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家庭教師ファースト教育コラム音楽・楽器

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【上級者向け21曲】ピアノ発表会でオススメの曲21選!~ピアノソロ上級者~

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  • 音楽家庭教師ライター H.K

ピアノを習い事として行っていると、本番の機会として多くあるものが発表会です。今回は、ピアノソロ・上級者向けの方を対象とし、多くの方が経験する「発表会」でのオススメなピアノ曲についてご紹介していきたいと思います。

ピアノ演奏上級者となると、演奏することが出来るピアノ曲の種類が非常に多く、幅も広いため、本記事では対象年齢を「小学生・中学生」と「高校生以上」の2つの区分に分け、さらに曲のジャンルを「クラシック曲編」と「ポップス曲編」に分けて記載していきます。また、各曲の難易度については、星の数(1~10個)として目安を示していますので、選曲の際の参考にして頂けますと幸いです。なお中級者編も執筆していますので、中級者はそちらをご覧ください(→中級者編はコチラ)

家庭教師ファーストでは音楽の家庭教師も紹介しております。練習に困った際にはぜひ私たち家庭教師にもご相談ください!

この記事の目次

ピアノ発表会【小学生・中学生向け】~クラシック曲編5選~

小学生・中学生クラシック曲編5選

ピアノを経験している期間にもよりますが、小学生・中学生の段階で上級レベルの曲を演奏出来るということは素晴らしいことです。演奏技術に加え、演奏表現の面で成長を重ねることにより、さらに円熟したピアノ演奏者へと進むことが出来るかと思います。ここでは、小学生・中学生のピアノ上級者向けとするオススメのクラシック曲についてご紹介していきます。

①幻想即興曲/ショパン ★★★★★

小学生・中学生において、上級者向けとして非常に有名な曲は、このショパン作曲の「幻想即興曲」です。連続した速いパッセージを演奏する技術だけではなく、曲調の変化に合わせて演奏を展開することが出来る表現力も併せて重要となります。

速いパッセージの部分では、旋律の動きに合わせてうねりを伴うような流れを作っていきましょう。フレーズを短く取ってしまうと、ブツブツと途切れた旋律になってしまいます。数小節に1つのフレーズとして大きく捉え、音の動きに合わせた運びに出来ると良いかと思います。

曲調が変化する中間部ですが、それまでとは調性も変化し、♭系の深みがある長調へと移り変わっていきます。それまでの速いパッセージで展開されてきた部分に対し、澄んだ静寂な空気間の中で一音一音を大切に奏でるような演奏を心掛けてみてください。

速いパッセージの場面へと切り替わっていくギリギリまで、中間部の雰囲気を保つことが出来ると前後の部分とのメリハリがつきます。それぞれのカラーを引きずることなく、場面の切り換わりと共に曲調もガラリと変化させるようにしましょう。演奏時間は、約5分です。

②「ひばり」/グリンカ=バラキレフ ★★★★★

1本の旋律から徐々に広がりを持って進んでいく、切ないような、落ち着くような何とも不思議な雰囲気のある曲です。しっとりした落ち着きのある旋律をいかに丁寧に、その中で単調にならない工夫が出来るのかということがこの曲を演奏する上でのポイントになります。

また、冒頭部分に提示される旋律は、形を少しずつ変化させながらその後も繰り返し提示されます。旋律の軸は残しながら、それぞれの場面に合った表現を模索してみてください。

中間部の速いパッセージでは、粒を揃えた連符へと完成度を高めることも大切ですが、音の動きやうねりに合わせ、流れが途切れないよう滑らかに演奏しましょう。スピード感は、ジェットコースターで一気に下って来る時のような流れをイメージして頂けると良いかと思います。演奏時間は、約5分30秒です。

③前奏曲「鐘 Op.3-2」/ラフマニノフ ★★★★★

この曲は、全体的に重厚感が非常に大切な曲です。曲の印象としても、「とにかく重たい」という印象を強く受ける曲調であり、曲の冒頭から終わりまでその重みを保ったまま演奏していきます。

重厚感が感じられる特徴として、和音が多用されていることと、和声の響きが暗いということが挙げられます。はじめに前者ですが、この曲で用いられている和音は、ほとんどが複数での構成となっており、オクターブだけの和音構成というのはあまりありません。

