
家庭教師ファースト教育コラム音楽・楽器
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「音感」という言葉を聞くと、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。音楽を教えたり習ったりという状況ではなくても、様々な場面で「音感」を感じている方々がいると思います。
その中で分かりやすい例えとしては、カラオケです。カラオケは、世代を問わず多くの方が経験したことある娯楽の1つかと思いますが、親しい間柄でのカラオケの場面では「音痴」という言葉が交わされることがあります。
歌の場面での「音痴」は、音感が鈍感であることから正しい音程で歌うことが出来ていない状態のことを指す言葉であり、本来の音程から外れて歌っていると「音痴だ」と言われてしまうわけです。
音痴であることを本人がどのように捉えているかでその後の行動は変わってきますが、音痴を改善して楽しく歌いたいと思う方も多いと想像します。音痴は病気ではないため、適切な練習を重ねると少しずつ改善されるため、そのような場合は音感に関するトレーニングを積むことになります。
分かりやすい例えとしてカラオケを挙げましたが、音楽に関わっていると「音感がある」あるいは「音感が無い」ということを耳にする機会は多く、音楽の中では重要なことに関係していることが想像出来るかと思います。
本記事では、「音感」とはどのようなものなのか、音感を身に付けやすい時期、音感を鍛えるための具体的なトレーニング方法等についてご紹介していきます。音感は音楽に関係することですが、カラオケを挙げたように一般の方でも日常生活の中で音感が関係する部分はあるため、興味のある方は「音感って何だろう」という気持ちで目を通して頂けますと幸いです。
なお、家庭教師ファーストでは音楽の家庭教師も紹介しております。練習に困った際にはぜひ私たち家庭教師にもご相談ください!
この記事の目次
本記事は、「音感」に関するものとなっていますが、そもそも「音感」とは何のことを指しているでしょうか。先ほどのカラオケの例えからすると、私たちは「音感=音程・音高(音の高さ)」という意味合いで認識している場合が多く、「音感がある」という言葉を使用するのは、本来の音程通り歌うことが出来る人に対して、「音痴」という言葉を使用するのは、本来の音程通り歌うことが出来ない人に対してであることが多いと思います。
しかし、「音感」という言葉から見ると、「音感=音程・音高」という捉え方は狭義の意味であり、広義の意味としては「音色や強弱等の音楽の各要素に対する感覚」です。そのため、私たちがよく口にする「音感がある」というのは、「音楽の様々な要素に対する感覚が優れている」という意味であり、音程(音高)に限定したことではないわけです。
つまり、現状では、音楽教室や養成学校ではない、一般的な空間になればなるほど「音感=音程・音高」という捉え方がされがちですが、それは狭義の意味であり、もっと広い目で見ると「音感がある」と伝えることは、相手の音楽全般に対する感覚を評価していることになります。
だからといって、「音感」という言葉を難しく捉え直す必要は無いため、広義の意味と狭義の意味の両方があることを頭の片隅において頂けたらと思います。そして、本記事は広義の意味に対応してご紹介しているため、その点もご理解頂いた上でこの先の部分をご覧ください。
ここまでの中で、「音感=音程・音高」と捉えるのは狭義の意味としてきましたが、そのような認識を助長させていると考えられる言葉に「絶対音感」と「相対音感」があります。「絶対音感」、「相対音感」はどちらも音程に対する感覚を表す言葉であり、この言葉が「音感=音程・音高」と捉えるきっかけになったという方もいるのではないでしょうか。
どちらも耳にしたことがあるという方よりも、「絶対音感は聞いたことがある」という方の方が多いように感じます。特に、「絶対音感があるとすごい」という話はよく耳にするもので、「音楽に長く関わっていればいるほど、絶対音感が身に付いているのではないか」ということも聞きます。
