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家庭教師ファースト教育コラム勉強のコツ

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実は超重要!中学生の副教科の対策方法~テストや内申点を上げるには?

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  • 現役家庭教師ライター K.M

一般的に、中学校の勉強は国語、数学、理科、社会、英語の主要5科目と呼ばれる教科に音楽、美術、技術・家庭、保健・体育の副教科4科目を加えた9科目あります。大学受験までを見据えると、勉強をする上で主要5科目の比重がどうしても重くなってしまうものですが、高校受験をする生徒であれば通知表の内申点も気になってしまいます。多くの中学生にとってこの副教科ではできるだけ効率よくこなして成績を上げておきたいものです。今回はそんな副教科の対策方法について紹介します。

なお、お勉強の事でお困りの際は、是非私たち家庭教師にもご相談ください!

中学校における副教科(実技教科)

中学校における副教科(実技教科)

周知の事実ではあるとは思いますが、中学校における副教科とは音楽美術保健・体育技術・家庭の4教科のことです。

これらは中学校の学習指導要領に基づき、主要教科と同様に必修科目として設置されており、定期試験や通知表での評定、進学資料(調査書)にも反映される正式な教科です。

副教科(実技教科)を学ぶ意義

文部科学省が定める『中学校学習指導要領』(平成29年告示)では、実技教科の教育的意義について書かれています。以下は独自にまとめたものになります。

中学校教育において、副教科(音楽・美術・保健体育・技術・家庭)は、単なる実技教科にとどまらず、生徒一人ひとりの人間的成長を支える重要な役割を担っています。文部科学省が示す学習指導要領の中でも、副教科は「知識及び技能の習得」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力」や「人間性」などを育てる教育の柱として位置付けられており、認知能力だけでは測れない多様な力を育むことを目的としています。

特に、副教科の学びでは、創造性表現力協働性体力感性技術力といった、いわゆる非認知能力が養われます。これらの力は、主要教科の学習では十分にカバーしきれない部分であり、実技や制作活動、身体を動かす経験を通じてこそ育まれるものであるため、副教科の存在は中学校教育において欠かせないものとなっています。

文部科学省はこれら副教科の教育を通して、生徒に「社会で必要とされる汎用的能力」を育てることを強く推奨しています。その中には、コミュニケーション能力課題発見と解決のための探究心健康の維持管理能力、情報やメディアを正しく扱うリテラシー、そして文化的な感性や美意識といった要素が含まれます。これらの能力は、将来の大学入試や社会生活、職業生活においてますます重要性を増しており、決して副次的な学びにとどまらないものとなり得ます。

さらに、副教科を通じて、生徒は自分の得意分野興味を見つけることも多く見られます。「自分は音楽が得意だ」「美術で自分らしさを表現できた」といった気づきは、自己肯定感の育成や将来の進路選択のヒントにつながる重要な体験です。また、クラブ活動、作品展、合唱祭、体育大会などの場面では、主要教科では見えにくかった生徒の才能や個性が発揮され、学校全体としてその努力と成果を認め合う文化が育まれます。これらは生徒の自信につながるだけでなく、人間関係の形成にも大きく寄与します。

総じて、副教科は「人間教育の基盤」として極めて重要な役割を果たしています。それは単なる実技や技能の習得にとどまらず、以下のような教育的意義を持っているといえるでしょう。すなわち、知・徳・体をバランスよく育てる全人的な発達を支えること、文化や社会、日常生活と結びついた実践的な力を養うこと、自分を表現し、自分に自信を持つ力を高めること、そして、テストでは測れない生きる力を可視化し、認めていく場となることです。

したがって、副教科は、主要教科と並ぶ、あるいはそれ以上に、子どもたちの未来を豊かにするための教育の柱であると位置づけることができます。

高校受験における副教科の学習の重要性

高校受験における副教科の学習の重要性

前章では副教科がいったいどのような位置づけであるのかを『中学校学習指導要領』の建前を借りて述べました。なるほど確かに、副教科は子供の成長にとっては重要です。しかし、受験という観点ではどうなのでしょうか。ここからは高校受験における内申点の影響を調査書点、評価配点制度、受験戦略の視点からみた副教科の重要性についてみていきましょう。

