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家庭教師ファースト教育コラム音楽・楽器

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【中級者向け20曲】ピアノ発表会でオススメの曲20選!~ピアノソロ中級者~

  • 音楽・楽器
  • 音楽家庭教師ライター H.K

ピアノの発表会は、日頃の練習の成果を多くの方に聴いて頂ける貴重な本番の機会であり、好きな曲や、自分に合った曲を演奏したいと考えられる方が多いかと思います。そこで、本記事では「ピアノソロ・中級者」の方にオススメなピアノ曲について、年齢とジャンルごとに分けながらご紹介していきたいと思います。

曲の難易度は、星の数(1~10個)で表記していますので、選曲に悩んでいる方は是非参考にしてみてください。アイデアの助けにして頂けますと幸いです。それでは、幼児・小学生中級者向けのクラシック曲からご紹介します。なお初級者編も執筆していますので、初級者はそちらをご覧ください(→初級者編はコチラ)

家庭教師ファーストでは音楽の家庭教師も紹介しております。練習に困った際にはぜひ私たち家庭教師にもご相談ください!

この記事の目次

ピアノ発表会【幼児・小学生向け】~クラシック曲5選~

幼児・小学生向け~クラシック曲5選~

ここでは、幼児・小学生のピアノ中級者向けとするクラシック曲についてご紹介します。どの曲も有名なものばかりで、それぞれに個性がある曲が多いです。中級者ということで、演奏技術だけではなく、表現の面においても成長が大きくなる段階かと思いますので、曲の内容にも着目して選曲してみてください。ここでは、数あるクラシック曲の中から5曲をご紹介します。

①「樅の木」/シベリウス ★★★+

演奏技術も必要ですが、しっとりとした表現や力強い表現等、表現の種類の見せ所が多い曲です。一本調子で演奏してしまうと、この曲が持つ情感たっぷりな雰囲気が伝わりにくくなってしまいます。フレーズの頂点を意識し、歌い方を工夫して表現するように心掛けてみてください。

また、中間部の連符の部分は、左右に分かれて演奏しますが、右手と左手で音に変化が出ないようにしたいところです。連符を演奏する手が交代しても、1本の波を表現するかのような流れを作り、その流れが途切れないように注意して演奏しましょう。演奏時間は、約3分~3分30秒です。

②「亜麻色の髪の乙女」/ドビュッシー ★★★+

この曲は、音楽史の中の「近代・現代」を代表するドビュッシーらしさが見られる曲です。音楽史の中でも、「ロマン派」までの音楽は私たちがよく耳にする音楽ですが、「近代・現代」の曲は、スッキリとした和音の進行という私たちが聴き慣れている音楽とは少し離れ、和音をあえて濁らせることで音楽の良さを作り出していることが特徴の1つとして挙げられます。

そのため、この「亜麻色の髪の乙女」という曲も、絵の具で様々な色を混ぜて描いた水彩画のような音の響きがするという特徴があります。掴めそうで掴みきることが出来ない曲の雰囲気に魅力があり、そのような響きを楽しみながら演奏出来る方にとてもオススメです。調号に♭が多いこと、表現の面での難しさがあるため、曲にしっかりと向き合って作り上げていくことが大切になります。演奏時間は、約3分です。

③「花の歌」/ランゲ ★★★★

中級演奏者として、ピアノの発表会で演奏される機会が多い曲です。1曲の中で場面の展開がいくつかあり、それぞれの場面ごとにその曲調を捉えた演奏が出来ると、より完成度が高く仕上がります。

また、随所でオクターブが用いられていたり、オクターブの中に音が複数入っている和音が用いられていたりするため、オクターブに余裕を持って演奏出来る方にオススメ出来る曲となっています。手の大きさには個人差があり、無理な演奏をしてしまうと手や指を痛めてしまう危険性があるため、曲のレベルだけではなく、演奏者の特性とも合っているか見極めてみてください。

難易度は、ものすごく高いという曲ではありませんが、曲調の展開がいくつもあるため、演奏技術だけではなく表現の面での力量も必要となります。優雅な曲調から推進力を持って前進する曲調まで、それぞれの場面のキャラクターをしっかりと掴んで演奏出来ると良いかと思います。演奏時間は、約4分30秒です。

