家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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恐竜はなぜ絶滅した?恐竜の絶滅説<9選>~恐竜はまだ絶滅していない?~

  • 理科・科学の雑学
  • 現役名大生ライター A

恐竜は、絶滅した。

その公然たる事実を知っている人は多いと思います。しかし、なぜ絶滅したのでしょうか。よく言われるのは、巨大隕石衝突説ですね。巨大な隕石が落ちてきて、それによってもたらされた様々な弊害によって恐竜が絶滅した、という説です。しかし、実際にはまだ100%正しいと言い切れる学説は出ていません。この節の他にも様々な説があります。そもそも、恐竜は絶滅していないという説もあるのです。

今回は、「恐竜の絶滅」に関する説を合計9つ、ご紹介したいと思います。

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そもそも、恐竜って?

そもそも、恐竜って?

恐竜とは、中生代初期の三畳紀(トリアス紀)に現れた、爬虫類の仲間です。一般に、恐竜というと翼竜や魚竜、首長竜、モササウルスを含んだ概念として呼ばれます。しかし、実際は、「恐竜」という言葉には翼竜や魚竜、首長竜、モササウルスを含めません。余談ですが、「ドラえもんのび太の恐竜」に出てくる「ピー助」はフタバスズキリュウ=首長竜なので、正確には恐竜ではないのです。

「直立歩行に適した骨格を持っている爬虫類」のことのみを「恐竜」と呼びます。

ただここでは、そんな難しいことは気にせず、世間一般で言われる恐竜全般のことを「恐竜」と定義してお話しします。恐竜たちは陸上を歩き回るだけでなく、海の中を泳ぎ、空を飛び回りました。正しく、地球上の全ての場所で繁栄した動物たちでした。

年表

そんな彼らが、どうして絶滅してしまったのでしょうか?実は、現時点で、詳細についてはまだまだ専門家たちの間でも論争中です。さまざまな仮説が提唱されていますが、どの仮説も一長一短があり、いまだに「必ずしもこの仮説が正しい」と言い切れない状況だからです。

それでは、そんな恐竜たちの絶滅がどうして起こったのか、今ささやかれている説をご紹介します。

恐竜滅亡の有力な説5選

恐竜滅亡の有力説 5選

まずは、有力な仮説5つから。「そう言われてみれば、そうかも」と思わず納得してしまいそうな仮説たちの有力ポイントと弱点をお伝えします。

巨大隕石衝突説

「巨大な隕石がぶつかったことで、恐竜が絶滅した」という筋書きが中心にあるこの説。最有力候補であるその理由は、この時にぶつかったと思われる巨大隕石のクレーターが見つかっていることです。

その名を「チクシュルーブ・クレーター」と言い、メキシコ湾に存在します。このクレーター、地表付近で直径185km、地表からの深さは20kmもあり、ここから想定される隕石の直径は約10km。深さ数kmの地殻は易々と捲られ、海底に直径160kmもの穴を開け、地殻の下にあるマントルを露出させました。

この結果、大量の溶岩と超高温ガス、煤が大量に噴出。この衝撃は、地震の強さに換算して、およそマグニチュード10と言われています。マグニチュードは1大きくなるとエネルギーがおよそ32倍になります。東日本大震災はマグニチュード9であったと観測されていますから、東日本大震災の時の32倍も揺れたことになります。

さらに、衝突現場から1500km以内のものは全て、あまりの高温に、すぐに体が焼かれてしまっただろうと研究者たちは考えています。また、同時に高さ数100mの津波を引き起こした可能性もあるとされています。

酷い揺れ、超高温、大津波のコンボに、その付近にいた恐竜を含む生命は全て死に絶えたことでしょう。破壊力は、なんと原子爆弾100億個に相当するそうです。しかし、以上のことだけでは、地球全体から恐竜が消滅することは不可能でした。赤道において、地球一周は約40,000kmと言われているため、隕石衝突点の周囲数千kmに被害を出しても、他のところでは変わらず生命は繋がれるからです。地球全体で一度に恐竜が消滅するためには、何かもう少し別の要因が必要です。

