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家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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【生物雑学14選】身近な生物の豆知識~理科が好きになる話~

  • 理科・科学の雑学
  • 現役名大生ライター A

普段生活をする中では、なかなか身近な生物に注意を向けるのは難しいかもしれません。しかし、いくら私たちが自然から離れ、住宅街やビル街で生活しようとも、生物と切り離せない生活をしています。

今回は、日頃よく食べる魚や、よく見る動物たち、身近な生き物たち、生活に役立っている生き物の豆知識をお伝えします。

なお、お勉強の事でお困りごとがありましたら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!また、家庭教師の仲間も募集中です。ご興味のある方は下記リンクより是非ご検討ください。

よく食べる魚の豆知識5選

よく食べる魚の豆知識

よく食べる魚、と一口に言っても、たくさんありますよね。食卓に上がりやすい魚をいくつかピックアップしてみました。今度食べるときに思い出してみてくださいね。

サケ~化学物質を検出して生まれた川へ~

サケといえば、塩焼きにムニエル、ホイル焼きなど、私たちの食卓に欠かせない魚ですね。川で生まれ、海で育ち、最終的には生まれた川へと戻ってきて産卵するという母川回帰を行う魚として有名です。生まれた川に戻ってこようとするのは、遺伝子に刻まれた本能です。しかし、戻ってくるべき川までは本能だけでは探すことができません。そこで、サケは川ごとに異なる微量な化学物質の差を元に遡上する川を決めています。化学物質を検出できるだけでもすごいのに、生まれた時の川の化学物質組成を覚えているなんて脱帽ものです。

さて、そんな素晴らしい能力を持つサケですが、実は、遡上できるのは生まれたサケのうちのたった1%にも満たないと言います。生まれてすぐは敵も多く、食べられやすいです。海まで辿り着けたとしても、次は自分の食料が上手く手に入れられないこともあります。さらに、近年は特に川近辺の開発が進み、工業用水・生活排水の流入によって化学物質組成が変わってしまい、自分の生まれた川がわからなくなってしまうこともあるようです。食卓にサケがなくならないように、環境問題にも関心を持ちたいものですね。

青魚~保護色の利用~

アジ・サバ・イワシなどの「青魚」と呼ばれる魚たちは、胴体の上半分は青、下半分は白になっています。これは、敵に見つかりにくいようにするための戦略です。

上半分が青いのは、海の上を飛ぶ鳥に見つからないようにするため。下半分が白いのは、下を泳ぐ魚たちに見つからないようにするため。これは保護色といって、周囲の色に近づけることによって外敵から身を守る手法です。

とはいえ、横から見られてしまうと、青と白の魚はよく目立ちますので、逆効果になってしまうことも…。生き残りをかけた戦略もなかなか難しいものですね。

赤身魚と白身魚~色素タンパク質の利用~

赤身魚といえば、サケやマス、マグロ、カツオなどのような魚を思い出します。白身魚といえば、ヒラメやカレイ、サンマなどがいますね。同じ「魚」という区分なのに、どうしてここまで身の色が異なるのでしょうか。

実は、これは筋肉の中に含まれる「色素タンパク質」の量の違いです。色素タンパク質は赤色をしており、それが筋肉の中に少ないと白色、多いと赤色になるんですね。

さて、この赤い色素タンパク質は何かというと、ヘモグロビンとミオグロビンです。ヘモグロビンもミオグロビンも鉄分を含むため、鉄分不足に悩まれる方は、白身魚よりも赤身魚を意識的に食べるようにするといいかもしれませんね。

ウナギ~意外な毒持ち魚~

ウナギ~意外な毒持ち魚~

毒を持つ生物、というとクラゲやヘビ、カエルなどを思い描くかもしれません。毒のある魚といえば、フグやミノカサゴを思いつくでしょうか。

実は、ウナギも毒を持つ魚です。その毒がどこにあるのかというと、なんと、血液中に含まれます。イクシオトキシンという名前のこの毒は、口腔内の痺れや嘔吐、下痢を引き起こす程度で、食べて即死するようなものではありません。しかし、血液に含まれるという特性上、加熱しない限り完全に取り除くことは難しく、うなぎを刺身で食べるのはかなりリスキーな行為です。

