家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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【気象現象編】理科が好きになる!天気の雑学7選を現役九大生が解説

  • 理科・科学の雑学
  • 2023.12.14
  • 現役九大生ライター A.Y

今回は、天気の雑学の中でも気象現象について紹介していきます。そもそも、気象現象というのは、気温・気圧の変化などの大気の状態によって起こる現象のことを指します。身近な例でいえば、雨や風のことですね。

さて、一口に気象現象といってもたくさんの種類があります。その中の一部について、思わず誰かに話したくなっちゃうような雑学をご紹介します。

なお、お勉強でお困りのことがあったら、是非私たち家庭教師にもご相談くださいね!

天気の雑学①梅雨

梅雨の雑学

6月ごろになると毎年まとまった雨が降る季節がやってきます。「梅雨」です。雨が好きな人には楽しい時期かもしれませんが、あんなに毎日のように雨が降ると嫌になっちゃいますよね。

梅雨入りとは?

梅雨入り、梅雨明けという言葉はよく聞くと思います。どのように決めているのでしょうか?まず、そもそも梅雨入りを発表する目的は、「雨が降りやすい時期なりました、災害に注意してください」と注意喚起することにあります。そのため、雨がどれだけ降ったから梅雨入りです、のような数値目安はありません。この「梅雨入り」や「梅雨明け」の判断はなかなか難しいようで、後述しますが、一時期気象庁は発表を行わなかったこともあるぐらいです。

梅雨入りは「今までの天候とこの先1週間の予報をもとに、雨や曇りの日が多くなり始める頃」を目安として発表されます。このとき、梅雨前線が日本の近くに停滞しています。梅雨前線とは、北側のオホーツク海気団、南側の小笠原気団が同じくらいの勢力の時にぶつかってできる停滞前線です。

次第に、夏本番に近づくにつれて小笠原気団の方が強い勢力を持つようになり、オホーツク海気団を北の方へ押し上げていきます。最終的には北海道の南部あたりで消えてしまうことが多いです。そのため、北海道には梅雨がないと言われるんですね。

梅雨明けとは?

梅雨の半ばには一度、天気が回復し、「梅雨の中休み」と呼ばれる時期ができます。晴れている日が多くなり、夏日(最高気温が25℃を超える日)になることも。梅雨が終わったのかも?とぬか喜びを仕掛けてくるわけですね。

実際の梅雨明けはもう少し後になります。6月後半から7月中旬にかけて梅雨明けが訪れます。梅雨明けも梅雨入りと同様に、数値の基準があるのではありません。5日くらい連続で雨降りそうにないな、という時が梅雨明けです。

非常に曖昧な決め方をされている梅雨だからなのか、年によっては梅雨入りが宣言されないこともあります。1951年以降の梅雨入り、梅雨明けがまとめられている気象庁のサイトによると、1963年の四国地方と近畿地方は梅雨入りが決められなかったようです。雨が降ったり降らなかったり、というのが平年よりも短いスパンで繰り返されたと考えられ、そのせいで梅雨が正式に決定できなかったと考えられます。6月の雨量は平年と変わらなかったというデータも出ているので、その年だけ極端に晴れていたというわけではなかったようです。また、2012年には後日梅雨入りの日が変更されたこともありました。

このように気象庁も頭を悩ませる梅雨入り・梅雨明け。これを知っておけば来年の梅雨は少し憂鬱さも和らぐかもしれませんね。

天気の雑学②線状降水帯

線状降水帯の雑学

近年よく聞く「線状降水帯」という言葉ですが、日本大百科全書によると、その定義は、「次々と発達した複数の積乱雲が並ぶことで形成される線状の積乱雲の集合体」となっています。雨雲が連続して停滞することで集中豪雨がもたらされ、過去には災害も発生しています。

線状降水帯の発生する3つのポイント

線状降水帯の予報はかなり難しく、現時点では、発生してから発表されることが多いです。もちろん、近年線状降水帯が発生しやすい3つのポイントがわかってきました。

・雲の元となる暖かく湿った空気が流入し、山や冷たい前線とぶつかるなどして上昇

・積乱雲を生みやすい不安定な大気状況

・積乱雲を流しては生む一定方向の風

以上の3つが揃うと、線状降水帯が発生しやすいと言われています。

とは言っても、線状降水帯の予報はかなり難しいのが現状です。

なぜ災害が発生しやすいか

線状降水帯がどうして災害の元になるか、というと、局地的に雨が降り続くから。ゲリラ豪雨も局地的に非常に激しい雨が降りますが、長時間降り続くことは滅多にありません。しかし、線状降水帯はゲリラ豪雨並みの雨が、降り続きます。

