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家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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生物学上の未解決問題<8選>“なぜ?”が止まらない生物学の8大ミステリー

  • 理科・科学の雑学
  • 家庭教師ライターM

未解決問題と聞いて皆さんは何を連想するでしょうか?数学や物理学における有名な未解決問題を考えたかもしれません。数学では解決すれば100万ドルの賞金を獲得できる問題もあります。そのような未解決問題は多くの人々の興味や関心を引き続けています。

我々人類を含む生命に関する問題も例外ではありません。「生命の起源は何か」「なぜオスとメスが存在するか」といったことは皆さんも一度は考えたことがあるかもしれませんが、生物学上の未解決問題として今なお研究され続けています。

今回は、この生物学上の未解決問題に関して、興味深いものをいくつか紹介していきたいと思います。この世界に存在する生命の深淵さに、より興味をもっていただけたら幸いです。

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未解決問題①「生命(生物)の起源」

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」

19世紀フランスの画家、ポール・ゴーギャンはこのような題名の絵を描きました。

この絵の解釈はいろいろにありますが、彼が生命の謎や神秘に魅せられたのは間違いないでしょう。生命の起源に関しては古来より様々な哲学者、科学者らによって議論がなされており、それは現在も続いています。

紀元前4世紀のギリシャの哲学者アリストテレスは、生物は無生物からも生じうるという自然発生説を唱えました。今ではこの説は否定されていますが、微生物などの存在が知られていなかった近代まで、その考えは一般的なものでした。

19世紀、ルイ・パスツールの「白鳥の首フラスコ実験」が行われました。これは、食物に発生するバクテリアなど自然発生すると考えられていた微生物が実際には外部からやってきたものだということを示すものでした。この実験により生物の自然発生が否定され、生物は生物からのみ派生するということが証明されました。「種の起源」で有名なチャールズ・ダーウィンは、多様な生物種は共通の祖先まで遡れるとしています。ここで新たな疑問が生じます。あらゆる生物の起源となる共通の祖先があるなら、その祖先はどのように誕生したのでしょうか。

この共通の祖先の発生に関して、ロシアの化学者アレクサンドル・オパーリンが化学進化説を唱えました。この仮説によると、原始地球の環境下で最初の単純な有機物が偶然に合成され、それが化学的に進化していき、より複雑な有機物へと進化していったとされています。「ユーリー・ミラーの実験」など、この説を支持する証拠が数多く得られており、生命の起源を説明する有力な仮説とされています。しかし、偶然によって生命が誕生する確率は「バラバラに分解された腕時計の部品を巨大なプールに入れて、かき混ぜていたら自然に腕時計が完成してしかも動き出す」「がらくたが積み重なったゴミ山を竜巻が通過した後に、大型ジェット機が完成している」などに例えられるように、途方もなく小さい確率であるとされています。

パンスペルミア説は、生物の共通祖先は地球内ではなく、地球外からやってきたとする仮説です。宇宙から飛来する隕石に含まれる有機物に生命を構成するアミノ酸や糖などが含まれていて、それらが地球の生命の始まりとなったとしています。しかし、宇宙空間は有機物が生存するには耐えられない環境であることや、そもそもこの説が正しいにせよ、地球外で生まれたその有機物はどのように発生したかという疑問は残したままであるといった反対意見も多く見受けられます。

生命の起源に関しては他にも様々な仮説が挙げられていますが、いずれも確証を持てるものはありません。解明不可能にも思えるこの問題はまさに神秘のベールに包まれていると言えるでしょう。古来より人間は、生物を含むこの世界は神によって創造されたと考えてきました。上記に示した仮説の起こる確率の低さを考慮すれば、人間が神の存在を持ち出さずにはいられなかったと思えてなりません。

未解決問題②「ウイルスの起源」

高度な文明を創造し、この地球上において日々存在感を増し続ける人類が、我々がもはや最強の存在であり、神にも到達しうる存在であると錯覚を起こすとしても無理はないように思われます。しかしながら、新型コロナウイルスが猛威をふるい、人類は危機に晒されました。これによって、改めて自然界の厳しさを実感し、人類という種の存続も確実なものではないと考えた人も少なくないはずです。

今、人類が闘っているウイルスとは、自身だけでは生きられず、他の生物の細胞を宿主として増殖をしていく性質をもつ生物です。この、人類にとっては迷惑極まりないとされるウイルス(実は、人類やその他の生物種にとって生存を手助けする側面も存在します)の起源はどこにあるのでしょうか?これに関してもはっきりとした答えはありません。

