
家庭教師ファースト教育コラム子育てのヒント
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「うちの子どもには集中力がない。」
このように思ったことがある親御さんは多いのではないでしょうか。子を持つ親にとって「○○力」という言葉は非常に強い関心事だと思います。その中でも学業に関わる集中力について、心配に思うことも多いのではないでしょうか。
今回は「子どもの集中力を高める方法」と題しまして、集中力とはそもそも何であるのかという視点から探っていこうと思います。
なお、勉強の事でお困りの際には、是非私たち家庭教師にもご相談ください!
この記事の目次
集中力は日常生活や職場、学校で非常に重要なスキルとされています。
集中力がなければ不注意でものを壊してしまうこともあるでしょうし、自分や他人をケガさせてしまうこともあるでしょう。車の運転などには特に気を付けたいものですね。そんな集中力は勉強を語る上でもよく出てくる言葉です。
「勉強に集中できない。」
「授業にちゃんと集中しなさい。」
このように、普段から「集中力」という言葉を、私たちは比較的多く使っていることに気づきます。集中力はいわば生きる力であり、集中力が高ければ私たちの日ごろの行動は「きちんと行われる」ことになります。そのような行動の積み重ねが、ゆくゆく成功とも結びついていきます。
逆にこれが欠如していれば、先述したように事故につながることもありますし、行動が成就しないため望みがかなわず成功を得られないということにもつながりかねません。それほど重要な集中力というものですが、実はその正体は案外知られていないものです。
例えば、集中力は「○○力」と付くくらいですから、何らかの力の源が存在しているものと思われます。しかし、その正体を説明することは意外と難しく、多くの人がぼんやりとその存在は認識するものの、今一つ説明しきれないというのが「集中力」というものです。
集中力とは、特定のタスクや活動に対する注意力を持続させる能力を指します。この能力によって、人々は目標達成のために必要な労力や時間を有効に使用することができます。
この点は多くの人が思っている集中力となんら変わりがないと思います。しかしながら、この集中力というものの正体を突き止めるのは実は一筋縄ではいきません。
以下よりみていきましょう。
集中力は認知心理学でしばしば研究されており、この分野では集中力は選択的注意として理解されています。選択的注意とは、多くの刺激や情報源の中から特定のタスクに関連するものに注意を集中させる能力です。
例えば、授業中を思い浮かべてみてください。先生が熱心に授業をしているとします。ある生徒が先生の授業が目前で繰り広げられているのに、窓の外をぼーっと眺めています。大人の目線から見れば、この生徒は「集中していない」とみられるのが一般的な感覚だと思います。しかしながら、この生徒から見れば、彼または彼女は外の景色に集中しています。なぜなら、この生徒は自ら選択して外の景色に注意を向けているからです。
こう考えると、おもしろいことに集中するという定義が揺らいできます。
神経科学では、前頭前野と呼ばれる脳の一部が集中力に関与しているとされています。この領域は計画、意志力、自制心といった高度な認知機能に関わっており、集中力の維持にも寄与していると考えられています。実はこの前頭前野は、先ほど説明した選択的注意にも関与していると言われています。
さて「脳の一部が関与している」ということが分かったとして、それがどのように集中力というものを作り上げているのでしょうか。集中力に関心がある人にとって、その一番の関心事は前頭前野と集中力が関与しているということではなく、どのようにしたら集中力を発揮し、維持できるかということですから。
これは認知心理学的な観点だけでは説明しきれないことですが、ニューロサイエンスの分野から見てみると展望が開けます。
生体イメージング研究の知見によれば「集中力が高い」と言われる状態の時には前頭前野の活動レベルが一定以上に維持されていると言います。そして、この活動の主要な要因の一つが神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンです。これが適切なレベルで分泌されているときに、脳は活動的になっていると言われています。つまり、脳の活動レベルというのは神経伝達物質によって変化するのです。
ドーパミンやセロトニンが適切なレベルで分泌されているときに脳は活動になっているといっても、それを私たちは日常でみることはできません。子どもが集中していないように見えているとき、私たちは状況でしか「集中していない」ことを暫定することしかできません。そんな目に見えないことをあたかも真実かのように言っても、子どもにしてみればそんなことは受け入れがたいものです。