なぜなら、線状降水帯では、線状に連なった積乱雲が次から次へとやってくるからです。雨を降らせた雲は、自分自身の持ちうる雨水を使い切ると次第に消えていきます。しかし、線状降水帯では、常にたくさんの降らせることができる雨水を持っている積乱雲が途切れることなくやってくるために、激しい雨が降り続くのです。

地球温暖化による気温や海水温の上昇が影響で発生頻度が高くなったとも言われています。気象庁では2022年から「顕著な大雨に関する気象情報」として注意情報を発表する予定とのことですが、注意情報が出た際には台風と同じく気を付けたいものですね。

天気の雑学③台風

台風の雑学

7月から9月にかけて、たくさんの台風が日本付近にやってきます。暴風や豪雨をもたらし、時には死者も発生するような酷い災害になることもあります。

台風の発生方法は?

そんな台風の発生方法はというと、実は、普通の雲とほとんど変わりません。海で発生した水蒸気が上空に上り、冷やされて雲になるのです。異なる点は、そのスケールにあります。海水面の温度がより高く、水蒸気がよりたくさん発生すると、大量の積乱雲が発生します。

地球の北半球にはコリオリの力が働いているため、発生した積乱雲は次第に反時計回りに渦を巻きながら周りの積乱雲を巻き込んで成長し、熱帯低気圧へと成長します。その後、さらに水蒸気を取り込んで発達すると台風となります。

台風は、小笠原気団という高気圧の縁に乗せられて日本の近くまでやってきて、最後は偏西風に乗せられて日本を横断していきます。しかし、これは7~9月のこと。実は、台風は1年中発生しており、他の時期は東南アジア諸国に流れていっており、日本にやって来ないだけなのです。

台風の東側と西側

ところで、台風の東側と西側、どちらの方が風がきついでしょうか?答えは、東側です。先程紹介した偏西風というのは、7~9月頃は毎年、日本の上空を南西から北東に向かって吹いています。また、台風は反時計回りに風が吹いているので、東側では南西から北東に向かって、西側では北東から南西に向かって風が吹きます。

そのため、台風の東側では、偏西風と同じ向きの風が吹くことになります。その結果、東側では風が激しくなりやすいんですね。

外国には台風は来ないのか?

さて、他の地域――例えば、アメリカとか、アフリカとか、ヨーロッパとか――には台風は来ないのか?というと、実は、場所によっては来ます。ただし、名前が違います。

アメリカにはハリケーン、南アジア、アフリカにはサイクロンが訪れます。いずれも、成り立ちは台風と一緒です。場所が違うと、名前が変わるんですね。

ハリケーンと呼ばれるのは、北半球かつ、太平洋の東の方もしくは大西洋で発生した発達した熱帯低気圧だけ。サイクロンは南半球で発生した発達した熱帯低気圧に限ります。台風は北半球の太平洋の西の方で発生した発達した熱帯低気圧。このように、非常にしっかりと分けられているのですね。

ちなみにですが、台風は赤道を超えて移動することができません。なぜなら、先ほども説明に出てきたコリオリの力というものが関係しているのですが…かなり難しいので、割愛しておきます。ついでにいうと、そのコリオリの力のおかげで、南半球で発生するサイクロンは時計回りに風が吹きます。

さて、ヨーロッパに台風(もしくはハリケーンやサイクロン)は行きません。なぜなら、ヨーロッパは非常に高緯度だから。緯度が高く気温が低いため、台風はその近くまで行けないのです。

天気の雑学④細氷(ダイヤモンドダスト)

細氷(ダイヤモンドダスト)の雑学

細い氷と書いて、「さいひょう」と読みます。かっこよく言うと「ダイヤモンドダスト」ですね。大気中の水蒸気が昇華してできた、とても小さな氷の結晶が降ることを指します。

昇華とは?

ちなみに、昇華とは、気体が液体を経ずに固体になること、もしくは固体が液体を経ずに気体になることです。今回は、気体が液体を経ずに固体になることを指していますね。どちらも同じ言い方では不便だろうと言うことで、今は気体が液体を経ずに固体になることを凝華と言うこともあるようです。

空気中の水蒸気が結晶化し、キラキラと輝く様子がまるでダイヤモンドが空気中を舞っているように見えるのでダイヤモンドダストと呼ばれるようになりました。

ダイヤモンドダストが見られる条件

ダイヤモンドダストが見られるのは、

・氷点下10度以下

・快晴の早朝

・無風

・湿度がある

・視界良好

というかなり厳しい条件が揃った時のみ。日本では、北海道で見られることが多いです。

条件が完璧に揃ったとしても、見えないこともよくあります。とても発生確率が低い現象なのですね。近年では人工的に発生させることも可能となりました。

視界が悪い場合は‥

ちなみに、視界が良好でなく、1km以上先を見ることができない場合、霧に分類され、「氷霧(こおりぎり)」という違う名前を持つ気象現象になってしまいます。結晶のサイズは細氷よりもさらに小さく、氷点下30度を切らないと発生しません。