ウイルスの起源を説明する仮説としては、先に細胞があって、それが変異していきウイルスになったとする説があります。上記のように、ウイルスは自己複製ができず、細胞を利用していることから、細胞の発生の後にウイルスができたとする見方です。しかし、太古に存在したウイルスは自己複製ができ、現在知られているウイルスの原型のようなものがあったことも否定できないようです。

いずれにせよ、ウイルスの起源を突き止めることで未だに謎が多いウイルスの性質をよりよく把握できるようになると言えるでしょう。

未解決問題③ピートのパラドックス

細胞は絶えず化学反応を起こしており、自分と同じコピーを作成しています。コピーを繰り返すことで、古い細胞が新しい細胞にとって代わられる新陳代謝が常に起こっています。しかし、コピーにエラーが起き、さらにこのエラーで発生した細胞が増殖してしまうことがあります。これが、ガンが発生するメカニズムです。

地球上には大小様々な大きさの動物が存在し、多くの動物が人間同様にガンになることが知られています。それぞれの動物のもつ細胞の大きさにはほとんど差がありません。つまり、小型動物と大型動物では、細胞の数に大きな違いが生じることになります。となると、細胞の数が多いほど、細胞コピーの際のエラーが起きる回数も多くなると考えられることから、大型動物ほどガンの発生率が高くなると推測されます。

しかし実際にはそうではなく、大きさに関わらずどの動物もガンの発生率がほぼ等しいことが分かりました。上記の推測に反するこの事象を、提唱した科学者の名をとってピートのパラドックスと呼んでいます。

このパラドックスの原因を説明できるとするいくつかの仮説が存在します。

一つは、大型動物がガン抑制遺伝子を多くもっており、これが効果的に働いているとするものです。ガン抑制因子をもつp53遺伝子というものがあり、異常化した細胞を制御する遺伝子として働いています。人間をはじめとした哺乳類はp53を1個もっているのに対し、ゾウはこれを20個もっていることが分かりました。よって、大型動物であってもp53の働きにより、エラーにより生じた細胞への対処が効率良くなされることで、ガンの発生を抑制していると考えられています。

また、細胞分裂のスピードの違いに着目した仮説もあります。大型動物ほど動作が遅いため代謝速度が小さく保たれており、細胞分裂の速度も小さくなっています。このため、ガン発生率を小さく抑えることができているとする説です。

他にも様々な仮説が示されていますが、どれか一つが要因ということはなく、いくつかの説が関わり合って複雑な要因となっていることも考えられます。

このパラドックスの要因をより精密に把握することができれば、ガン研究に多大な恩恵がもたらされることになり、ガンに苦しむ人々を減らせることになるかもしれませんね。

未解決問題④ジャンクDNAの存在意義

DNAは、生物の設計図とも呼ばれており、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基から構成されています。DNAはタンパク質の情報をもつことで種の生命維持に必要不可欠な酵素群や細胞外基質を合成させることで種特有の身体構造を形成します。

しかし、人間のDNAのうち90%以上は、タンパク質の情報をもっておらず、未だに存在意義が解明されていないジャンク(がらくた)DNAとされています。大腸菌やバクテリアなどの単純生物はジャンクDNAをわずかにしかもっておらず、人間などの高等生物ほどジャンクDNAを多くもっています。

このジャンクDNAの存在意義についてはこれまで様々な研究がなされ、遺伝子の発現量を調節する役割や、特定の遺伝子を発現させるようにする役割、染色体複製を正確に行わせる役割など、タンパク質をつくる以外の様々な仕事を担っていることが分かってきました。

人間をはじめとする高等生物は、複雑な形状をしていたり、様々な機能をもつ臓器を有したりしています。ジャンクDNAについての全容の解明は未だできていませんが、この謎が解き明かされることで、種々の生物がなぜこれほどまで多様化しているか、その違いを生み出す要因は何か、といった生物進化に関する重要な手がかりを得ることができるでしょう。

未解決問題⑤有性生殖の存在理由とその起源

生物は、生殖を行うことで子孫を増やし、種を存続させています。生殖には無性生殖と有性生殖の二つがあります。無性生殖は、オスとメスの区別を必要とせず1個体が分裂して新しい個体を発生させるもので、遺伝子の組み換えは生じず、子は親のクローンとなっています。一方、有性生殖はオスとメスが交配することによって新しい個体を発生させます。子は親の2個体の遺伝子を受け継ぐので遺伝子の組み換えが生じ、新たな形質をもつ個体が誕生します。