高校受験における「内申点(調査書)」とは

内申点とは、在籍中学校が発行する調査書(通知表の記録)に基づいた評価点数のことを指し、学力検査(入試本番の点数)と合わせて高校入試の合否判断に用いられます。

内申点は学校教育で行われる国語数学英語理科社会保健・体育音楽美術技術・家庭の9科目の評定(通知表)の5段階評価(1~5)を合計したもので、原則として中学3年生の2学期(または前期)までの成績が基準ですが、地域によっては中1~中3すべての学年の評定を対象とするところもあります。また東京都などでは内申点は中学3年の1年分のみが考慮されます。

入学試験における評定の加算割合評価方法については、基本的に各都道府県の教育委員会や各高等学校が独自に定めており、その詳細は多くの場合、公式に公表されています。こうした情報は、主に各自治体の教育委員会の公式ウェブサイト、志望校のホームページ、入試要項募集要項などを通じて確認することができます。

内申点と試験の点数の比率

内申点と当日点の比率は都道府県で異なります。例えば、東京都では内申点:学力検査点で3:7(一般入試)または5:5(推薦)、神奈川県では4:6(学校によって3:7)、千葉県では5:5(内申点と当日点の比重が同等)、埼玉県では学校裁量(多くは4:6または5:5)、大阪府では4:6と内申点重視の傾向が比較的強いです。

これらはあくまでも一例ですので、受験しようとする学校にも必ず当てはまるとは限りませんが、学力検査に対して内申点の比重は同等の重みを持つこともありますし、そうでなくとも決して無視して良いような比率でもありません。いずれにせよ内申点を軽視することは「戦略的に不利」となり得ることが分かります。

内申点における副教科の比重

内申点における副教科の比重

中学校の成績評価(評定)は、主要5教科(国・数・英・理・社)×5点満点の25点、副教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)4教科×5点満点=20点の計45点です。中学校の内申点が高校入試に大きく関わることは広く知られていますが、その中でも副教科の評定をどのように扱うかは、地域や学校ごとに運用が異なっています。

副教科も主要5教科も同じ比重で計算するところも多くありますが、比較的多くの都道府県で副教科の評価に特別な加重措置を講じており、これによって内申点全体が調整されています。こうした措置には、特定の副教科の評定を1.5倍あるいは2倍に換算して計算する方法が代表的です。

たとえば、東京都の公立高校の入試制度では、副教科(厳密にいえば、受験高校で学力検査を実施しない科目)の評定点をそれぞれ2倍にして評価に組み込むという方式が取られています。この場合、主要教科5科目は各5点、合計で25点をそのまま用いますが、副教科は4教科の評定合計20点を2倍にして40点とし、最終的な内申点の合計は65点満点になります。

このように副教科の比重が大きくなることで、全体に占める副教科の割合は約61.5パーセントに達し、主要教科の比率を上回る結果となります。したがって、副教科を軽視すると、たとえ主要教科で満点に近い成績を収めていたとしても、総合評価では不利になる可能性があるのです。

実際に副教科の成績が内申点全体に与える影響をより具体的に見るため、ある仮想的な3人の生徒の評定を比較してみましょう。

たとえば、ある生徒Aが主要教科ではすべて5の満点を取っていたとしても、副教科ではすべて3という平均的な成績だった場合、主要教科25点、副教科12点となり、これに加重を加えると、内申点は25点に副教科加重24点を加えて49点になります。

一方、別の生徒Bが主要教科ではすべて4で計20点、副教科がすべて4で16点だった場合、内申点は20点に副教科加重32点を加えて55点になり、成績上ではAよりも上位に位置することになります。

さらに、副教科を得意とする生徒Cが主要教科をすべて4、副教科をすべて5とした場合、主要教科が20点、副教科が40点となり、加重後には合計60点となってトップに立つという結果になります。

