家庭教師ファースト教育コラムその他の雑学

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<小学校低学年編>大人も懐かしい!国語の教科書に載る文学作品

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  • 家庭教師ライター S.F

小学校の国語の教科書には魅力的な物語がたくさん。その多くは長く読み継がれているもので、中にはなんと50年以上教科書に掲載されているものもあります。今回は特に小学校の1〜3年生の教科書に載っている代表的な物語について紹介していこうと思います。きっと「懐かしい!」と感じる作品も見つかるはず。大好きだったお話も今読み返すと、また違った見方ができるかもしれませんよ。

お子様のお勉強にお困りの際は、是非私たち家庭教師にご相談ください!

小学1年生の教科書に載る文学

1年生

それではまず、1年生の教科書に載っている主な物語を見ていきましょう。

①大きなかぶ 著者: A・トルストイ

<あらすじ>

おじいさんが植えたかぶは、それはそれは大きなかぶに育ちました。「うんとこしょどっこいしょ」。おじいさんはかけ声をかけて抜こうとしますが、かぶはちっとも抜けません。おじいさんはおばあさんを呼んできて一緒にかぶを抜こうとしますが、まだまだかぶは抜けません。おばあさんは孫を呼び、孫は犬を呼び、犬は猫を呼んできますが、それでもかぶは抜けません。とうとう猫はねずみを呼んできます。3人と3匹で力を合わせると、とうとうカブは抜けました。みんなは大喜びして、その晩はカブのスープを味わいました。

<解説>

国語の教科書で一番初めに出会うのは、ロシアの昔話「大きなかぶ」。繰り返し登場する「うんとこしょどっこいしょ」のフレーズがなんとも印象的ですよね。この物語は、みんなで協力することの大切さを教えてくれます。また、かぶを抜く最後の鍵となったのが、小さなネズミであったことも面白さの一つです。どんなに小さな力でも必要になるときは必ずあるのです。

②くじらぐも 著者:中川李枝子

<あらすじ>

それはある日の4時間目。1年2組の体育の時間。空に大きなくじらぐもが現れました。くじらぐもの誘いに答えて、子どもたちは「天までとどけ、1、2、3。」と大きくジャンプ。そのまま先生と一緒に白いくじらぐもに乗って、空を飛んで回りました。

<解説>

こちらも「小学校1年生の教科書に載っている」ことで有名な物語。少なくとも、50年以上昔である昭和46年発行の教科書には掲載されていることが確認できます。世代をこえて愛されている理由は、作者の中川李枝子さんの、子どもたちへの国語を好きになって欲しいという思いが詰められているから。大きな雲を見つけたときに、「くじらぐもみたい!」なんて思ったことがある人もいるのではないでしょうか。とても短い物語ですが、それほど印象に残る、素敵なお話です。

③ずうっとずっと大好きだよ 著者:ハンス・ウィルヘルム

<あらすじ>

エルフィーとぼくは一緒に大きくなった。エルフィーは世界で一番素晴らしい、ぼくの犬だ。毎日一緒に遊び、お腹を枕がわりにして一緒に夢を見た。いつしか時は経ち、ぼくの背が伸びる一方で、エルフィーはどんどん寝ている事が増え、散歩も嫌がるようになった。ある朝、目を覚ますとエルフィーは死んでいた。家族はみんな悲しみにくれていたし、ぼくも悲しくてたまらない。だけど、いくらか気持ちがらくだったんだ。だってぼくはエルフィーに毎晩かならず言ってやっていたからね。「エルフィー、ずーっと、だいすきだよ」

<解説>

大好きなペットや家族、愛する人々との死別は、誰にも必ず襲ってきます。それは小さな子どもであっても大人であっても同じこと。その悲しみを乗り越えることはできなくても、気持ちを和らげることはできるのだと言います。それは「だいすきだよ」と思ったときに伝えること。とても簡単なことですが、気恥ずかしいためかいつでも言えると思っているためか、なかなか口に出すことはできません。愛を注ぐことの素晴らしさと、言葉にすることの大切さを教えてくれる物語です。

④たぬきの糸車 著者:岸なみ

〈あらすじ〉

むかしむかし、木こりの夫婦がいました。山奥に暮らす夫婦のところには時々、いたずらなたぬきがやってきていました。そこで木こりはたぬきを捕まえるために罠を仕掛けました。ある晩、おかみさんが糸車をまわして糸をつむいでいると、部屋の外でたぬきが糸車をまわす真似をしていました。おかみさんがとても喜んだので、たぬきは毎晩やってきてそれを繰り返しました。ある日たぬきは罠に捕まってしまいましたが、かわいそうに思ったおかみさんは罠を解き、たぬきを森へ帰してあげました。