その要因として名乗りを挙げたのが、硫黄ガスと煤でした。なんとも不運なことに、衝突現場の付近はたまたま、土壌中の硫黄と石油や天然ガス含有量がかなり多かったと推定されています。そして、隕石衝突によって発生した熱により、大量の硫黄が気体に、石油や天然ガスが煤となって空中に放出されました。その量は3,000億トン以上。硫黄と煤でできた濃い霧は、太陽の光を遮りました。

この霧が晴れるまで、少なくとも20年はかかったと推定されています。太陽の光が地表に届かなくなると、植物の光合成が止まり、成長しなくなりました。また、地表の温度が低下し、恐竜が生きていくのに適さない気温となりました。これらの要因が複合的に働いた結果、恐竜は絶滅したと考えられています。

しかし、この説の最大の弱点は、恐竜が絶滅した時期にありました。実は、隕石が衝突したと推定される時期より、30万年も前から、一部の地域で恐竜の絶滅が進んでいたという研究結果があるのです。また、それらの絶滅には温暖化が原因であると考えられています。残念ながらこの説では、温暖化も、衝突の30万年前から絶滅が始まっていたことも、説明がつきません。

火山噴火説

この説において、大噴火を起こしたのはインド・デカン火山であると言われています。7,000万年前から始まった火山活動が、およそ6,600万年前に一際活発化した痕跡が残っていることから有力視されてきました。デカン火山は富士山2,000個分以上の溶岩を流出し、さらに大量の火山ガスを噴き出したと考えられています。

火山ガスには、温室効果ガスとして名高い二酸化炭素が多量に含まれており、地球の気温は急激に上昇したことでしょう。また、気温上昇がひと段落すると、噴火とともに巻き上がった火山灰が空気中を漂い、太陽光を遮って長期的な寒冷化をもたらしたと考えられています。これが、恐竜の絶滅を促したのは明白です。

しかし、この説にも弱点があります。1つ目は、普通の火山の噴火にしては、流出した溶岩の量があまりにも多いことです。富士山2,000個分以上もの溶岩を噴出するには、なんらかの外的要因があったと考える必要があります。ここで浮上したのが複合仮説です。このような大噴火を促す出来事、それこそが隕石衝突だったと考える研究者が出てきました。

隕石衝突の30万年前から噴火を続けてきたデカン火山は、じわじわと周辺の温度を上げ、その地域の温暖化を進めます。そして、恐竜の絶滅を促進してきました。そして、隕石が衝突。巨大隕石の衝突した場所の地球の裏側で、いわゆる超巨大地震の1,000倍のエネルギーが集結したと考えられています。そこからほど近いデカン火山は、そのエネルギーによって、膨大な量の溶岩を吐き出すことができたのではないでしょうか。今は、この仮説もかなり有力な説となっています。

また、この仮説にはもう1つ弱点が存在します。2つ目の弱点、それは、デカン火山は地球を寒冷化できるほどには火山灰を噴出しないということです。火山は、その種類によって噴出する溶岩の種類や噴火の仕方が変わります。デカン火山は、サラサラした溶岩をとろとろと流すような噴火をする火山であったことがわかってきました。

このような火山は、大量の火山灰を空気中に舞わせることはほとんどありません。まして、それによって太陽の光を遮り、地球の平均気温を低下させるなんて夢のまた夢のことでした。しかし、この点もまた、克服されようとしています。火山が噴出した火山灰ではなく、火山ガスに含まれる硫黄成分が霧となり、太陽光を遮ったのではないか、と考えられているのです。こちらであれば、無理なく寒冷化が起こったことを証明できます。

海進海退説

海進海退説

海進海退とは、つまるところ、陸地の拡大、縮小を意味します。何らかの原因で海進、つまり陸地が減って、陸上の恐竜たちが酷く狭い範囲で暮らす必要ができ、結局は食糧不足などから絶滅に至ったのでしょう。一方で、何らかの原因で海退、つまり海の体積が減って、海中の恐竜たちが酷く狭い範囲で暮らす必要ができ、最終的に食糧不足などによって絶滅に至った、と考えられています。