もし、生物が存在する目的が種の存続にあるとすれば、なぜ多くの高等生物において、より複雑で生殖のコストが高くつく有性生殖が選ばれるのでしょうか?無性生殖を行う生物は有性生殖を行う生物に比べて格段に速く生殖できますし、メスをめぐるオスの競争もないため確実に遺伝子を残すことができるのに、です。

有性生殖の存在理由を説明するいくつかの説がありますが、有力な仮説としては「赤の女王仮説」というものがあります。簡潔にまとめると、生物は絶えず進化していくことが要求されており、進化できなければ絶滅するという仮説です。ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に登場する赤の女王の「同じ場所にとどまるためには、絶えず全力で走っていなければならない」という言葉にちなんで名付けられました。生物が生き残るには、周囲の環境変化に素早く適応し、変化していく必要があります。無性生殖は生殖のコストが低いですが、変化を生み出す力が乏しいと言えます。遺伝子の突然変異で異なる形質をもつ子を発生させる可能性はあるものの、その頻度は限られています。一方、有性生殖では交配により遺伝的な多様性が生じることで、周囲の環境変化に適応できる個体をより生み出しやすくできます。結果として、有性生殖を行う生物が生き残りやすくなったと言えそうです。

しかしながら、この説にも様々な反論がなされており、有性生殖の存在の決定的な理由であるとは断定できません。有性生殖であるにせよ、なぜオスとメスの2種なのかといった疑問もあります。交配による遺伝的な多様性の必要性があるにせよ、性別がもっとたくさんあっても良さそうだとは思いませんか?さらには、有性生殖の起源も未知のままです。原始的な生物から始まり、進化を重ね、多様な生物を生み出してきましたが、もととなる原始的な生物は無性生殖であったと考えられています。では、どのタイミングで有性生殖という生殖方法が誕生した(オスとメスに分かれた)のでしょうか?

有性生殖の存在理由とその起源に関しては疑問が多く残りますが、いずれにせよ、有性生殖のおかげで生命は多様性を獲得し、今ある「面白い」世界へと発展させることができたと言えるかもしれませんね。

未解決問題⑥カンブリア爆発の謎

カンブリア爆発とは、古生代カンブリア紀(およそ5億4200万年前〜5億3000万年前)に、突如として現在地球上に存在しているあらゆる動物種が誕生した出来事を言います。しかし、このカンブリア爆発が起こった経緯は謎に包まれたままです。

氷河期が終わったことで生物の生育に適した環境になったことや地球上の酸素濃度が上昇して生存できる生物が増えたこと、捕食する生物の誕生により過酷な生存競争にさらされることで様々な生物が進化を進める必要が生じたことなど、様々な説が提唱されています。もちろん、上記の説以外にも幾多もの仮説が存在しますし、複数の仮説が関わり合っているかもしれません。また一説によると、この時期に生物が一斉に殻などの硬い体構造を手に入れたため、化石に残りやすくなり、化石記録上では急激に進化が進んだように見えているという説も唱えられています。

とにかく、ある特定の時期に今日存在しているような多様な生物が誕生したことは、驚くべきことです。ですが、ある特定の時期とはいえど、それは1000万年以上、つまり、イエス・キリストが誕生してから2000年あまり経っているこの歴史の長さの5000倍以上と考えると、とてつもない長さであると言えます。このような長いスパンがあれば、何かのきっかけで爆発的に生物が増加するということも、不思議ではないのかもしれません。

未解決問題⑦プランクトンのパラドックス

ある生物種が生存していくためには、生息地、食物、外敵との関わりなど、決まった生育環境が要求されます。ある生物種が利用するそのような生育環境のことを生態学的ニッチ(以下、ニッチ)といいます。あらゆる種は、それぞれにニッチをもちますが、似通った生物種ではしばしば、そのニッチも同化することがあります。同じニッチをもつ2種は安定的に共存することができず、競争によって一方が排除されるという原則があります。この原則を、競争排除則といいます(ソ連の生態学者、ゲオルギー・ガウゼが提唱したためガウゼの法則とも呼ばれます)。

