じ能力を持つ種が取れないことでした。普通のお米であれば、栽培した米の一部を残しておいて、翌年同じ品種の米の種として利用することができます。一方で、IR8から取れた種は、IR8と同じ環境で育てたとしても同じだけの収量をもたらすことができません。これには遺伝子の話が関わっているため、生物の詳しい話をしなければならなくなるのでその理由は割愛しますが、翌年もう一度IR8を育てたければ、種を購入する必要があったのです。

以上のことから言えること、それはIR8を育てるには、莫大なお金がかかるということです。普通の農業従事者には、大規模灌漑の設備や、大量の農薬と種を毎年購入するなんてことは不可能でした。しかし、国やたくさんの機関からの手助けもあり、東南アジア・南アジアでは多くの農家でIR8の導入に成功しました。米の収量は格段に上昇、自国民の食料を賄うだけでなく、インドやタイ、ベトナムのように他国に輸出できるまでになった国もあります。

一方、アフリカの多くの地域には、緑の革命の波は届きませんでした。やはり費用が一番のネックとなってしまったのです。緑の革命は、確かに米の収量を増大させましたが、世界における農業従事者の所得格差に一役買ってしまったようです。

白い革命

白い革命

インド人の約80%が信仰するヒンドゥー教において、牛は神聖な動物として扱われています。ちなみに、15%弱がイスラム教徒、そのほかにはキリスト教徒、シク教徒、仏教徒、ジャイナ教徒も存在しています。シク教徒はターバンを着用しており、インド人がターバンを巻いているイメージはここからきています。

また、ジャイナ教徒は「不殺生・非暴力」を熱心に守り、厳格な人であれば微生物や虫を踏み潰して殺さないように目の前を箒で掃きながら歩くようです。なんでも、微生物や虫が自分のご先祖さまの転生後の姿かもしれないからだとか。私の友達は、踏み潰して死ぬなら箒で掃いても死ぬと思うんだけど…と言っていました。私もそれに全面同意です。

さて、牛の話に戻りますが、敬虔な信者が神聖な動物を殺すことなんてできるわけがありません。街中に大量に牛がいるにも関わらず、大多数のインド人は牛肉を食べません。しかし、牛肉は禁止されていますが、牛乳は禁止されていないことに気づいたインド人は、1970年代に酪農の新技術が普及すると同時にミルクの生産を拡大させていきます。

ミルクの増産に伴って、牛乳だけでなく、その加工品であるバターやチーズが増産されていきました。その結果、乳製品の自給だけでなく、輸出余力を有するようになりました。このように、インドにおいて乳製品が急速に増産されたことを白い革命と言います。

ピンクの革命

ピンクの革命

誰でもお金があるなら肉を食べたいという欲求があるようです。インドでは近年目覚ましい経済成長が起こり、所得水準が向上しています。その結果、インド人は肉を食べる機会が増加しました。

ところで、先ほどインド人の8割はヒンドゥー教徒であり、牛肉は食べないという話をしましたね。同様に、インド人の約15%はイスラム教徒であり、豚肉を食べません。いずれの教徒でも宗教上の戒律を気にせずに食べられる肉、それは、鶏肉です。近年、鶏肉の増産が目覚ましく、多くのインド人が鶏肉を食べます。もちろん、ヒンドゥー教徒は豚肉も、イスラム教徒は牛肉も食べます。

肉が食べたい。だけど、禁じられている。ならば、禁じられていないものを食べようじゃないか!この流れ、日本でも聞いたことありますよね。そうです、まるで江戸幕府5代将軍徳川綱吉、またの名を犬公方が日本を治めるときに出された生類憐れみの令の対抗策のようです。兎は跳ぶ(飛ぶ)し、耳も長くて羽みたいだから、鳥とみなして食べていたというなんともいえない話ですが、人間は誰しもルールの穴を見つけてまで肉を食べたいということなのでしょうか。