このように、主要教科でどれだけ良い成績を収めても、副教科の評定次第では、総合評価で他の生徒に後れを取ることがあるのです。反対に、主要教科の得点がやや劣っていたとしても、副教科で高評価を得ていれば、その差を補うどころか逆転することも可能です。これは、公立の上位進学校を目指す場合でも例外ではありません。

ただし,注意すべき点として、副教科すべてを一律に2倍で加算している例は、制度上は一部に限られており、多くの地域や学校では、より複雑な加重方式を採用しています。

たとえば、東京都や神奈川県などでは学校ごとに「調査書点における評価の比率」を細かく設定しており、主要教科と副教科を合算してから特定の教科群に加重をかける、あるいは特定教科のみを評価対象とするなど、非常に多様な方式が見られます。とくに私立高校においては、学校独自の評価指標を用いて調査書を審査する場合もあり、必ずしもすべての副教科が同一の比重で扱われるとは限りません。

それでも、こうした制度の多くに共通するのは、副教科が受験において「軽い科目」ではないという事実です。むしろ、特定の高校やコースを目指す生徒にとっては、評価を高めるための「得点源」として機能することさえあり得ます。したがって、副教科の学習を疎かにすることは、単なる科目の偏りにとどまらず、進路の選択肢を自ら狭める結果になりかねないのです。

このように、副教科は学力検査では測れない側面を補いながらも、入試全体における「数値的な重み」を持つ重要な構成要素となっているという点で、入試戦略上きわめて重要な教科群であることを認識する必要があります。

副教科を「将来の進路とは関係ないから」と軽視する生徒は多い傾向にありますが、筆記試験の成績は内申点に直結する要素のひとつであり、高校や大学進学の推薦入試では無視できないものです。特に中学校においては、5段階評価の各教科における成績が、内申書(調査書)にそのまま反映されます。副教科は主要5教科よりも内申点に占める割合が大きくなる場合もあるため、特に注意が必要です。

副教科が受験と進路に与える影響

高校入試において、副教科の評定が進路に大きな影響を及ぼすケースは少なくありません。地域によっては、内申点の半分近くが副教科で構成される制度も存在し、主要教科だけでなく副教科の成績が合否を分けることもあります。

特に推薦入試を目指す場合には、「オール4以上」や「副教科の平均3.5以上」といった出願条件が課されることがあり、副教科の成績が基準を満たすかどうかが進学の可否に直結するケースもあります。

また、副教科は「努力」「意欲」といった評価の観点で評価される側面が強いため、提出物を丁寧に仕上げ、授業に真面目に参加し、積極的に試験対策を行っている姿勢が評価につながります。たとえ主要教科で思うように成績が伸びなくても、副教科で評価を上げることによって、内申点全体の底上げを図ることも十分に可能です。

「副教科」の対策方法とは?

「副教科」の対策方法とは?

主要教科との学習バランスと副教科対策の工夫

副教科の学習に十分な時間を割けない場合でも、限られた時間で効果的な学習成果を上げることは可能です。そのためには、出題傾向を把握することが第一歩となります。

多くの副教科では、試験問題が教科書や授業ノートからほとんどそのまま出されることが多いため、日頃の授業中に板書された内容や、教科書の太字で示された語句に注目することが大切です。過去に配布されたワークブック過去問題がある場合には、2〜3年分を見比べて出題形式や傾向を把握しておくと、より効率的に準備ができます。

また、副教科は授業中の説明と筆記試験の内容が密接に結びついている傾向が強いため、家での学習時間を抑えるためにも、授業中にメモを丁寧に取り、集中して内容を理解することが求められます。

特に技術・家庭や保健体育といった科目は、暗記中心の内容が多いため、直前の集中学習でも比較的効果が出やすいという特徴があります。音楽や美術においても、基本的な楽典や美術史の知識などを整理して学ぶことで、短期間でも効率的な対策が可能です。年表や図解、重要な人物名と作品名をセットで覚えるなど、視覚的な工夫も記憶を助ける手段となります。

