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家庭教師ファースト教育コラム理科・科学の雑学

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【化学反応】身近にある面白い「化学反応式」7選を現役一橋大生が解説

  • 理科・科学の雑学
  • 現役一橋大ライターU

小学校から中学校に上がって、色々な教科で学ぶ内容が変わってきます。例えば、算数は数学という名前に変わりますし、学ぶ内容も格段に難しくなります。その中でも、難易度が大きく上がるものの中に、理科があります。急に「化学反応」という言葉を聞かされ、意味のわからないアルファベットが多く並んだ「化学反応式」というものを覚えなければならなくなります。

多くの中学生は、この化学反応式を学ぶ際に、一度つまずき、下手したらそのトラウマを抱えたまま、文系を志すとも決めかねます。しかし、それで本当に良いのでしょうか。消去法的に理系ではなく文系を目指すのではなく、理科を好きになったうえで、みなさんに文系理系のどちらを目指すか決めてもらいたいと思っています。今回は、みなさんのつまずきがちな化学反応について、身の回りにある反応なども交えて説明することで、少しでもこの化学反応式に対する抵抗を取り除けたらと思います。

なお、お勉強の事でお困りごとがありましたら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!また、家庭教師の仲間も募集中です。ご興味のある方は下記リンクより是非ご検討ください。

そもそも化学反応って何?

そもそも化学反応って?

そもそも、みなさんは化学反応とは何かを知っていますか?化学反応とは、1つ以上の化学物質が、何らかの作用、例えば他の物質からの影響によって、別の物質へと変化することを指します。例えば、青い液体である塩化銅に電流を流した電極を指すことで、塩素と銅にd電気分解され色が変化していくなどの理科で行う実験は有名です。これももちろん有名な科学反応の1つですが、これはあくまで理科の実験であって、みなさんは実際にどのような反応が起きているのか、あまり実感はないと思います。

しかし、先ほど述べた化学反応の定義を思い出してみてください。化学反応とは、化学物質が何らかの作用によって、別の物質に変化することです。つまり、電流や燃焼など特別な現象が起こらなくても、私たちの身の回りには多くの化学反応が存在することが分かります。そして、化学反応である以上、もちろんこれらは化学反応式として表すことができます。今回は、それら身の回りの化学反応の中でも授業や試験で出やすい化学反応式を中心に、面白く解説していくことで、できるだけ化学反応式への抵抗をなくしていきたいと思います。

よく出る身の回りの面白い化学反応式

よく出る身の回りの面白い化学反応式

カイロが温かいのはなんで?

みなさん、冬になると気温が下がり、非常に寒いですよね。外に出るとき、どのようにしてこの寒さに対策をしていますか。多くの人はカイロを持ち歩いたり、貼ったりしていると思います。しかし、なぜカイロが温かくなるか知っていますか?カイロの中には非常に多くのものが入っています。例えば、鉄粉や水、活性炭などです。なぜこんなものが入っているのでしょうか。これは鉄が酸化するときに熱を発するため、意図的に鉄を急速に酸化させているのです。次の化学反応式が、カイロの中で発生している化学反応の内容です。

4Fe+3O2+6H2O→4Fe(OH)3

(鉄+酸素→水+水酸化鉄)

この化学反応式が示しているのは、鉄と酸素と水が結合することで、水酸化炭素が発生し、その副反応として熱が発生するというものです。みなさんは、持つタイプのカイロを使うときにしゃかしゃかと振ることがあると思いますが、これは鉄と酸素と水の結合を推進させることで、より早くより多くの熱を生み出すために行っていることです。

鉄と酸素が欠乏すると聞くと、真っ先に思い浮かぶのは自転車や、パイプなどのサビかもしれません。サビも、鉄が水などと合わさって酸化することで発生しています。しかし、鉄は温かくはありません。これは何故でしょうか?これは、鉄の酸化というのは、本来ゆっくりと進むものだからです。実際に酸化している最中では、熱が発生していますが、あまりにゆっくり進むため、その温かさを感じることができません。しかし、鉄と酸素と水が結合するという意味では、カイロと全く同じ反応をしています。