とても綺麗な現象なので、一度見てみたいものですが、運が良くないと見ることのできないものです。…とは言っても、死ぬまでには見てみたいなぁ。

天気の雑学⑤スモッグ

近年よく聞く「光化学スモッグ」という単語。「光化学スモッグ注意報が発令されました。」という自治体の放送を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。私が中学生の時は、市内全域に光化学スモッグが発生した日は部活動停止を言い渡され、帰宅させられた思い出が…大会前だったのに。

スモッグとは何か?

さて、まずはスモッグってなんなのか、という話ですね。スモッグ(smog)とは、煙(smoke)と霧(fog)の合成語で、元々はロンドンで起こった煙を原因とする霧のことを指します。

現在、「光化学スモッグが出ている」とは、光化学オキシダントと呼ばれる物資の濃度が高くなり、白い靄が発生している状態のこと。光化学オキシダントというのは、自動車や工場などの排気ガスの成分が太陽の強い光に反応してできるものです。光によって起こる化学反応で発生するスモッグなので、「光化学スモッグ」と呼ばれるのですね。春から秋にかけて(特に夏)の「日差しが強く、気温が高く、風の弱い日」に光化学スモッグは発生しやすいです。

どのような影響があるの

光化学スモッグは人体に対して悪影響を及ぼします。だから部活動が停止になる、なんてことが起きるんですけどね。例えば、目や喉の痛み、頭痛、吐き気、息苦しくなるといった症状がでます。激しい運動を控え、屋内でおとなしくしていることで症状は出にくくなります。光化学スモッグ発生情報を聞いたら、できる限り外出を控えるといいでしょう。

天気の雑学⑥エルニーニョとラニーニャ

エルニーニョとラニーニャ

「エルニーニョとラニーニャ」なんとなくどこかで聞いたことがある言葉なのではないでしょうか?

どんな現象か?

これは太平洋の南側で起きる、海の表面の温度が上昇したり低下したりする現象のことで、これ自体は数年おきに起こる普通の現象です。まだ原因ははっきりとは解明されていないのですが、低緯度付近を吹く恒常風である貿易風の強弱が関わっているとされています。

貿易風が弱まってエルニーニョ現象が起こると、赤道付近の暖かい海水が移動せず、本来なら南米近くで発生するはずの湧昇流が生まれません。湧昇流とは、海の底の方の冷たく、ミネラルを存分に含んだ水が海の表面まで上がってくる現象のこと。これによって、海の表層部分にミネラルが供給され、植物プランクトンの発生を促進します。

エルニーニョ現象の影響は?

エルニーニョ現象が起こって湧昇流が生まれないとどうなるでしょう。植物プランクトンが発生せず、その結果、その付近で小魚が成長できなくなりますね。

さて、ここからは地理の話になってしまうのですが、南米にあるペルーという国では、漁業が盛んです。ペルーで主に捕まえられるお魚は、カタクチイワシ。植物プランクトンを食べて成長するお魚の代表格です。さあ、カタクチイワシが取れなくなると、どうなるか。ペルーの漁獲量は一気に減少せざるを得ません。

そのため、漁業が盛んになってから、ペルーではエルニーニョ現象は厭われてきました。魚が獲れないのでは、漁師さん達の生活は立ち行きません。仕方ないですよね。

貿易風が弱まると豆腐が高騰?

ところで、「風が吹くと桶屋が儲かる」というお話を聞いたことがあるでしょうか?風が吹いたことによって盲目の人が増え、猫が減るとネズミが増えて桶がかじられるから、桶を新調する人が増えて桶屋が儲かるというトンデモ理論のお話です。(気になる方は調べてみましょう。なかなか面白いですよ)

実は、「貿易風が弱まると豆腐が高騰する」ということがわかってきました。こちらはトンデモ理論なんかじゃありません。貿易風が弱まると、エルニーニョ現象が起きます。エルニーニョ現象が起こると、小魚が獲れなくなります。ここまでは先程お話ししましたね。

小魚は、フィッシュミールといって、アメリカでは家畜の餌の定番メニューとなっています。大豆やトウモロコシよりも安価なんですね。しかし、エルニーニョ現象が起こって小魚が獲れなくなると、フィッシュミールが高騰。その結果、大豆やトウモロコシの方が安くなってしまいます。

