家庭教師ファースト教育コラムその他の雑学

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学生のうちに読みたい「おすすめ小説」22選を現役九大生が解説!

  • その他の雑学
  • 2023.07.21
  • 現役九大生ライターF

近年、子供にとっての娯楽が一気に増え、「読書」を楽しみとする子供たちは減りつつあります。
 
しかし、読書を日常に取り入れることで、文章問題を読む体力がつき、語彙力が増え、想像力が養われることで共感能力が高まり、そして何と言っても楽しみながら論理的な思考力を簡単に育てることができるのです。
またコロナ禍で人との接触がめっきりと減り、精神的に不安定になりやすい状態になっています。
 
読書をすることで自分と静かに向き合うことができ、自分の不安定さの原因を探ることができます。
ここまで読書のメリットを述べてきましたが、実際たくさんの選択肢がある中で子供が面白いと感じる本を選ぶことはなかなか難しいかもしれません。
そこで私がこれまで読んできた中でおすすめの本を「学年別」にまとめましたのでぜひご覧ください。

小学校低学年(1,2年生)向け📕

小学校低学年(1,2年生)向け

小学校低学年は文字を覚えたばかりで、一度文字に苦手意識を感じてしまうと本に手が伸びづらくなってしまいます。
そこで誰が読んでも面白いと感じ、話の展開もわかりやすいものを選びました。

①かいけつゾロリ

1冊目は小学校低学年向けのド定番の本です。
 
私は1年生のころこの本と出会い、面白くて図書館で借りてよく読んでいました。
人気の本なので思うように読み進められず、その結果毎日学校の図書館に通うことになり、本を読む習慣がついたといっても過言でもありません。
 
内容は、キツネ🦊のゾロリとイノシシ🐗の兄弟のイシシとノシシが修行の旅をしながら架空の日本を舞台として各地で活躍するものです。
おならやゲップといった少々下品な表現も多く、保護者の皆さまの中にも眉を顰める方もいらっしゃるかもしれません。
しかし低学年の子供にはツボを押さえた内容になっていて、面白がって本を読むようになる作品だと思います。
 
また挿絵やセリフの配置も工夫されていて絵本感覚で気軽に読むことができます。
一番印象に残っている話は、地球に迫っている隕石を止めるために、みんなでサツマイモを食べておならの力を使って何とかしようとする話です。
当時の私は本当におならの力で隕石をどうにかできるのか不思議で仕方なく、友達と学校で議論していました。

②エルマーのぼうけん

エルマーのぼうけんは、読書をする習慣がついている人は幼いころに一度は読んだことがある本ではないでしょうか。
 
主人公エルマーが、野良猫から動物島にとらわれているかわいそうな竜の子供の話を聞き、様々な持ち物をリュックに詰めて竜を助けに行く話です。
このエルマーの持っていく持ち物が本当にそんなもの必要なの?と思ってしまいそうなものなのですが、エルマーはこれらを巧みに使って窮地を脱していきます。
伏線としてはささやかなものですが、物語の序盤に感じた疑問が読み進めて行くうちに、鮮やかに回収されていく様に読書の面白さを感じる一冊となっています。
 
このエルマーのぼうけんは三作品あり、

1⃣エルマーのぼうけん
2⃣エルマーとりゅう
3⃣エルマーと16匹のりゅう
と続くので、一冊の興味を持った本から他の本へと手を伸ばす、という体験をすることもできます。
私は特に 3⃣エルマーと16匹のりゅうの終わり方が好きで何回も読んでいました。
読んだ子供が本当にりゅうはこの世界に存在するのではないか、とわくわくするような終わり方で想像が止まらなくなります。

絵本

③泣いた赤鬼

泣いた赤鬼は誰もが名前くらいは知っている名作ではないでしょうか。
人間と仲良くなりたいが避けられている赤鬼が、友達である青鬼の作戦によって人間と仲良くなることに成功しますが、そのせいで青鬼は人間に嫌われ、赤鬼と一緒にはいられなくなる、という話です。
 