では、ここで1つ問題です。何も問題がないときは、多く降ることで、より早く温まるため振りながら使うのが良いですが、地震などの災害発生時はこういったカイロ等が貴重になってきます。カイロを長持ちさせるには、どのようにすれば良いでしょうか?先程の化学反応式を思い出してみましょう。カイロを使い終わるときというのは、中に含まれている鉄と水が全て使い終わってしまったときです。

ということは、鉄と水を使い切らなければ、カイロというのは長持ちさせることができます。災害のときには、ジップロックのような密閉式の袋に、温まったカイロを入れておくことで、いつものような非常に暑い状態に保つことができませんが、生暖かい状態を維持することができます。これは、密閉状態の袋の中では、酸素が使い切れ新に結合する酸素がなくなるため、新しいままの鉄がカイロに維持されるからです。この知恵を使うことがないことが最も望ましいですが、もしものときには、このことを参考にして、カイロを長持ちさせてみてください。

次世代の自動車は何故動く?

みなさんは、水素自動車についてご存知でしょうか。水素自動車とは、日本の自動車会社であるトヨタが、2014年にはじめての水素自動車未来を発売し始めたことで広まりました。水素自動車が注目されている理由は、ガソリンが必要ないからです。これは電気自動車も同じことですが、電気自動車はその電気を発電するために、火力発電や原子力発電など、発電過程で地球温暖化を促進してしまう恐れのある方法を用いているため、細かく言えば完全に環境には優しくはありません。一方で、水素自動車とは、自動車を動かすエネルギーを生み出せる一方で、発生するのは水だけという夢のような車です。そのため、環境保全という意味で非常に注目されており、今後も進化開発が期待されている分野です。では、自動車を動かすエネルギーを作り出せるのに、水しか発生しないというのは、どういった化学反応式がもとに行われているのでしょうか。みなさんに水素自動車の化学反応式をお見せしましょう。次の式が、水素自動車の化学反応式です。

2H2+O2→2H2O

(水素+酸素→水)

つまり、酸素と水が結合して水が発生する際に、電気が発生するということをこの化学反応式は示しています。本当にそのようなことがあるのか、と疑うかもしれません。これは、みなさんが理科の実験で必ず1度は行う、水の電気分解の逆の反応です。水の電気分解の実験では、水に電気を加えることで酸素と水素に分解しますが、この燃料自動車の例は、逆に酸素と水素結合させることで水が発生し、その副作用として電気が発生するというものを利用しています。

では、なぜこんな便利な水素自動車が普及しないのでしょうか。1つは、コストが高いためです。水素自動車には燃料電池という電池が使用されていますが、まだこの分野の開発が進んでいないため、コスト面で非常に高くなってしまっています。そのため、通常のガソリン車や電気自動車と比べ、水素自動車が高くなってしまい、まだ普及には進んでいません。

2つ目は、既存のガソリン車や電気自動車と比べ、長距離の走行には向いていないためです。これは、化学反応によって得られる電気エネルギーの量や、今回説明した化学反応に必要な水素の補充をする水素ステーションが、全国にはまだ少量しか設置されていないためです。しかし、この分野の開発が進み、水素自動車が普及すれば、自ずと水素ステーションが設置され、近い将来今あるガソリン車・電気自動車は、水素自動車に置き換えられるでしょう。そして、身近になった際、みなさんは今回説明した化学反応を、より身近に感じることができるようになると思います。

では、他にこの水素と酸素の結合を利用した電気エネルギーを活用しているものはあるのでしょうか。例えば、この燃料電池を活用している例の1つに、JAXAの開発している電動航空機があります。まだ完全な実用化には至っていませんが、こういった例もあることから、電動で動かせるものは、段々と燃料電池に置き換わっていくことが考えられます。

自動車の電池の仕組みは??

