家庭教師ファースト教育コラム子育てのヒント

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【保護者向け】お子さんが不登校になったときにすべき事とNG行動

  • 子育てのヒント
  • 現役家庭教師ライター K.M

現代社会には、心身ともに健康な人には想像もつかないような問題が潜んでいます。その一つが子どもの不登校です。不登校の際に親がどのように対処すべきかは非常に重要であり、適切な対応が子どもの将来に大きな影響を与えることがあります。今回はそんな不登校の話です。お子さんが不登校になったときに親が取るべき主な行動と、注意点について解説させていただきます。

なお、不登校でお悩みの際には家庭教師など第三者に相談してみることも一つの手段かもしれません。

不登校と登校拒否の違い

厚生労働省によると「登校拒否」とは、病気や経済的理由を除いて、心理的情緒的身体的社会的要因などによって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由による場合を除く。)児童生徒が登校しない、またはすることができない状況を指す、と定義しています。

一方、文部科学省は、1998年に「年間30日以上欠席したもの」を不登校と定義しています。病気や怪我、経済的な理由は含まれていないため、健康で学校に通える状態でありながら、学校に通うことが出来ず1年で30日以上欠席している場合、不登校と呼ばれます。

この定義の違いから分かるように、登校拒否には日数などの詳細な定義がされていないことから、これは一時的な状態や行動そのものを指し示す言葉であり、一方の不登校は登校していない状況が常態化された場合に用いられる言葉であることが分かります。

また、前者が厚生労働省の定義、後者が文部科学省の定義であることにも注意が必要です。厚生労働省は、主に福祉健康労働問題に関する政策を担当する省庁です。登校拒否の定義が厚生労働省によってなされていることは、登校拒否が主に心理的・精神的な健康問題と捉えられています。

登校拒否は、しばしば不安障害、うつ病、対人恐怖症などの精神的な健康問題と関連しているため、厚生労働省の管轄として扱われています。このため、登校拒否に対する対応策には、カウンセリング精神科の支援、社会福祉サービスの利用が含まれます。

厚生労働省は、子どもが心理的な問題を抱えたときの社会的な支援ネットワークの構築や、家庭環境の改善など、広範な福祉政策の一環として登校拒否を捉えています。

一方、文部科学省は、教育文化科学技術に関する政策を担当する省庁です。不登校の定義が文部科学省によってなされているのは、不登校が教育問題として捉えられていることを意味します。

不登校は、教育制度学校現場での対応が重要視される問題であるため、文部科学省の管轄となっています。教育的な視点から、不登校に対するアプローチは、適応指導教室フリースクールの活用、学校現場での個別対応策の策定などが中心となります。

文部科学省は、不登校の実態調査や、学校教育における支援策の整備を担当しており、学校現場での対策や教育政策の枠組みを提供しています。

このように、登校拒否と不登校がそれぞれ異なる省庁の定義に基づいていることは、日本における子どもの心理的健康と教育の問題が複合的であることを示しています。両省庁がそれぞれの視点から問題に取り組むことで、より包括的な支援が可能になります。例えば、厚生労働省による心理的支援と、文部科学省による教育支援が連携することで、子どもの不登校問題に対して多面的に対応できる体制が整えられます。

これにより、登校拒否や不登校に対して、心理的ケア、社会福祉、教育支援といった幅広い対策が可能となり、子どもや家庭に対するサポートの質が向上します。 総じて、この区分は子どもの問題に対して複数の視点からアプローチし、包括的な支援を提供するための日本の政策的な枠組みを反映しています。

不登校のきっかけ~登校拒否の理由~

子どもが登校することを拒否するのには理由があります。これらの理由によって登校拒否が始まります。そして登校拒否の結果として学校に行っていない日数が30日を超えたら不登校として認定されます。