日常的には主要教科に重点を置きつつも、試験1週間前からは副教科への学習配分を増やしていき、試験直前には副教科に最も集中するという時間配分が推奨されます。このように学習スケジュールを調整することで、主要教科と副教科を両立させた対策が可能になります。

教科別の筆記試験対策の方法

音楽の試験対策としては、音符の読み方拍子記号といった楽典の理解に加え、作曲家に関する基本的な情報や、鑑賞曲の特徴を押さえることが重要になります。教科書に記載された赤字の語句や、ワークブックのまとめページを活用しながら暗記を進めると効果的です。音楽記号や和音の種類については、スマートフォン用の楽典学習アプリなどを使って、繰り返し練習するのも良い方法です。

美術では、美術史絵画技法、デザインに関連した用語の理解が試験範囲に含まれます。人物名技法、代表作品などをセットで覚えると記憶の定着がしやすく、語呂合わせなども活用できます。例えば、「モネは光の描写」「ゴッホは筆触と色彩」といった特徴を一言メモとして残しておくと、試験本番でも思い出しやすくなります。

保健体育においては、運動身体の構造健康管理疾病予防に関する基本的知識が出題されることが多いです。教科書の巻末にある「まとめ」や図表を重点的に復習し、用語の穴埋め問題や○×形式で練習することが有効です。

技術・家庭の分野では、日常生活に関わる内容、たとえば栄養バランス衣服の機能エネルギー資源情報モラルなどの基礎知識を身につけることが求められます。これらは実生活と結びつけて考えることで理解が深まるため、日常の中で「なぜこれが必要なのか」と問いながら覚えるようにしましょう。ワークブックの例題を繰り返し解いておくことも、用語の理解や記述式の対策につながります。

副教科対策を支える学習ツールと学習環境

副教科の学習においては、ノートや教科書をいかに効果的に活用するかが鍵となります。授業で書き取ったノートを見直す際には、色ペンを使って重要なポイントを視覚的に整理し、テスト範囲が発表された後には見開き1ページ程度でまとめ直すと、復習がしやすくなります。教科書の太字や赤字で書かれている語句はすべて覚えるつもりで取り組み、図や写真と一緒に記憶することで、記憶の定着率も高まります。

また、スマートフォンタブレットなどを利用した学習も有効です。学習支援プラットフォームなどの学習支援ツールでは副教科の動画教材を視聴することができ、理解を深める助けとなります。暗記カードアプリを用いれば、通学中やスキマ時間にも手軽に復習が可能です。YouTubeなどの教育系チャンネルには、音楽や美術の理解を助けるビジュアル教材が多く公開されており、それらを活用することで視覚的にも学びを深めることができます。

さらに、友人協力して学習することで、理解をより深めることができます。ノートを分担してまとめ合い、情報を共有することで効率よく復習ができるほか、用語をクイズ形式で出し合ったり、お互いに説明し合ったりすることで、単なる暗記ではなく内容の理解が進みます。こうした学習法はピアティーチングと呼ばれ、非常に効果的な学び方です。

副教科の長期的な学習計画もあり

副教科の勉強はどうしても試験直前だけ集中的に行われがちになります。そのこと自体は決して悪いことではありませんが、長期的に学習自体のスキルを上げていくということを考えると別のやり方をすることもできます。

 中学校での試験勉強は、ほとんどの生徒が5教科を中心に行います。5教科をまんべんなく取り組めれば理想的ですが、多くの場合得意科目や数学、英語に大きく比重が置かれることになります。

しかし、ここで大学受験をシミュレーションしてみましょう。大学入試では国公立大学であれば共通テストでは6教科8科目の受験をすることになります。6教科8科目の勉強をまんべんなくするということは多くの学生にとっては簡単ではありません。なぜなら、単純にそれは彼らがこれまでに経験したことがないからです。

そこで、中学校の定期試験では副教科も主要教科並みに勉強をしておくということも取り入れることで、長期的に大学入試を見据えた学習の習慣を身に付けることができます。

実際、大学入試を待たずとも、高校に進学すれば普通科など進学を念頭に教育が行われている学校であれば定期テストの科目数はかなり多くなります。その前段階ということで中学では副教科の勉強を取り入れればよいのです。