しかしながら、先端の技術を駆使して脳の活動レベルを計測すること自体はすでに行われており、集中していない状態を可視化することはできます。それを可能にするのが機能的磁気共鳴画像法(fMRI)や陽電子放出断層撮影(PET)です。これらの方法では脳の活動状況を画像として可視化できます。
また、電気脳図(EEG)を用いれば脳波を測定・数値化し、これを集中力の指標として用いることができます。
このように、脳の活動レベルは観察可能なものとして解明されてはいます。しかしながら、これを個人レベルで観察するということはまだ難しいというのが現状です。
さて、ここまでの話で集中力というのはしっかりとした根拠をもって説明できることであることが分かりました。また、個人レベルで集中力を測定することは難しいということもわかりました。
では、集中力が発揮されているか否かを私たちの目で判断するためには、何を根拠にしたらよいのでしょうか。ここからは集中力に関する一般的に言われている誤解を挙げ、それをひも解いていくことによって集中力の有無や持続状態を個人レベルで判断する材料として理解していきましょう。
まずよくあるのが、集中力は「その気になればいくらでも持続できる」というものです。ここで言う注意力は、先述の選択的注意を維持する力のことだと思ってください。
一般的には、集中力が絶えず持続するものと考えられがちですが、実際にこれは有限であり、時間とともに枯渇していくものです。
先ほどまでのドーパミンの分泌や脳の活動という観点で見てみると集中力は体力と同じで、永久的に持続できるものではありません。かなり無理をすれば途切れながらでもなんとか絞り出すようなことはできますが、それでも十分に休養を取った万全な状態の集中力には到底及びません。また、年齢や発達段階によっても平均的な集中力の持続時間は異なります。
例えば、幼児期であればまだ注意力も発達途上であり、集中力はわずか数分程度しか続かないと言われています。
小学校では15~20分程度、中学校では20~40分程度の集中力の持続時間であることを考えると、授業に最後まで集中で来ない子どもの方が多いと考えるのが自然であり、授業をする教師はそのようなことも考慮して授業を設計するべきですし、子どもの勉強を見守る親は適度な休憩が取れているのかをしっかりと見守ることが大切になります。
高校生以上ともなるとより長く集中力は持続するようになり、ようやく「話を聞いているのが当たり前」の状態が出来上がっていると考えられます。もちろん、個人差はありますし、その点は体力も同じです。
端的にまとめるならば、集中力というのはドーパミンやセロトニンの分泌や脳の活動に関与することからもわかるように、量的な上限のある資源であるということです。
ということは、集中していないという状態の判断は選択的注意を向けるだけの資源が枯渇している、いわばスタミナが切れたような状態であると考えることができます。
ですので、このような時には適度な休養を取り、再び脳が働くために身体を整える必要があります。このような状態で子どもを叱っても子どもは集中しませんし、仮に集中しているようなそぶりを見せてもその質は落ちるものと考えた方がよさそうです。
とはいえ、集中力は鍛えて増やすことができるものでもあるので、年齢や発達段階によって段階を用意し、集中力が持続できるような適度な長さの勉強量を設定することも効果的です。その際にはくれぐれも「同い年の他の子ができているのだから…。」と自分の子どもにも同等のことを強いてはいけないということを忘れないようにしましょう。
これは重要な視点ですが、選択的注意を向ける時と、夢中になっている時では集中力の質がそもそも違います。選択的注意を向けている時というのは、ドーパミンやセロトニンを絞り出し、無理やり脳の活動レベルを上げようとしている状態であるとイメージするとわかりやすいです。
これに対して夢中になっている時というのはドーパミンが勝手に大量に出ている状態です。ですから、非常に高い集中力を比較的長時間維持することができます。
好きなことをしている時、子どもは目覚ましい集中力を発揮します。だからと言って好きでもないことをやっている時も同様に集中できるというものではありません。この線引きができないと非常に危険です。
例えば、自分の好きな趣味にはとことん打ち込み、勉強には全く集中できないという子どもがいるとします。そんな子に対して親が「この子は勉強に対してだけ意図的にやる気を出していないのだ」というとんでもない誤解をし、好きな趣味を取り上げ、勉強を強制してしまうことがあります。この親にしてみれば、集中力を絞り出せば好きな趣味も勉強も同じようにできるはずでように見えていることでしょう。ですが、好きなことを取り上げてしまっては、この子にしてみれば悪夢でしかありません。そもそも「人の気持ちを変えることはできない」という基本的なことを忘れないようにしたいものです。