この説の問題は、なんといっても、そこまで海の体積が変化できるのか、というところにあります。恐竜たちが餌や居住に困るほど、海岸線が変化することは可能なのでしょうか?例えば温暖化や寒冷化によって極地の氷が増えたり減ったりするかもしれません。それでも、増減には限度があります。いくつかの種が絶滅に至ることはあれど、恐竜全てが絶滅するにはなかなか厳しいのではないでしょうか。

伝染病説

昨今、新型コロナウイルス感染症で大騒ぎしている私たちですが、過去にもたくさんの病気に悩まされてきました。スペイン風邪や黒死病、SARS、MARSなどなど、さっと思いつくだけでたくさんの病原菌がありますよね。私たち人間には、病気になった患者をケアし、回復を促すための施設として病院が存在します。今回の新型コロナウイルス感染症でも、たくさんの医療に従事する方々の努力の結果、人間絶滅には至っていません。

しかし、恐竜には病院が存在しません。恐竜たちは、細菌やウイルスにされるがままに、亡くなっていくしかありませんでした。恐竜から恐竜へ、どんどん感染症が蔓延し、全ての恐竜が亡くなってしまったのでしょう。

この説の弱点は、感染拡大が非常に難しいことにあります。ヒト同士で感染するウイルスの多くが他の動物に感染しにくいように、基本的には種が異なれば、同じ病気にはかかりません。もちろん、ウイルスが突然変異を起こせば感染が可能になりますから、長い時間をかければ、いずれ、全ての恐竜に感染するものが出てきたのかもしれません。しかしながら、今現在そのようなウイルスが活発に感染拡大しているわけではないことからもみて取れる通り、それはなかなかに起こりにくいと考えられてしまいます。(COVID-19は一部のヒト以外の動物にも感染していますが、ヒトにおいての感染のように世界中の動物に感染が広がっているわけではありませんよね。)

また、陸上だけで感染が広がるだけでは恐竜の絶滅とはなりません。水中でも感染が広がらなければ、水生の恐竜たちが死滅したことに説明がつかないからです。さらには、大海を隔てた陸地でも感染が広がる必要があります。現代のように、世界中さまざまな場所の人々が激しく行き来する世界ならともかく、山を挟めばほとんど交流のないような世界で、どうやって感染が拡大できるのでしょうか?かなり困難なように思われます。

気温変化説

爬虫類の雌雄は、卵の時の温度で決まる。そんな噂を聞いたことがありませんか。

この噂、実は本当のことなんです。今でも、ワニやカメの一部の種などでは、雌雄が卵の時の気温で決まります。多少の温度変化であれば問題ないものの、地球規模で温暖化、寒冷化が急速に進めば、その種の性別が雄か雌に偏ってしまう可能性があります。雌雄双方が揃って初めて、次世代が生まれるため、雄ばかり、または、雌ばかりがいたとしても、子孫を残すことができません。次第に数を減らし、絶滅への道を辿るでしょう。

実際に、現在、地球温暖化のスピードが速すぎるため、卵の時の環境で性別を決めるいくつかの種が、将来、性比が偏り過ぎることによって絶滅するのではないか、と心配されています。

この説の弱点は、全ての恐竜が卵の時の気温で雌雄を決めていたという証拠が必要であることです。今でさえ、一部の爬虫類のみが気温で雌雄を決めるのですから、当時の恐竜たち全てが雌雄を気温で決めていたとは言い切れません。

「そんなのあり!?」なとんでも仮説集4選

「そんなのあり!?」なとんでも仮説集4選

ここからは、ちょっと驚くような仮説を見ていきたいと思います。

卵を全部食べられた説

恐竜たちは、卵を産みます。しかし、卵というのは小さな恐竜を形作るためのものですから、非常にたくさんの栄養を含んでいます。つまり、食するには最高の食べ物であるわけです。

中生代の終わりごろ、私たち、哺乳類の祖先はとても小さく、恐竜たちに食べられないように、隠れて生きていました。そんな彼らが、なんと、恐竜たちの卵を奪って、全て食べ尽くしてしまった、というのがこの説です。

弱者が強者の卵を奪う、しかもそれを食べ尽くす、というのはかなり難しいように思えますね。

毒殺説

草食の動物は、今も昔も変わらず、植物の葉っぱを食します。その昔、植物の葉っぱの中に、毒性を持つものが現れ、草食の恐竜たち皆が中毒死したのではないか、というのがこの説です。もちろん、草食の恐竜がいなくなれば、それを食べる肉食の恐竜たちも餌がなくなって死んでいきます。