シンプルな話ですが、なんとも言えない読後感に襲われます。
赤鬼は人間と仲良くなるために、青鬼に頼るべきではなかったのではないだろうか・・・。
青鬼は赤鬼から人間と仲良くなるための作戦の聞いたときなぜそれを了承してしまったのだろうか。
読んでいく度に、いろんな感情があふれて止まらなくなります。
結局は見た目で判断して差別する人間に対する批判を描いた作品なのかもしれないとも思います。
青鬼の自己犠牲は美しいとは思いますが、本当にそれでよかったのだろうかと大学生になった今でも時々考えることがあります。
 
友達付き合いにおいて大切なことが詰まっている作品なので、子供が読んだ後、保護者の方がどう感じたのかいろいろ質問してあげると、より理解が深まるかもしれません。

④若草物語

若草物語、南北戦争中のアメリカを舞台とした物語です。
 
父親が出征し、母親と4姉妹だけになった家庭で起こる様々な事件を通して4姉妹が成長し、家族の絆が深まる様子が描かれています。
登場人物が多い上に横文字の名前ばかりで最初は混乱するかもしれませんが、全員キャラクターがしっかりと確立しているので覚えさえすれば、面白く読むことができると思います。
父親がおらず、そこまで裕福ではない生活の中で、4人の少女が夢を語ったり、
家族のためになることをしようしたりするのを読むうちに自らも自立しようとする自覚が出てくるかもしれません。
この若草物語もエルマーのぼうけんと同様、1⃣4⃣作品目まであるので1冊目で興味を持ったらほかの3冊も読むことをお勧めします。
 
実はこの作品、ジェンダーに関する問題を扱っており、女の子らしさとは何かというテーマがよく出てきます。
この本を読んで何を感じるかは人それぞれだと思いますが、少なくとも私は、性別関係なく好きなことをしていいのだ、と当時は感じました。
いわゆる少女向けのお話ですが、男の子にもぜひ読んでもらいたい作品です。
 
映画もあり、個人的には実写版シンデレラの出演を断った、フェミニストで有名なエマ・ワトソンが出演していることが面白いと感じました。

小学校中学年(3,4年)向け📘

小学校中学年(3,4年)向け

小学校中学年になるとひらがなを読むのに苦労しなくなり、簡単な漢字を覚えてきたころだと思います。
そこで文章を読む体力を楽しくつけるためにシリーズものをメインで選びました。
また短編も考えさせるようなものや話の展開が少し複雑なものを選びました。

①ちいちゃんのかげおくり

ちいちゃんのかげおくりは学校の教科書で読む人がほとんどでしょうが、名作だと思うので挙げておきました。
年々戦争体験を語れる人が少なくなっていく中で、ここまで誰もが共感できる作品はないのではないでしょうか。
学問としての歴史を学ぶ前に、個々の人々が戦争でどのような思いをしたのかを知っておくことは大事だと思います。

②小公女セーラ

小さいころに絵本の方を読んだことがある人が多いかもしれませんが、文庫本バージョンはそれなりに分厚いので、
読む体力を楽しみながらつけることに最適だと思い選びました。
 
物語は裕福な家庭で生まれ育ったセーラが女学校に入学するところから始まります。
学校への寄付金が多いことから女学校で特別扱いをされ、持ち物も高級なことからクラスでも中心的な地位になります。
ところがある日、セーラの父が死んで財産が失われたことで恵まれたセーラの生活は一変する、という内容です。
セーラ自身は特に何の努力もすることなく元の恵まれた環境に戻ることができる、というシンデレラ的な話の展開をするため、今からの時代を生きる子供たちには少々ふさわしくない気もするのですが、前述した通り、あくまで読む体力を身に着けることを目的とするには良い作品だと思います。
 
また、当時の身分制や家父長制を前提とした登場人物の発言や行動、植民地の人々への差別的な発言があり今の時代にはそぐわないのですが、後々世界史を学ぶと「ああ、こういうことだったんだな」と振り返って楽しめる作品です。

絵本

③若おかみは小学生

この作品は、事故で両親を亡くした主人公おっこが旅館を経営する祖母に引き取られ、小学生若おかみとして奮闘する物語です。
 
劇場版化もされ、様々な賞を受賞していたり、文科省の選定作品に選ばれたりしています。
1巻完結型で少々読み飛ばしても問題ないので学校の図書館で借りやすいと思います。
当初は主人公が旅館に宿泊に来る客の無茶ぶりを解決することを軸として話が進みますが、後々、恋愛要素や幽霊や魔界といったファンタジー要素も登場し、読み飽きません。
 