さて、前の章で水素自動車のような未来の自動車の話をしてきましたが、ここからは、今現在私たちの多くが使っている、ガソリン車で使われている自動車に積まれている電池の話をしましょう。そもそもみなさんは、私たちがよく乗っている車に電池が載せられているというのをご存知ですか?例えば、車の中で使っているラジオやエアコン、ライトなどは全て、車に搭載されている電池の中に貯められている電気を使って動いています。ライトなどを使っている間は電気を使用しており、車が走っている間にそのタイヤが動いているエネルギーを使って電気を発電しています。では、私たちが持っている車に積まれている電池というのは、どのような電池なのでしょうか。私たちの自動車に積まれている電池というのは、鉛バッテリーというものです。鉛バッテリーがどのような仕組みで充電され、どのような形で放電しているのか、化学反応式も使って理解していきましょう。

まずは、放電についての説明です。バッテリーの中には、電解液である濃度30%から35%ほどの希硫酸が存在しており、その中には電極である二酸化鉛と鉛がつながっています。これらの二酸化鉛と鉛を導線で繋ぐと、次のような化学反応式の化学反応が発生します。

PbO2+2H2SO4+Pb→PbSO4+2H2O+PbSO4

(二酸化鉛+希硫酸+鉛→硫酸鉛+水+硫酸鉛)

この化学反応式では、二酸化鉛と硫酸そして鉛を混ぜると、二酸化鉛と鉛の電極版が硫酸鉛に変化し、加えて水が電解液内に溶け出すということを表しています。これらの化学反応が発生している間に、イオンの移動によって電子が電極内を移動するため、その際に、電流が発生しています。

続いて、充電について解説していきます。充電をする際には、上記で話した放電をし終わっている状態なので、2つの電極はどちらも硫酸鉛になっており、電解液の中には水が溶け込んでいます。今回は充電なので、2つの電極に電気を流し込む必要があります。硫酸銅である2つの電極を導線でつなぎ、これらに電流を流すと次のような化学反応が発生します。

PbSO4+2H2O+PbSO4→PbO2+2H2SO4+Pb

(硫酸鉛+水+硫酸鉛→二酸化鉛+希硫酸+鉛)

お気づきかもしれませんが、これは放電で行われた化学反応とは逆の反応です。つまり、陰極と陽極の硫酸鉛と水を合わせると、二酸化鉛、鉛、そして希硫酸が発生します。こうして、この鉛バッテリーの状態は、最初と全く同じ状態になり、充電と放電を繰り返すことができます。

この鉛バッテリーというのは、電池の中でも最も古い歴史を持っており、自動車のバッテリー以外に、非常時のバックアップバッテリーなどにも用いられています。この電池の特徴は、他の電池に比べて比較的コストが安く、温度も幅広い範囲に対応できるということです。また、充電をしすぎても電池があまり弱ることがなく、使用されてきた歴史が長いため、信頼が置かれているバッテリーです。ただし、充電と放電をする際のエネルギーの効率が、他の電池よりも低いなどの課題もあるため、その点で他の電池に劣る面もあります。

ケーキ作りに役立っている化学反応式?

お祝いのときに食べるケーキや、お昼ご飯に食べるホットケーキは、大体ふわふわですよね。お店で出てくるケーキがふわふわなのはよく分かりますが、例えばお母さんが作っているケーキもふわふわに膨らんでいるのは何故でしょうか。よく考えてみると、どうやって膨らませているのか知らないのではないでしょうか。実はケーキが膨らんでいるのも、今回紹介している化学反応を利用したものなのです。この章では、その原理をご紹介しましょう。

ホットケーキを作る際に、ホットケーキミックスをたいていの家では使うと思いますが、今回重要なのはその中身です。まずは、ホットケーキミックスの中で、重要なものをお教えしましょう。ホットケーキミックスに含まれているのは、小麦粉や砂糖、ブドウ糖や食塩、着色料などですが、それに加えて重要なのがベーキングパウダーです。

