
家庭教師ファースト教育コラム勉強のコツ
家庭教師ファースト教育コラム勉強のコツ
家庭教師ファースト教育コラム勉強のコツ
よく学校の先生が「予習復習が一番大事だ」などと言っていると思います。しかし、どのように予習復習をすれば効果的なのかをはっきりと教えてくれることは少ないです。
そこで今回は、具体的な効果のある予習復習の仕方をご紹介したいと思います。皆さんが知らないであろう「驚きのテクニック」も多数紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、勉強の事で困ったことがあった際には、是非私たち家庭教師にもご相談ください!
この記事の目次
このような記事を書いていると、「勉強法の効果なんて差異はあまりないのだし、勉強法の記事をかく意味ってあるの?」などという意見をいただくことがあります。
私が高校生の時に勉強法を調べていたら、「勉強法を調べる時間があったら、勉強しろよ」というふうなことを言われたこともあります。このように日本では、勉強法に対する意識は低く、勉強法より勉強時間を重視する傾向があります。
しかし勉強時間は本当に成績に影響しているのでしょうか。つまり「勉強すればするほど成績は上がる」という、一見正しいように思えるこの考えが正しいのでしょうか。このような疑問を投げかけると、「当たり前じゃん。」とか「勉強すればするほど成績は上がるに決まっているでしょ。」などという意見をもらうことが多いです。しかし、最新の研究によると、常識であるかのようなこの考えはどうやら間違っているようです。
2014年に行われた大規模な実験によると、勉強時間が成績に関与する割合はわずか4%であるというふうに結論づけられています。つまり、どれだけ勉強しても勉強法が間違っていれば、成績が向上するのは最大4%しかないとされているのです。100時間勉強した人と、100000時間勉強した人を比べても、同じ勉強法であれば成績はほとんど変わらない可能性が高いということです。
一つ蛇足にはなりますが、ここいう勉強時間の影響というのは、ある程度勉強した人たちの中での成績の差を指します。つまり「0時間勉強した人と、100時間勉強した人」を比べるのではなく、「100時間勉強した人と、200時間勉強した人」を比べるイメージを持っていただければと思います。
では勉強法が成績に影響を与える割合はというと、研究によって差異はありますが、大体30%弱というふうに見積もられていることが多いようです。勉強法は、勉強の成績に関与するとされているものの中で、1番目、ないし2番目に影響を与えるものになります。勉強時間が成績に関与する割合が4%ですから、勉強時間よりも約7倍も勉強法が重要と言えると思います。
話は戻りますが、今科学的には「勉強時間を増やせば、成績は上がる」は間違いであり、正しいのは「勉強法を効率が良いものに変えれば成績は上がる」と言えると思います。そのため、むやみやたらに勉強時間を増やすよりも、この後に紹介する科学的に正しい復習法、予習法を取り入れていただき、勉強の効率を大幅に改善することで成績up狙っていただきたいと思います。
それでは、具体的に復習の仕方の話をしていきたいと思います。皆さんが行っている復習の仕方で多いと思うのが、「教科書を読み直す」または「ノートを読み直す」と言ったものであると思います。これらの復習法に関する「面白い実験」があるので紹介させていただきたいと思います。
ある実験では学生を4つのグループに分け、それぞれのグループに
①教科書を「一度だけ読み直す」
②教科書を「何度も読み直す」
③「何も見ずに」思い出そうとする
④「マインドマップを作らせる」
という4つの方法で復習するように指示しました。(マインドマップに関する説明は文字数の都合上できませんが、興味があればgoogleで検索してみてください)そして自分のテストでの成績を予想させた上でテストを解かせました。
事前の予想では「教科書を何度も読み直す」グループが、一番成績が高いと予想していました。しかし、テストの結果をみてみると、③の「何も見ずに思い出そうとする」グループが講義に直接関係する部分のテストにおいては、なんと他のグループより50%も成績が高いなどという大きな差をつけ、テストで一番点数が高かったのです。
先ほどの実験の結果から、教科書を読むなどの勉強法はほとんど効果がないということができると思います。この勉強法は多くの人が行ってしまっていると思います。しかしこの記事を読んでくださっている皆さんは、後で紹介する効果の高い勉強法を行うことで、効果の薄い勉強法を行っている人たちよりも成績が30%近く上がる可能性があるということです。30%成績が上がれば、平均点ぐらいの成績をとっている人たちでも、一気に学年トップ近くまで登れると思います。やる気が湧いてきませんか?