一般的な学校でも、欠席が30日続けば不登校として記録されることになっており、そこから不登校というくくりで教員間で情報が共有され、対処が検討されます。

以下に登校拒否の理由として考えられる主だったものを挙げていきます。原因を特定することは問題解決においてはもっとも大切であるともいえるので、心当たりがあれば一度立ち止まって考えてみましょう。

学校内でのいじめや人間関係の問題

いじめやクラスメートとの不和が原因で、学校に行くことが恐怖や不安の原因となることは誰もが思い浮かべる登校拒否の理由なのではないでしょうか。

具体例にはクラスでいじめを受けている子どもが、登校するたびに身体的・精神的苦痛を感じたり、特定のグループに排斥され、孤立感を感じることが登校拒否の要因となります。

これも当事者でなければわからないものですが、いじめや人間関係の問題は精神的にも肉体的にも子どもに非常に大きな影響を及ぼします。いじめられたり生徒からの拒絶を受けていたりする子どもは強い不安感恐怖感を抱き、学校に行くことに対して拒否反応を示します。

たかが子どものやることだと油断する大人が多いことには注意です。仮に実際には些細なことのように思えても、子どもは未発達であり、精神的なキャパシティもまだまだ小さいものです。実際の影響として食欲不振睡眠障害などの身体症状が現れることさえあります。

学習の遅れや学業不振

学校の授業についていけないことや、成績が悪いことが原因で、学校に行くのが嫌になることもあります。成績が下がることに対するプレッシャーが強く、勉強に対する意欲を失ってしまいます。

このような生徒は授業で理解できないことが多く、授業中に強いストレスを感じています。その根本は自尊心が傷つき、自己評価の低下や無力感が強まることにあります。そうして学校へ行くことに対する拒否感が増していきます。

精神的に登校を拒絶しそれが深刻化すると頭痛や腹痛など、ストレスに起因する身体症状が出現することもあります。起立性調整障害過敏性腸症候群などは教育現場でよく上がる症状名で、耳にしたことがある人も多いかと思います。

教師との相性や教師からのプレッシャー

教師との相性が悪い、または教師からの指導が厳しすぎると感じ、登校が苦痛になることもあります。厳しい指導や叱責を受けることが多く、教師に対して恐怖心を抱いたり、教師に無視されている、または不公平に扱われていると感じたりと様々なことが引き金となり得ます。

このような状況に陥った生徒にとっては学校に行くこと自体がストレスになり、学校に対する抵抗感が高まります。ストレスから、疲労感が増したり、身体的な不調が頻繁に現れることもあります。

家庭環境の問題

家庭内の問題(両親の不和虐待経済的困窮など)が原因で、学校に行くことが二次的な問題に感じられることもあります。

家庭内での暴力や精神的虐待が原因で、外部の人間関係恐怖を感じることもあります。親の離婚や経済的な困難に直面しており、家庭内での問題に集中してしまうこともあります。昨今ではDVハラスメントという言葉もよく聞かれます。また、経済格差も顕著になってきており、豊かと思われている日本ですら飢餓を経験したことがある人が人口に対して5%程度もいます。

不安定な家庭環境が子どもの精神的健康に悪影響を与え、学校に行くエネルギーを失うのは当然のことですが、生活の安定根源的な欲求が満たされていなければ子どもはそれ以上の探究活動をするゆとりがなくなってしまいます。

家庭内のことは常態化することが多いので一時的な症状として子どもに現れることは少なくそうした点では気づきにくいですが、何日も同じ服を着ることや提出物の忘れ物が多い、必要なものが用意できないなどの兆候がみられることもあります。また、睡眠障害や慢性的な疲労感などがみられることもあります。

社会的な不安や対人恐怖

人前に出ることに強い不安を感じる、または他者とのコミュニケーションが苦手で、学校に行くことが恐怖の対象となるといった場合は近年になって増えてきています。

このような生徒にしてみれば、人前で発言することや、他人と目を合わせることに強い不安を感じます。クラスメートと会話することが苦痛であり、昼休みや授業中にストレスを感じながら過ごすことになります。