しかし、実際は必ずしもそのようなことは無く、どちらかというと音感を身に付ける最適な時期に音楽と関わりを持っていたかということが重要となります。本章では、「絶対音感」と「相対音感」についての意味を確認すると共に、いつから音楽と関わると音感が身に付きやすくなるのか見ていきます。
はじめに、「絶対音感」と「相対音感」ですが、前者は、その時聞こえる音の音程(高さ)を瞬時に聴き分けて判断する能力・感覚であることに対し、後者はその時聞こえる音の音程(高さ)をある基準音と比較して聴き分けて判断する能力・感覚のことです。
辞書的な意味では理解が難しい部分がありますが、「絶対音感」を分かりやすく考えると、ピアノで弾かれた「ソ」という音を聞いた時、鳴ってすぐ「ソです」と答えることが出来る能力・感覚のことをいいます。一方で、同じ状況になった時、鳴ってから基準となる「ド」の音を想像し、そこから音の高さを数えて「ソです」と答えることが出来る能力・感覚のことを「相対音感」といいます。
「絶対音感がある」、「相対音感がある」と言う場合は、それぞれ絶対音感が身に付いている、相対音感が身に付いている状態のことを指し、基準となる音を必要とせずに音程(音の高さ)を判断することが出来るということから、「絶対音感がある方がより優れている」と捉えられているわけです。
また、「絶対音感」が身に付いている場合は、楽器から聞こえる音だけではなく、日常生活に溢れている音に対しても音程を判断することが出来ると言われています。踏切の音、電子機器の通知音等、一般的には「ただの音」として聞こえているものでも「これはシとソの繰り返し」といったように聞こえている場合があります。
この現象をデメリットと捉えるか否かは当事者の考え方によりますが、生活の中に音が溢れていることで疲れやすく感じる場合もあるため、「絶対音感がある」ということが必ずしもメリットだけではないと考えられています。
その一方で、「相対音感がある」ということに関するデメリットと捉えられる内容はあまりなく、音楽に関する特別な試験やテストを受ける際に「絶対音感があった方が良かった」ということくらいかと思います。
能力としては、「絶対音感」の方が高度なものとされていますが、高度であるが故の悩みがあることも事実で、それぞれの能力をどのように活用していくのかは当事者の考え方による部分が大きいです。どちらの能力も適切な時期に適切なトレーニングを積み重ねることで身に付けることが出来るため、適切な時期(臨界期)について次項で見ていきます。
何かを身に付けるために最適な時期のことを「臨界期」と呼びますが、音感を身に付けることにも臨界期は関係しています。一般的には、音感を身に付ける臨界期が3歳から5歳と言われており、6歳から7歳を超えると身に付ける難しさが極度に増すと言われています。
先ほど、「音楽に長く関わっていればいるほど、絶対音感が身に付いているのではないか」ということを内容として挙げましたが、音楽に長く関わっているか否かということよりも、「幼少期から音楽と関わっていたか」ということの方が音感を身に付ける上では重要であるということです。
近年では、習い事にピアノやヴァイオリン等の楽器を選択する傾向が強くなってきていますが、その反面「小さい頃から楽器を習い始めても子どもは分かっているのか」という声も耳にします。分かっているか、分かっていないかで考えると、楽器そのものの演奏技術や技巧は理解出来ていない可能性が高いですが、「音楽に触れておく」という意味では意義のあることと考えられます。
「音楽」といっても、それぞれの年齢や発達に合った触れ方があるため、必ずしも楽器を習い始めなければいけないということではありません。音楽を流して耳に入る環境を作っておく、遊びの中で童謡を積極的に一緒に歌う等すると自然と音感が身に付いてくるわけです。