④「キラキラ星変奏曲」/モーツァルト ★★★★

「キラキラ星変奏曲」は、モーツァルト作曲のピアノ曲の中でも有名な曲です。変奏曲とは、最初に主題が提示され、その主題や旋律を基に長調・短調問わず形を変化させながら繰り返していく形式の音楽のことを指します。主題以降の部分は、1つずつを「ヴァリエーション」と呼び、主題と変奏から成り立っている音楽を「変奏曲」というのです。

この「キラキラ星変奏曲」は、童謡としてお馴染の「キラキラ星」が主題として呈示され、そこからヴァリエーションごとに様々な形へと変化していきます。変奏曲の演奏の難しさは、ヴァリエーションごとの分析と、分析の結果、どのように演奏していくのか考えるということです。

演奏することへの技術だけではなく、「変奏曲」という楽曲形式に対する理解を深めることがとても大切であり、その上で理解を深めたことへの分析を基に演奏していくことが必要になります。演奏に対する練習だけではなく、楽曲を分析する時間も取りながら練習を進めるようにしてみてください。演奏時間は、約7分です。

⑤「小犬のワルツ」/ショパン ★★★★

小犬がちょこちょこと動き回っているような、溢れる軽快さが特徴であるワルツです。実際に、この曲を作曲したショパンは、自分のしっぽを追いかけてグルグルと回る犬の様子を曲に表しており、3拍子の軽さに加えて、作曲された背景も表現出来るとさらに可愛らしいワルツになります。

この曲の難しい点は、トリラーやトリルといった細かい演奏技法が速いテンポの中に詰まっていることです。テンポが速いことによって、主旋律は音符が連符のように進んでいきますが、その中に細かな技法を組み込んでいくことが必要になります。

指を速く回すことも大切ですが、組み込むタイミングもとても重要になるため、練習を重ねて演奏しやすい自分なりのタイミングを模索して頂けたらと思います。演奏時間は、約2分~2分30秒です。

ここまで、幼児・小学生のピアノ中級者向けとして、発表会にオススメなクラシック曲についてご紹介してきました。今回は、どれも発表会で演奏される機会が比較的多く、有名な曲をピックアップしてご紹介しています。今回ご紹介した曲の他にも、ピアノ中級者が演奏出来るクラシック曲は沢山ありますので、ご紹介してきた曲の作曲家を参考に、初級から一歩ステップアップした曲を演奏してみてください。

ピアノ発表会【幼児・小学生向け】~ポップス曲5選~

幼児・小学生以上向け~ポップス曲5選~

前章では、幼児・小学生のピアノ中級者向けであるクラシック曲についてご紹介してきました。ピアノの発表会では、各教室の形式にもよりますが、曲の指定が無い場合には、クラッシック曲だけではなく、様々なジャンルの曲を演奏することが出来、ポップス曲もその1つです。ここでは、クラシックから雰囲気を変え、幼児・小学生中級者向けのポップス曲についてご紹介していきます。

①映画『リトル・マーメイド』より「アンダー・ザ・シー」/miwa ★★★

この曲は、幼稚園や小学校の運動会の中で、ダンスの曲として用いられる機会が多い印象にあります。ディズニー映画の音楽にはそれぞれ個性がありますが、この曲は2拍子のノリが曲の特徴として挙げられます。

演奏自体はそれほど難易度が高い曲ではありませんが、この曲ならではの独特なリズム感や拍子の感覚を表現することがこの曲の難しさです。拍を大きく2拍子で捉えるようにすることを心掛け、少しその場に音を置きに行くようなイメージで演奏すると、演奏の流れだけではなくリズムを大切にした演奏となります。

また、フレーズの開始部分はややはっきりとした発音を心掛けることにより、フレーズの始まりが明確になり、リズム感を示すためにも重要な演奏方法の1つです。ぬるっとした音の入り方ではなく、狙った拍やタイミングに合わせて演奏していくように心掛けてみてください。

②映画『美女と野獣』より「美女と野獣」/アラン・メンケン ★★★

続いてご紹介する曲も、同じくディズニー映画から「美女と野獣」です。ディズニー映画の曲として多いのは、声部が2つに分けられているパターンで、映画の中では異なる登場人物による掛け合いのような表現がされていることから、ピアノでは声部を分けながら演奏していく形になります。