したがって、社会的な場面における恐怖心が強まり、学校に行くこと自体が過度のストレスになる。過呼吸や動悸や、先述した起立性調整障害過敏性腸症候群などのストレスが要因と考えられる症状が現れることもあります。

適応障害

そもそも適応障害とは、ある特定のストレスや環境の変化に対して、精神的・身体的な反応が過剰に現れ、その結果として日常生活に支障をきたす状態を指します。これはいじめや対人不安などと混同されがちですが、単純に適応することそのものに関わる障害という点で違っています。

適応障害の症状には、不安、抑うつ、イライラ、集中力の低下、睡眠障害、食欲の変化などが含まれ、これらがストレス源に対して起こります。通常、そのストレス源が取り除かれるか、時間が経つことで症状が緩和されますが、適切なサポートがなければ、状態が悪化することもあります。

生徒にとっては新しい環境に適応できず、学校生活に馴染めない、新しい学年やクラスでの人間関係にうまく適応できず、孤立感を感じる、引越しや転校など、新しい環境に対する適応が難しく、学校生活が苦痛になるなどの状況が考えられます。

適応障害を抱える子供は強いストレスを感じるとともに、不安感や抑うつ感が増し、頭痛や腹痛、慢性的な疲労感など、身体的な不調が現れることもあります。

発達障害や学習障害

発達障害学習障害が原因で、学校生活に困難を感じ、登校を拒否することも考えられます。これも近年増えてきているケースであるといえます。

発生過程をたどると、ADHD(注意欠如・多動症)ASD(自閉スペクトラム症)などに診断されるような生徒が、周囲の生徒との差異に苦しみまたは葛藤し、ますます授業中に集中できなかったり、クラスメートとの関係に苦しんだりすることになります。

学習障害により特定の教科で著しくつまずき、劣等感を抱くことから逃避的な行動をとったり、全く関係のないことで自分の存在をアピールしようとする場合も多く、問題の特定が困難なことも多いです。

問題行動で発散できるうちはまだよいですが、自分が他の子どもと違うと感じることで、自己評価が低下し、学校に行く意欲が減退することも考えられ、これが不登校につながることもあります。

身体的な病気や慢性疾患

体調不良慢性疾患が原因で、学校に行くのが難しいというわかりやすい状況も不登校の原因として考えられます。

このような生徒は、慢性的な頭痛腹痛アレルギーなどの健康問題が原因で、定期的に学校を休むことが多くなります。学校に行く頻度が低下すると、成長に必要な行動をとる機会も減ってしまうので、体力が低下し、学校生活に必要なエネルギーが不足することにもなります。

さらに体調不良が続くことで、学校に行くこと自体が大変な負担に感じられるようになり、登校意欲が低下するなどの二次的な状況も考えられます。

病気が原因で学校生活に支障をきたし、精神的にも消耗する場合が多いですが、近年では家庭でのゲーム依存などが原因で体力が一昔前の平均を下回る子どもが増えてきています。これが行き過ぎると慢性疾患と同様に学校に行くこと自体に負担を感じるようになることもあります。

家庭内での過保護や過干渉

親が過保護であったり、過干渉であったりすることで、子どもが自立できず、学校生活に対する不安を強く感じることも不登校の原因として考えられることです。

このケースでは親が過度に心配し、学校に行くことを必要以上に大事にとらえてしまうことなどしてしまうため、子どもが学校に行くこと自体をストレスに感じたり、親の干渉が強く、自分で判断する力が育たないため、学校でのトラブルに対処できないなどの例が挙げられます。

このような生徒は自分に自信が持てず、学校でのトラブルが大きな不安材料になります。そこからくるストレスや不安が原因で、身体的な不調が表れることがあり、不登校につながる場合もあります。

外部の影響(SNSやネット依存)

