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家庭教師ファースト教育コラムその他の雑学

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【太宰治】教科書・入試によく出る作家「太宰治」~走れメロス~を解説

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  • 現役北大生ライターK

『走れメロス』『人間失格』などの言わずと知れた名作と、苦悩に満ちた破滅的な人生で今なお多くの人を魅了する文豪・太宰治。近年では漫画やアニメのキャラクターにもなっており、その知名度はかなりのもの。

「教科書にも載っているしなんだかすごい人みたいだけれど、よく知らない…というか全く知らない…誰…」なあなたも、

「名前と『走れメロス』くらいは知ってるけど、興味ないね」というあなたも、せっかくなので多少語れる程度に知った気になってみましょう!

なお、勉強の事で困ったことがあった際には、是非私たち家庭教師にもご相談ください!

太宰治ってどんな人?

太宰治ってどんな人?

まずは彼がどんな人なのか、そのアクの強い人生を追いつつ見ていきましょう。

生誕~高校生活、一度目の自殺未遂

太宰治(だざい・おさむ)。明治時代末期の1909年、青森県に生まれます。県内有数の大地主の家の生まれで、ひらたく言えばお金持ちの家出身ということです。11人兄弟で10番目の子として生まれた太宰は、早くから作家を志します。中学校の時には主席(学年でイチバン優秀)になるほど勉学に秀で、さらに創作活動も盛んに行っていました。
ところが高校時代、憧れの大作家・芥川龍之介が睡眠薬を飲み自殺した知らせを聞き、太宰は大きなショックを受けます。芥川龍之介と言えば、栄誉ある賞として現代まで続く「芥川賞」にその名を遺し、教科書でもおなじみ『羅生門』などの名作をつづった、まさに大文豪です。生涯の目標とも呼べる人が人生に絶望し自らの手で命を絶ったのですから、その衝撃も計り知れないものだったでしょう。人生をあきらめるという選択肢に気付いてしまった太宰は、学業に打ち込んでいた頃とは打って変わって芸事や恋路、創作活動に夢中になりました。このあたりから実家の大地主という立場、すなわち労働者から金を搾取する立場に自分がいることを呪うようになり、病弱な弟の死も重なって、ついに一度目の自殺を試みます。幸いにも一命はとりとめたものの、人生への諦念は消えないままでした。

大学生活、創作と挫折

頑張って勉強し、大学を出て豊かな生活を送る、という出世コースから外れながらも、太宰は東京帝国大学に入学します。ここでも、労働者階級(当時はめちゃくちゃ過酷な労働環境でした)の苦しみに対して同情し、自分の裕福な生まれ(資本家階級、またはブルジョワジーという言葉で表されます。シンプルに言うと人を雇う立場側の方々)を嫌悪する姿勢は変わりません。実家では過酷な環境で労働者が厳しい生活を強いられている、貧しい人々の敵である実家は嫌いだ、でもそうやって稼がれたお金がないと自分は生活できない…自分の中にわだかまる深刻な矛盾。この矛盾を、文学の師匠である井伏鱒二(いぶせ・ますじと読みます。この人も太宰にとってのキーパーソンです)との交流の中で、「作家として成功することによって解決するしかない」と決心します。

ただし、この時期にいくつかのアクシデントが重なります。やや過激な政治活動に加担していた太宰は、地元青森の同級生と恋仲になりました。ところが、実家は結婚を許可する代わりに家族の縁を切ることを条件に出します。勘当というやつですね。勘当されては生活費も出してもらえないので大変です。この事件の後、太宰はまた別の女性と心中(親しい間柄の人が一緒に死ぬことを指します)を試みますが、太宰のみ生還します。しかし生還したはいいものの相変わらず状況は苦しいまま。新聞社へ就職活動をしますが失敗に終わり、創作活動の面では芥川賞候補になるも落選。悲しみに暮れ今度は首を吊ろうとするもうまくいかず、そのまま病院へ入院。そしていけないおクスリに手を出している間に、奥さんは浮気…あまりに散々な目に遭います。

どん底からの再起、流行作家へ

こんなどん底の太宰が立ち直るきっかけは、師匠である井伏の手助けでした。富士山の見える天下茶屋という場所に招き、結局妻と別れた太宰へお見合いをセッティング。この新しい奥さんがたいそうしっかり者で尽くすタイプだったそうで。太宰は人が変わったように、『富嶽百景』『走れメロス』など次々と作品を書きあげ、あれよあれよという間に流行作家の仲間入りを果たします。子も生まれ、順風満帆の生活のうちに実家への恨みも消えてゆき、出世した姿での里帰りを果たすことができました。実家との和解と満ち足りた生活、まさに幸せの頂点と言ってもよいでしょう。