ベーキングパウダーとは何かご存知ですか。ベーキングパウダーは、主に重曹からできています。重曹というと、掃除のときに使うものを想像しますが、食べ物を作る際にも活用できるのです。重曹は理科の世界で言うと、炭酸水素ナトリウムという物質です。炭酸水素ナトリウムは、化学式で書くと、NaHCO3と表せます。しかし、これだけではどうしてホットケーキが膨らむのか分からないと思うので、一度ホットケーキの作り方を考えてみましょう。

まず初めに、ボールに卵と牛乳を入れて混ぜます。その後、その混ぜたものにホットケーキミックスを加えて、もう一度かき混ぜます。そして、できた液体をフライパンで熱し、その後冷まします。そうすると、段々と泡が出てくるため、裏返しまた一定時間焼きます。そうすることで、膨らんだホットケーキが完成します。こうして見てみると、ホットケーキミックスを混ぜたりした後に、焼いたところでホットケーキが膨らんでおり、「熱する」ということに重要なポイントがありそうです。実は、これは炭酸水素ナトリウムを熱することで発生する気体が原因で、ホットケーキが膨らんでいるのです。ここで炭酸水素ナトリウムを熱したときの化学反応式をお見せしましょう。

2NaHCO3→2Na2CO3+CO2+H2O

(炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水)

この化学反応式が示していることは、固体である炭酸水素ナトリウム、ここではベーキングパウダーを熱すると、炭酸ナトリウムと二酸化炭素、加えて水が発生するということです。つまり、先ほどホットケーキを作る際に発生していた泡というのは、この炭酸水素ナトリウムが分解されて発生した二酸化炭素だったわけです。そして、二酸化炭素によって内部からホットケーキが膨らみ固まることで、ふわふわのホットケーキが完成しています。この化学反応式は、よく中学校の理科の実験でも行われます。試験管に粉末状の炭酸水素ナトリウムを少量入れ、試験管の口を傾けながら、アルコールランプで熱します。そうすることで、二酸化炭素水、そして炭酸水素ナトリウムから変化した固体の炭酸ナトリウムが発生する様子が観察できます。この化学反応式が有名なのは、数ある化学反応の中でも、固体・液体・気体の全てが同時に発生する化学反応だからです。また、化学反応式も見た目はかなり難しいので、よく試験に出題されます。しかし、このように生活にも溶け込んでいる身近な化学反応式なので、これを機会に覚えてみましょう。

身近で危険な化学反応式(マネ厳禁!)

よく出るけど、危険な化学反応式(マネ厳禁!)

さて、ここからは身近な化学反応ではあるものの、実際に実行すると非常に危険な化学反応をご紹介したいと思います。簡単に身の回りにあるもので実行はできますが、本当に有害なので、真似はしないようにしましょう。

アルミと酢のものの組み合わせは危険…!?

学校にもっていくお弁当には本当に様々な種類があると思います。例えば、オーソドックスなのはプラスチックのお弁当であると思いますし、たまに木のお弁当持っていたり、おしゃれな人は、鉄のお弁当なんてものを持っていたり、本当に様々なお弁当があります。しかし、その中で1つ注意しなければならないお弁当箱の素材があります。それはアルミニウムです。アルミニウムというのは、非常に酸性に弱いため、酸性のものを一緒に入れてしまうと、表面が溶けて傷ついてしまい、アルミニウムが溶け出してしまいます。溶け出したアルミニウムは、食品に混ざってしまうため、みなさんがお弁当を食べるときに一緒に食べてしまうことになります。食べ物で酸性のものといえば、例えば梅干しや酢の物などです。梅干しや酢の物などの酸性の食べ物と、アルミニウムを一緒に入れたときに発生する化学反応を化学反応式で見てみましょう。

2Al+6HCL→2AlCl3+3H2

(アルミニウム+塩酸→塩化アルミニウム+水素)