SNSオンラインゲームなどの影響で、昼夜逆転の生活になり、学校に行くことが困難になるというケースは多く、まさに近代的な教育上の悩みの代表格といえるでしょう。

生徒は夜遅くまでオンラインゲームやSNSに没頭し、朝起きられなくなりますし、ネット上での友人関係が中心になり、実生活の学校生活が疎かになることも少なくありません。睡眠不足生活リズムの乱れから、学校に行く体力が低下するほか、無気力になりがちで発達のための機会を大きく損なうことも少なくありません。

現実の学校生活よりも、ネット上の生活に依存するようになることが問題の核心にありますが、体力の低下などから年齢相応のことができなかったり、機会を失してしまうなど様々な弊害も先述の通り非常に対処しにくい問題として重くのしかかってくることもあります。

不登校の理由まとめ

ここで述べたように、不登校になる原因は実に様々で、注意深く対処しないとむしろ逆効果であるようなことも少なくありません。

さらに、生徒が中学生にもなれば思春期も相まってコミュニケーション上の問題も絡むようになり、原因の特定が非常に困難になります。

「じゃあ、いったいどうすればいいの?」

このように思われることかと思いますので、次章からは子どもとの向き合い方を見ていきましょう。

不登校になったらすべき事①子どもの気持ちに寄り添う

まず大切なのはなによりも子どもの気持ちに寄り添うことです。これを完ぺきに行うことは難しいですが、完ぺきにできないからと言って何もしないことだけはNGです。

不登校の子どもにはそもそもの不登校の原因があることに加え、学校に行かないことに対して罪悪感不安を感じていることがあります。そのため、非常に複雑な感情を抱きやすいものです。

まず親は子どもの気持ちに寄り添い、無理に学校に行かせようとせず、子どもの話をじっくりと聞くことから始めるとよいでしょう。これにより、子どもは自分の気持ちが理解されていると感じ、安心感を持つことができます。

これは言葉で言うのはあまりにも簡単ですが、具体的にはどうしたらよいかわからないということも多いので、「子どもの気持ちに寄り添えていない」という逆の状況を考えてみる必要があります。

「子どもの気持ちに寄り添えていない」とは、子どもの感情や考えを理解しようとせず、大人の価値観期待を優先させてしまう状況を指します。この状態では、子どもの感情や悩みが軽視されたり、無視されたりするため、子どもは孤立感無力感を感じることが多くなります。

また、親や教師が子どもの言葉や行動の背後にある感情意図に気づかず、表面的な行動や結果だけに焦点を当てることで、子どもが十分なサポートを受けられなくなることもあります。以下はNG行動の具体例です。

NG行動1:子どもの不安を軽視してしまう

子どもが学校に行くことに不安を感じているにもかかわらず、親がその不安を理解せず、「学校に行かないと将来困るよ」とか「そんなことで悩むなんて甘えてる」と言ってしまうことがあります。

例え客観的に見て大したことがないような問題であっても、子どもにとっては深刻なこともあるということは知っておく必要があります。なぜなら、子どもはまだ発達途上であり、その発達段階の領分でしかものを考えられないということもあります。そもそも問題があって悩まされているのですから、視野が狭窄してしまうのは無理もないことなのです。

仮に子どもが「クラスでいじめられているかもしれないから学校に行きたくない」と打ち明けた時、親が「ただのからかいでしょ」と言って真剣に受け止めず、すぐに学校に行くように強要したらどうなるでしょうか。

この場合、子どもは自分の不安や悩みを共有しても無駄だと感じ、次第に親に相談しなくなる可能性があります。この状態を学習性無力感と言います。こうなってしまうと先々も重要なことを打ち明けてもらえず、問題が深刻化し表面化するまで問題に気付けないことも出てくるでしょう。