オクターブの中に音がいくつも組み込まれている構成であるため、音数が多く、曲に重厚感を生み出しているということになります。また、ラフマニノフは、非常に手が大きかったと言われており、このような複数の和音を一度に掴んで弾くことが出来ていたため、かなりの迫力と重厚感を表現することが出来ていたのではないかと推測出来ます

同じように演奏することは難しいですが、「手が大きかった作曲者が作曲した」ということを念頭に置き、どのような演奏がより作曲者の意図にふさわしいのか考えながら分析できると良いかと思います。

そして、「和音の響きが暗い」という点についても、この曲の印象を重くしていると考えられます。調性は、短調がベースとなっており、時折響きとして明るい響きが顔を覗かせますが、また短調の響きへと戻ってフィニッシュを迎えます。「音をよく聴く」ということを大切に、響き豊かな演奏を目指してみてください。演奏時間は、約5分です

④幻想小曲集 第2曲「飛翔」/シューマン ★★★★★★

「飛翔」という言葉は、「空を翔ける」「羽ばたいて飛び回る」といったニュアンスを持つ言葉ですが、この曲はこの言葉がピッタリな曲調です。曲の冒頭から音楽が快活に進み、伸びやかな旋律は鳥が羽ばたいているかのようなイメージが湧いてきます。

演奏のポイントは、激しい部分と落ち着いた部分の差を明確に表現すること、転調の響きを繊細に表現することです。この曲は、はじめに激しい曲調で始まりますが、そこから落ち着いた曲調、激しい曲調とサンドイッチのような構成で展開されていきます。

激しい曲調の部分では、キリッとした縦割りの音楽を心掛け、落ち着いた曲調の部分では、それと対照的に横の流れの音楽を心掛けてみてください。それぞれの曲調のニュアンスを細かく表現することにより、両者の差がより明確な音楽となります。

また、この曲で、前半と同じ動きのフレーズが後半では調性を変えて再現されています。調性が変化すると音楽全体の雰囲気や響きも変わってくるため、音の変化によく耳を傾け、前半と後半で異なった曲のイメージが作り出せると良いかと思います。演奏時間は、約3分30秒です。

⑤3つの演奏会用練習曲より「ため息」/リスト ★★★★★★★

この曲は、ピアノの発表会において中級後半から上級演奏者に人気の高い曲です。滑らかな旋律は上品かつ優雅で、途切れることの無い流れが特徴的かと思います。表現の面だけではなく、技術的にもレベルが高い上、譜よみも難しくなっています。調号が多かったり、複雑な動きがあったりするため、譜よみは特に丁寧に行うようにしましょう。

技術・表現の双方に関係しますが、旋律をきちんと追っていくということがこの曲では大切なポイントです。速いパッセージが曲のベースとなり、その中で左右の手を交代させながら旋律を奏でていくため、連符に埋もれないような工夫が必要になります。

速いパッセージは、流れるように演奏することを意識し、主旋律は3本目の手が単体としてそれだけを奏でているような曲の構成になると美しいです。現実的には不可能なことではありますが、そのくらい主旋律を際立たせる意識で連符とは区別して演奏するようにしましょう。演奏時間は、約5分30秒です。

ピアノ発表会【小学生・中学生向け】~ポップス曲編6選~

小学生・中学生ポップス曲編6選

クラシック曲に続いて、本章では小学生・中学生向けのポップス曲を5曲ご紹介します。上級のポップス曲は、オクターブの動きを基本としている曲が多いため、小学生や中学生が演奏する場合には、「自分自身の手で無理なく演奏出来る構成であるか」ということに注意して選曲するようにしましょう。

①映画『となりのトトロ』より「風の通り道」/久石譲 ★★★★

第1曲目は、幅広い世代の人に親しまれている映画からの1曲です。『となりのトトロ』と言うと、「さんぽ」や「となりのトトロ」といった曲が有名ですが、この「風の通り道」は先述した2曲に続いて有名な曲となっています。