上の化学反応式が示すように、アルミニウムと酸性のものを混ぜると、塩化アルミニウムと水素が発生します。この塩化アルミニウムを体内に取り込んでしまうと、様々な有害なことが発生してしまう可能性があります。糖尿病などの病気を持っていたり、体質によっては、取り込んでしまったアルミニウムを体外に排出できずに、蓄積してしまうことによって病気などを招く恐れがあると言われています。

ちなみにですが、こういった酢の物や梅干などの酸性の食べ物を持ち運んだり、保存するのに適した容器というのは、何でできたお弁当箱なのでしょうか?プラスチック製のタッパーなどは、大抵のものは大丈夫です。なぜなら、酢の物等の酸性は酸性といっても、薄まった弱めのものなので、プラスチックの主な成分であるポリプロピレンを溶かしてしまうほどの強さではありません。ただものによっては、耐酸性のないものも一部あるため、念のため確認しておくのが良いでしょう。また、どうしてもプラスチック製のものを使うのは不安だが、メーカーなどに確認するのはめんどくさいと思ってしまう方には、ガラス製のものやステンレス製のもの、またホーロー製のものなどがお勧めです。

塩素系漂白剤と酸性の洗剤の危険性

塩素系漂白剤と酸性の洗剤

学生であるみなさんは洗濯をすることはあまりないと思いますが、例えばお風呂に入ったときなどに、漂白剤が置いてあるのを見たことがあるかもしれません。もし家にあったら、今夜その漂白剤の容器をよく見てみましょう。きっと大きく「混ぜるな危険」と書いてあることでしょう。もしかしたら、昔小さい頃にその文字を見たときには、何が起きるかわからないが、「混ぜるな」と言われると混ぜてみたくなり、実験とかをしたくなったこともあるのかもしれません。この章では、実際にどういったものに混ぜると危険で、混ぜてしまうとどうなってしまうのかを、化学反応という側面からお教えしたいと思います。

そもそも、「混ぜるな危険」と書いてある漂白剤は、どういった漂白剤のものなのかというと、漂白剤の中でも「塩素系漂白剤」と呼ばれる種類の漂白剤に書いてあります。「混ぜるな」と書いてありますが、これは何と混ぜてはいけないのかというと、洗剤、その中でも酸性の洗剤に混ぜてはいけないと言われています。具体的には、この2つにはどんなものがあるのかというと、塩素系の漂白剤や洗剤には、「カビキラー」や「キッチンハイター」、「トイレハイター」や「パイプマン」などがあります。また、酸性の洗剤には、キッチンのシンクなどをきれいにする「水回りのティンクル」やトイレの洗剤「サンポール」、また食器用の洗剤である「キュキュット」などが当てはまります。例えば、水回りの便器やお風呂の中には、よくカビが発生します。このカビを取り除くために、「カビキラー」を使いますが、その後は便器やお風呂の掃除をするため、先ほど酸性洗剤と書いた中にある「サンポール」や「ティンクル」などを使ってしまいます。このような組み合わせをした際に、有害ガスである塩素ガスが発生してしまいます。どのように発生してしまうのか、化学反応式の形で見てみましょう。

NaClO+HCl→NaCl+H2O+Cl2

(次亜塩素酸ナトリウム+塩酸→塩化ナトリウム+水+塩素)

ここで表されている化学反応式は、非常に簡潔ですね。次亜塩素酸ナトリウムと塩酸を混ぜると、塩化ナトリウムと水と塩素が発生するということが表されています。塩化ナトリウムは塩であるため、塩化ナトリウムと水は問題ありません。しかし、ここで発生する塩素というのは、気体の塩素であり、これは人間にとって非常に有害です。塩素ガスというのは、吸い込んでしまうと、目や気管等を腐らせてしまうことがあり、また肺炎を引き起こす可能性があります。最悪の場合、吸い込みすぎると、死に至ってしまうこともあるため、非常に有害であり危険です。