NG行動2:子どもの気持ちを否定してしまう

これは多くの人が気づかずにやってしまいがちですが、子どもが何か意見や希望を述べたときに、親がそれを無視したり、正論で片づけてしまうといったことがあります。

例えば、子どもが「この習い事はあまり楽しくない、別のことをやってみたい」と言ったときに、親が「何言ってるの、せっかく始めたんだから続けなさい」と、子どもの気持ちを無視して続けさせてしまうようなことがあるでしょう。

このような時、子どもはたとえ自分の意見が大多数に受け入れられるようなものでなくとも、自分の気持ちや意見が尊重されていないと感じ、親に対して不信感を抱くかもしれません。こうしたことが続くと、子どもは素直に自分の気持ちを言えなくなり、気持ちのやりどころを失ってしまいます。最悪の場合にはそれが全く別の問題行動になって現れてしまいます。

習い事関係の話などは本当によく聞く話ですが、確かに一つのことを継続することは素晴らしいことですし、そこから得られるものも大きいです。しかし、子どもは日々成長し様々なものを観て聴いて感じています。なかなか言い出せない悩みを抱えている可能性も大いにあるのです。

そうした子どもの気持ちを否定してまで親の考えにこだわるようなことは避けた方がよいでしょう。また、親が子どもに望むようなことはまず親が率先して見せるなど、手間を惜しんでもいけません。

NG行動3:子どもが感じているストレスを理解せず放置してしまう

子どもが過度のストレスを感じているのに、親がそれを理解せず、「もっと頑張れ」「他の子はできているのに」とプレッシャーをかけるようなこともありがちなことです。

子どもが「テスト勉強がすごく大変で、どうしても点数が伸びない」と言ったときに、親が「もっと勉強すればできるはず」「努力が足りないだけだ」と返してしまうような場合が考えられます。この場合、子どもは自分の努力苦労が評価されず、さらにプレッシャーを感じてしまい、精神的に追い詰められる可能性があります。

これに関しては親の側が良かれと思ってやってしまうことが非常に多いのが厄介なところです。努力から得られるものは素晴らしいように見えますが、過度の期待から子どもが実は自分の興味関心からではなく親を喜ばせるために努力をしているというケースも少なくはありません。

子どもが何に努力の価値を見出していて、どのようなことをしてきたのかが理解てきいるのが望ましいです。しかし、そのようなことをすべて把握できているということは稀です。それでもこれらのことを知ろうとするだけでも違いが生じてくるでしょう。親のスタンスが大切です。

NG行動4:子どものペースを無視する

子どもが自分のペースで物事を進めたいと考えているのに、親が自分の理想スケジュールを押し付けるということは、大したことがないように見えて最も子どもを苦しめることの一つです。

例えば問題を抱えている子どもを一刻も早く正常な状態に戻し、子どもに自信を取り戻してもらいたいという親御さんの気持ちは痛いほどわかりますが、「~までに~しなければ」というプレッシャーは問題からようやく立ち直ろうとしている子どもにとってはストレスでしかありません。

それに、基本的には問題が醸成されてきた期間よりも短い期間で改善が起こることはあり得ないと思っておいた方が賢明です。何年も原因を放置することで顕在化した問題が、たった数日で治るというようなことは自然の摂理を無視していると考えるべきです。

森でたとえると非常にわかりやすいです。一夜にして破壊された森林が一夜または数日にして元に戻ることはありません。土壌を整えるところからやり直さなければ、元の森林以上のものは望めません。

子どもが「今日はゆっくり休みたい」と言ったときに、親が「休んでばかりいないで、習い事に行きなさい」と強制するような場合も気を付けた方がよいです。何も問題を抱えていない子どもに対して言うのであればよいかもしれませんが、登校拒否に至るほどの悩みを抱えているような子どもには酷でしかありません。

子どもからみても、このようなプレッシャーをかけられるのは自分のリズム体調を無視されたと感じ、親に対して反感を抱く引き金にもなりかねません。自分を理解してくれないと感じることで次第に親や周囲の大人に対して信頼感を失い、心を閉ざしてしまうこともあります。