澄んだ森の中で聴きたくなるような爽やかな雰囲気が特徴で、可愛らしいフレーズに始まり、旋律に伸びやかさが加わっていきます。冒頭の部分は、軽くキラキラとした印象にするため、軽いタッチで演奏すると良いです。打鍵に関する引き出しを沢山持ち、曲の場面に合ったタッチで演奏することがポイントになります。

②「エレクトリカル・パレード」/ジャン=ジャックペリー,ガーションキングスレー ★★★★

ディズニーパレードの行進曲として知られている「エレクトリカル・パレード」は、2拍子のリズムに乗って軽快に進んでいく曲です。行進曲とされているだけあり、正確にテンポを刻んでいくことが最も重要になります。規則正しいテンポ感で演奏出来るよう、身体にテンポやリズムを沁み込ませるくらい練習出来ると安定した演奏に繋がります。

テンポが速いこともあり、主旋律は連符のようになっていきますが、全ての音符をしっかりと演奏してしまうと快活さが出せないため、2拍子の大きな拍で捉えながらその中に音符をはめていくイメージで演奏すると良いかと思います。軽いタッチで演奏する部分、しっかりとしたタッチで演奏する部分を上手く弾き分けてみてください。

③「うっせえわ」/ado ★★★★★

2020年にリリースされ、歌詞のインパクトが印象的となって大流行したJ-popです。ピアノの演奏としては、速いテンポに加え、曲調の強さが印象的であり、これらをサラッと弾きこなすことでさらにカッコよい曲へと仕上がっていきます。

演奏のポイントとしては、拍やリズムを止めることです。テンポが速いことにより、前に進んでいきたくなる曲ですが、拍やリズムが流れてしまうと曲に締まりが出ず、強くてキリッとした曲調を奏でることが出来ません。止まる部分はしっかりと止まり、曲のハキハキとした部分やカッコよい部分を最大限に引き出していきましょう。

④映画『天気の子』より「グランドエスケープ」/三浦透子,RADWIMPS ★★★★★

この曲は、2019年に上映され人気となった映画で用いられた曲です。穏やかな音の響きで進行していく部分が特徴的であり、曲が進むにつれ壮大なイメージが膨らみます。演奏時間は3分ほどとそれほど長い曲ではありませんが、演奏としては難易度の高い部分がいくつかあり、演奏時間以上に内容の濃い曲です。

はじめに冒頭のきらびやかな旋律ですが、右手と左手で強拍としたい部分が異なっており、音楽としての演奏の重心が定まりづらくなっています。この部分を演奏する際には、タイミングが重要になるため、練習を重ねて体に沁み込ませるようにしましょう。

冒頭の旋律は、主旋律が始まってからもその合間に組み込まれる形の構成となっています。合いの手のようなイメージになるため、主旋律をしっかり追いながら曲を装飾していくつもりで演奏してみてください。

サビの部分は、リズムや音の厚みが重要になってきます。リズムを活かすためにペダルの踏み方を工夫してみたり、歯切れの良いタッチと柔らかく弾くタッチを使い分けてみたりと様々な工夫をして頂けると良いかと思います。音の厚みは、曲全体の壮大さを生み出すことにも繋がっているため、伸びやかな音と豊かな響きで演奏出来るように音の具体的なイメージを持って練習してみましょう。

⑤「群青」/YOASOBI ★★★★★★

この曲は、J-popアーティストとして有名なYOASOBIさんの曲で、2020年にリリースされました。曲調は、J-popらしいリズムに特徴がある部分と、横に流れる旋律の部分との大きく2種類から構成されており、特に左手の伴奏のリズムが複雑になっている点が難易度の高い部分です。

J-popは、基本的にボーカルと楽器系で構成されている曲がほとんどであるため、ピアノで演奏する場合にはその両者を1人で担うことになります。そのため、必ずしもリズムや強拍が分かりやすく一致するわけではなく、ズレながら進行していくため難しく感じるのです。

完全に左手と右手の演奏を独立させてはいけませんが、役割が異なっているということを念頭に置き、ある程度分けて考えることで演奏がしやすくなるのではないかと思います。また、オクターブの動きが多用されているため、手の形をしっかり整え、音を掴むイメージで演奏してみてください。

⑥映画『君の名は。』より「前前前世」/ RADWIMPS ★★★★★★★

『天気の子』に続き、新海誠監督による映画作品からのご紹介です。③においてご紹介した「グランドエスケープ」とは曲調が大きく異なり、快活なテンポとエネルギッシュな曲調が特徴的な曲です。