冬の間ふもとで暮らしていた夫婦が春になって山奥の家に戻ってきてみると、ほこりだらけになっているはずの糸車が綺麗に磨かれているではありませんか。
おかみさんが不思議に思っていると、座敷から糸車をまわす音が聞こえてきました。そう、あのたぬきが上手に糸車をまわして糸をつむいでいたのです。
たぬきは糸車を巻き終わると糸をはずしてきれいにまとめました。そしておかみさんにペコリと頭を下げ、森へと帰っていきました。


<解説>

「たぬきの糸車」は、伊豆の昔話を小学生向けに書き下ろした物語。「鶴の恩返し」や「分福茶釜」のような、よくある“動物の恩返しもの”にとどまらない、たぬきとおかみさんの心温まる交流が描かれています。いたずらもののたぬきに、心を動かされていくおかみさん。主人公はたぬきとおかみさんのどちらだろうか、そんなことを考えながら読んでみてもまた面白いかもしれません。

小学2年生の教科書に載る文学

2年生

次は2年生で読む物語です。

①ふきのとう 著者:工藤直子

<あらすじ>

竹やぶの竹の葉・ふきのとう・雪・竹やぶたちは、春を待ちわびています。春風が寝坊しているのです。ふきのとうたちの「春の到来」の願いを知ったお日さまは、春風を優しく起こします。たっぷり寝て元気いっぱいの春風が息を吐き、春がやってきました。

<解説>

ふきのとうを食べたことがありますか?天ぷらにするととても美味しい、春の山菜です。ふきのとうの旬といえば3月ですが、2年生になった4月に最初に読むのが、このふきのとうの物語。長い冬をようやくこえて、春を迎えていく喜びを、ユーモラスに描いています。そのリズム感のある文章は、口に出したくなること間違えなし。ぜひ、声に出して読みながら、ふきのとうたちと一緒に春の喜びを味わってみてください。

②スイミー 著者:レオ・レオニ

<あらすじ>

スイミーは泳ぎの得意な、小さな魚。スイミーは仲間たちと大きな海で暮らしていましたが、体が赤い仲間たちの中で唯一、スイミーは真っ黒でした。ある日、大きな魚が仲間を食べてしまい、スイミーだけが助かりました。

スイミーはさまざまな海の生き物たちに出会いながら放浪する中で、岩陰に隠れて暮らすかつての仲間そっくりの魚たちと出会いました。スイミーは一緒に泳ごうと誘いますが、大きな魚が怖いからと小魚たちは出てきません。

そこでスイミーは、大きな魚に食べられることなく自由に海を泳げるように、みんなで集まって大きな魚のふりをして泳ぐことを提案しました。真っ黒いスイミーは「僕が目になろう」と言いました。そうしてついに、小魚たちは大きな魚を追い払うことに成功するのでした。

<解説>

1匹だけ違う特徴を持ち、仲間外れにされていたスイミー。そんなスイミーが知恵と勇気で小魚たちを率い、大きな魚を追い返す展開にはとてもワクワクさせられます。スイミーは仲間を失った孤独の中、美しい海をさまようことで、自分という存在について深く考えました。そして、その個性を最大限に活かして大敵に立ち向かいます。「人にはそれぞれ役割があること」や「みんなで協力すれば大きな力を発揮できること」を教えてくれる物語です。

③おてがみ 著者:アーノルド・ローベル

<あらすじ>

悲しそうな顔に玄関に座りこむがまくん。遊びに来たかえるくんが質問すると、がまくんはお手紙をもらったことが一度もないこと、そんなお手紙を待っていることを話しました。かえるくんはそれを聞くと大急ぎで家に帰り、がまくんに手紙を書きました。そしてその手紙をかたつむりくんに託しました。かたつむりくんはすぐに届けるとこころよく引き受けてくれました。

かえるくんはがまくんの家に戻って、一緒に手紙がくるのを待ちました。かえるくんは今日こそはきっと届くとがまくんを励ましますが、手紙は届かず、がまくんの失望感は高まるばかりです。ついにかえるくんは自分が手紙を出したこと、さらにはその全文までもを話してしまいました。がまくんはとても喜び、2人は幸せな気持ちで玄関に座っていました。

結局、かたつむりくんがおてがみを渡したのは、4日経ってのことでした。

<解説>

「おてがみ」はアーノルド・ローベル作;三木卓訳の絵本『ふたりはともだち』に収録されている一作です。どこか間抜けで、自分勝手な面もあって、それでもお互いを大切に思っているがまくんとかえるくん。「おてがみ」はとても短い、クスリと笑わせてくれる物語ですが、友達や友情の素晴らしさが伝わってきます。「がまくんとかえるくんシリーズ」は全部で4冊が出版されています。ぜひ実際に手に取って、他のお話にも触れてみてください。