読書嫌いな子供には最初に映画を見せてから本を勧めると興味を持ってくれるかもしれません。
個人的には、児童労働を肯定する作品が文科省の選定作品に選ばれているということに若干の気持ち悪さを覚えますが、お話としては文句なしに面白いので特に女の子ははまって読むかもしれません。

④怪談レストランシリーズ

これまで2作品主に女の子向けの作品が続きましたが、この怪談レストランシリーズは男の子、女の子ともに楽しめる作品です。
オムニバス形式なのでどのお話から読んでも大丈夫です。
 
結構怖くて当時はこの本を読むとお風呂に入ったり、夜中トイレに行くのが怖かったりしたことを覚えています。
図書館でも人気の作品なので、先に読んだ友達にどんなに様だったかを聞いたり、逆に友達に内容を教えたりして会話のきっかけになっていました。
怖い話をちゃんと怖く感じるように相手に話すのはかなり難しく、話すスキルがついたと思います。
ご家庭でもこのシリーズを読んだお子さんにどんな話だったかを聞いてみるのも面白いのではないでしょうか。

⑤マジックツリーハウスシリーズ

マジックツリーハウスシリーズは、世界で1億5000万冊以上売れている非常に有名な児童書の一つです。
 
内容は、本の虫でまじめで頭の良い慎重派の兄のジャックと、冒険好きで空想好きな行動派の妹ジェニーが魔法のツリーハウスを使って、様々な時代のいろんな国に旅行をする話です。
古代エジプト、古代ローマ、中世ヨーロッパ、南北戦争といった歴史を主に題材とした話から、恐竜のいる白亜紀、氷河期、太平洋やコンゴの熱帯雨林を冒険するといった科学に興味を持たせるような話まで様々です。歴史や動物について楽しく勉強できるだけでなく、
タイタニック号の沈没🚢やベスビオ火山の噴火🌋などの人類史における有名な事件も学ぶことができ、教養が深まる作品となっています。
アメリカ人の作者なので、アメリカの建国にまつわる話も多く、日本人にはピンときづらいアメリカ合衆国の歴史も実際にタイムスリップして臨場感をもって読むことができます。

世界史や日本史や生物から環境問題まで幅広く子供に興味を持ってもらえる本で、どんなに読書嫌いな子供でもハマる可能性があるので、一度は手に取るように促す価値はあります。

小学校高学年(5,6年生)向け📗

小学校高学年(5,6年生)向け

小学校高学年向けの本は、中学生に向けて少し複雑な内容や伏線などがある本が読めるようになってほしいという思いで選びました。

①ハリーポッターシリーズ

ハリーポッターシリーズは世界で聖書の次に売れたといわれる、知らない人がいないとまで言える有名な作品です。
全巻映画化されており、本を読んで話の内容が分からなくなっても安心です。

また映画をすでに見ていても、映画版は原作よりもストーリーがかなり削られていたり多少の改編がされていたりするので、よりハリーポッターを楽しむことができます。
また中学生レベルの英語を学べば、英語版も読むことができ、二重に楽しむことができます。
日本語翻訳はしばしば後で紹介するナルニア国物語に比べて批判が加えられることがあり、英語版も重ねて読めば、訳文を比べるということもできます。

内容としては、両親を幼いころに亡くし、親戚の家で育てられている孤独な少年ハリーが、ある日、魔法学校ホグワーツへの入学許可証が届いたことで魔法界と出会い、そこからさまざまな事件に巻き込まれながらも、親友のロンとハーマイオニーと一緒に成長していくという物語です。
7巻構成ですが、途中から上と下に分かれるので実質11冊分あり、非常に読み応えがあります。