難易度が高い点はいくつかありますが、その中の1つは、裏拍からの始まりが多用されている点にあります。単純に裏拍から始まる分には大きな問題はありませんが、この曲の場合は、テンポが速いために裏拍のタイミングが掴みづらくなっているため、テンポに乗って演奏していくということが非常に大切です。

また、裏拍から和声が変化している部分も多いため、ただ演奏するだけではなく、音の変化に耳を傾けながら快活に演奏していくことも必要不可欠になります。ゆっくりなテンポから練習を始め、音の変化をよく聴きながら徐々にテンポを上げていくようにしてみてください。

ピアノ発表会【高校生以上向け】~クラシック曲編5選~

高校生以上クラシック曲編5選

ここまでは、小学生・中学生のピアノ上級者を対象として発表会でオススメなクラシック曲、ポップス曲をご紹介してきました。ここからは、高校生以上の年齢のピアノ上級者を対象とし、発表会で演奏するにあたってオススメなクラシック曲とポップス曲をそれぞれ5曲ずつご紹介していきます。はじめに、クラシック曲5曲のご紹介です。

①6つのピアノ小品より第2曲「間奏曲」 Op.118-2/ブラームス ★★★★★★

この曲は、曲名に「6つのピアノ小品」とあるように、短い作品が6曲組み合わされて構成されており、そのうちの第2曲目にあたる曲です。間奏曲は、曲調が非常に柔らかく、優しい雰囲気を持って進んでいきます。

技術的な難しさというよりも、表現の面において難易度が高い曲です。表現に関する記号や用語は楽譜に記載されていますが、それが全てではなく、それらの作曲者の意図を汲み取った上で、演奏者自身が自分の持つ表現をどれだけ重ね合わせていけるのかということが鍵になります。

技巧的に難しいことが詰められている曲ではないため、聴かせ方によっては平坦な曲になってしまう可能性があります。自分の中で表現したいことや曲の流れを明確にし、しっとりと歌い上げるような演奏が出来るとこの曲の良さが聴き手に伝わるかと思います。演奏時間は、約5分30秒から6分です。

②3つの夜想曲「愛の夢」第3番/リスト ★★★★★★

リスト作曲の「愛の夢」は、第1曲から第3曲の構成となっていますが、最も演奏される機会が多いのはこの第3番です。この曲は、もともと歌曲として作曲されており、ピアノ版の他に歌曲版としての曲があります。

冒頭から情感溢れる旋律で始まり、カデンツァでそれぞれの場面を繋ぎながら曲が進行していきます。旋律の音が保持されながら細かな音符も同時に演奏される形となっており、旋律をいかに丁寧に綺麗に奏でていくかということがこの曲を演奏する上でのポイントです。

また、何度かの転調を挟んではじめの調性に戻っていく形となっており、一貫した旋律の優雅さや美しさは残しつつも、それぞれの調性ごとに色を変化させながら演奏出来ると良いかと思います。カデンツァは、音のきらびやかさや流れを活かしつつ、次の場面との繋ぎの役割があることを頭の片隅において演奏してみてください。演奏時間は、約5分です。

③ピアノソナタ第14番「月光」第3楽章 Op.27-2/ベートーヴェン ★★★★★★★

「月光」は、ベートーヴェンが作曲したピアノソナタの1つであり、全3楽章から構成されています。第3楽章は、このソナタの最終楽章にあたり、感情を揺さぶるかのような激しい曲調を持っています。

ベートーヴェンは、音楽史の中の古典派の作曲家であるため、奏法はロマン派の曲と区別していく必要があります。歌い上げるように演奏したくなる旋律も出てきますが、そこはあえて淡々と淡泊に進んでいくことがこの曲では大切なポイントです。

テンポが速く、細かなパッセージが続くため、高い演奏技術が求められる曲であり、16分音符が連続する部分では、旋律に凹凸なく演奏していきます。白鍵と黒鍵が入り混じって構成されているパッセージであるため、タッチの仕方によっては旋律がボコボコと聞こえてしまう恐れがあります。