とはいえ、集中力がこのようなものだからと言って子どもたちが勉強を嫌ってしまえば全く集中力が発揮できないと言っているわけでもありません。先ほども述べたように、成長の段階に合わせて適切な段階を用意し訓練していけば、勉強するのに十分な集中力を獲得することはできます。
また、夢中になっている集中力を発揮している時も、選択的注意を向けて集中力を発揮している時も同じくらい体力を使うことに変わりはありません。いずれにしろ無限に続くものではないということは忘れないようにしましょう。誰が見ても、頑張って集中して疲れるよりも夢中になりながら気づいたら疲れている方が良いですけれど…。
これも非常に多くの人が誤解していることです。
多くの人々は、複数のタスクを同時にこなすこと(=マルチタスキング)が集中力を高めると考えがちです。しかし、先ほど集中力は量的な上限のある資源であることを言いましたが、認知心理学によればマルチタスキングは認知の資源を散漫にしてしまい、逆に集中力を低下させる可能性があります。これをイメージするのは難しくはありません。単純に1つの電池で3つのモーターを動かすよりも、1つの電池で1つのモーターを動かす方がエネルギー効率が良いという話です。
先ほど集中力は鍛えられると言いましたが、確かにマルチタスキングによって複数のタスクのそれぞれに割り振ることができる集中力は増やすことはできるでしょう。それでもその集中力は1点集中した時は到底及ばないです。
また、マルチタスキングの能力を上げることはできますが、これを目覚ましいレベルで上昇させるには身体的な成熟も必要であり非常に時間がかかります。ですから、長期的な計画に基づいて行わなければそもそも報われない努力になってしまいますし、そもそもの話、訓練としてのマルチタスキングをしている間は仮に勉強に時間を割いていたとしてもほとんど効果はありません。
ですから、よく子どもが主張する「音楽を聴いている時の方が集中できる」といったことは非常に効率が悪い場合が多いです。ましてや、LINEなどのメッセージのやり取りをしながら勉強するなどといったことはマルチタスキングに加え作業も断続的になってしまう非常によくない行動と言えます。
メッセンジャーアプリを使用しながら学習をすることについてはこれまでに研究がなされており、これが学習の効果を奪うだけでなく、学習に悪影響すら与えているという結果も報告されています。
ただし、音楽に関しては歌詞がないものや、子どもの注意を奪う要因がないものであれば逆に効果を高める場合もあります。よく聞くところではクラシック音楽などが良いと言われますね。
マルチタスキングと聞くと非常に聞こえが良いですが、多くの場合は単なる「ながら○○」になってしまうということです。集中力は落ちますし、せっかく勉強したとしても大して知識も身に付きません。
最近とても流行った『スマホ脳』でも、スマホを同じ部屋に置くだけで学習の成果が落ちるという研究も紹介されていたほどでしたので、スマホと一緒に勉強をすることはもっての他です。
少し話はそれますが、勉強においてスマホが活躍することがあるとすれば、それはスマホに心を奪われないほどしっかりとした自律ができる人間が、何かの情報を参照する際に使える場合でしょう。
何かと理由を付けてスマホを触りたがる子どもは多いですが、そもそもスマホを持つにふさわしいほど自律ができていれば勉強に困ることもそうそうありはしません。したがって、スマホを勉強に活用できるような子どもは、ほとんど必然的にてハイレベルな勉強をしているはずです。
このことは~集中力は無限に持続する~に述べたことと似ていますが、選択的注意を行う時のような自己制御だけが集中力を高める要因ではありません。
集中力を高めるためには自己制御が必要だと一般的に考えられていますが、集中力は環境、健康状態、心理的要因など、多くの外部要素にも影響を受けます。このことはつい忘れられがちになります。特に成熟した大人からすると、意識的に集中することは子どもよりも比較的簡単なことですので「その気になりさえすれば集中力は持続できる」と考えがちです。
ですが、子どもは些細な悩み事や精神の不安定で自己制御能力を容易に失ってしまいます。これを自己制御しようとなると,かなり自分を抑圧することにもなります。自己制御は子どもにとっては大人が思うほど簡単ではないということを私たちは知るべきでしょう。まずは子どもの健康と安心を確保することが非常に重要なのです。
さて、ここまで集中力とは何かについて詳しくみてきました。これまでのことをまとめると、子どもの集中力を高める要因は何かということが見えてきます。集中力を高めるためにはどのようにしていけばよいのか、集中力を低下させる要因をみていきましょう。
ドーパミンやセロトニンの分泌が集中力に関わるのであれば、それらの分泌物を生み出す自分の体の状態が良くなければそれらの分泌の状況もよくならないだろうということは自明でしょう。栄養状態や睡眠、運動などの生理的要因も集中力に影響を与えることは広く認められていることでもあります。