子どもの気持ちに寄り添う~まとめ~

以上の例を見てみると、子どもの気持ちに寄り添うことがいかに難しいかが分かります。ですから、これが不登校の子どもと向き合う上で最も重要な点であるともいえます。

何より子どもは信頼関係の築けない相手に自分の問題の解決を頼ろうとは思いません。まずは信頼関係を築くというのは、どのような人間関係においても大事だということです。決して子どもを下に見て、高圧的な物言いにならないようにしましょう。

不登校になったらすべき事②学校と連携をとる

子どもが不登校になってしまった場合、学校との連携は非常に重要です。学校側と協力して、子どもの不登校の原因が分かるようであればそれを理解し、対処するための計画を立てることが必要です。また、学校との定期的なコミュニケーションを通じて、子どもの現状把握学校での取り組みを確認することが重要です。

不登校は学校生活での問題が大きな原因であることが多いため、学校との連携は不可欠となります。学校側が子どもの状況を正しく把握し、家庭と協力して支援策を講じることで、子どもの学校復帰をスムーズに進めることが可能です。連携をとることで、子どもがどのような問題に直面しているのか(いじめ、学業不振、人間関係など)を把握し、それに合わせた対応策を策定することができます。

学校と家庭が連携を取らない場合、子どもの問題が適切に解決されず、さらに不登校が長期化する恐れがあります。学校側が状況を把握していなければ、子どもが学校に戻ったときに同じ問題が再発するリスクが高く、また家庭側も学校の支援が得られないため、子どもへのサポートが不十分になりがちです。

子どもやその家庭が学校から断絶されるという状況は問題の解決を遅らせてしまう可能性が大いにあります。例えば、親が学校側とのコミュニケーションを拒否し、家庭内だけで問題を解決しようとする場合、問題が長期化しやすいです。学校側が子どもの状況を理解できないため、必要な支援を提供できなくなります。

学校側に全てを任せてしまうような場合にも注意が必要です。家庭が全てを学校に任せてしまい、親自身がサポートの責任を感じないような場合はかなり大きな問題となります。学校と家庭が共に歩み寄り協力しないと、子どもはどちらのサポートも得られず、孤立感を感じることがあります。

子どもが社会集団とつながっていて社会性を失わないような状況を作っておくという意味合いでも学校との連携は重要です。不登校になった場合に最も懸念されるのは社会性が育まれなくなってしまうことも考えられます。子どもの気持ちに寄り添い、それを優先することは確実に必要なことではありますが、そればかりになってしまっては子どもが学校に戻ったときや社会集団の中に出ていくときに困ってしまいます。

完全に社会と切断されてしまうと、復帰しようという意欲すらわかなくなってしまうことも考えられます。学校と連絡が難しいような場合、または学校側が明らかに良くない対応をしてるような場合には次の項で説明するように専門家専門施設に相談するのがよいでしょう。

また、社会と切断された場合、子どもは自分の居場所として偏った場所を選んでしまうことも大いに考えられます。そのような偏った場所で偏った考え方を身に付けてしまうと、反社会的な思想活動に傾倒してしまったり、不健全な人間関係を構築し始め、二次的な問題に発展していくことも考えられます。まずは社会的な組織とのつながりを絶やさないことを心がけましょう。

不登校になったらすべき事③専門家の支援を求める

不登校が長期化する場合や、学校の対応に限界がある場合、また親自身がどのように対応すべきか分からない場合は、専門家の支援を求めることが重要です。多くの場合、子どもが不登校という問題を表面化させる前には水面下ですでに問題は起こっています。

そもそもその問題が生じてしまう、問題として顕在化しても解消しない、またはその問題に気付かなかったり誰も手を打たなかったから問題が存在し続けてきたのであって、単に家庭内で不登校を続けていても解決しないことがほとんどです。