ちなみに、フグが食べられるのは、フグ毒、テトロドトキシンはフグの肝臓、精巣のように一部の部位にのみ存在しており、完全に除去することが比較的容易いから。ですが、テトロドトキシンは即死級の毒で非常に危険なので調理資格を持たない人はフグの調理を行わないようにしましょう。

カニ・エビ~赤色の理由~

カニやエビは海の中では赤色ではありませんが、茹でたり熱したりすることで体が赤くなりますよね。赤い色は綺麗で、思わず食欲がそそられます。その赤色の理由は、アスタキサンチンという物質にありました。

アスタキサンチンは生きている時はたんぱく質と結びつき、灰色や青色の色素であるカロテノプロテインという物質となっています。そのため、殻は灰色や青色に見えます。しかし、加熱することでアスタキサンチンとたんぱく質が分離し、分離したアスタキサンチンが空気中の酸素と結びついて酸化することで真っ赤な色素に変わります。食欲をそそられる赤色は、加熱することによって見えるようになるんですね。

よく見る動物の豆知識3選

よく見る動物の豆知識

続いて、私たちの身近でよく見る動物の豆知識を見ていきましょう。

ミツバチ~一生で5g~

ミツバチが一生をかけて集める蜂蜜はたったの5gだけしかありません。100gの蜂蜜であれば、20匹がせっせと一生かけて集めた蜂蜜ということになります。

とはいえ、ミツバチの一生は一夏に過ぎません。大体1~2ヶ月程度ですね。さらに、ミツバチが働く時間はたった1日6時間。超ホワイト企業ですね。そりゃあなかなか集まらないのも納得です。

蚊~主食は花の蜜~

夏になると身体中を刺してくる蚊。私は何度か瞼を刺されたこともあるので本当に嫌いな動物のうちの1つです。また、細菌やウイルスを媒介し、それによって世界中では年間72万人以上の人を殺す非常に凶悪な動物でもあります。

しかし、本来、蚊は花の蜜を吸って生きている動物。どうして血を吸うのかというと、子供を残すためには、花の蜜だけでは栄養分が不足するからです。血液からタンパク質を摂取し、栄養分を補ってあげることで、子孫を残します。そのため、血を吸う蚊は絶対にメスです。

ブタ~体脂肪率15%~

ブタといえば、そのまるまるとしたフォルムから、太っていることの代名詞のように扱われることもしばしば。しかし、実は全く太っていなかったことが判明しました。豚の平均的な体脂肪率は脅威の15%なのです。

体脂肪率15%といえば、男性であれば腹筋が見える程度、女性であればスポーツ選手並み、場合によっては健康に害が出始める可能性も。普通に生活しているだけでこの体脂肪率ですから、実は、豚はかなり痩せやすい動物のようです。

実は身近な生き物の豆知識3選

身近な生き物の豆知識

次は、身近な生き物の豆知識を見ていきましょう。今回の身近な生き物は、物理的に近くにいる動物たちのことを指します。あまり名前は聞かない動物たちですが、実は、私たちのそばでひっそりと生活しているのです。

センチュウ~がんを見つける~

センチュウ、と聞いてどんな動物かピン!ときた人は少ないのではないでしょうか?私自身、大学の生物学実験で観察をするまではどんなやつかあんまり詳しくは知りませんでした。教科書で見たことはあったけど、よく知らない生物の代表例でしたね。

さて、そんなセンチュウですが、実は、土の中にうじゃうじゃと存在する、体長約1mmの小さな動物です。「センチュウ」の名の通り、体は一本の線のようで、すらっとした生き物です。

この動物、実は昔から有名だったりします。なぜなら、センチュウの受精卵から成体になるまでの細胞の動きである「細胞系譜」が全て追跡できている動物だからです。センチュウは、959個という、多細胞生物にしてはかなり少ない細胞数から成る動物です。そのため、昔の酔狂な暇人が(悪口ではありませんよ?研究精神旺盛な方だったんでしょうね…)生まれてから死ぬまで、細胞がどのように発達していくのかを調査したのです。そのため、現代の生物学では、モデル生物としてかなり優秀な働きをしています。