その時期を過ぎてしまうと身に付けることが出来ないことはありませんが、習得までに要する期間が長くなったり、より多くのトレーニングが必要になったりするため、効率を考えると、楽器を始めないとしても5歳までには音楽に何らかの形で触れておくことが重要になります。
大人になると音感を身に付けることが出来なくなるのかということが問題になりますが、「相対音感」については、トレーニングによって身に付けることが出来る可能性は高いです。幼少期にタイムスリップすることは出来ないため、身に付けるまでに時間を要することは必須ですが、地道に取り組んで頂けたらと思います。
また、ここまで「絶対音感」、「相対音感」と見てきましたが、「音感が無い=音楽を楽しむことが出来ない」ということではありません。楽しくカラオケに行ったり、音楽に触れたりすることでプラスになる部分も多いため、難しく考えすぎずに大人になっても楽しく音楽に触れることが大切です。
ここからは、広義の意味での音感を鍛えるためのオススメのトレーニング方法について、要素別にご紹介していきます。音楽は、数々の要素から成り立って1つのものを構成しており、それぞれの要素に対する音感を鍛えるためのトレーニング方法をご紹介しますので、鍛えたいと思う部分のトレーニング方法を参考にして頂けたらと思います。
はじめに、リズムに対する音感を鍛えるためのトレーニング方法についてご紹介します。
「リズムに対する音感と聞いてもピンとこない…」という方が多いかもしれませんが、他の言い方に変えると「リズム感」ということです。リズム感に関連する言葉としては、「リズム音痴」という言葉を耳にすることがあります。
「リズム音痴」は、先ほどの音程に関する「音痴」と同じ意味で使われることが多く、リズムに乗って踊ることが出来なかったり、リズムのノリが掴めなかったりする場合に使われてしまう言葉です。ここでは、そのようなことを改善していくためのトレーニング方法として、3段階に分けて見ていきます。
1つ目は、音楽を聞く時、メロディーではなくビートに耳を傾けて聞くことです。これは、レベル1(★★)としますが、「ビートやリズムを耳で追うこと」が重要になります。音楽を聞く時、基本的にはメロディーを追ったり、歌詞がある音楽では歌詞に注目して聞いたりすることが多いと思いますが、このトレーニングでは、一旦普段追っている旋律部分は耳に入れないようにします。
このトレーニングを実施する上でオススメの曲は、洋楽です。まず、ビートやリズムパートを担当している楽器が居ることが必須であるため、ピアノやヴァイオリン等の楽器単体でのソロ曲は外します。その後、ドラムやベースが良く聞こえる音楽を選曲しますが、ここでポイントとなるのは、注目してしまいそうな要素がなるべく少ない音楽を選ぶことです。そこでオススメなのが洋楽になります。
音楽は様々なジャンルがありますが、音楽の経験に関係無く多くの方に馴染みがあるジャンルというと、やはり邦楽になるかと思います。しかし、邦楽は音楽を構成する種々の要素に加えて「歌詞」があることにより、さらに耳に入る情報が増えてしまうためオススメ出来ません。
そのような観点から考えると、洋楽は邦楽と比較して歌詞という面では、聞き取ることが出来なければその影響力は阻害とまではならないため、洋楽、特に単語レベルでも聞き取ることが難しい音楽をあえて選ぶことをオススメします。
また、既知の音楽である方が良い場合と、全く知らない初めての音楽である方が良い場合があり、これは個人差が大きいところです。「知っている音楽の方が、今まで注目してこなかったパートに耳を傾ける余裕が出来る」という方は既知の音楽を選択し、「知っている音楽だと、いつも注目している部分にばかり耳が傾いてしまう」という方は、全く知らない新たな音楽を選ぶようにしましょう。
音楽を選んだところで、いよいよトレーニングの内容です。レベル1ということもあり、このトレーニングは音楽を聞くだけになりますが、何となく聞くのではなくビートを刻んでいるパート、リズムを打っているパートを追うように聞きます。