太宰の選択、そして入水

第二次世界大戦終結後には実家がだんだんと落ちぶれてゆくものの、まだまだ売れっ子作家の太宰。ところがこのあたりで、山崎富栄(やまざき・とみえ)というしっかり者で献身的な女性に出会い、心惹かれるようになりました。奥さんか新たな女性かの選択に太宰は、「家庭の中で得られる現実的な幸せ」よりも、「憧れを追い続け自分に正直に生きること」を選びます。つまりは、山崎とともに生きることを選んだのです。精神的にも健康的にも不健康な生活の中で、ひたすら尽くしてくれる山崎の存在に助けられながら、太宰は代表作ともいえる『人間失格』『グッド・バイ』などの作品を書きだしました。この『グッド・バイ』を連載中に、太宰は山崎とともに玉川上水という水路に身を投げ、そのまま亡くなってしまいます。何度も自殺未遂と心中を繰り返した果てについに入水し、39年の生涯を閉じることとなりました。遺体はくしくも太宰の誕生日に発見され、その死に顔は穏やかなものだったといいます。
少々長くなりましたが、以上が彼の大まかな人生です。改めて見ても波乱に満ちていますが、実はこの話には注意点が一つ。太宰治という人は嘘や演技がうまく俳優気質だったそうで、彼がその時本当はどう思っていたかを知るのは非常に困難だったと考えられます。なので以上の心情についてはあくまで一つの分析に過ぎないという点はお忘れなく。ともあれ、かなり独特で不思議な人柄が多くの人を惹きつけるというのは確かなことなのでしょう。

教科書に出る!太宰治の『走れメロス』

教科書に出る!『走れメロス』

大変長らくお待たせしました!ここから本格的に勉強に関わる話となってきます。中学2年生の教科書に登場し、その明快なストーリーとタイトルのインパクトで記憶に残る名作『走れメロス』。そのあらすじとポイントに迫っていきましょう。

背景と登場人物

まずは舞台の背景から。場所はイタリアのシラクサという都市で、この都市は今も存在します。主な登場人物は、主人公の青年メロスと、彼の親友である石工(石の彫刻とかを掘ったりする仕事ですね)セリヌンティウス、そしてシラクサの王・暴君ディオニスの三人です。ディオニスは人を信じることができず、王家の人々や側近を次々と処刑していきます。メロスは唯一の家族である妹の結婚式を準備するためにシラクサの街を訪れますが、そこでかの暴君の話を聞き怒りに震えるというシーンから物語は始まります。

「メロスは激怒した。必ず、かの邪知暴虐の王を除かねばならぬと決意した。」(※)

という冒頭はあまりにも有名です。

メロスとディオニスの口論、約束

善良な人間であるメロスは王の非道な行いを許せません。やめさせようと城まで踏み入るも、当然あっけなく捕まります。ここでディオニスとメロスの議論の応酬が起こり、互いの考えの違いが明らかになります。

自分は孤独だ、人など私欲のかたまりで、すべてきれいごとだと告げるディオニス。メロスは反論し、人を疑うなと述べます。メロスは処刑されそうになりますが、妹の結婚式を見届けるため、三日間の猶予(ゆうよ、ちょっと待ってもらうことですね)をくれと王に向き合います。人を信じられない王に、私を信じてみよとメロスは言うのです。しかも、自らの親友・セリヌンティウスを身代わりとして置き、もしメロスが約束を破った場合、セリヌンティウスを代わりに殺すという条件付きで。ここで、「人を信じられないディオニス」と「親友の命を預かれるほどに信頼があるメロス」という対比が見て取れます。そう、『走れメロス』のテーマの一つは「信頼」です。

走るメロス

ディオニスはメロスの発言を嘘と思いつつも、もしメロスが遅れたならば自分の正しさを証明できると考え、彼の出した条件をのみます。セリヌンティウスは刑吏に引き取られ、メロスは妹のもとへ猛ダッシュ。だいぶ先だった結婚式の予定を明日に取り付け(実はこの調整にも結構時間かかっています)、土砂降りの中幸せに満ちた結婚式が執り行われました。居心地の良い空間に未練を感じるものの、友の命を背負うメロスは、妹と花婿に言葉をかけ、一眠りして結婚式場を後にします。実はこのとき、妹に向かってメロスはこんなことを言います。

「おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘を吐くことだ。」(※)

ここでもディオニスとメロスの対比がなされていますね。友の信頼を胸に、約束を嘘にしないためにメロスは走ります。メロスは処刑されるために走るのです。

試練の帰り道

順調にシラクサへ走っていくメロス。ところが、いくつかのアクシデントがメロスに降りかかります。土砂降りによる川の氾濫、王の命令で待ち伏せしていた山賊、照り付ける午後の太陽。荒川を泳ぎ切り、山賊を一薙ぎで打ち倒すも、灼熱と疲労にめまいを感じ、ついには走れず草原に倒れこんでしまいます。

「セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。私は急ぎに急いでここまで来たのだ。(中略)ああ、この上、わたしに望み給うな。」(※)

全力で走ったんだ、だますつもりなんて一切なかった、でももうこれ以上は無理、望まないでくれ。心身ともに疲労困憊、さすがのメロスもあきらめムード、かなり本格的に言い訳するくらいに絶望します。しかし、うつらうつらするメロスは水の音で目を覚まし、近くに泉があることに気づきました。泉の水を手ですくい一口飲むと力が湧き、再び立って走る希望が生まれたのです。そうしてただひたすらに突っ走り、口から血を噴き、服も破れて全裸になるほど走ります。

ついに刑場へ

刑場が見えてきたころ、セリヌンティウスの弟子であるフィロストラトスに声をかけられます。師匠はもう助からないと絶望し、それよりも自分の命を大切にしてくださいとメロスに呼びかけるフィロストラトス。しかしメロスはこう答えます。

「信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わないは問題でないのだ。人の命も問題ではないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。」(※)

間に合うから走る、間に合わないから走らない、命がかかっているから走る、かかってないから走らない。そんな計算するような判断ではなく、信じられている、その人の信頼に応えるために走るのだと、メロスは言うのです。ここに希望と絶望(あきらめ)の対比を見てもよいでしょう。

ついに刑場へとたどりつくメロス。セリヌンティウスの処刑は寸前で止められ、ふたりは見事再会を果たします。メロスはセリヌンティウスに、一度は友を見捨て、あきらめようとしてしまったことを告げ、ほほを思い切り叩くように言います。セリヌンティウスはうなずき、力いっぱい叩きます。彼の罪の意識を聞き、彼を許すために思いっきり。セリヌンティウスも、メロスは私を見捨てたのではと一度だけ疑ってしまったと告白し、同様にほほを叩いてくれと願います。メロスもその思いに応え、力いっぱい叩きます。そうしてふたりはあつい抱擁を交わして泣くのでした。ディオニスもその様子を見て感動し、人を信じることを受け入れ、ふたりと同じ、人を信頼できる存在になることを望みます。そうして大団円の中、一人の少女にマントをささげられたメロス。自分が公衆の面前で丸裸なことに気づき、「勇者は、ひどく赤面した。」という一文で、この物語は幕を閉じます。

『走れメロス』まとめ

話のあらすじは以上です。太宰が安定した生活を送っていた時期の作品であることもあって、ハッピーエンドといえる結末の物語になっています。嘘が得意だったとされる太宰の人となりを踏まえて読むと、また感想が変わってくるかもしれませんね。

余談ですが、太宰もこのメロスと同じような状況になったことがありました。お金が無くなり宿に泊まり続けられなくなったときに、友人の檀一雄(だん・かずお、この人も作家です)を身代わりとして宿屋に置き、師匠の井伏にお金を借りに行きました。しかし待てど暮らせど太宰は檀のもとへ帰ってきません。そこで檀が井伏の家に行ったところ、なんと太宰は井伏と将棋に興じていたのです。しかも特に悪びれもせず、「待つ身もつらいけど、待たれる方もしんどいんだよ」というようなことを言っていたそうです。ただ、この体験談がメロスのモデルになったわけではなく、ドイツの詩人・シラーの作品『人質』が元であると言われています。

これで『走れメロス』についての解説は終わりますが、本文のリズム感ある迫力満点の描写をぜひ楽しんでみてください。スッキリと読むことができると思います。

太宰治は「入試」にどう出る?

入試にはどう出る?