疲れていると集中力が発揮できないのは、疲労から身体の機能を十分に発揮できない状態であると考えられます。また、睡眠不足や栄養不足、栄養の偏りも同様に集中力の欠如につながります。
睡眠不足については言うまでもない気がしますが、睡眠はある程度コントロールできるので少し深堀してみましょう。睡眠の質と量が集中力に影響を与えることはすでに多くの文献でも示されている通りもはや常識ですらあります。しかし、意外と知られていないのが睡眠の質です。睡眠はただ時間さえ長くとればよいのではなく、睡眠中の状態が非常大切であることが分かっています。特に、REM(Rapid Eye Movement)睡眠が認知機能に重要であるとされており、睡眠時間は長くてもこの状態の睡眠が得られていなければ集中力の発揮は期待できません。したがって、集中力低下を低下させる睡眠不足を単に睡眠不足ととらえるのではなく、不規則な睡眠時間と睡眠の質の低下ととらえるようにすることがまず大切です。
そこからはお決まりではありますが、毎日規則正しい睡眠習慣を身に付けることです。睡眠時間が多少短くとも、良質な睡眠さえ確保できれば良いとも考えられますが、如何せん睡眠に関してはまだまだ未解明のことが多く、さらにはかなり個人差があるという見解が強いので、子どもだけに判断させず、家族で睡眠データを共有するなどして協力しながら客観的な評価をすることも大切になってきます。
栄養不足については言わずもがなですが、特定のビタミンやミネラルが認知機能、特に集中力に影響を与えることがこれまでの研究でも示されています。バランスの良い食事はもちろん、摂取した栄養素が効率よく吸収されるために適度に運動をすることや、栄養素の吸収を阻害する添加物の多い食べ物は避けるようにした方が良いでしょう。また,炭水化物は眠気を誘発することが分かっているので、勉強をしている時にやってしまいがちな糖分の過剰摂取などは避けましょう。
栄養ドリンクも糖分が多いことで知られていますが、これも効いているように感じるのはカフェインなどの成分と血糖値の一時的な急上昇によるものであり、血糖値が下がった後の虚脱感は集中力を恐ろしいほど奪い去ってしまいます。
お菓子を与えないと勉強しない子どもが増えているとも言われていますが、お菓子は適量であれば報酬として作用することも考えられます。過度になってしまうとかえって集中力を低下させる代物です。
一般的に食全般に気を付けることは非常に難しいですし、勉強も必要ですが自分の目的に合わせて気を付けるべき点を押さえてうまく取り入れていくことが大切です。
ストレスや精神不安定も集中力に影響を与えます。特に子どもは大人よりも敏感に心が働くので注意が必要です。
精神の状態が不安定な時の子どもは非常に集中力も落ちやすいです。大人ですら精神的に安定していなければなかなか集中は保てないものです。精神が不安定になれば、子どもはいじけて見せたり、意固地になってなかなか大人の言うことを聞かなくなったりします。こうなると親としてはついつい叱ってしまったりしがちですが、叱るにしてもタイミングを誤るとかえって問題が解決しなくなってしまいます。
大人は様々なことを経験しているが故に耐性を身に付けているので子どもの子どもらしい精神の不安定さがどうしても幼く映ってしまうものです。当然、子どもは経験が浅いわけですので、精神的な変化に対して大人のように柔軟に対応しきれないことが多くなってしまうのです。このような状況に対する対応としては、日ごろ親や保護者が子どもの安全基地・安心基地になることを心がけることです。
子どもにとって「自分のことを分かってくれる」ことや「安心して泣いたり怒ったりできる」という環境は精神の安定に不可欠です。子どもは自分が守られていると感じ、精神的に安定している時に初めて外の世界を探索できるようになるとも言われています。
集中力のように精神状態が作用しやすいパフォーマンスも、安定状態では向上しやすくなります。
子どもの能力をフルに引き出そうとするならば、精神の安定は不可欠であるということです。
さらに,子どもが安心基地・安全基地を持っていると良いことがあります。それは、夢中の状態に入りやすくなるということです。言うまでもなく、爆弾がいつ降ってくるかわからないところでは子どもは集中できるはずもありません。ですから,家庭内の不和などが子どもの集中力を奪うことは当然のことです。子どもの集中力を高めるのであれば、それらを用意するところから始めましょう。
当然と言えば当然のことですが、外部環境(例:照明、音、温度)も集中力に大きく影響を与える可能性があります。隣で工事を行っていて騒音がひどい空間では、まともに集中が持続しません。適切な環境を設定することも集中力を高めるために必要なこととなります。