なぜこのような効果の薄い勉強法をしている人たちが多いのかということを説明します。先ほどの実験で予想点数は一番高く見積もっていたことからわかるように、勉強して力がついたという思い込みをしやすいため、効果があると思い込んでしまっていることが挙げられると思います。よく「テスト本番でど忘れして解けない」ということを聞きますが、脳科学的にはよほどの緊張がない限りど忘れというのは起きません。「ど忘れ」でなく「覚えていないのに覚えたという思い込み」に原因があると言えるでしょう。
この事例からわかるように、体感の効率というのは案外当てにならないものです。そのため、これからご紹介する勉強方法は、体感では面倒で、効率が悪いと感じるかもしれません。しかし、体感に惑わされることなく、最後まで行って頂きますと、テストの成績はどんどん向上していくことになると思います。自分の実力を数値として客観的に捉えられるものなので、よりやる気に繋がります。
先ほどの実験に戻って、なぜ「何も見ずに思い出すグループ」の成績が一番高かったのかを考えていきたいと思います。このグループが他のグループと大きく異なる点は「想起」を行っていたという点です。この「想起」が勉強の効率を上げる上で一番大切なのではないかというのが現在の科学的な結論です。
「想起」というのは簡単にいうと「思い出すこと」です。ではなぜ想起が大切なのか。それは脳の記憶の仕組みにヒントがあります。
記憶というのは短期記憶・長期記憶という二種類に分けられます。
短期記憶というのは「海馬」という脳の部分に蓄えられています。海馬というところにはたくさんの情報が流れてくるため、新しい情報を蓄えるスペースを確保するために、海馬に蓄えられていた記憶は次第に捨てられていきます。そのため、比較的短い時間で忘れてしまいます。これが短期記憶の正体です。
一方長期記憶というのは、この「海馬と」いうところから「大脳」という脳の部位に移された記憶のことです。この大脳というのは海馬と違って記憶を捨てるということがほとんどありません。そのため、この大脳に蓄えられた記憶は長期記憶として長い時間覚えていられるわけです。
つまり、長期記憶に移したい場合は海馬から大脳へと記憶の場所を移すことが重要なのです。海馬の性質として重要だと思った情報を大脳へ移すというものがあります。そのため、海馬に「この記憶は重要だ」と誤解させれば覚えやすいということです。
ではそもそも海馬が「重要だ」と思う条件はなんなのでしょうか。海馬は人間の脳の一部なので、海馬自身が感情を持つことはないと思われます。(この辺は哲学的領域になってしまいそうなので深掘りはしません。)
では一体どのような条件を満たせば、重要と海馬は判断するのでしょうか。その一つの要素として、その記憶に関する神経がどのくらい強化されたかというものがあります。この「神経の強化」ということに関して、「想起」が非常に重要になってきます。
「想起をして、すぐに思い出せるものはすでに覚えているもの」つまり「長期記憶になっているもの」です。例えば自分の名前はその代表例だと思います。重要なのはすぐに思いだせないものを想起しようと試みた時です。すぐに思い出せないものを思い出そうとすると、脳は関連する記憶から、自分の脳内を検索し始めます。その時に関連する記憶に関する神経も含めて、思い出そうとする記憶の神経が強化されます。その結果、関連する記憶とともに、想起した記憶が短期記憶から長期記憶へと移るわけです。
一方ただ教科書を読むだけなどでは残念ながら、見るという行為で解決してしますので、脳内での検索による神経の強化というのは行われることはありません。そのため、何回読んだとしても短期記憶から長期記憶へと移ることはないです。
また「想起」の効果の一つには「流暢性の幻想の打破」というものがあります。流暢性とは、物事を素早く処理し、出力する能力のことです。例えば、一度読んだ教科書の中身が読んだ後にすぐに思い出せる気になると、もうすでに完全に理解していると錯覚してしまうことが多いです。これが流暢性の幻想というものであり、もっと簡単にいうと覚えていないものを覚えた気になってしまうことです。
テストまでに十分な準備をしたのにもかかわらず、点数が低くてショックを受けたという体験があるかもしれません。「前日に読んだり解いたりした問題がテストに出たのに、テスト本番では思いだせず解けなかった」という経験があるかもしれません。このような体験は多くの人があると思います。問題はこの体験を引き起こした原因はなんなのかということです。
多くの人は「本番に弱い」だとか「気負いすぎた」、などとメンタル面のせいにするか、「自分の能力(地頭のせい)」など先天性の能力のせいにしてしまっていると思います。
結論から言うと、これらの理由はほとんど正しくない場合が多いです。先天性の能力のせいにするのは、一度解けた(覚えた)時点で、その問題が解けないのは、先天性能力が足りないせいだと言うことはあり得ません。メンタル面の影響は、多少は考えられますが、問題の解法を思い出せないほど緊張すると言うのはあり得ません。もしそれほど緊張しているのなら、覚えている全てのこと、例えば自分の名前など、のうちのいくつかも思い出せなくなるでしょう。