つまるところ、問題は本人だけでなく本人を取り囲む環境にもあり、当然その環境には親御さんも含まれています。問題の当事者が問題を俯瞰することはほぼ不可能であり、だからこそ第三者の力添えが必要となります。そこで頼るべきなのが専門家の支援です。

「専門家の支援を求める」というのは、不登校や適応障害のような問題に対して、心理的・精神的な支援を専門とする人や機関に助けを求めることを指します。具体的には、以下のステップで進めることが考えられます。

ステップ1:学校のカウンセラーに相談する

学校にはスクールカウンセラースクールソーシャルワーカーが配置されていることが多く、まずは学校内で相談することができます。カウンセラーは、子どもが学校生活でどのような問題に直面しているかを把握し、適切なアドバイス心理的サポートを提供してくれます。また、学校側と連携して、学校生活を改善するための具体的な対策を話し合うことも可能です。

具体的には担任の教師や学年主任に、スクールカウンセラーとの面談を依頼することや、学校に設置されている相談窓口に連絡するなどの行動を選択することができます。

これは不登校の児童にとっては最も身近な専門家の支援となりますが、そもそも不登校で学校に来たがらない場合にはこの支援を受けることが難しくなってしまいます。そのような場合には次のステップです。

ステップ2:地域の教育支援センター(適応指導教室)を利用する

日本では、地域ごとに教育支援センター(適応指導教室)が設置されており、不登校適応障害に対する支援を行っています。ここでは、心理的な支援に加え、社会適応のためのプログラム学習支援を提供しており、子どもが学校に戻るための準備をサポートしてくれます。

お子さんが学校に行きたがらず、スクールカウンセラーなどの支援が受けられない場合には住んでいる地域の教育支援センターに問い合わせましょう。また、親御さんだけでも教育委員会学校に適応指導教室について相談し、利用方法を確認するなどしてもよいでしょう。

このステップでの注意は、こうした公的な支援はあくまでも支援というくくりのものであり、本人に改善や学校生活への復帰の意志がない限りは難しいことが多いです。そのような場合には次のステップに移りましょう。

ステップ3:精神科医や心理療法士(臨床心理士)に相談する

子どもの心理的な問題が深刻な場合や、長期間にわたって問題が続いている場合は、精神科医や臨床心理士などの専門家による診断や治療が必要です。

精神科医は、必要に応じて薬物療法を行うこともありますし、心理療法士はカウンセリング認知行動療法(CBT)などの心理的なサポートを提供します。これにより、子どもが抱える不安やストレスに対して、より専門的な治療を受けることができます。

これに関しては親御さんの決断と行動が重要です。また、子どもが自らの意志で治療を受けるということが不可欠です。地域の心療内科精神科、もしくは子どものメンタルヘルス専門のクリニックを受診するなどしてみましょう。

これに関しては施設によって治療方針がかなり違うこともあるので、根気よく自分たちに合った施設を探す覚悟も必要になることがあります。

問題に詳しい専門家にまずは相談してから病院の紹介を受けるという手順を踏んだり、学校行政機関に相談して信頼できる医療機関を紹介してもらったりといった手順を取るのが良いでしょう。

ただし、この段階でも子どもが病院に行くことを拒否することもあります。そのような場合、八方ふさがりのようにも思われますが、次のステップに進んでみましょう。

ステップ4:民間のカウンセリング機関や支援団体に相談する

子どもが専門家の治療を受けたがらない場合は公的なサービスが行き届かない状況になってしまいますが、そのような場合には民間の団体に頼るという選択肢があります。

地域によっては、民間のカウンセリング機関や、特定の問題に特化した支援団体が存在しています。不登校や適応障害に特化したカウンセリングサービスを提供しているところもあり、個別の状況に応じた柔軟な対応が期待できます。また、NPOボランティア団体が運営する無料または低額の支援サービスも利用可能です。