具体的な「副教科」勉強方法

具体的な「副教科」勉強方法

さて、これまではある意味ありきたりな議論ばかりが繰り広げられてきたかもしれません。「副教科にも意義があるのだ」とか、「副教科は高校受験では大きなインパクトを持つのだ」とか、さらには「副教科は用語などをしっかりと押さえていこう」などと言ってきました。

ですが実際、それだけの話を聞いて点が取れれば苦労はしません。必要なのは具体的に何をするかであり、その第一歩の行動が分からないというのが実際のところの悩みでしょう。

ですから、ここからは一つ具体的な学習方法の話をします。とても簡単で誰でもできる方法なので是非、実践してみてください。

具体的な勉強ステップ

まず、ステップ1は『副教科の学習時間を決める』です。ここでは副教科を音楽、美術、保健・体育、技術・家庭の4つ全てとしましょう。そしてそれぞれに毎日10分間勉強の時間を取ります。ここで10分間としたのはあくまでも最長で必要な時間の目安です。慣れてくれば5分とかからず1日分の勉強を終えることができるようになります。

最初から計画通りには運ばないことがあるので、ここで思い通りにいかなくても根気よくやり続けていくことが大切です。

ステップ2は『教科書やワークブックのテスト範囲からコピーを取る』です。これは1日で全テスト範囲をやらなくてもよいです。最初の1ページだけでも十分です。家にコピー機がないということも考えられるので、そのような場合にはコンビニやそうした要望に対応してくれる塾などで最初に全て用意しておくとよいです。

ステップ3は『コピーを読んで重要そうな語句を修正テープで消す』です。まずは一通り目を通し、内容の理解に努めながらテストの出そうな語句を修正テープ等で消します。表などの大きなスペースを取るようなものは全てテープで消すなどをすると面倒なのでこうしたものは一旦ノータッチで構いません。

ステップ4は『ステップ3で作ったコピーのさらにコピーを取り、空欄を埋める学習をする』ことです。少なくとも2枚、同じコピーを取っておきます。そうすれば繰り返しの学習ができるようになります。

あとはステップ3,4を繰り返していくだけです。ステップ3、4はそれぞれ5分くらいずつでできますので、それで1日10分として試験当日から逆算して試験までに終えられるようにしておきましょう。非常にお手軽な上にかなり効果は高いのでおすすめです。

ただし、この学習方法は用語を覚えるのに適してはいますが、何かの手順を確認したり、説明をしたりするような記述系の問題の対策にはあまり向いていないため、そうした問題は別途状況に合わせて対策する必要があります。また、表などは穴埋めをするのではなく、そのまま表全体を暗記して書けるようすると効果的です。

各教科担当の先生の日ごろの言動にも注意を払い、「この先生ならこんな問題出すだろうな」というような予測を立てられるくらい授業もまじめに聞いておきましょう。(何気に、この点が一番重要なのかもしれません…)

副教科は「時間をかけずに成績アップを狙える」重要科目

副教科の筆記試験は、主要教科のように高度な思考力を要する問題よりも、暗記や基礎知識を問うものが多いため、短期間の集中学習で点数アップが見込める、いわば「戦略的に狙える教科」であると言えます。授業中の集中とノート整理を習慣づけることで基礎を固め、テスト前の1週間で要点を重点的に復習すれば、効果的な得点力の強化が可能です。

用語や図、定義などを即座に思い出せるように反復練習を行うことが、最短かつ確実な成績向上の鍵となります。副教科の筆記試験は、単なる得点のためだけでなく、受験や進路、さらには社会生活にもつながる重要な学びの場であることを忘れてはなりません。

最終的に、副教科も「評価対象である以上は、きちんと取り組んだ方が得」なのは間違いありません。主要教科と並行して、短時間集中型の対策で安定した点数を取ることが、内申点や進学への最短ルートとなります。