④スーホの白い馬 著者:大塚勇三

<あらすじ>

ある日、モンゴルのとある村に住むスーホと言う少年が弱っている白い子馬を拾いました。スーホはその子馬にハルハと名付け、大切に育てました。それから数年後、王様が娘の結婚相手を探すため競馬大会を開きました。スーホは立派に成長した白い馬に乗り、見事優勝しました。しかし王様は貧しいスーホを娘の結婚相手として認めず、スーホに白い馬を渡すよう命令します。スーホはその命令を拒否しましたが、兵隊たちに無理矢理奪われ、命からがら家へ戻りました。一方白い馬は隙を突いて逃げ出しましたが、兵隊たちが放った矢で体中を射られました。瀕死の状態になりながらもスーホのもとに辿り着いた白い馬は、看病むなしく次の日に死んでしまいました。スーホは悲しみのあまり幾晩も眠れずにいましたが、ある晩ようやく眠りにつき、夢の中で白い馬をみました。白い馬は自分のなきがらを使って楽器を作るようにスーホに言い残しました。目を覚ましたスーホは琴を作り、その音色に乗せて歌声をモンゴルの草原中に響かせたということです。

<解説>

このお話は「馬頭琴」というモンゴルの民族楽器ができた由来を語るという形で進んでいきます。貧しくとも、正直に懸命に生きるスーホと、命を助けられ大切に育てられた恩を忘れず、最後まで忠誠を尽くそうとする白い馬。横暴な王様に踏みにじられても、2人は深い愛情でつながれています。結局白い馬は死んでしまい、王様が罰されることもないという後味の悪い話ではありますが、その悲しくも美しい世界観に心を動かされること間違いありません。

小学3年生の教科書に載る文学

3年生

最後に3年生の教科書に載っているお話を紹介します。

①きつつきの商売 著者:林原 玉枝

<あらすじ>

きつつきが森で「おとや」というお店を開きました。「できたての音、すてきないい音、お聞かせします。四分音符一個につき、どれでも百リル」と看板には書いてあります。野うさぎが来て、ブナの音を注文します。きつつきがブナの木の幹を叩くと、野うさぎが注文した音が森の中に響きました。森に雨が降った日、きつつきは新しいメニューを思いつきました。野ねずみの家族がやってきて、いい音を聞きたいと注文しました。きつつきは口と目を閉じるように促します。聞こえてきたのは、雨の日の森の色々な音。野ねずみ達はみんなにこにこうなずいて、目を開けたり閉じたりしながら、ずうっとずうっと、特別メニューの雨の音につつまれていたのでした。

<解説>

「きつつきの商売」は3年生の一番初めに読むお話です。登場人物たちの優しさや繊細な描写に心を温められます。「シャバシャバ」「パシパシ」「ザワザワ」など、色々な音を表す言葉(擬音語と言います)が使われているのも印象的で、声に出して読むのがとても気持ち良い作品でもあります。

②ちいちゃんのかげおくり 著者:あまんきみこ

<あらすじ>

「かげおくり」という遊びを知っていますか。地面に映った自分の影を長い時間見つめて、一気に空などに視線を移すと大きな影が見えるというものです。ちいちゃんは、お父さんの出征の前日にこの遊びを教えてもらい家族でやってみたのでした。

それからしばらく経って、ちいちゃんの町にも空襲がありました。お母さんはお兄ちゃんとちいちゃんの手を引いて逃げましたが、人ごみのなかでちいちゃんはみんなとはぐれてしましました。次の日、ちいちゃんは自分の家があった所に戻ると、そこは瓦礫の山になっていました。みんなの帰りを信じて待つこと数日、ちいちゃんに明るい光が差しました。空から「かげおくりをしよう」というお父さんやお母さんの声が空から降ってくるのです。

「ひとつ、ふたつ、みっつ」家族の声が重なり合います。10まで数えて空を見上げると4つのかげが浮かんでいました。「なあんだ、みんなこんなところにいたのね」ちいちゃんの体は軽くなり空に浮かんでいきました。

夏のはじめのある日、こうして小さな女の子の命が空に消えました。

<解説>

ちいちゃんという幼い女の子の目を通して第二次世界大戦の悲惨さを描く、とても悲しい物語です。優しい文体で、決して戦争を直接否定するような言葉は出てきませんが、だからこそより深く心に染み入ります。このお話にある世界は今の私たちにとってはあまりに縁遠いものですが、決して遠い昔のお伽話ではありません。今も世界のどこかに、ちいちゃんはいるのです。戦争の醜さ、平和の尊さを考えるきっかけとなる一編となることでしょう。