同じ「ピアノ」という楽器で、多くの場合は片手で2つの声部を演奏するため、歌で表現される時のようにはっきりと区別して演奏することは非常に難しいです。しかし、2つの声部に対して区別した意識を持たずに演奏してしまうと、それぞれの旋律が混ざってしまい、正規のメロディーが分からなくなってしまいます。

声部分けをして演奏する際には、はじめにそれぞれの声部を混ぜることなく追いながら演奏することを意識し、音色や音質をそれぞれの特徴ごとに変化させることによって声部ごとの色を表現することを心掛けてみてください。

③映画『魔女の宅急便』より「海の見える街」/久石譲 ★★★

ジブリ映画によるピアノ曲は非常に数多くありますが、今回はその中で「海の見える街」をオススメします。この曲は、全体的に軽やかさが重要になりますが、ただ軽くて明るい演奏ではないというところがポイントです。

軽さを重要視して演奏すると、曲調まで明るい雰囲気になりがちですが、この曲は、「旋律の動きが軽い」ということが重要であり、曲調はどちらかというと落ち着いた雰囲気で進んでいきます。そのため、旋律の動きと曲調を区別しながら演奏していくと、この曲が持つ雰囲気を作り出すことが出来ます。

また、同じ動きであってもアーティキュレーションが異なっている部分があるため、丁寧に楽譜を見て練習を進めるようにしましょう。和音で移動する部分は、手の形を崩さず、音の幅を考えながら演奏出来ると良いかと思います。

④「水平線」/buck number ★★★★

テンポがゆったりしており、中級レベル向けとして編曲された楽譜は音数が多くないため、J-popの中でも比較的演奏しやすい曲になっています。J-popに限らずですが、歌詞が付いている曲は、リズムが取りにくいことが難易度の1つとして挙げられます。

しかし、その分曲を知っている可能性ということも高く、ポップス曲、特にJ-popの曲を選曲する場合には、自分がその曲を知っているかどうかということによって難易度が変わってきます。この場合の難易度は、曲そのものの難易度ではなく、その演奏者にとっての難易度として捉えて頂けると良いです。

曲としての難易度ということも加味する必要がありますが、ポップス曲の場合はその上でさらに自分自身とその曲との相性という観点で選曲することをオススメします。そのため、この曲についても、曲としての難易度はそれほど高くなく、曲を知っている場合にはさらに右手の旋律のリズムが取りやすくなります。

⑤「エトピリカ」/葉加瀬太郎 ★★★★+

この曲は、元々ヴァイオリンで演奏されている曲がピアノバージョンにアレンジされたものです。はじめがピアノ曲ではないということもあり、様々なレベルに応じたアレンジで楽譜が出版されているため、演奏者のレベルに合わせた楽譜を選択することが出来るという特徴があります。

旋律は、ヴァイオリンベースで作られていることから、単音での表現でピアノに編曲されている場合が多く、単音だからこそ曲が平坦にならないような工夫が必要です。柔らかな曲調の部分、推進力を持って力強く進んでいく部分等それぞれ曲調に応じて旋律の歌い方を工夫してみてください。

ここまで、幼児・小学生ピアノ中級者向けのポップス曲をご紹介してきました。ピアノの発表会で演奏されるポップス曲は、J-popやディズニー映画曲、ジブリ映画曲等をメインとし、洋楽やジャズ等幅広いジャンルが存在します。どのジャンルもそれぞれに特徴があり、同時に難しさもありますが、挑戦してみたいと感じる曲には積極的に挑戦して演奏曲の幅を広げていくことが出来ると良いかと思います。

ピアノ発表会【中学生以上向け】~クラシック曲5選~

中学生以上向け~クラシック曲5選~

ここまで、幼児・小学生のピアノ中級者を対象としたクラシック曲やポップス曲についてご紹介してきました。ここから先は、中学生以上のピアノ中級者を対象とし、オススメのクラシック曲やポップス曲についてご紹介していきます。

ここでオススメする曲は数ある曲の中の一部となるため、オススメする曲だけではなく、その曲の作曲家や作品番号等も参考にして頂けたらと思います。はじめに、オススメのクラシック曲を5曲ご紹介します。