引きこもりの児童を部屋から出すなどの一歩踏み込んだ介入をするような支援団体もあったりと、かなり個別の問題に特化したサービスを受けることができる可能性がある一方、この段階では子どもの問題がかなり深刻化していると考えられるので迅速かつ慎重に相談を重ねる必要があります。

まずはインターネットや行政の案内から、地域のカウンセリング機関や支援団体を探しましょう。カウンセリングを受ける前に、口コミ評判を調べることも有効です。

専門家の支援を求める~まとめ~

専門的な支援を求めずに問題が長期化すると、子どもの精神的な問題が悪化し、社会生活や将来の適応に困難をきたす可能性があります。特に、放置されると不安障害やうつ病が進行するリスクが高まります。

また、親や教師が自力で解決しようとするあまり、適切なケアが不足し、逆に問題を悪化させてしまうこともあります。専門家のアドバイスなしに対応すると、誤った対応が子どもの心にさらなる負担をかける可能性があります。

専門家の支援を求めることは、子どもの不登校や適応障害といった問題に対処するための重要なステップです。学校のカウンセラーや教育支援センター、心理療法士、精神科医など、多くの選択肢がありますので、早めに対応することが大切です。親ができる限り早く支援を求め、専門家と連携することで、子どもの問題が解決に向かう可能性が大きく広がります。

不登校の原因・問題の特定は…?

さて、以上の3点を「お子さんが不登校になったときにすべきこと」として挙げましたが、多くの人が思うはずです。「問題の特定はしなくてもよいのか?」と。

これに関しては問題の解決には確かに必要ですが、親がやろうとしてもうまくいかないことがほとんどです。その理由は先ほども述べた通り、潜在している問題が解決されず顕在化してしまうような場合には、親がsの問題を醸成してきた環境の一端を担ってしまっているからです。

厳しい言い方にはなりますが、自分たちの行動も問題に含まれているという意識がなければ問題の解決は望めませんし、下手をすると「これが問題だ!」とその問題点だけを叩こうとして根本的な解決の機会を損なってしまうことになってしまいます。

親としてすべきことは問題解決ではなく、問題の当事者としての意識をもって謙虚に事に当たることです。特に第三者への相談は欠かせません。間違っても「不登校が恥である」などと思ってはいけません。そのような考えがいかに見当違いかであるかはここまでお読みいただければわかることと思います。

さいごに

さて、今回は不登校という重いテーマについて話をしましたが、いかがだったでしょうか。

著者自身も不登校の生徒に携わることがあり、このような問題が起こり親御さんと話をする度に子どもだけを問題視し、自分たちの認識で問題を解釈し子どもの気持ちに寄り添わない行動をとるというような場面を多く目の当たりにしてきました。

個人的に、お子さんの問題を考える前に持ってほしい視点としては、親自身もサポートを受けるということです。繰り返しになりますが、問題は当人だけに起こることではありませんし、当人だけが原因であることはまずありません。問題は個人ではなく環境がつくり出すという考え方を持つことが重要です。

また、子どもが不登校や心理的な問題に直面している場合、当然、親自身も精神的な負担を感じることが多いものです。親が安心してサポートを提供できるよう、親向けのカウンセリングサポートグループを活用することも有効です。親自身が適切な情報を得たり、同じ状況の親と交流したりすることで、子どもへのサポートがより効果的になります。

今はまだ問題に直面していないという方も、これを機にぜひ環境を見直してみていただきたいと思います。問題が顕在化していないだけで、すでに何かが水面下で進んでいるかもしれません。

なお、私も所属している家庭教師ファーストには「不登校サポートコース」があります。
同じように不登校を経験をした者や、不登校の生徒さんサポートさせていただいた経験が豊富な教師もいるので、一度相談だけでもしてみるのも良いかもしれません。

この記事を書いたのは

現役家庭教師ライター K.M

家庭教師ファーストの登録家庭教師。教員免許所持。塾講師・家庭教師歴10年以上。学習上のつまずきを環境面から考えて指導します。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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