ところで、昔から有名だったセンチュウが、近年再度注目されるような発見がありました。それは、センチュウはガンを検出できる、という発見でした。実はセンチュウは高度に発達した嗅覚センサーを持っています。そのため、かなり高精度な検査でも測りきれないような微量の物質でも把握することができます。

センチュウには、化学走性があり、「好きな匂いなら近づき、嫌いな匂いなら離れる」という性質を持っています。そのため、がんがあるときに尿中に分泌される物質の匂いをセンチュウが好むように遺伝子操作をしてあげれば、簡単にがんを持っているかどうかを検出できる検査が可能になるのです。精度はなんと驚異の86%で、かなり高精度だといえますね。

これは、がんの検査のハードルをググッと下げられる可能性があります。なぜなら、今までのがん検査は、採血の必要があり、費用がかかっていました。センチュウは非常に育てやすい動物で、尿のサンプルさえあれば簡単にできることから、安く、手軽に検査できるようになっていくでしょう。

ちなみに、センチュウはC. elegans(シー・エレガンス)というなんとも雅な名前を持っています。個人的には、センチュウに雅さを感じたことは残念ながらありません。

水生生物~水質判定ができる~

水生生物~水質判定ができる~

水生生物とは、川にすむ生き物たちのことを指します。水生生物たちは、非常に選り好みが激しく、水の綺麗さに対してとてもうるさいのです。カワゲラの仲間やサワガニは非常に綺麗な水の中でしか生きられないのに対し、アメリカザリガニやユスリカの仲間は汚い水の中でしか生きることができません。

それを逆手に利用して、水質判定をすることができます。本来、水質判定はpH、DO(溶存酸素量)、BOD(生物学的酸素要求量)、総窒素、総リン、SS(浮遊物質量)などで行います。しかし、それぞれの値がわかり、大体どんな水質か把握することができたとしても、総合的な評価は難しいのが現状です。そのため、「生物学的水質判定」といわれる、指標生物を用いて行う水質判定があります。

「生物学的水質判定」に用いられるのは29種類の動物で、彼らは「指標生物」と呼ばれています。この指標生物たちは、4階級に分けられており、どの階級の生物がどの程度いるのかを調べることで、総合的な水質調査を行います。とはいえ、水質階級が低い生物がいるからといってその川の水が非常に汚れているとは一概に言い切れませんし、逆も然りです。あくまでも目安になる、ということですね。

ウイルスと細菌と菌~生きてるか、生きていないか~

ウイルスと細菌を菌と混同して使ってはいないでしょうか?大前提として、ウイルスは現時点では無生物と生物の中間地点に存在するものだとされています。つまり、生きているとも生きていないとも言えてしまう状態です。ウイルスは、タンパク質の殻の中にDNAまたはRNAを保有していて、自分自身で増えることはできず、他の生きている細胞に寄生することで増殖するものです。

そのため、例えば何かの細胞のなかに入って自分のコピーを大量生産した後は、その細胞を破壊することになってしまいます。宿主の細胞自体が無くなってしまうので、周りに細胞がない状態に置かれると、増えるだけ増えても結局はウイルス自体も消えてなくなるしかない、ということになります。だから、新型コロナウイルス対策として他人との接触を絶つようにしていたのは、ウイルス自体が感染先を見失って消滅するように仕向けているのですね。

ところで、細菌や菌というのはれっきとした生物です。他の細胞に寄生して生きるものももちろんいますが、基本は自分で栄養を摂取し、増殖していきます。細菌と菌の1番の違いは、細菌は原核生物で、菌は真核生物であるということ。細胞の中に含まれる核が核膜に包まれていないのが原核生物、包まれているのが真核生物、という違いがあります。

膜に包まれているかどうかなんて大した問題じゃないのでは、という話になってきますが、実はこれ、大問題なんです。核が核膜に包まれるようになった真核生物は、遺伝子を守る部分とそれ以外を明確に分けることによって、細胞そのものが発達してきました。細胞内での分業が活発化し、より複雑な機構を持つようになっていきました。