洋楽の場合は特に、リズム感が独特な音楽であったり、日本に溢れている音楽とは異なるリズムの特徴が表れていたりする音楽が多いです。頭拍だけで刻む音楽よりも、リズムが形を変えて刻まれていく音楽の方が躍動感に溢れているため、そのような点も注目しながら聴いて頂けると良いかと思います。
リズムに対する音感が無い場合は、リズムの違いが分からないことによって、通り一遍のリズムが身体に沁み込んでしまっている可能性があります。リズムはワンパターンではないことをまず身体で理解し、リズムの様々な違いや、その違いから受ける音楽の印象について考えていくと、自然とリズムに対する音感が鍛えられるということです。
音楽を流す機器があれば誰でも出来る、状況や場所をそれほど問わないという観点からレベル1としてご紹介しました。普段音楽を聞いている方は、聞き方を変えるだけになるため、通勤、通学の際や、作業の際に気軽な気持ちで試して頂けたらと思います。
2つ目は、音楽に合わせて踊ることで、これをレベル2(★★★)とします。「踊るだけで?」と疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、音楽と踊り(ダンス)は密接な繋がりがあります。
踊りは、基本的に音楽に合わせて踊るものがほとんどで、ダンスのジャンルにもよりますが、軽快でリズミカルな音楽が多く用いられることが多いです。踊りを上手く踊ることが出来るか否かは、踊りに関係する技術や身体の使い方も影響しますが、それと同時に合わせて踊る音楽のリズムの拾い方も影響しています。
音楽を細部までよく聞き、細かいリズムの音まで拾って踊っている場合と、大まかにリズムを拾って踊っている場合とでは、いわゆる踊りの「キレ」に違いが見られます。このようなことがあるため、音楽に合わせて踊ると一言で言っても、ただ踊るのではなく、音のリズムを拾いながら踊ることでトレーニングになるわけです。
このトレーニング方法の場合は、既知の音楽である方が踊りやすいため、馴染みのある音楽を選びましょう。そして、最も手軽に取り組むことが出来る方法は、踊りが元々ついている音楽を選ぶことです。邦楽、洋楽は問わないため、邦楽の中でバックダンサーがついていたり、サビの部分だけでも身振り手振りがついていたりする音楽を選ぶと、はじめは真似をするだけで練習になります。
「運動神経が…」という心配や、「踊りが出来るスペースが…」という不安がある方もいらっしゃるかもしれませんが、踊りに対するクオリティーは必要ないため、「トレーニング」という感覚よりも、出来る範囲で楽しく取り組むようにしてみてください。
3つ目は、リズム譜の初見練習をすることです。難しい方法ではありませんが、トレーニングの内容が難しいため、レベル3(★★★★★)とします。レベル1、レベル2と続けてくると、リズムに様々な種類があることが体感的に理解出来るようになるかと思います。
リズム譜をよむためには、ある程度の音符の長さに関する知識が必要となるため、音楽に関する知識が無い場合は、レベル1で聞いていた音楽のリズムパートを手で叩きながら追う方法をご紹介します。
リズム譜で練習する場合には、楽器店に行くと、音楽に関する知識が詰まった楽典の冊子があるため、それを購入し、リズム譜が載っているページで練習します。練習時間を設けずに、ページを開いて見たものをすぐに手で叩きます。
初見練習は、音楽の他の構成要素に対する音感力をつけるためにもよく用いられるもので、基礎が固まっていると、見てすぐに対応することが出来ます。同じことを繰り返すことも練習になりますが、初見練習のように初めてのものを数多くこなすことで基礎に加えて応用力も身に付くため、様々なリズムに触れるトレーニングとして取り組んで頂けたらと思います。
音楽に関する知識が無い場合は、レベル1で聞いていた音楽のリズムパートを手で叩きながら追う方法ですが、聞いているだけではなく実際に叩くことで、よりリズム感が身体に沁み込みます。