この曲全体を通して共通していますが、ベタベタとしたタッチではなく、ややノンレガートの奏法を意識し、1つひとつの音の粒がクリアに聞こえる打鍵を目指してみてください。「音が寝て粒が分からない」ということは、この曲を演奏するにあたり、避けていきたい部分になります。演奏時間は、約7分から7分30秒です。

④エチュードOp.10-12 「革命」/ショパン ★★★★★★★

ショパンのエチュードは、10番と25番でそれぞれ12曲ずつありますが、この「革命」はその中でも1番、2番を争うくらいに認知度が高い曲です。「エチュード」の中の1曲であるため、ショパンとしては練習曲として作曲した背景があることになりますが、通常のピアノ曲として完成された1曲と捉えることが出来るくらい内容が充実しています。

インパクトのある冒頭から始まり、途切れることの無い疾走感を持ちながら最後まで進んでいきます。曲のベースとしては、⑤においてご紹介する曲と似ている部分があり、左手の速いパッセージを土台に据えて右手の旋律が変化していく形です。

ショパンは、同じ動きの旋律を1つの曲の中で複数回用いることがありますが、そのような場合、2回目以降に提示される旋律は、1回目から少し変化を遂げている場合が多くなっており、その変化を演奏者が汲み取って表現にも変化を加えていく必要があります。

この「革命」でも旋律に変化を加えて提示されている部分があるため、その点をどの様に表現していくのか分析しながら演奏してみてください。演奏時間は、約2分30秒から3分と短くなっているため、他のエチュードと組み合わせて演奏されることが多くなっています。

⑤「楽興の時」第4番 Op.16/ラフマニノフ ★★★★★★★★

ラフマニノフ作曲の「楽興の時」は、全6曲から構成されている曲であり、コンクールでは6曲を通して演奏されたり、いくつかの曲を組み合わせて演奏されたりしていますが、発表会の場では、第4番が単体で演奏されることが多いです。

速度用語として「Presto」が充てられているように、冒頭から速いパッセージで曲が展開されていくことが特徴で、このパッセージをベースに様々な旋律をプラスして曲が進行していきます。この曲を演奏する上で重要なことは、左手が主体の演奏にならないようにすることです。

左手はとにかく動き続けているということがあり、右手が左手に合わせる構図になってしまいがちですが、この曲の場合、基本的には右手が主旋律を担当していることがほとんどです。そのため、右手を中心に進めていくことを強く意識し、左手は音の流れの起伏が大きくなりすぎないように心掛けてみてください。

右手の旋律では、左手との掛け合いや、3度で哀愁漂う旋律が表現される等、場面によって様々な旋律が組み込まれています。左手が常に動き続けている分、右手の旋律で曲の変化を繊細に表現していくことがこの曲を演奏する上でのポイントになります。左手は、騒がしくなり過ぎない範囲で、音の流れを表現するように演奏していくと良いかと思います。演奏時間は、約3分です。

ピアノ発表会【高校生以上向け】~ポップス曲編5選~

高校生以上ポップス曲編5選

ここでは、高校生以上のピアノ上級者向けとして、発表会にオススメのポップス曲を5曲ご紹介します。どの曲も非常に有名な曲であるため、是非1曲でも多くの曲に挑戦してみてください。

①「めぐり逢い」/アンドレ・ギャニオン ★★★★★

1曲目は、アンドレ・ギャニオン作曲の「めぐり逢い」です。流れるような優雅な旋律が特徴で、澄んだ音で演奏することにより曲の持つ美しさが際立ちます。複雑な動きではありませんが、抑揚を付けずに演奏してしまうと平坦な音楽になってしまいます。そのため、緩急や音の動きを上手く利用しながら、音楽が前進していく演奏を心掛けてみてください。

②映画『もののけ姫』より「アシタカとサン」/久石譲 ★★★★★

この曲は、ジブリ映画として非常に有名な『もののけ姫』で用いられているものです。①でご紹介した曲と同様に、優雅な旋律が美しく、一音一音を大切に演奏していくと、温かみと深みを持ち合わせた聴き手の心に響く演奏になるかと思います。