太宰治と代表作『走れメロス』について解説してきましたが、それでは入試にはどう出てくるのでしょうか。単刀直入に言いますと、知識を問う問題として出てきます。有名作品が長文読解の問題として出てくることはほとんどありません。なぜか? それは、問題の文章を読んだことがある・ないの差が入試の結果を左右してしまうのは不公平だから、という点が考えられるでしょう。有名な作品で問題を作ると、その作品を読んだことがある人が、背景知識や呼んだ経験分問題を解くのに有利になってしまいます。そうなると公平な入試にならない、という事情はあるように思います。
知識を問う問題として出るなら、あとは知識をつけるだけ。作者の名前と作品名をヒモづけられれば、大体の知識を問う問題に対応できると思います。簡単なものと難しいもの、2問の例題を出してみましょう。

【例題】

①次の選択肢のうち、太宰治の作品でないのはどれか。(簡単)

ア.『人間失格』  イ.『走れメロス』  ウ.『羅生門』  エ.『グッド・バイ』  オ.『富嶽百景』

②次の選択肢のうち、太宰治の作品はどれか。(難しい)

ア.『吾輩は猫である』イ.『斜陽』ウ.『雪国』エ.『高瀬舟』オ.『山月記』

あくまで一例ですが、こうした形式の問題は多くの入試で見られます。早速答え合わせをしてみましょう。

①の選択肢は、実はすべて1の文章で紹介しています。ウは芥川龍之介、それ以外は太宰治の作品ですので、正解はウ。わからなかった方は1.の文章を要チェキ!

②は、どの選択肢もこの文章では一度も紹介していません。しかしどの選択肢も有名な作品なので、ぜひこの機会に押さえておきたいものです。一つずつ見ていきましょう。

ア.『吾輩は猫である』…夏目漱石の作品。「名前はまだない」と続く文が有名。

イ.『斜陽』…太宰治の作品。実家と仲直りの後、ロシアの作品をヒントに書かれたもの。

ウ.『雪国』…川端康成の作品。「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」という文が有名。

エ.『高瀬舟』…森鴎外(もり・おうがい)の作品。安楽死について触れた小説。

オ.『山月記』…中島敦(なかじま・あつし)の作品。過剰な自意識のせいで人が虎になる話。

なので、正解はイです。

 いかがでしょうか? どちらの問題も、作者と作品がセットで覚えられていれば解けるものとなっています。文学作品について学習する際は、この点に注意しましょう。

おまけ・国語ってどう勉強する?

おまけ・国語ってどう勉強する?

太宰治についての解説は以上となりますが、せっかくですので入試対策としての国語について少し持論を述べたいと思います。あくまで一個人の考えではありますが、少しでも参考になれば幸いです。

現代文は勉強しづらい?

国語、特に現代文(評論・小説・随筆)というのは、実に勉強しづらい科目だと思います。他の科目は新しい知識を得て、それを使いこなせるかどうか試験で試される、という流れがありますが、現代文にはそれがありません。地理歴史公民に理科は言うまでもなく、数学なら公式、英語や古典でさえ文法や単語という新しい知識を得て、身についているかどうか問題を通じて試験で試されます。一方現代文はというと、「うちらネイティブだし現代文とかノー勉でよくね?」となりがち。単語や文法は常識やバイブスである程度何とかなるし、「日本語読めますか?」って聞かれたらさすがにイエスと言うのではないでしょうか。知識をゼロから積み上げるわけではなく、ハンパに知ってしまっているせいで、かえって何をしていいかわからなくなっている説、あると思います。知ってる言語の文章を読んで思ったことを答えとして書いて、それが当たってたり外れてたり…結果として「現代文は運ゲー」などと言われてしまうのかもしれません。

現代文を解くうえで気を付けること①

現代文への今の認識がこんな感じであるならば、おそらく少し意識を変えるだけでグッと現代文が解きやすくなるでしょう。はっきり言います、「答えは必ず文章中に書かれている」のです。大事なことなのでもう一度。「答えは必ず文章中に書かれている」のです。

厳密にいうと「文章から読み取れることの中に答えがある」なのですが、わかりやすさ重視でシンプルにいきましょう。どういうことかと言いますと、問いの答えは必ず文章中にあって、あなたの感想を書いても得点につながらない、ということです。

順を追って説明しましょう。まず現代文の問題には、文章よりも前に以下の文が必ずと言っていいほど書かれています。

「次(以下)の文章を読んで、後の問いに答えよ」

どこかしらで見た覚えがありませんか? 「だからなんやねん」と思うかもしれませんが、これを

文章を読まずに答えてはいけません=文章に関係ない答えを書いてはいけません

という風に変換するとどうでしょう。そうすると、例えば小説に「サトシ君はミクさんにフラれて悲しい気持ちになりました」と書かれていたら、「サトシ君が悲しい気持ちになったのはなぜですか」という問いには「ミクさんにフラれたから」と答えなければなりません。「サトシ君が財布を落としたから」とか「お母さんに叱られたから」では○はつかないのです。