同じ音楽だけでは、その音楽のリズム感しか身に付けることが出来ないため、慣れてきたら次々と音楽を変えて、同じようにリズムパートのリズムを手で叩いて様々なリズムに触れるようにしてみてください。
音楽に関する知識がある場合と無い場合でご紹介しましたが、どちらも共通しているのは「様々なリズムに対応する力を身に付ける」ということです。リズムに対する音感がある状態は、どのようなリズムに対しても正確に、そのリズムのノリを捉えることが出来る事と考えられるため、多くのリズムパターンに触れ、その力を身に付けて頂けたらと思います。
続いては、音感の中で最もフォーカスされている音程に関するトレーニング方法です。リズムに関するトレーニング方法と同様に、レベルを3段階に分けてご紹介していきます。ご自身のレベルに合わせて、出来そうなところから始めてみてください。
1つ目は、リズムの時と同じように音楽を聞くことで、レベル1(★)とします。リズムの場合は、ビートやリズムを刻んでいるパートにフォーカスすることとしましたが、音程の場合はメロディーラインで構いません。
選曲については、リズムの時とは反対に、音楽としては単旋律で構成されているものの方が、音程が分かりやすいです。先ほどは、楽器のソロ曲はオススメしませんでしたが、音程のトレーニングの場合は、音程を捉えやすいことが重要であるため、なるべく楽器数が少ない曲を選ぶことをオススメします。
この方法は、トレーニングと言っても音楽を聞いてメロディーラインを追うだけになるため、普段音楽を聞く習慣がある方にとっては変化が無いことかもしれません。ただ、複数の曲をサイクルして聞くと、様々な音程に触れることとなり、音程に関する音感のトレーニングとしては弱いため、はじめは同じ曲を繰り返し聞くようにしてください。
特に、音と音の高さの幅を考えて聴くと音程感が身に付きやすくなります。厳密な音の幅を当てることまでは考えなくても良いですが、跳躍する部分は音程の幅が広い、どのくらい離れているのかということを考えながら聞き、音程にフォーカスして聞く習慣をつけると共に、音程感を養って頂けたらと思います。
2つ目は、実際に音楽に合わせて歌うことです。このトレーニングをレベル2(★★)とします。一番分かりやすい方法は、カラオケに行くことですが、現代はカラオケに行かなくてもアプリを用いて自宅で歌ったり、採点機能が必ずしも必要な訳ではないため、音源を流して自主的にトレーニングしたりする方法も効果的です。
トレーニングの際は、声をしっかり出した状態で音程に気を付けて歌うことがポイントになります。はじめから音程ばかり気にしてしまうと、音楽に合わせているだけになってしまい、正しい音程感を身体に沁み込ませることは難しいです。
発声としてベストな状態をつくってから、まずは音源をよく聞き、歌いやすい部分から歌いましょう。基本的に、難易度が高すぎるものでなければサビの部分が最も歌いやすいため、サビから始めることをオススメします。
また、歌う際には歌詞ではなく、「ラララ」や「ルルル」等、1つの文字で音程を追う方法が効果的です。言葉が入ってきてしまうと、音程に注意が向きにくくなるため、出来るだけ音程に集中出来るように、歌いやすい1つの文字を決めてその文字で追うようにしてみてください。
そして、音程を追うことに慣れてきたら、正確に音程を取るトレーニングとして、手を付けながら歌っていきます。方法ですが、手の親指側が自分にくるように掌を床と水平にして腹部の前辺りに固定します。
歌い始めの音の高さをその位置としてスタートし、歌い始めの音よりも高い場合は腹部よりも上側に、低くなる場合は下側に手を移動させていきます。高いか低いかだけではなく、高い中でもさらに高さが様々であるため、イメージとしては音の階段を移動するような形です。
ただ歌うだけでも音程に関する音感は身に付いていきますが、さらに細かく正確に力を付けていくためには、音程の差を身体に沁み込ませることが必要になります。レベル1でフォーカスしていた音程の幅を思い出し、一定の幅を決めて音に合わせて階段を上り下りするようなイメージで手を移動させてみてください。