さて、菌と言えば何を思い出すでしょうか。例えば、カビとか。お風呂場に生えたり、時には忘れて放置してしまった食べ物から生えてきたりしてしまう困ったやつですよね。しかし、実はそれだけではありません。菌の括りの中には、きのこも入ってきます。マツタケ、シイタケ、エノキ、エリンギ、ナメコ…。それら全て、実は菌なんです。ちなみにですが、私はそれを聞いてからきのこを食するのにはかなり抵抗があります。

生活に役立っている生き物の豆知識3選

生活に役立っている生き物の豆知識

実は、生活に非常に役立っている生き物たちがたくさんいます。「バイオミメティクス」という単語はご存知でしょうか?生物模倣とも訳されるこの単語ですが、自然に進化を遂げてきた生物を見習えば、生活がもっと豊かになるのではないか、と考えた科学者たちが作り上げた分野です。実際に、「バイオミメティクス」は私たちの生活を非常に豊かにしてくれています。それでは、詳しく見てみましょう。

蚊~痛くない工夫~

先ほども出てきた蚊ですが、私たちは、蚊に刺された瞬間に、痛い、と感じることはほぼないのではないでしょうか。刺されたことにさえ気づかず、なんならもうすでに蚊がさった後になんか痒い、と思って刺されたことに気づくことが多いと思います。夜寝ているときに刺されてしまえば、朝起きる時まで気づかないことだってあるでしょう。

さて、それを模倣して作られたのは、注射針です。できる限り細く、そして先端を斜めにカットすることで、痛みを少なくしているようです。とは言え、刺されるという恐怖心だけで十分に痛いですよね。しかし、かなり痛くなくなったのは事実だと思います。

ハス~ヨーグルトがくっつかない~

ハス~ヨーグルトがくっつかない~

ヨーグルトの蓋を開けると、ベタっとふたにヨーグルトがついており、不快だった、なんていう経験がある人はいないでしょうか。今の子供達はないかもしれませんね。お父さん、お母さんたちはそんな経験がありそうです。

くっつかなくなった理由は、ハスの葉が水を弾く原理を応用して作られているからです。ハスが水を弾くのは、葉の上にたくさんの毛があり、それが水と葉が触れる表面積を少なくすることで、水の表面張力によって水を球にし、弾けるようにしているからです。それを使って、蓋の裏に小さな突起をたくさんつけることで、ヨーグルトが蓋の裏にくっつかないようにしたのです。

ヤモリ~強力な粘着力の秘密~

粘着テープは、ペタッと貼ってしまえば、剥がれないけど、無理やり剥がすと跡が残る厄介なものであることが多いですよね。もしくは、そもそも貼っても粘着力が弱くて、すぐに剥がれてくるかもしれません。

ヤモリは、どんなところにでもペタッと張り付き、決して落ちてこないと思います。その秘密は、足の裏に細かな毛が大量に生えていることにありました。1平方メートルあたり、10~100万本の毛が生えており、その毛も100~1000本ほどに分岐しているため、毛先だけを考えると、1平方メートルあたりなんと10億本にも達します。

この毛の1本1本が物に対して非常に近い距離まで接近するため、分子や原子の間に働く微弱な力によって接着することができるのです。「ちりも積もれば山となる」を体現するような機構ですね。

これを利用した粘着テープが近年開発されました。非常に細いカーボンナノチューブという紐状の物質を1平方センチメートルあたり100億本並べることで、500gのものを持ち上げることに成功しました。めくれば簡単に剥がすことができ、粘着剤が残ることはなく、テープが繰り返し利用できるという非常にありがたい存在です。

まとめ

身近な生き物の豆知識をお伝えしてきました。興味深かったもの、面白いと思ったものはあったでしょうか?今回は身近な生き物ばかりを集めていますので、もしお友達と一緒にいて、見かけた時には、この豆知識を話してみましょう。もしかしたら、会話のきっかけになるかもしれませんね。

最後の方では「バイオミメティクス」という今ホットな話題についても紹介しました。興味があれば、調べてみませんか。興味深い生物が見つかるかもしれません。

なお、お勉強の事でお困りごとがありましたら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!また、家庭教師の仲間も募集中です。ご興味のある方は下記リンクより是非ご検討ください。

この記事を書いたのは

現役名大生ライター A

家庭教師ファーストの登録教師。名古屋大学・理学部在学。共通テスト本番の生物と地理では、満点獲得(自己採点)。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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