ちなみに作者のあまんきみこさんは「車のいろは空のいろ」等他にも素晴らしい作品を発表されています。「車のいろは空のいろ」の一編「白いぼうし」は小学校4年生の教科書に取り上げられています。高学年編でそちらも解説しております。→<小学校高学年編>国語の教科書に載る文学作品

③三年とうげ 著者:李綿玉

<あらすじ>

あるところに三年峠と呼ばれる峠があり、そこには「三年峠で転んだら三年しか生きられなくなる」という言い伝えがありました。そこで、ここを通る人たちは、転ばないように注意して歩いていました。あるとき、一人のおじいさんが隣村へ反物を売りに行った帰りにここを通り、注意していたにも関わらず転んでしまいます。言い伝えを信じていたおじいさんは、「あと三年しか生きられない」と思うと本当に具合が悪くなって寝ついてしまいました。そこへ、水車屋のトルトリという若い男が見舞いにやってきて、「三年峠でもう一度転べばあと三年、二度転べば六年、三度転べば九年生きられる」とアドバイスします。しばらく考えていたおじいさんは納得し、三年峠へ行ってわざと転びます。そのとき、木の陰から誰かが歌う「いっぺん転べば三年で、十ぺん転べば三十年、百ぺん転べば三百年…」という歌が聞こえてきて、おじいさんはすっかりうれしくなりました。

<解説>

「三年とうげ」はトルトリの機転のきかせ方やリズミカルな歌、丁寧な情景描写がなんとも楽しいお話です。昔からの言い伝えを信じ切るおじいさんと、そんな迷信にはとらわれず、発想を転換させておじいさんを救った若者・トルトリ。「病は気から」という言葉を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。また、「三年とうげ」はもともとは朝鮮の民話です。「大きなかぶ」もそうですが、国語の教科書では様々な国の物語が読めるのも魅力の一つとして挙げられるでしょう。ぜひ色々な民話や昔話を楽しんで、新しい世界を広げてみてください。

④モチモチの木 著者:斎藤隆介

<あらすじ>

父親のいない少年・豆太は、山小屋でお爺さんと暮らしています。豆太は臆病者で、小屋の外にある便所にも夜は怖くて一人で行くことができません。その小屋の近くには大きなトチノ木があって、豆太はその木のことを「モチモチの木」と呼んでいます。モチモチの木は、夜に火が灯ったようにきれいに光る事があり、豆太の父親もお爺さんもそれを見たことがあるといいます。豆太も見てみたいと思うものの、夜は怖くて見に行く事ができずにいました。

そんなある夜寝ていると、お爺さんがうなる声で豆太は目を覚ましました。お爺さんは腹を押さえて苦しんでいます。何とか助けたいと思った豆太は、月明かりしかない怖い夜、霜で凍った道を裸足でふもとの村まで一人で医者を呼びに行きました。医者を呼んで山小屋に戻る途中、豆太はモチモチの木に火が灯って、明るく輝いているのを見ます。翌日回復したお爺さんは、豆太の勇気をたたえました。

<解説>

怖がりの豆太がお爺さんを助けるために、勇気を振り絞って成長する様子が描かれた「モチモチの木」。版画調の絵がとても印象的で、特にモチモチの木に灯りが灯る描写は多くの人の心に残っていることでしょう。そして、その物語の世界に引き込まれるのは、豆太がどこまでも等身大の少年であるからに違いありません。大切な人を助けるためになら、人はどこまでも勇気を出せること。真の勇気とは優しさの中にあること。この作品はそんな大切なことを教えてくれます。

まとめ

いかがでしたか?もちろんここに紹介したものは全体のほんの一部に過ぎませんが、きっとあなたにとって大切なお話が見つかったのではないでしょうか。これらの物語の多くは、これまで教科書の題材として何十年と読まれているのと同じように、この先も読み継がれていくことでしょう。時を超えて愛される名作は、小学生の読書に選ぶ一冊としても、大人が童心に帰る一冊としてもふさわしいこと間違えなしです。ぜひ、この機会に手に取ってみてはどうですか。きっと、素敵な物語の世界にあなたをいざなってくれますよ。

今回は小学校低学年編でしたが、高学年編もありますので、よろしければそちらもご一読ください。 →<小学校高学年編>国語の教科書に載る文学作品

また、お子様のお勉強にお困りの際は是非私たち家庭教師にご相談ください!

この記事を書いたのは

家庭教師ライター S.F

家庭教師ファーストの登録家庭教師。お茶の水大学文学部在学。小学校教員を目指しています。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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