さて、ヒンドゥー教徒は牛の殺傷が禁じられていますが、そのほかの教徒にとっては関係のないことです。そのため、実は、インドは世界屈指の牛肉輸出国でもあります。このように、インドでは大量の肉が生産されるようになりました。これをピンクの革命と呼びます。

ちなみに、インドに生息する水牛の数は世界一です。しかし、水牛は牛の仲間であるにも関わらず、可哀想なことに、ヒンドゥー教において悪魔の化身であると言われています。よって、水牛の屠殺はタブー視されていません。ヒンドゥー教徒にも、水牛の肉を食べる人はいます。

カルスト

そもそもカルスト地形とは、石灰岩が雨水によって侵食されてできた地形です。日本では秋吉台、四国カルスト、平尾台などが有名です。世界ではスロベニアのカルスト地方が一番有名ですね。ちなみにスロベニア、1.リアス海岸のときに出てきたクロアチアの北西側にある国です。場所が分からなければ戻って確認してみましょう。日本では秋吉台、四国カルスト、平尾台などが有名です。

そして、これから紹介する「鍾乳洞、ドリーネ、タワーカルスト」は、同じような成因の地形にも関わらず、ここまで地形に差が出ます(下記写真参照)。早速写真と共にここからは、これらの地形の細かい成因を見ていきましょう。

鍾乳洞

鍾乳洞

水に溶けない地層の上に石灰岩の層が形成され、その上にもう一度水に溶けない地層が積み重なったのち、酸性の地下水や雨水によって侵食された地形です。つらら石や石筍などが形成されることもあります。

ドリーネ

ドリーネ

石灰岩の台地の地表に生じたすり鉢状の窪地のことです。大抵の石灰岩の台地で見られる、一般的な地形です。さて、同じようなものにウバーレ、ポリエもあり、違いがよくわからないと思っているのではないでしょうか?

ウバーレはドリーネが複数繋がってできた窪地であり、ドリーネよりは大きなものとなります。そして、ポリエは溶食盆地という別称を持ち、たくさんのドリーネが繋がってできた、とても大きな窪地となっています。

模試・入試でサイズ感を問われた経験はありませんが、学校のテストでは時々見かける問題のように思います。

タワーカルスト

タワーカルスト

石灰岩の台地が広がっている、とはいえ、その台地には石灰岩しか含まれていないわけではありません。どんな台地も多かれ少なかれ不純物を含んでいます。不純物が少なければ雨水に溶けやすく、多ければ溶けにくいため、不純物の局在が偏っていると、雨に溶けやすい場所と溶けにくい場所ができます。

先程の写真は中国のコイリンのものですが、これは世界でも最大級のものです。石灰岩の台地が厚く、広く存在していたため、長い時間をかけて大量の石灰岩が溶けていったことになります。そして、不純物が比較的多く存在していた部分が溶け残り、大きな塔となりました。

中国、コイリンはどこにあるでしょうか。実は、コワンシーチョワン族の自治区内にあります。中国には各民族が治める自治区が5つあり、これもそのうちの一つです。中国人の9割は漢民族ですが、残り1割ほどは違う民族が住んでいます。モンゴルにルーツを持つ人々や、イスラームを信仰する人々、チベット仏教を信仰する人々、中東に近い言葉を使う人々など、多様な人が溢れており、漢民族とは言語・宗教などが異なるため、迫害の対象ともなりえます。実際に、中国の自治区の一つ、シンチャンウイグル自治区では、ウイグル民族のホロコーストと減少分の人口を補うように漢民族の流入が行われている可能性が指摘されています。中国は否定していますが、果たして現実はどうなのでしょうか。

カナート・フォガラ・カレーズ

カナート・フォガラ・カレーズ。この3つの言葉が意味するものの違いを説明できるでしょうか。さて、実はこの3つ、基本的に違いはありません。数十メートルごとに竪穴を掘り、地下水を居住地まで引いてくる設備です。乾燥している場所にあり、居住地まで引かれた水は飲料水や農業用水として利用されます。しかし、唯一の違いは、その設備がどこにあるのか、です。