①「アラベスク第1番」/ドビュッシー ★★★

この曲は、ドビュッシー作曲の「2つのアラベスク」という曲の第1番となっており、第1番・第2番の2つの曲から構成されています。その中で、第2番が軽やかさを特徴とした曲となっていることに対し、第1番は横に流れる優雅な旋律が特徴となっており、曲の冒頭から終わりまで流れを大切に演奏することがポイントです。

難しい点の1つとして、緩急の付け方が挙げられます。この曲は、テンポや拍通りに演奏してしまうと、流れを生み出すどころか、旋律に角があるような演奏となってしまいます。

そこで、右手の3連符の動きを活用し、川を下っていくかのような流れを付けながら、フレーズの収めは少し緩やかに演奏することを意識して見てください。緩急の付け方を丁寧に行うことにより、自然な音楽の流れを作り出すことが出来るのです。演奏時間は、約4分です。

②「春の歌」/メンデルスゾーン ★★★

この「春の歌」という曲は、可愛らしい雰囲気を持つ曲で、装飾音符が数多く用いられています。装飾音符は、文字の通り「飾り」の音符であるため、1曲の中で多用されることはあまりありませんが、この曲では装飾音符が随所に用いられています。

装飾音符には、曲の中での効果を考えた場合にいくつかの演奏方法がありますが、この曲の場合は緩めな装飾音符として演奏していきます。曲によっては、鋭く演奏することもありますが、この曲の場合は曲調が全体的に柔らかいため、緩めの装飾音符にすることで曲調に馴染んだ演奏となります。

強弱記号についても同様に、「f」や「sf」の記号がありますが、「音を大きく演奏する」という解釈よりも、どちらかというとやや強調したりふくよかに演奏したりするという捉え方が良いかと思います。演奏技術の難易度は、中級者にとってそれほど高くはないため、表現の面に重点を置き、タッチや音楽記号の解釈によって表現を追求して頂けたらと思います。演奏時間は、約2分30秒です。

③四季 12の性格的描写「6.舟歌」/チャイコフスキー ★★★

この曲は、短調と長調が組み合わされた曲の構成となっており、その差が分かりやすくなっていることが特徴です。短調をベースに曲が展開されていきますが、中間部分では徐々に長調へと変化していきます。また、調性の変化に合わせ、曲調もしっとりとした横の流れから旋律に動きを持つ形へと変化していきます。

短調の部分では、同じ動きをした旋律が何度か繰り返されるため、曲全体を変化なく一定に演奏してしまうと平坦な曲に聞こえてしまう恐れがあります。そこで、短調・長調といった曲の調性をしっかりと掴んで演奏することに加え、旋律の動きにも着目して演奏するとメリハリがついた曲の構成になるかと思います。演奏時間は、約4分30秒~5分です。

④「ソナタ悲愴第2楽章 Op.13」/ベートーヴェン ★★★★

この曲は、基本的にオクターブの手の形での演奏となり、オクターブの中に他の旋律を組み込んで演奏するため、手の大きさに無理の無い方にオススメな曲となります。演奏にあたっては、主旋律をしっかりと追うようにし、内声は和声を作っていくイメージで演奏しましょう。

この曲のように、主旋律が単音で内声が和音となっている曲もあります。そのような場合、「内声を小さく演奏する」と考えてしまうと、委縮した演奏となってしまい、響きに欠けてしまいがちです。

ピアノの演奏において、「音量が小さい=響きが少ない」とはならず、響きがある音でも音量を小さく設定出来ていると音量が大きい部分ともメリハリがつくため、響きは保ちながら音量のコントロールが出来るように練習することをオススメします。

また、ソナタの2楽章ということもあり、曲調は比較的落ち着いています。ポイントとなる音を響かせ、それ以外の音は落ち着いた音質で演奏することにより、ガチャガチャとした印象になることを防ぐことが出来ます。音数が多い曲ですが、音量に加え、音質にこだわることで静寂感ある演奏に作り上げていくことを心掛けてみてください。演奏時間は、約5分です。