しかし、自然界ではこの競争排除則に反する例も存在します。その代表的な例が、海洋や湖沼などの水系における植物プランクトンの多様さです。ジョージ・ハッチソンにより、プランクトンのパラドックスとして提唱されました。水系には光や栄養素など限られた資源しか存在しないが、実際には多くの種が存在して共存しており、競争排除則と矛盾するというものです。

この矛盾を説明するために多くの研究がなされています。パラドックスを提唱したハッチソン自身も多く見解を示しています。例えば、水系の環境が時間的に変動しており、ある時点で排除されつつある種でも時間経過とともに優位に立つようになるといった競争関係の不安定さを指摘しています。また、プランクトンの種が巧妙に相利共生(複数の種が互いに利点を有する共生)や片利共生(片方の種のみが利点を有する共生)を達成しているとする見方もあります。

競争して淘汰してゆくのではなく、共存関係をうまく構築しているプランクトンには、人種を越えたあらゆる人間同士が平和に共存していくためのヒントがあるような気がしています。

未解決問題⑧生物はなぜ存在し、なぜ死ぬのか

ここまで、生物学上の様々な未解決生物を説明してきました。もちろん、上記以外にも未解決問題は多く残ったままであり、生命に関して調べれば調べるほど、謎が深まるばかりであると言えそうです。しかし、最も深淵なる、そして解明には程遠い(もしくは不可能)と思われる大きな問いが存在します。なぜ生命は存在して、そして死にゆくのか、という問いです。

これは生物学という範疇に収めるにはいささか大きすぎる問題です。古来より数多の科学者や哲学者がこの問題と格闘し、答えを提出してきましたが、当然意見の一致をみることはありません。また、生命の存在理由について考えることは同時に、宇宙の存在理由を考えることにもなるでしょう。この問題はそれほどまでに考えるには困難で、無益とさえ思えるかもしれません。ですが、あらゆる人にとってこの問題を考え続けることには意義があると、私は信じています。

生物が、必ず死すべき運命にあることは皆さんご存じであろうと思います。しかし、死が存在せず、永遠に生きていられれば幸福なのではないか、そう考える人もいるかもしれません。不老不死を夢見て、死を憎むべきものとして忌避する人もいるでしょう。死ぬことに意義があるのか。どうせ死ぬなら、生まれる必要はないのではないか、こう考えるのも無理はないように思えます。

しかし、死ぬことにも意義があると考えてみましょう。

生物種全体で考えれば、死が存在することで、個体が無限に増え続けることを防ぎ、環境に対して適度な個体数を保ち種にとって健全な状態で生存し続けることを可能にします。また、絶えず死によって世代が交代し遺伝子によって新しい形質が受け継がれることによって、環境の変化により適応できる種へと変貌をとげられるという見方もできます。

一個体として考えれば、特に人間にとっては、死の存在が意味ある生へと向かわせてくれると思うのです。死ぬことのない生物として生まれても、そこには無限の退屈に苛まされ、虚無の中で日々を浪費する生活が待っているだけかもしれません。自分がいずれ死ぬ存在であるということを認識していれば、限りある生のなかで考え、もがき、この世界に存在することの活力が与えられるかもしれないのです。

もちろんこれは、取るにならない一個体である私が何気なく考えたことに過ぎません。反論も多くあると思います。ですが、この謎に包まれた世界の歴史を走る生物の一個体として、今日生きていることの神秘、不思議、奇跡を感じることができたのは事実です。今までとは違った視点—目に見えない何かとてつもなく大きなものに突き動かされているということ—を獲得でき、なぜかこれからも、生きていけるような気がしてならないのです。

まとめ

言いたいことは次のとおりです。生命の謎や壮大さを知れば知るほど、一個体である自分の日々の悩みや苦しみなどは、ちっぽけなものに思えます。ですので、皆さんもたまには、課題のことを忘れて、人間関係のことを忘れて、この世界に生ける生命の神秘に目を向けてみてはどうでしょうか。

以上でこの記事の締めくくりとします。最後はかなり主観的なものになってしまったと反省しますが、ここまで読んでいただいた(またはこの文だけでも読んでくれた)皆さんにはたいへん感謝致します。ありがとうございました。

なお、お勉強の事でお困りごとがありましたら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!また、家庭教師の仲間も募集中です。ご興味のある方は下記リンクより是非ご検討ください。

この記事を書いたのは

家庭教師ライターM

家庭教師ファーストの登録家庭教師。京都大学 工学部卒。生徒自身の知的好奇心を刺激し、主体的に学習できるような場をつくりたいと考えています。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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