では、実際どのようにすれば、こうなることができるのでしょうか。もちろん、酸性の洗剤と塩素系の漂白剤を2つは使わず、どちらか1つにすれば問題は無いのですが、どちらも使わなければいけないときもあるでしょう。そういったときには、片方を使ってから十分な水でよく洗い流し、その次の洗剤を使うと良いでしょう。またあるいは、1日以上間をあけて、ある程度漂白剤の効果がなくなった後で洗剤を使うことで、塩素ガスの発生を防ぐことができます。これら「混ぜるな危険」の漂白剤洗剤を使う際には、今回説明した化学反応が発生し、有害性があるということを頭に入れておきながら、十分に気をつけて使用しましょう。

銅と硝酸(試験によく出る化学反応)

最後は、身近なものではありませんが、試験によく出る化学反応の中で危険なものがあるので、それを紹介しようと思います。今回混ぜてはいけないものは、銅と硝酸です。銅というのはきれいな赤色をしていますが、自由の女神のように、酸化していくとだんだんと青っぽくなってきます。これを急速に酸化するためには、濃縮した硝酸をかけてみるのが早いです。では、銅に硝酸をかけるとどうなるのか、化学反応式で見てみましょう。

(硝酸が希硝酸の場合)

3Cu+8HNO3→2NO+4H2O+3Cu(NO3)2

(銅+希硝酸→一酸化窒素+水+硝酸銅)

(硝酸が濃硝酸の場合)

Cu+4HNO3→2NO2+2H2O+Cu(NO3)2

(銅+濃硝酸→二酸化窒素+水+硝酸銅)

硝酸が希硝酸の場合と濃硝酸の場合で、少し化学反応式の様子が異なりますが、発生するものは概ね同じです。希硝酸を混ぜた場合は、一酸化窒素と水と硝酸銅が、濃硝酸を混ぜた場合は二酸化窒素と水と硝酸銅が発生します。この中で有害なのが硝酸銅です。硝酸銅というのは、気体自体の色は茶色をしており、水やエタノールによく溶ける気体です。実用面では、銅のめっきや花火、医薬などにも使用されているのですが、実際に吸い込んでしまうと人間にとっては有毒です。目などに刺激を与えてしまったり、皮膚を腐らせてしまう刺激性があります。この化学反応が終わった後には溶液が緑色になり、茶色の気体である硝酸銅が発生するのですが、液体の中には二酸化窒素が残っており、これに水の少量を混ぜると、二酸化窒素が酸化窒素になることによって、溶液が明るい青色になります。

こういった様子は実験としては非常に面白いです。もし興味があれば、本や科学の動画などを見てみてください。自分でやることは危険なので、実際には真似しないでください。

まとめ

みなさん、今回紹介した化学反応式はいかがだったでしょうか。冒頭にも説明した通り、小学校から中学校になって急に難しくなる教科の中の1つが理科であり、またその難しくなった理科の中でも、「化学反応」という分野は、かなり多くの生徒さんがつまずく分野の1つです。

また、その難しい化学反応を、意味のわからないアルファベットを並べた「化学反応式」で紹介されても全く理解できないわけで、多くの中学生の方が化学反応でつまずいてしまうのもよく分かります。しかし実際には、今回紹介した通り、私たちの身の回りには多くの化学反応が存在し、これらの化学反応もまた試験などでよく出てくる化学反応の1つなのです。危険なものもありますが、ただただ怖いだけでなく、化学反応式で理解すれば原理が理解できて、怖さも弱まるでしょうし、また生活に役に立っているものは、より原理ができ、理解できて、身近に感じるようになったと思います。こういった身近なものを、より詳しく理解するということにも、化学反応式は活用できます。勉強して理解すればするほど、理科の勉強はより楽しく感じることができると思うので、みなさんも頑張ってあきらめずに勉強してみて下さい。

なお、お勉強の事でお困りごとがありましたら、是非私たち家庭教師にもご相談ください!また、家庭教師の仲間も募集中です。ご興味のある方は下記リンクより是非ご検討ください。

この記事を書いたのは

現役一橋大ライターU

家庭教師ファースト登録家庭教師。一橋大学 商学部在学。塾講師の経験もあります。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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