中高一貫校の場合

中高一貫校の場合

公立中学校の場合、高校入試という関門が中学3年生でやってくるため、副教科と向き合わざるを得ない生徒が大半ですが、私立の学校の場合はどうでしょうか。ここからは中高一貫校の場合を考えていきましょう。

私立中高一貫校における副教科

中高一貫校に在籍する中学生にとって、高校受験が存在しない(内申点が不要)という状況は、副教科に対するモチベーションを持ちにくくする要因の一つです。特に、進学校で学業重視の風土が強い場合、副教科は「受験に関係ない」「時間の無駄」と見なされがちです。

しかし、内申点に関係なくても、副教科にきちんと取り組むことは非常に大きな意味とメリットがあります。それは単なる「評価」や「成績」ではなく、将来に直結するスキルや人間的成長の基盤に関わるものだからです。

以下では、中高一貫校の中学生が副教科に本気で取り組むべき理由について、具体的な視点から詳述します。

中高一貫校における副教科の教育的意義と取り組み

中高一貫校に通う生徒たちは、高校受験という大きな選抜の過程を経ずに6年間の教育課程を進むことができます。この制度的特徴は、学習の自由度を高める利点を持つ一方で、学習の動機づけに偏りが生まれる一因ともなっています。特に、副教科(音楽・美術・保健体育・技術・家庭など)に対する軽視傾向は顕著であり、「受験に関係しない科目」として生徒の関心が希薄になる傾向が見受けられます。

しかしながら、副教科は主要教科では育成しきれない、非認知能力や人間的な成熟、さらには社会で求められる実践的なスキルを育む重要な領域です。本稿では、副教科が担う教育的意義を再確認するとともに、中高一貫校における特性を踏まえた実践の在り方について検討し、教育活動全体の質的向上に寄与する方策を提案します。

中高一貫校における副教科の現状と課題

中高一貫校では、中学生段階において高校受験が存在しないため、いわゆる「内申点」や調査書の成績を意識する必要がありません。このことは、生徒にとって学びに対する自由な姿勢をもたらす一方で、副教科に対する学習意欲の低下を引き起こす要因ともなっています。

特に、音楽や美術などの作品制作、保健体育の技能評価、技術や家庭科での実技・実験といった実践的な活動において、「成績に直接関係ない」という誤解が広まりやすく、結果として筆記試験や課題への取り組みに対するモチベーションが著しく低下する傾向があります。

加えて、副教科を担当する教員側にも課題があります。評価が進路に直結しないという前提がある中で、授業設計や評価基準の明確化が困難となりやすく、生徒の主体的な参加を引き出す授業運営に苦慮する場面も少なくありません。その結果として、技能・表現に関わる授業が形骸化し、本来の教育的機能を果たせなくなる懸念が指摘されています。

副教科が育む非認知能力と教育的意義

近年、OECDユニセフ、さらには文部科学省の報告などにおいて、非認知能力の育成が教育政策の重要な柱として位置づけられています。非認知能力とは、学力テストや成績評価では測ることが困難である、感情調整社会的スキル学習態度といった要素を含む能力群です。たとえば、自己制御力忍耐力協調性共感力好奇心や持続力などがこれに該当します。

ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン(Heckman, 2013)の研究においても、こうした非認知能力は、個人の人生における幸福度や職業的成功社会的適応力に強く関連する要因であることが明らかにされています。

副教科は、こうした非認知能力を育成するうえで極めて有効な教育手段となります。たとえば、音楽の授業では、感受性や表現力、演奏を通じた協調性集中力が培われます。美術においては、観察力創造性自己表現批評的思考が養われます。保健体育では、体力健康管理能力のみならず、自己統制チームワークの精神が育まれ、技術・家庭科では、生活自立力問題解決力論理的思考力、さらには情報技術の活用能力まで含む多様なスキルが涵養されます。

進路や社会における副教科の実用的価値

副教科が果たす役割は、単なる教養情操教育にとどまりません。現代の進路指導や大学入試制度においても、副教科的な取り組みが高く評価される機会が増加しています。特に、総合型選抜学校推薦型選抜においては、調査書や活動報告自己PR文書の内容が合否を左右する重要な要素となります。