ではこの体験を引き起こした原因はなんなのか。それは「流暢性の幻想」にあると思います。人間はどんなことでもそのうち忘れます。当たり前のこの事実を時に人は忘れてしまっているのです。教科書を見てすぐに思い出せたからといって、必ずそのことを明日覚えているわけではありません。短い短期記憶になっているだけで、寝たら忘れてしまうぐらいの記憶である可能性の方が高いので、前日見たことを当日忘れている確率の方が高いでしょう。
これが「流暢性の幻想」です。十分に勉強したのにテストで解けないのは、自分のメンタルや、先天性の能力のせいではなく、自分の実力が足りなかったからです。もっと言えば、勉強方法がおかしく、流暢性の幻想に気づけず、できる気になってしまっていたからです。この事実を受け入れることができれば、それだけで成績は向上すると思います。
では流暢性の幻想を打破するのになぜ想起が重要なのか。それは本当に覚えていないものは思い出すことができないと言う当たり前の事実があるからです。逆に覚えた気になっていて、実際に覚えていたものは思い出すことができます。つまり想起することで、覚えていないもの、覚えていることが明確になるので、流暢性の幻想が怒ることを防げると言うことになります。
もし筆者の言うことが信じられなければ、以下の一つの実験をしてみてください。
教科書の適当なページを開いてください。そのページを読んで理解してください。きっと一回読んだだけで「理解できた」と感じられるでしょう。そして翌日読んだ内容を思い出してみてください。きっと驚くぐらいに覚えられていないことがわかるでしょう。次にまた別のページを読んでください。今度は読んだ後にすぐ書かれてあった内容を想起してください。思い出せないところがあっても、最低10分は粘りましょう。そして翌日学んだ内容を再び思い出してみてください。今度はびっくりするぐらい覚えられていることに気づくでしょう。
それではこれまで説明してきた「想起」を生かした復習法を具体的に説明していきたいと思います。筆者がお勧めする復習の仕方は文系科目・理系科目で分かれています。
<文系科目>
家に帰ってその日受けた授業の内容を想起して習ったことをノートに書く。
週末にその週ならった範囲の問題集を解く。
文系科目の平日の復習法においては書いてあることその通りなのですが、一つポイントがあるとすれば、なるべく本当に限界まで思い出そうとすることです。最低10分は思い出せなくても粘りましょう。脳は自分の脳内を検索する際に、関連のあるものの記憶から思い出そうとする記憶を辿ろうとする性質があります。そのため、思いだそうとしたものの記憶が深くなるだけでなく、周りとの関連性まで覚えることができます。これは、一問一答式の問題だけでなく、苦手とする人が多い記述問題の対策まで、復習の中で行うことができると言うことです。
先に言っておきますが、この復習法は結構辛いです。なかなか思い出せないものを思い出そうとするのはかなりの苦痛です。しかも、本当に効果があるのか体感では感じ取ることはできません。しかし、先ほども言いましたが、体感は当てになることの方が珍しいです。この勉強法は効率がいいというのは科学的事実です。辛いとは思いますが、その辛さが脳に記憶が定着するサインだと思って頑張ってください。
週末には必ず問題集を解いてください。問題集を解くと言う行為は想起にあたります。そのため、想起を2度行うことになり、かなりの確率で長い時間覚えていられるようになります。また、問題集を解くことで、「何が問題として問われやすいのか」と言うことまで知ることができます。
問題集を解く際は、まちがえた問題をそのままにしたり、解説、答えをただ読んで終わったりするのではなく、再び解くようにしてください。
このようにすることで、解説や答えを読んで覚えた気になってしまうという「流暢性の幻想」を破ることができます。もし時間があれば、まちがえた問題に何か印を打っておき、平日の時間がある時にでももう一回解いてあげるとよりいいと思います。
<理系科目>
その日習った範囲の内容の、基礎レベルの問題を解く。
週末にその週ならった範囲の、基礎以上のレベルの問題を解く。
理系科目は文系科目と違って覚えることは少ないです。
もちろん公式などはお覚ええなければなりませんが、公式の暗記と言うよりは、どのような状況で、どのような条件で公式を使うのかと言うことが重要になってきます。
そのため、公式を覚えると言うことよりも、公式を使うべき状況を覚えるということが大事になってきます。
そのため、平日の復習として基礎問題を解くことをお勧めします。基礎問題を解くことで、公式を何回も使うことによる公式の暗記が見込めるだけでなく、公式を使う状況まで覚えることができます。この時に重要なのは2つあります。
①意図して公式を使っている状況の共通点を見つけようとすること
②簡単な問題を解くこと