物理的に子どもが快適に感じる場所であるということは基本となります。静かな空間、適度に明るい空間、寒すぎず暑すぎない空間など工夫できるところはするようにしましょう。どうしても家の中で環境設定が難しい場合には、図書館に一緒に行く習慣をつけることや、学校や塾などの環境を利用するという手段も考えられます。その他には公民館などでの学習に関わるイベントや、自治体の学習支援なども利用できることがあります。
できることは思いのほか多いので、面倒がらずに探すようにしましょう。環境設定がうまくいくだけで勉強が捗ることも少なくはありません。
上記のような物理的な環境設定に加えて親や保護者、そのほかの家族が干渉しすぎないようにすることも重要になります。家族のメンバーのライフステージに合わせて家族全員が話し合い、時には適度な距離を置いて生活をするというのも、勉強に限らず必要なことです。環境の設定には家族の協力が不可欠です。環境の要因が改善されれば、子どもの集中力は高めやすくなるでしょうし、そのほかの家族のメンバーにとってもメリットが大きくなることでしょう。
一般的に「動機」と訳されるモチベーションですが、「やる気」として捉えられることもあります。これに関してはかなり感情的な要素が大きく、解明されていないことも多いですが、この力が高ければ夢中になるのと同じような自然と湧き上がるような力が強く働き、ドーパミンが分泌されやすくなります。
ある研究によれば、ドーパミンの分泌は人間が物事に期待するときに最も盛んになるそうです。つまり、やる気というのはこれから得られるものに対する期待感であるともとらえることができます。それは物質的なものであったり経験的なものであったりと様々ですが、何らかの報酬があることや達成が予期できるものに人は期待感を抱きます。
とても好きなものが大きなモチベーションとなることは言うまでもありません。例えば好きなアーティストのコンサートであったらそこで得られる高揚感やパフォーマンスの楽しさは大きな期待の実なものです。
ボランティアであってもモチベーションが働きます。人から感謝されることや、自分が社会のために働いたという充足感を得られるという期待、または自分が働くことによって誰かが幸せになったということが感じられるという期待があるからボランティアにもモチベーションが働きます。
モチベーションを高めるためには何かを期待できなければなりません。期待したものを得るためには相応の達成が必要になります。ですから、モチベーションを高めるためには「自分ならできる」という自己効力感が非常に大切となります。自己効力感が高ければ目の前の課題に挑戦する機会も自然に増えていき、成功や達成を味わうことも増えていきます。いわゆる成功体験ですね。
逆に「自分には無理」となんでもあきらめがちな人は達成を得られる機会も少なく、したがって物事に対して多くを期待することもなくなってしまいます。成功体験があることで人は次のさらに大きな課題に挑戦するためのモチベーションを得られるのです。モチベーションが高い人は様々なことに意欲的に挑戦しますし、それだから脳も活動的であり、非常に集中力も高くなるのです。
先述した健康状態や精神状態、環境要因が集中力にとって非常に大切な要因であることは間違いありませんが、モチベーションがあるということは夢中になっている時の集中力を発揮できる鍵でもあり、最も効果的で爆発力の高い集中力を高め方かもしれません。
したがって、子どもの集中力を高めるというテーマからはあまり想像できなかったかもしれませんが、成功体験を積み、子どもの自己効力感を伸ばしていくことも集中力を高める方法の一つと言えるのかもしれません。
今回は集中力の高め方について、集中力とはそもそも何であるのかという観点からみていきました。このような視点で集中力について書かれたような記事はあまり見かけることがないかもしれませんが、安易な方法論に頼るよりかは集中力という事象について知識を深める方が効果があるかもしれないと著者は考えました。
著者自身は自分なりに集中力を高める方法論を持っています。例えば、本を読んでいて集中力が切れてきたと思えば、コーヒーを飲んでから15分仮眠をとることをよくします。これは睡眠についてと脳が適度な休息を必要とすることを知っていれば妥当な方法であるとわかります。
著者が持っている方法論は、基本的には集中力とは何であるのかを知ることができていればすんなりとどこでも知識が手に入れられるものばかりですが、一つだけどこにも書かれていないことがあります。それは、ケンカをしないということです。たとえほんの少しのことでも、気を荒げず,相手を尊重して接しようと心がけるだけで、人間関係が良好になるばかりでなく、集中力も保たれます。
経験ありませんか?口喧嘩をした後のモヤモヤ感と何も手につかないあの感覚…。集中力には精神状態が重要であるということを知っていれば、むやみに人と争うこともなくなっていくのだろうと著者は強く信じています。
現役家庭教師ライター K.M
家庭教師ファーストの登録家庭教師。教員免許所持。塾講師・家庭教師歴10年以上。学習上のつまずきを環境面から考えて指導します。