⑤「ノクターン Op.9-2」/ショパン ★★★★

この曲は、発表会の曲として王道と呼んでも過言ではないくらい、非常に高い頻度で演奏されている曲になります。ショパンの曲と言うだけでも認知度は非常に高いですが、ショパンが作曲したノクターンの中でも、上位を争うほど認知度が高い曲です。非常に有名であることから、音楽のシーンだけではなく、日常生活の中でも様々な場面でBGMとして用いられていることが多くあります。

ノクターンは、日本語にすると「夜想曲」となり、漢字から推測出来るようにゆったりとした曲調が特徴です。前に前に進むのではなく、1つひとつの音を大切に、音価分音を鳴らしきるイメージで演奏するようにしましょう。音量設定についても、「f」だからといって強い音で演奏するのではなく、繊細さを持ち合わせた音で演奏してみてください。

また、左手は単音・和音・和音という動きになっており、右手の旋律が単音で進行する部分が多いために和音がバラバラになってしまうと目立ちます。左手の中で音のラインが整っているのか、丁寧に練習をして確認すると良いかと思います。演奏時間は、約4分です。

ここまで、中学生以上の中級者向けを対象としたオススメのクラシック曲についてご紹介してきました。今回は、中級者向けのクラシック曲の中でも認知度が高い曲や、発表会で演奏される機会が多い曲を選曲しており、王道と呼ばれる曲が多くなっています。この他にも、「モーツァルト」、「ブラームス」、「シューベルト」といった作曲家の曲には、中級演奏者向けの曲が数多くあるため、幅広い作曲家の曲を参照して選曲の参考にして頂けたらと思います。

ピアノ発表会【中学生以上向け】~ポップス曲5選~

中学生以上向け~ポップス曲5選~

中学生以上の年齢、かつ、中級者となると、演奏出来る曲の幅が広くなり、候補に挙がる曲の数も増える時期かと思います。ポップス曲と一言に言っても、非常に多くの曲があるため、ここでは出来る限り幅広いジャンルからオススメの曲を5曲ご紹介していきます。

①「You Raise Me Up」/ケルティック・ウーマン ★★★

女性ボーカルアーティストによる洋楽のこの曲は、テレビのCMや娯楽施設でのパフォーマンスのBGM等に用いられています。1本の糸のような旋律から始まって、徐々に音の厚みを増しながらクライマックスへと進んでいく曲の構成となっており、壮大な雰囲気を持つ曲です。

単音で表現されている部分がオクターブ構成へと変化したり、盛り上がり部分に転調が施されていたりと、曲の壮大さを表現するために重要となる要素が随所に散りばめられています。技術的な演奏難易度はそれほど高くありませんが、表現の面では円熟した感性や表現が求められる曲です。

しっかりと弾き込んで演奏を自分のものにすることをはじめ、曲に対するイメージを膨らませたり、自分自身の中で曲の全体像を捉えた構想を確立したりすることにより、曲の持つスケールの大きさに負けない表現豊かな演奏が出来るかと思います。

②映画『菊次郎の夏』より「summer」/久石譲 ★★★

この曲は、1999年に公開された映画で用いられたものとなっており、①の曲と同様に音楽界のみならず、様々な場面でBGMとしての役割も果たしている曲です。難易度はそれほど高い曲ではありませんが、アーティキュレーションの表現が難しくなっており、ペダルとのバランスを取りながら音の長さやアーティキュレーションを整えていくと良いかと思います。

この曲に似た曲として、同じく久石譲さん作曲の「spring」という曲がありますが、「spring」と比較すると、「summer」の方が生き生きとした印象を持っています。縦に刻みながら演奏する部分において、フレーズを流し過ぎず、また、左手の伴奏も横に流れる部分と縦にしっかり刻みながら進んでいく部分と区別しながら演奏してみてください。

③「Lemon」/米津玄師 ★★★★

この曲は、2018年にリリースされた曲で、2018年から2019年に渡って非常に有名な曲となりました。ピアノの発表会においては、プログラムの中で1人はこの「Lemon」を演奏する時期もあったほど人気の曲となっており、リリースされてから年月が経った現在でも演奏される機会が多い曲の1つです。