生徒が副教科で取り組んだ演奏会や作品展、運動部活動、家庭科での探究課題やプレゼンテーションの経験は、自己表現力や課題解決力、協働的態度の証左として、志望理由書の説得力を高める材料となります。さらに、探究活動や発表形式の課題において、美術や技術、情報科で培ったスキルが直接的に活用される場面も多く見受けられます。

加えて、将来的なキャリア形成という観点からも、副教科で得られる知識や技能はさまざまな職業に直結します。たとえば、音楽は芸術系や教育分野、イベント企画やメディア産業に活用され、美術はデザイン、広告、建築、製品開発などに応用されます。保健体育は、医療や福祉、教育、スポーツ科学、さらには消防・防災といった分野にも有用であり、技術・家庭科で学ぶ内容は、工学、食品、ファッション、保育、プログラミングなど、現代社会において需要の高い分野と強く結びついています。

中高一貫校における副教科の強みと可能性

中高一貫校の最大の特長は、高校受験のプレッシャーから解放された時間的・心理的余裕です。この特性を活かすことにより、より探究的かつ創造的な学びが可能になります。副教科では、自由制作や長期的なプロジェクト、グループでの探究活動など、主要教科では実現しづらい柔軟で創造的なカリキュラムが展開されやすくなります。

また、学習の動機づけにおいても、「受験のために仕方なく学ぶ」という外発的な要因から離れ、「自己の成長のために学ぶ」という内発的な動機づけが醸成されやすい環境にあります。このことは、生徒の主体性を育てる教育設計において、極めて重要な基盤となります。

さらに、中高一貫校の多くが重視しているリベラルアーツ教育の理念とも、副教科は深く共鳴します。文理融合的な視点、すなわち科学技術と芸術の統合(例:STEAM教育)を実現するうえでも、副教科は重要な役割を果たしており、その中核を担う存在として再評価されるべきです。

結論

昨今の大学入試の総合型選抜や学校推薦型選抜の傾向を考えると、主要教科の学科試験以外の項目での評価の有用性は増していると言えます。それに加えて人間力を形成に大きく影響する副教科の存在は、中高一貫校の生徒といえども全く無視できるものではありませんし、むしろそうした教育環境にいるからこそゆとりをもって楽しみながら真剣に取り組んでいきたいものです。

具体的な学習方法に関しては繰り返しになるので割愛しますが、全中学生にとって副教科の存在は非常に重要であることは間違いないでしょう。

最後に

副教科は「受験のため」の教育ではなく「人間のため」の教育である、そういっても過言ではないほど見直されてきていますし、今後もっと見直されるべきものであると著者も個人的に思っています。

技術分野の情報教育は大学で必須の教養単位になって久しいですし、実際に社会に出れば大なり小なり情報技術には触れることになります。大学入試では情報の科目が必須である場合も多いですよね。

家庭科なども単身世帯が増えている中で非常に重要な実学とも呼べる科目です。昨今ではいろいろ場便利なサービスがあり、自炊や洗濯などに関する知識も一見すると必要がないようにも思われますが、実際のところ全くそんなことはありません。

こうした便利な世の中であるからこそ、売り手の言いなりになりやすいことも多く、消費者には「売り手を見抜く力」も必要になってきます。例えば、便利なフードサービスは多いですが、そこにはどのような健康的・経済的なデメリットが潜んでいるのかをよく考えていかなければ、自分の思い描いた生活を組み立てることは難しくなってしまいます。

便利になってきている世の中であるからこそ、何を学ぶかということも含め自分が選ぶべきものを選ぶ目をまずはしっかりと養うことが大事ではないでしょうか。福與はそうした意味でも人間力を鍛えてくれるものであると思います。

また、勉強の事でお悩みの際は是非私たち家庭教師にもご相談ください!

この記事を書いたのは

現役家庭教師ライター K.M

家庭教師ファーストの登録家庭教師。教員免許所持。塾講師・家庭教師歴10年以上。学習上のつまずきを環境面から考えて指導します。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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