また、オクターブの動きが多い曲です。オクターブは、鍵盤のタッチによって硬く鋭い音になってしまいますが、この曲では温かくて柔らかい音の響きが求められます。腕の脱力を心掛け、ピアノ全体を響かせるイメージを持って演奏してみてください。

③「春よ、来い」/松任谷由実 ★★★★★★

この曲は、1994年にリリースされたもので、これまで長きに渡って多くの方に親しまれている曲の1つです。雪が降っている、あるいは、桜が散っている情景ともとれるような、煌びやかさを持ちながらも、どこか物悲しい雰囲気を持ち合わせる旋律からスタートし、徐々に曲調が壮大になっていく部分にこの曲の魅力が詰まっていると思います。

ピアノで演奏する際には、歌唱の場合の繊細な声の変化も再現するかのように丁寧に音を奏でていくと良いです。旋律をしっかりと追い、繊細に音を紡いでいくようなイメージで、かつ、最後はそこに力強さも加えた演奏が出来ると良いかと思います。冒頭の旋律は、テーマとして様々な場面で組み込まれています。主旋律としっかり弾き分けるように心掛けてみてください。

④「Baby, God Bless You」/清塚 信也 ★★★★★★★

この曲は、TBSで放送されたドラマ『コウノドリ』において用いられていた曲です。ドラマを視聴したことがあると、一度は演奏してみたいと考える曲かもしれません。様々な要素が含まれている曲であり、演奏技術だけではなく表現の面においても難易度が高い曲です。

演奏技術としては、第一に演奏における全体的な技術力が必要となります。安定感のあるオクターブでの演奏や、速いパッセージの動きを問題なく演奏出来るように技術力を高めていきましょう。

また、これらの演奏技術に加え、奏でることが出来る音質の種類が豊富であることが重要です。同じ強弱であっても、打鍵の種類によって異なる音質の音を奏でることが出来ます。この曲では、強弱が同じでありながら、場面ごとに曲調が異なることがあるため、音質や音色の引き出しを豊富に持っておくとより豊かな演奏となるかと思います。

表現の面も同様に、緩急の付け方や抑揚の付け方の引き出しを多く持っていると表現の幅が広がっていきます。似たような旋律が何度か繰り返される曲ですが、同じ旋律によって表現をパターン化するのではなく、場面や前後の旋律との関係によって様々な工夫を考えてみてください。

⑤「千本桜」/初音ミク ★★★★★★★★

この曲は、ピアノを演奏する上での技術的な難しさはほとんど凝縮されていると考えても良いくらい難易度が高い曲です。様々な要素がありますが、その1つとしてテンポが非常に速いことが挙げられます。

「テンポが速い曲=難易度が高い曲」とはなりませんが、この曲の場合はテンポが速い上に旋律の音符が非常に細かいため、速いパッセージが連続すると考えて頂けると良いです。また、旋律も単音ではなく和音として構成されている部分があるため、しっかり縦のラインを揃えて演奏するようにしましょう。
そして、ただ速く演奏するだけが全てではありません。曲の途中では、合いの手が入ったり、転調したりすることがあり、それぞれの要素は演奏を立体的に聴こえるようにするために大切な役割を担っているため、音の動きにも耳を傾け、内容の濃い1曲を作り上げて頂けたらと思います。

おわりに

おわりに

本記事では、ピアノの発表会における上級者向けの演奏曲について、「小学生・中学生向け」、「高校生上向け」と年齢ごとに分け、その中でさらに「クラシック曲」と「ポップス曲」に分類してご紹介してきました。ピアノ上級者の段階になると、演奏出来る曲の幅が格段に広がり、選曲する際の曲が非常に多岐に渡るかと思います。

選ぶことが出来る対象の曲が多くなる分、選曲に際しては難しさを感じることがあるかもしれませんが、様々な作曲家やこれまでにあまり演奏したことが無い曲にも挑戦出来る機会であると捉え、是非幅広く多くの曲を演奏して頂けたらと思います。曲が持つ力に演奏者の技術力や表現力をプラスし、自分にしか奏でることが出来ない1曲へと仕上げていきたいところです。

この記事を書いたのは

音楽家庭教師ライター H.K

家庭教師ファーストの登録家庭教師。5歳からピアノを始め、ピアノコンクール全国大会に複数回出場、上位入賞経験あり。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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