②ナルニア国物語

ナルニア国物語は全部で七作品ありますが、今回はその中でも特に面白く、また映画化もされている、

➊ライオンと魔女
➋カスピアン王子の角笛
➌朝びらき丸東の海へ

の三作品を紹介します。

➊ライオンと魔女

第二次世界大戦を避けてペペンシー家のピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィーの4兄弟がとある学者先生のもとに疎開したところから始まります。
学者先生の屋敷には古い衣装箪笥があり、なんとその衣装箪笥は神話の世界の生き物や妖精、そして魔法のあるナルニア国へとつながっていたのです。
4兄弟は、ライオンのアスランとともにナルニアを支配する白い魔女からすべてを解放しようと奮闘します。
中でも末っ子のルーシィーが主人公的な立場で、幼い子特有の魔法と不思議を信じる姿勢には童心に帰った気持ちでわくわくさせられます。

➋カスピアン王子の角笛

ナルニア国の王子であるカスピアンが叔父に国を追われて森で隠れて暮らしていたところを、ライオンと魔女で登場したペペンシー4兄弟がアスランとともに救う、という話です。
映画でカスピアンを演じている俳優がとても格好良いのでぜひ映画も見てほしいです。

➌朝びらき丸東の海へ

ルーシーとエドモンド、彼らのいとこであるひねくれもののユースチスがナルニアに戻り、前作に登場したカスピアン王子と共に彼の父の友人である7人の偉人を探すという物語である。
映画版では、アスラン王と魔法の島という名前に変更されている。
過去の経験を通して仲がよく団結力のあるペペンシー兄弟と、かなり癖の強い性格をしているユースチスとが
冒険の苦難を通じて一皮むけていく様子がまるで週刊少年ジャンプのようで紹介した三作品の中で一番面白く読めると思います。

絵本

③怪人二十面相

怪人二十面相は「江戸川乱歩」によって書かれた作品で、名探偵明智小五郎と彼の率いる少年探偵団が、大怪盗で変装の名人である怪人二十面相を何とか捕まえようと奮闘する推理小説です。
簡単に言えば日本版のアルセーヌ・ルパンのようなものです。
敵役で、泥棒行為を働く怪人二十面相ではありますが、非常に魅力的な一面を持っており、人を傷つけたり、殺したりといった残酷な行動は一切取りません。
これに対して、名探偵明智はある種の信頼感を怪人二十面相に対して抱いており、この二人のライバル関係もまた素敵です。

怪人二十面相の他にも、本作で結成される少年探偵団シリーズや、明智小五郎が主人公のシリーズなど様々なシリーズがあり、どれも推理するのが楽しくわくわくするものばかりなので、怪人二十面相が気に入ればその他の江戸川乱歩作品に手を伸ばしてみてください。

④怪盗クイーンシリーズ

怪盗クイーンシリーズは、はやみねかおるによる小学生向け作品の一つです。
神出鬼没である怪盗クイーンがパートナーであるジョーカーと人工知能RDと共に、トルバドゥールという飛行船で世界中を旅しながら高価な宝石や美術品を盗み出していく、という話です。
③で紹介した怪人二十面相とは違い、主に怪盗サイドで話が進んでいきます。

一方で怪人二十面相と同様、クイーンも独自の怪盗の美学を持っており、殺人などの非道は行いません。
非常に頭がよく、催眠術を使い、作中最強クラスで強いにも関わらず、お調子者なクイーンと、冷静沈着で生真面目ながら天然なジョーカーの掛け合いは思わず爆笑してしまうほどコミカルです。
毎作品、アッと言わせるトリックと人間離れしたフィジカルで鮮やかに宝物を盗み出すさまに熱中すること間違いなしです。

⑤名探探偵夢水清志郎シリーズ

こちらもはやみねかおるによる小学校高学年(主に6年生)向けの推理小説です。
推理小説ではありますが、殺人事件などの血なまぐさい話はないため、そういうのが苦手な子供におすすめです。
 
内容は、中学1年生の三つ子の岩﨑姉妹と自称名探偵の夢水清志郎がともに数々の事件へと立ち向かっていく、というものです。
たいてい物語では自らを“名”〇〇と自称する人はかませ犬のような立ち位置で登場するのがお約束ですが、夢水清志郎は人間としての常識や記憶力は持ち合わせていない一方で、探偵としての能力は一流です。
岩﨑姉妹は対象学年よりも一つ上の中学1年生であることから、子供にとって非常に共感しやすい主人公となっています。
 