ただ、世界中にそのように強い毒性を持つ植物が広がるとは考えにくいですし、それらの植物はもちろん草食の哺乳類たちも食べますから、恐竜ばかりが大量に死滅する、というのは考えにくいでしょう。

便秘説

恐竜は、便通がよくなかったのでは、という説があります。特に、今でもお肉ばかり食べて、食物繊維を摂取しないでいると便通がよくなくなってしまいますよね。恐竜たちにも同じことが言えたと考えられています。ちなみに、今の肉食の哺乳類たちは、草食獣を仕留めたら、まず、草食動物の内臓のなかに残っている食物繊維を摂取します。それによって過度な便秘を防いでいるようですね。

さて、恐竜絶滅説として言われる便秘説は、肉食の恐竜たちではなく、草食の恐竜たちに関してです。先程の毒殺説と同じように、草食の恐竜たちの食事に異変が起こったからだという説が有力です。植物が裸子植物から被子植物に進化する過程で、草食の恐竜たちにとって消化が困難になる何かが起こったのでは、と研究者たちは考えています。草食の恐竜たちが絶滅し、その結果餌をなくして肉食の恐竜たちが絶滅した、という筋書きです。

毒殺よりはまだ現実的な気もしますが、それでも、やはり哺乳類も食していたわけですから恐竜ばかりが亡くなった理由を説明するには弱いように感じます。

地球外生命体に攻撃された説

地球外生命体が宇宙船に乗って地球までやってきて、恐竜を大量虐殺したという、SFのようなこの説。夢はありますが、一体どうして地球外生命体が地球にきて、わざわざ攻撃して帰ったのか…。そもそも、宇宙船を作れるような高度な知能を持つ地球外生命体などいるのか…。たくさんのことが謎のままです。

恐竜は滅亡していない!?

恐竜は滅亡していない!?

恐竜は滅亡していない、という説は、根強く残っています。

例えば、ネッシー。首長竜の一種の生き残りなのではないか、とも言われていますよね。目撃情報もありますが、そのどれもが曖昧で、ネッシーがいて、それが首長竜の生き残りであると断定するには弱いです。しかし、複数人からさまざまな時間と場所で、それらしい目撃情報があることから、完全にいないと断定するのも難しい状況です。

そして、鳥。彼らは、恐竜の中でも、空を飛ぶ翼竜たちと共通の祖先を持っていると考えられています。ジュラ紀後期に、始祖鳥という鳥と恐竜の中間のような種がいたことが知られており、これが、鳥と恐竜をつなぐミッシング・リンクであるという見方が強いです。

以上のことからわかるように、恐竜の一部は今もなお、生きているのかもしれません。しかしながら、一番初めにお伝えした通り、正確に「恐竜」と呼ばれる種、つまり、直立歩行に適した骨格を持っている爬虫類たちは絶滅してしまったと考えられています。

まとめ

恐竜の絶滅に関して、数多くの仮説を見てきました。巨大隕石衝突説や火山噴火説を融合した説は、かなり現実味がありましたね。一方で、地球外生命体に攻撃された、のような少し無理があるように思える説もありました。

恐竜滅亡の説については、まだ、これが正解である、と言い切れるような仮説は現時点では出ていません。少しでも興味を持ったのであれば、もっと詳しく調べてみてもいいかもしれませんね。

三畳紀の中頃に出現し、ジュラ紀、白亜紀を謳歌し、そして何らかの原因によって地球上から消えていった恐竜たち。地球上の至る所で繁栄した恐竜たちでさえ、自然現象を前にしては敵うことができませんでした。これが、何万年後かのヒトの、未来にならないことを願うばかりです。

なお、お勉強の事でお困りごとがありましたら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!また、家庭教師の仲間も募集中です。ご興味のある方は下記リンクより是非ご検討ください。

この記事を書いたのは

現役名大生ライター A

家庭教師ファーストの登録教師。名古屋大学・理学部在学。共通テスト本番の生物と地理では、満点獲得(自己採点)。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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