理系科目の難しさというのは、発展問題ほどどのような手順でいけば目的の答えまで辿り着けるかがわからないようになっているところです。高校の数学では公式は多くても100個もいきません。しかし逆に言えば、公式は100個弱あると言うことです。そのため、ただの公式の暗記では発展問題になると、どの公式を使えばいいのかわからず問題を解くことができません。
もし公式を使える条件などを覚えていれば、その問題に使える公式が大体100→3個ぐらいに絞れます。さらにその公式を使う目的を覚えていれば大体一個に絞ることができます。どんなに難しそうに見えても、習った範囲の内容しか問題は出せないと言う制約がある以上、どうしても使う公式さえわかれば簡単なパターン問題になってしまうことが多いです。
そのため、①の「公式を使う共通点を見抜くこと」と言うのは非常に重要です。これを意識することで、公式を使える条件と公式を使う目的まで覚えることができます。
また②の「簡単な問題を解く」と言うのも重要です。簡単な問題ほど、公式を使うべき条件などがわかりやすいです。また答えを見なくても、頑張って公式を思い出せれば(想起すれば)解ける問題がほとんどなので、記憶の定着という観点から見ても効率がいいです。
週末は発展問題を解いてみてください。そうすることで、公式だけでなく、公式を使う条件や意味も覚えているかということを想起できます。もし解けなければ、公式は覚えていても公式を使う条件や意味までは覚え切れていないということなので、もう一度基礎問題を確認してみてください。
はっきり言って筆者は、予習は否定派です。なぜなら、授業を理解するための準備というのが理解できないからです。授業は本来新しいことを学ぶための場です。それなのに、新しいことを突然学ぶことはできないからといって、事前に授業で学ぶことを理解してくることを推奨するのは間違っていると思います。そもそも、予習の方法として推奨されるのが教科書を読むことだと思います。教科書を読むとたびたび話してきた通り、流暢性の幻想が発生します。その状態で授業を受けると、全てわかった気になるとは思いますが、実際それはあくまで「わかった気」であり、その後の復習が疎かになりがちという逆効果しか生まないと考えています。
そのため、予習に回す時間があるくらいなら、その時間を復習に回してください。無意味な流暢性の幻想を招くぐらいなら、その時間を流暢性の幻想を打破するための想起に時間を費やしてください。筆者は東大に入りましたが、生まれてから今まで授業の予習はしたことはありません。新しいことを覚えるのは授業中にして、忙しい中での貴重な勉強時間を無意味なことに費やさないように気をつけてください。
ただ筆者が読んだ論文の中で面白い予習法があったので紹介させていただきます。それは事前にこれから習うことに関する選択問題を解くという方法です。
例えば県庁所在地を学ぶ際に、事前に
問)青森県の首都は?
①青森市
②弘前市
③八戸市
と言った問題を解くことです。
もちろんこの問題は習う前だとすると、正解できない人の方が多いでしょう。これは一見無意味に見えますが、なんとこの問題を解くだけで、記憶の定着率が10〜20%向上するという研究結果があります。
この問題を解くことによる記憶の定着率が上がる効果の理由はまだはっきりとはわかっていませんが、脳が無意識に集中するべきことを判別できるようになるという仮説や、授業を聞いたことにより生じる流暢性の幻想を事前に問題を解くことで打ち破れると言った様々な仮説があります。いずれにせよ効果があることは確かなので取り入れてみるのもいいかもしれません。
これまで述べてきた通り、筆者は従来の授業を理解するための予習は否定派です。そのため筆者が考える理想の勉強法は以下の通りです。
<文系科目>
何もしない!
<理系科目>
事前に習う範囲の内容を「共通テスト対策」のような一問一答形式の選択問題の問題集を軽く解く。
文系科目に関しては、しようがないのでしなくて構わないと思います。授業を集中してうけ、なるべく授業中に理解するようにしましょう。
理系科目については上で述べた研究結果から、選択式の問題を軽く解いておくといいと思います。わからなくて当然なので、軽く解いて、軽く答えを見るだけで構いません。時間をあまりとらないように、軽い気持ちで行いましょう。
最初に書きましたが、勉強法を変えるだけで勉強時間を増やすよりも簡単に成績upを見込めます。無理に勉強時間を増やしても、成績は上がらず、勉強が辛くなってしまうだけです。勉強時間を増やすよりも、今回紹介させていただいた効率のいい予習・復習法を使って成績upを狙っていただければと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
なお、勉強の事で困ったことがあった際には、是非私たち家庭教師にもご相談ください!
現役東大生ライター S
家庭教師ファーストの登録家庭教師。東京大学・教養・理科一類在学。自身の受験経験を生かして、難関高受験から定期テスト対策まで指導できます。