きちんと話を理解していなければ、トリックの仕組みが分からなくなってしまうため、じっくり理解しようとしながら読む力をつけるには最適だと思います。
怪盗クイーンよりも少し難しく、派手さには欠けると思いますが、クイーンがのちに夢水清志郎と対峙するオリエント急行とパンドラの匣をより楽しむためには、ぜひこちらも読んでもらいたいです。

中学生向け📙

中学生向け

中学生は、高校受験に向けて表現力と理解力を育成し、論理的な思考力と想像力を育てる必要があります。
そこで小学生時代全く読書をしていなかった人向けの本から、読書量が多く、文章を読むのに慣れた人向けの本まで幅広く選びました。

①レッドデータガール ~初級~

レッドデータガールは6巻構成で、読書が苦手な人には長く感じるかもしれませんが、文章も簡単で絵もきれいなため、読みやすいと思います。
アニメ化もされており、読みにくいと感じれば先にアニメを見てから読むとわかりやすいかもしれません。
どちらかというと女の子向けです。
 
内容としては和風ファンタジーで、異能や陰陽師といった人々が登場します。
物語は主人公である、神社で育てられた少女、鈴原泉水子が学校のパソコンをすべて破壊し、異能の力を顕現させたところから始まります。
ファンタジーではありますが、学園生活もあるので、実際にこんな世界が存在するのではないか、と想像が膨らみます。

②図書館戦争 ~初級~

図書館戦争は、アニメ化も実写映画化もされた非常に有名な作品です。
公序良俗を害し、人権を侵害する表現を規制することを目的としたメディア良化法が制定された架空の日本が舞台で、主人公である笠原郁が図書隊員として、検閲の対象となった図書を守るために戦う、という物語です。
 
図書館には静謐というイメージを持ちがちですが、ミリタリー要素を掛け合わされているのが意外で非常に面白いです。
物語が想定しているのは2019年で、私が読んだ頃は完全なSFで、こんな見習いがあるのかもしれないと怖くなっていましたが、すでに2019年を過ぎた世界に生きている子供たちがこの作品を読んでどんな感想を持つのか興味深いです。
小学生でも読める作品ではあると思いますが、
表現の自由はなぜ重要なのか
なぜ主人公たち図書隊員は命がけで本を守るのか
公序良俗や人権を侵害する表現を守るという目的がどれだけ為政者によって内容が都合よく変えられうるのか

ということに着目して読んでもらいたいです。

中学生向け~中級~

③みをつくし料理帖 ~中級~

みをつくし料理帖は「料理」をテーマにした時代小説です。
歴史的知識がなくても十分理解でき、楽しむことができるので時代小説の入門編になりうる作品だと思います。
この作品もドラマ化や映画化されている有名な作品です。
 
舞台は江戸時代で、水害で両親を亡くし天涯孤独の身となった主人公澪が、大坂の有名料理店である天満一兆庵に拾われ、料理人としての才覚を見込まれます。
物語の最初でこの有名料理店は焼失し、身寄りを亡くした澪と天満一兆庵の主人と女将は、一兆庵の江戸店を任せられた息子を頼りに江戸へと旅立ちます。
ひょんなことから澪は、江戸のつる屋という店で料理人として働くことになりますが、そこで料理に関する様々な苦難を乗り越えて有名料理人になっていく、という物語です。
私はこの話を読むまで、女性が料理人になることに対して風向きが強いことや、関西と関東で味付けが違うことを知りませんでした。
女性が主人公なのですが、男の子も興味深く読めると思います。
 
登場する料理はすべて再現可能で、巻末にメニューが載っています。
コロナ禍で時間があるときに家族で再現料理を作ってみるのも面白そうですね。
また、「鬼滅の刃」で物議をかもした遊郭が作中に登場します。
ソフトな描写なので、もし質問でもされたらこの本を手渡してみることをお勧めします。