シンプルな例なので「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、実際の問題はこれより言葉と内容の関係が複雑なだけで、考え方は同じです。

ちょっとそもそもの話をすると、そもそも入試での現代文は「文章から論理的に考えると確実に言えること[=筆者の主張]を、他の人に伝わるように表現できる」という能力が求められている節があります。要は、「文章を論理的に読めばみんな同じ結論にたどりついたよね? じゃあその中身[=筆者の主張]をわかりやすく教えて」って問題を通して言われているわけです。何百人が上の例を見ても、論理的に読めていればみんな「ミクにフラれたからサトシが悲しんでんじゃん」とわかるでしょう。その視点でいけば、別に美文や名文を書く必要はなく、本文中の言葉を少し言い換えただけの文でも、設問にちゃんと答えられていればきちんと得点できるようになるはずです。

~現代文を解くうえで気を付けること②~

と、ここまでは「答えは必ず文章中に書かれている」という話をしてきました。十分理解してくれたなら、とびはねちゃうくらいうれしいです。ここまで来たなら残りはもう少し。残りは、少し前に唐突に出てきた「論理」というものについて説明します。文同士の関係、みたいなものでしょうか。例えば、

「○○。だから××」のような「因果関係」、

「△△は☆☆。▲▲も☆☆」のような「並立関係」、

「○○は××。一方で△△は☆☆」のような「対比関係」、

「○○は××。例えば□□」のような「例示関係」、

「○○。つまり××」のような「言いかえの関係」、

の五つはメジャーなものですね。文章を書く人は、自分の主張をわかりやすく伝えるためにこれらの論理を使います。この文章にも「例えば」が結構多く出てきていますが、これも言いたいことをわかりやすく伝えるための工夫です(実っているかはともかく)。こうした論理を注意深く追って、筆者が何を主張しているのか読み進めることが大事ですね。

この論理は、問いにもあらわれてきます。「○○なのはなぜか」という問いなら因果関係を聞かれているため、「だから」「なので」「なぜなら」などの因果関係を作る言葉に注目したり、「△△とはどういうことか」という問いなら言いかえの関係に注目したりなどです。文章中の論理を意識するのと同時に、問いの中に含まれる論理にも注意しましょう

現代文のおすすめ勉強法

いよいよ勉強法について解説しますが、ここまで説明した「答えは必ず文章中にある」「文章中の論理、問いの論理を追う」を何となく理解できたよっていう方、練習として「抜き出しなさい」の問題に取り組むことをおすすめします。「答えは必ず文章中に書かれている」ので、どれだけ長い記述であろうと読解問題はまず「答えにあたる部分を抜き出すこと」が基本になります。文章の論理を追いながら答えになる場所を探し、文章中の言葉で答えをまとめる練習がきっと力になるはずです。

あと、最後に一つだけ。「なぜか」と聞かれたら「~だから」と答え「どういうことか」と聞かれたら「~ということ」と答えるようにしましょう。問いに対してまっすぐ適切な解答を書くコツです。先生によっては点をプラスしてくれることだってありますので。
いかがでしょうか? 国語という科目に対する疑問は解消できましたでしょうか? 「答えは必ず文章中にある」「文章中の論理、問いの論理を追う」に注意しながらまずは抜き出しの問題に挑戦するという勉強法、ぜひ試してみてください。あるいは、このコラムを注意しながら読み返す、なんていうのも面白いかもしれませんね。

まとめ

ということで、太宰治の人生と教科書で人気の『走れメロス』の解説、文学人・文学作品がどのように入試に出るか、そしておまけの国語の勉強法について、長々とつづってまいりました。あまり面白みのない文章だったかもしれませんが、ここで得た知識が何かの役に立つことを願っております。お付き合いいただき、ありがとうございました!

なお、勉強の事で困ったことがあった際には、是非私たち家庭教師にもご相談ください!

引用:

(※)…すべて筑摩書房「太宰治全集3」

アイキャッチ写真…田村茂, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

参考文献:

文藝春秋『太宰治に聞く』(井上ひさし)

中経出版『あらすじで読む日本の名著』(小川義男・編)

この記事を書いたのは

現役北大生ライターK

家庭教師ファーストの登録家庭教師。北海道大学文学部在学。学習に関して幅広くサポート可能です!

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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