重要なのは、音程の幅を考えて歌うことであるため、手を移動させることに集中するのではなく、音程の幅に合わせてその幅を考えながら手を移動させるようにしましょう。音程に対する音感が身に付くことで、難しい音程の幅の旋律や、跳躍がこれまでと比較して歌いやすくなると思います。
3つ目は、リズムの時と同様に初見の題材に取り組むことです。音程の場合は、そのトレーニング方法を「聴音」と言い、これをレベル3(★★★★)とします。聴音は、聞こえてきた音が何の音であるか回答するものであり、音楽教室のグレード試験で行われることが多い課題になります。
レベル2までで、音程に関する音感を確かなものとしたところで、その力を活かして単発の音に対しても正しい音程感を持つことを目的として行います。これまでは、前後に音が鳴っていたり、階段をイメージして音の幅を考えていたりしたため、ある高さの音だけを単発で聞いても、はじめは何の音か回答することが難しいかもしれません。
慣れてくるまでは、1つ自分の中で基準の音を決めておき、その音から幅を想像して、どのくらいの高さの音か考えると良いです。このトレーニングに取り組む上では、音楽に関する知識が必要になりますが、「ドレミファソラシド」と階名を覚えるだけであるため、元々知識がない場合でも気軽に取り組むことが出来ます。
しかし、単発で音が鳴る環境を作ることは難しい場合が考えられ、そのような時は先に自分で1つ音を決めてその音だと思う音を声に出して歌い、後から答え合わせをする方法があります。
現代では、カラオケアプリがあるように、実際に楽器を持っていなくても音を鳴らすことが出来るアプリがあり、そのようなものを駆使して答え合わせをするということです。楽器が無ければトレーニング出来ないことはないため、音楽教室で実施される試験と似たようなトレーニングを自主的に行うことが出来ます。
身体に音程感覚が身に付くと、新規の曲を歌うときや、今後楽器の演奏をする機会がある場合に、正しい音程で歌ったり演奏したりすることが出来るようになるため、様々な音楽に挑戦して、音程に関する音感を鍛えて頂けたらと思います。
最後に音色ですが、音色に対する音感を鍛える方法は、プロの音を出来る限り多く聞くことです。良い音色を奏でることが出来るようにするためには、良い音色に対するイメージと理解が必要になります。
プロの音を聞く機会は限られていますが、開催される演奏会に足を運んだり、難しい場合はCDや動画サイトで音源を聞いたりして、少しでも多く本物の音に触れておきましょう。声楽の場合も同様です。声の伸びや透明感等にフォーカスし、良い声に触れる機会を持って頂けたらと思います。その上で、楽器、声楽に関わらず、自分が奏でることが出来る良い音色を目指してみてください。
本記事では、音感を鍛えるオススメのトレーニング方法についてご紹介してきました。音感は、音程(音の高さ)に対して用いられる言葉になってきていますが、それは狭義の意味であること、音色や強弱等の音楽の各要素に対する感覚が広義の意味であることを前提とし、その上で音感を鍛えるためのオススメのトレーニング方法についてご紹介してきた形です。
音感は無いといけないものではありませんが、あった方が音楽を楽しむことが出来るというもので、幼少期から音楽に触れていると身に付けやすくなりますが、臨界期を過ぎて大人になってからでも、トレーニング方法やトレーニング時間によっては身に付けることが出来ます。
「もう遅いかもしれない…」という諦めの気持ちではなく、音楽に触れることを楽しむ気持ちで一歩ずつ取り組んで頂けたらと思います。どのようなことから始めたら良いのかという方や、方法に悩まれている方の一助になれば幸いです。
なお、家庭教師ファーストでは音楽の家庭教師も紹介しております。練習に困った際にはぜひ私たち家庭教師にもご相談ください!
音楽家庭教師ライター H.K
家庭教師ファーストの登録家庭教師。5歳からピアノを始め、ピアノコンクール全国大会に複数回出場、上位入賞経験あり。