ポップス曲特有の複雑なリズムはそれほど多くなく、全体としては演奏がしやすい曲かと思います。演奏する上でのポイントは、サビにあたる部分の表現を豊かに仕上げることです。激しい曲調を特徴とする曲やテンポが速い曲とは異なり、比較的落ち着いた雰囲気を持ちながら進んでいくため、表現にこだわって演奏することが大切になります。

リズムをしっかりと刻みながら、その中で落ち着きも感じられる表現を目指してみてください。また、調号がやや多い曲です。楽譜を読む段階の作業を丁寧に行い、音の間違いが無いように気を付けましょう。

④映画『アナと雪の女王』より「生まれてはじめて」/クリステン・アンダーソン=ロペス ★★★★

2014年に上映された映画『アナと雪の女王』の中で用いられた「生まれてはじめて」という曲ですが、リズミックで快活な印象を持つ曲となっており、出版されている楽譜のアレンジによって様々なレベルの演奏者が演奏出来る曲となっています。

中級としてこの曲の楽譜を選ぶ場合には、演奏者自身のレベルに合っているかという観点を第一に考えた上で、リズムの複雑さ、装飾としての要素を持つ連符の難易度はどの程度かということに着目して選択すると良いかと思います。

リズムが細かいため、慣れるまでは曲の雰囲気を掴んで演奏することが難しいですが、丁寧に楽譜を読み進め、複雑なリズムや連続する音を上手く利用しながら快活に進む演奏を目指しましょう。

⑤「花に亡霊」/ヨルシカ ★★★★

この曲も、これまでにご紹介してきた曲のように、初級から上級まで演奏レベルに応じた楽譜が出版されており、さらにそれぞれのレベルの中でアレンジが異なっている楽譜も出版されていて楽譜の種類が多い曲です。

歌詞が詰まっている曲であるため、音数が多く、また、同じ音の連打が続くところにこの曲の特徴があります。ピアノで同じ音を連打する場合には、なるべく演奏の指が連続しないように指替えをすることが望ましいとされています。これは、同じ音が続く場合、1つひとつの音の輪郭がはっきりと見えなければ、音が繋がって聞こえてしまうためです。このことを防ぐために、同じ指での連打は控えることが望ましいとされています。

この曲の場合、特に歌詞がついている曲であるため、同じ音の連続で指替え行うだけではなく、1つひとつの音の粒がきちんと立っているかということにも着目して演奏することがポイントです。ピアノの演奏に歌詞は付きませんが、歌を歌っているかのように演奏することを目指して頂けたらと思います。

本項では、中学生以上のピアノ中級者向けとするポップス曲を5曲ご紹介してきました。ポップス曲、特にJ-popの曲では、リズムが複雑であったり、テンポが速かったりと原曲をそのままピアノ版にアレンジしたものでは難易度が高い曲が多いです。

しかし、その分様々なレベルに応じた楽譜が出版されているため、「難しそう」という理由で演奏を断念するのではなく、演奏自身のレベルとマッチした楽譜を探してみてください。クラシック曲は、「アレンジ」という発想を持って出版することは出来ませんが、ポップス曲は編曲者によって個性的なアレンジが出来るという点が強みかと思います。

おわりに

おわりに

本記事では、ピアノ中級演奏者を対象に、発表会で演奏するにあたってのオススメの曲について年齢・ジャンルごとにご紹介してきました。中級というのは、ピアノ演奏における技術が定着し、様々な曲が演奏出来る段階であると思います。その分、選曲という観点においては、幅が広いがゆえに難しいこともあるため、演奏者が自分自身のレベルや演奏の特性をきちんと理解していくことが大切です。

その中で、曲だけではなく、作曲家に目を向けたり、ポップス曲であれば出版されている楽譜のレベルを吟味したりし、自分自身のレベルに合った曲を選曲して頂けたらと思います。本記事について、選曲過程の導入段階として、作曲家や中級者向けの曲を知るきっかけとして頂けましたら幸いです。

また、家庭教師ファーストでは音楽の家庭教師も紹介しております。練習に困った際にはぜひ私たち家庭教師にもご相談ください!

この記事を書いたのは

音楽家庭教師ライター H.K

家庭教師ファーストの登録家庭教師。5歳からピアノを始め、ピアノコンクール全国大会に複数回出場、上位入賞経験あり。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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