つまり、家畜の餌として、大量に大豆が消費されてしまうのです。よって、なんと豆腐用の大豆まで消費され、高騰される事態に発展するのです。…まさかまさかの事態ですよね。「貿易風が弱まると豆腐が高騰する」なんて、面白いですよね。

他にもあるこんな影響

さて、エルニーニョ現象によって起こる現象はこれだけではありません。テレコネクションと言って、エルニーニョ現象が発生したことによって他の地域にまで影響が及ぼされることもあります。

例えば、エルニーニョ現象が起こると、日本では梅雨が長引いて冷夏になり、冬は暖冬になりやすいと言われています。もちろん、そのほかの気候条件がありますから、一概には言えませんけどね。

逆に、貿易風が強まってラニーニャ現象が起こると、赤道付近の暖かい海水が流れ去って強い湧昇流が発生します。その結果、植物プランクトンが大量発生し、小魚も大量に育ちます。三十〜四十年ほど前にはラニーニャ現象が起こって、カタクチイワシが大量発生。ペルーは当時、漁獲量1位になるほど漁業が盛んになりました。

ラニーニャ現象はエルニーニョ現象と真逆のことが起こる現象なので、テレコネクションも真逆になります。日本では空梅雨気味になって非常に暑い夏となり、冬の寒さは厳しくなりがちです。

ちなみにですが、カタクチイワシというのはアンチョビの原材料です。ピザやパスタと合う美味しい食材ですね。

天気の雑学⑦地域風

風の雑学

日本の地域風

地域風という言葉を聞いたことがあるでしょうか?その地域のみに吹く風のことで、日本で有名なものといえば「やませ」ですね。

やませは夏の始まり頃に東北の太平洋側に吹き付ける冷たい風で、冷夏を引き起こします。さらに、日照時間が短くなりやすく、米の不作に繋がります。いわゆる、冷害のもとなんです。

世界の地域風

さて、この地域風は世界中、いろいろなところに存在します。有名なものを見ていきましょう。

1つ目はフェーン。フェーン現象の始まりはこの風です。主にイタリアとスイスの国境にあるアルプス山脈をイタリア側からスイス側へとふく風となっています。最大の特徴はその温度にあります。風が山の斜面を登るときよりも降りるときの方が気温の変化が大きくなるため、非常に暖かい風となります。また、山を越えるまでに水蒸気を落とすので、乾燥した風邪となるのも特徴です。

2つ目はボラ(ボーラ)。アルプス山脈からアドリア海に向かって吹き下ろす風です。アドリア海とは、イタリアとそのお隣、旧ユーゴスラビアが囲む地中海のうちの一区画となっています。こちらは冷たく、乾燥した風です。冬から春先にかけて吹くのが特徴です。

3つ目はミストラル。これもアルプス山脈から吹く風ですが、イタリアではなくフランスにある谷を通って地中海に吹く風です。ボラと同じく、冷たくて乾燥した風になっています。吹く場所が異なるだけで、ボラとミストラルは似たような風だと思っていいのではないでしょうか。

4つ目はシロッコ。サハラ砂漠から地中海に向けて吹く風です。春先に吹くのが特徴で、春の知らせとともに、サハラ砂漠の砂塵も一緒にやってきます。日本でいえば、黄砂が飛んでくるのと同じような感じです。

5つ目はブリザード。北アメリカ大陸や南極地方で吹く吹雪を伴った冷たい風を指します。雪と風で視界が遮られるため、非常に厄介な風として有名です。近年では、吹雪を伴った冷たい風、もしくは吹雪のことをブリザードと呼ぶことも増えてきました。

地域の様々な風を紹介してきました。これらの風は、毎年同じように変化する大気の状態が作り出す風です。世界の地域風は日本にいてはなかなか実感することができませんが、また世界を気軽に旅できるような情勢になれば、ぜひ感じに行ってみたいですね。

まとめ

今回は、様々な気象現象の雑学を紹介してきました。思わず誰かに話してみたくなるようなものはあったでしょうか?今、なかなか他人とコミュニケーションを取る機会がありませんよね。少しでも話のきっかけになるようなネタがあれば幸いです。

また、勉強にお困りの際には是非私たち家庭教師にもご相談くださいね!

気象に興味を持って、これ以外のたくさんの気象現象について調べてもらえたら嬉しいです。

この記事を書いたのは

現役九大生ライター A.Y

家庭教師ファーストの登録家庭教師。九州大学理学部在籍。理科・数学が苦手な人に寄り添う事ができます。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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