カナートはイランに、フォガラは北アフリカに、カレーズはアフガニスタンにあります。全く同じ設備なのにも関わらず、なぜか呼び名が異なりますので、気をつけましょう。特にカナートとフォガラの存在地は入試・模試・学校のテストのいずれでも問われやすく、正確な知識が求められます。

やる気のない細菌

ポドゾル

地域によって様々な種類の土壌が存在することは既に知られているかもしれません。例えば熱帯地域であればラトソルという赤土がありますし、温帯であれば褐色森林土が広がっていることもあります。では、冷帯(亜寒帯)ではどんな土壌が広がっているでしょうか。正解は、ポドゾル、という白い土が広がっています。

ポドゾルの特徴は、白いこと、酸性の土壌であること、養分が少ないことの3つです。それに関係しているのが、細菌と降水です。土壌に住む細菌は、暖かい場所を好みます。つまり、冷帯にいる細菌の多くはやる気がありません。たくさんの葉が落ち、細菌が分解するものは多いですが、あまりの寒さにやる気をなくし、分解速度は遅く、養分はほとんどできませんし、さらには酸を吐き出します。

そして、この地方では降水が極端に少ないことはほとんどなく、その結果ある程度の量の雨水が土壌に染み込んでいきます。しかし、地表付近にはやる気のない細菌たちが作り出した大量の酸が集積しており、そもそも雨水自体が弱酸性の液体であることも相まって、土壌に染み込む時には強い酸性の液体になってしまっています。その結果、土壌中に含まれる金属でさえも溶かして、地中深くに持っていってしまうのです。

土が色づいているのは、土の中に金属が含まれているからです。例えば熱帯の赤土、ラトソルにはアルミニウムが含まれており、それを加工するとボーキサイト、アルミナを経てアルミニウムを精錬することも可能です。しかし、ポドゾルでは色をつけるような金属でさえも全て溶かしてしまうので、白色の土壌が出来上がってしまうのです。

以上のことから、ポドゾルは白色、酸性、不毛の土壌となってしまいました。あまりの寒さにやる気が出なくなってしまった細菌と、降水がもたらした不思議な土壌ですね。

まとめ

「地理は覚えることが多くて、面倒だ。」私が高校生だった当時、地理の勉強中に何回面倒だと思ったかは数知れません。国も場所も覚えなきゃだし、土壌も、気候も、農産物も、工業も、民族・宗教も覚えなきゃいけません。しかし、その裏に隠された背景や理由を考えることで、面白い、もっと知りたい、と思えるようになるかもしれません。

実は、今回ここに書いたこと、これらは全て、高校生の時に学校の授業で先生が教えてくださったことです。先生はホワイトボードに書くこと、レジュメやプリント、スライド資料などを作ってくれることがありますが、先生が生徒に渡す情報はそれだけではありません。先生が喋っている内容、これこそ情報の宝庫です。なぜなら、今まで先生が勉強してきて、印象に残ったことが言葉として溢れているからです。たくさんたくさんメモをして、聞かないわけにはいきません。

確かに、地理に触れていた時間は他の理系の受験生より長かったかもしれません。確かに、他の人より多く演習したかもしれません。それでも、授業中にたくさんメモをとって、背景知識も一緒に覚えたことで、ただの知識の羅列を覚えるよりは遥かに楽しく学習できました。その成果として、理系の私でも、共通テストで100点を取れたことを報告させていただきます。

皆さんも、やればできます。応援しています!そして勉強に困った際には、是非私たち家庭教師にもご相談くださいね!

この記事を書いたのは

現役名大生ライター A

家庭教師ファーストの登録教師。名古屋大学・理学部在学。共通テスト本番の生物と地理では、満点獲得(自己採点)。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

記事を検索

カテゴリー

新しい記事

人気の記事

TOPへ戻る