中学生向け~上級~

④容疑者Xの献身 ~上級~

容疑者Xの献身は、日本を代表する作家のひとりである「東野圭吾」による推理小説です。
ガリレオシリーズのうちの一つで、映画化もされており大ヒットしています。

話は、アパートで暮らす母娘のもとに元夫が訪ねてくるところから始まります。
暴力をふるう元夫に耐えかねて母娘はついに元夫を殺してしまいます。
呆然とする二人に、隣人の天才数学者石神が手を差し伸べ完全犯罪をたくらむ、という内容です。

推理小説にネタバレは厳禁なので深くは触れませんが、私はなんて後味の悪い話なんだ、と思いました。
法を少なからずかじった身としては石神がしていることがすべて裏目に出ているように感じるからです。
最後の展開はともかく、石神と湯川のかけひきや推理合戦は面白いので、お勧めします。

②文字禍 ~上級~

文字禍は、山月記などで有名な中島敦による短編小説です。
非常に短いのですが、戦前の文章なので少し文体が古く読みづらいかもしれません。
青空文庫で公開されているので無料で読むことができます。
 
内容としては、文字がもたらす災いについて研究している博士が、最終的に文字が書かれた粘土板の下敷きになって圧死する、というものです。
アッシリアの滅亡の原因を描いた作品で、高校で世界史を学んだあとにもう一度読めば、また発見があると思います。
中島敦作品は、多くが青空文庫で無料公開されているので時間があればぜひ読んでみてください。

高校生向け📖

高校生向け

ここからは私が読んでおもしろかった本を並べるので、興味があればぜひ手に取ってみてください。

①虐殺器官、ハーモニー

この二冊は、鬼才と称された「伊藤計劃」によるSF小説です。
二作品とも2019年にアメリカで発生した暴動をきっかけに全世界で戦争と未知のウイルスが蔓延した出来事が核になっています。
 
私はこの二冊を2017年ごろに読みましたが、コロナ禍になってからというもの何回もこの二冊を読み直しました。
予言していたみたいでびっくりしました。
順番的には虐殺器官を先に読むのがよいと思いますが、コロナ禍後を想像してみたいという人はハーモニーから読んでみるのも面白いと思います。

②すべてがFになる

すべてがFになるは森博嗣による推理小説で、アニメ化もドラマ化もされています。
高校数学の知識があればより楽しめると思います。
ドラマは見ていませんが、調べたところ評判が悪かったので、見るならアニメの方がいいかもしれません。
 
真賀田四季の天才っぷりに脱帽させられるラストで読んだ後に愕然とさせられます。

③ジョーカーゲーム

この作品は、第二次世界大戦の火種がくすぶる昭和10年代前半が舞台です。
陸軍中野学校をモデルとしたD機関で日本人スパイが育成され、そのスパイたちの様々な活躍を描いた話となります。
 
タイトルごとに、異なるスパイが主人公となったり暗躍したりします。
最初の話で出てくる訓練生たちの名前が、スパイとなってから変わっているので登場人物の一貫性が見つけづらく、一体この話はどの訓練生の話なのかと推測しながら読むことになります。
日本史を学んでいる人はより理解が深まったり、この時代の歴史を面白いと感じることができるようになったりするのでお勧めです。
アニメ化もされており、小説で、そのタイトルがどのスパイが活躍する話だったのか分からなかった場合は、アニメで答え合わせをする、という楽しみ方もできます。

あとがき📚

この記事を書くにあたって今まで読んだ本を思い出しましたが、ここに示した本はすべて有名どころでもありますが、最も心に残った本でもあります。
 
読書は、教養や論理的思考が身についたり、文章を読む体力がつくことで国語の点数が上がったりするなど、勉強面でのメリットが挙げられることが多いです。
しかし、読書好きの人で勉強のために読んでいる人は少ないと思います。
小さいころから読書の習慣がつくことで、娯楽やストレス解消の手段、趣味として読書を生活に取り入れることできるのが一番です。
読書をしない子供や、読書離れしている人に、少しでも読書の楽しさに気づくきっかけを提供出来たら幸いです。

もしも宿題や受験勉強でお困りの際には、私たち家庭教師に是非ご相談くださいね。

この記事を書いたのは

現役九大生ライターF

家庭教師ファーストの登録家庭教師。九州大学法学部在籍。家庭教師だけでなく塾・個別指導塾での指導経験あり。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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