家庭教師ファースト教育コラム中学受験

家庭教師ファースト教育コラム中学受験

中学受験【特殊算】の克服方法!~基礎からわかりやすく解説~

  • 中学受験
  • 2021.12.20
  • 現役東京学芸大生ライター K

中学受験を控えた小学生やその保護者の方には、「特殊算」というものは聞き慣れたものなのではないでしょうか。
中には「難しく感じるから苦手」「覚えなければいけないことが多いから苦手」というお子さんも多いと思います。
しかし、これらの問題が解けるようになることで、算数の点数がググッと良くなることは間違いありません。
 
今回は特殊算のポイントを、基礎から解説します。
それぞれ例題、ポイント、解き方の順で解説していきますので、気になる部分だけでもぜひ読んでみてください。
また、一人ではなかなか対策が難しい場合は、家庭教師の先生に相談してみてくださいね。

特殊算①「つるかめ算」

特殊算①「つるかめ算」

トップバッターはつるかめ算です。
面白い名前をしていることからも、おそらく特殊算を克服したい!と考えている人ならその名前ぐらいは知っていることでしょう。

つるとかめが合わせて7匹います。
つるの足とかめの足の本数を足すと、全部で22本あります。
つるとかめはそれぞれ何匹いるでしょうか。
ただし、つるの足の本数は2本、かめの足の本数は4本とします。

上のような問題ですね。
これから下の章でも、まず問題を出すので、最初は自分で解き方を考えてみてから、下へと読み進めていってほしいと思います。
ぜひ小学生のうちから、わからない問題に対しても「考えようとする」という姿勢を身につけていってほしいと思います。
 
では、解説していきましょう。
つるかめ算のポイントは、以下の2つです。
 
①全部つるだとした時と比べる。
②つるとかめの足の本数の差は2本である。
 
これでつるかめ算を解くことができます。
どういうことか説明していきましょう。
 
まず仮に全部つるだとしましょう。
つるとかめがあわせて7匹、ということは全部がつる、ということもあり得ます。
もし全部がつるだとすると、その足の本数は2×7=14より14本になりますね。
これでは22本にはなりません。
 
では7匹のうち、1匹をかめ、にしましょう。
するとかめはつるより2本足が多いため、14+2=16本となりますね。
2匹をかめにするとさらに2を足して18本……
 
では何匹「もともとはつるだったもの」を「かめ」にすればいいのでしょうか。
 
今の問題では最終的に目指す足の半数のゴールは22本です。
そして1匹のつるをかめにすると、2本ずつ足が増えていくことが上からわかりました。
 
最初に全部つるだとした時は、その足が14本でしたね。
ということは22-14=8より、8本増やせばいいのです。
1匹かめにすると2本足が増えるので、8÷2=4より、4匹かめにすれば、足は22本になりそうです。
すると、7匹のうち4匹がかめなので、残りの3匹がつるになりそうですね。
 
確かめてみましょう。
実際に4匹がかめなので、かめの足の本数の総和は、4×4=16より16本。
つるの足の本数は、2×3=6より6本。
合わせると22本。確かにこの問題の条件に合っていますね。
 
このようにして、つるかめ算は解くことができます。

特殊算②「和差算」

特殊算②「和差算」

和差算は、得意な人と苦手な人が、はっきりと分かれやすい問題です。
と言うのも、「手順」が多く、複雑に感じてしまうためです。

それゆえ、丸暗記で乗り切ろうとする人も多くいる特殊算になっています。
しかしこの問題も、「なぜこのようにすれば解けるのか」その理屈を理解すれば、あっという間に解けるようになりますよ。
問題はこちらです。

りんごとかきを、一個ずつ買うと300円です。
りんご1個の値段はかき一個の値段よりも50円高くなっています。
りんごとかきは、それぞれ一個いくらでしょうか。

この問題には2つほど有名な解き方があります。
ここでは2つとも紹介します。
どちらの解き方が好きかは好みによると思いますので、「この解き方がしっくりきた!」と思う方でぜひ解いてみてください。
もちろん両方とも理解するのは”はなまる”です。
 
【解き方1】
解き方1では、図を書いて考えていきましょう。
どんな図かというと、線分図です。
 
左端を揃えて2本、線をかきます。
上のが長い線で、下のは短い線です。
上のがりんごの値段、下のがかきの値段を表しています。
すると差額が50円となっているので、下のかきの線と、りんごの線の差が50円分となっています。
 
ということは、合計した300円から50円を引いた250円分が、かき2つ分の値段になっていますね。
ということは、かきの値段は、250÷2=125より、125円となっています。
 
ここで合計が300円でかきの値段が125円だから引き算をして、と求めてもいいのですが、せっかくなので少し違う考え方をしてみましょう。
 
先程書いた図をもう一度見てみてください。
もし、かきの右側の線が、あと50円分長かったら、と考えてみてください。
すると、300+50=350円が、りんご二つ分の値段になるのではないでしょうか。
すると、350÷2=175より、りんごの値段が175円と出すことができます。
 
このように、二つのものの和と差が出ている際に、和と差を足してから2で割ると大きい方、和から差を引いて2で割ると、小さい方の答えを出すことができます。
和差算という名前は、この解き方に実は由来しているのです。
 
【解き方2】
解き方2では、りんごとかきの関係性に注目します。
今、りんごがかきよりも50円高いということは、次のような式が成り立ちます。
 
りんご=かき+50
 
また同時に、
 
りんご+かき=300
 
という式も成り立っていますね。
この二つの式から、次のような式が導き出せます。
 
りんご+かき=(かき+50)+かき=かき×2+50=300
 
つまり、かきが2つの値段は、300−50=250より、250円となります。
よって250÷2=125より、かき一つの値段は125円です。
すると、かきとりんごを合わせて300円なので、300−125=175より、りんご一つの値段は175円となります。
 
この解き方のポイントは、「与えられた関係を全て式で表す」ということです。
式で表すことにより、それを変形することで解くことができました。

特殊算③「流水算」

特殊算③「流水算」

和差算の次に流水算を紹介したのには理由があります。
というのも、流水算は和差算と「同じ」だからです。
 
とは言っても中々ピンとこない、という方も多いと思いますので、具体的な問題を見てみましょう。

川に沿って、24km離れているA地点とB地点をエンジン付きの船で往復しました。
上りは3時間、下りは2時間かかりました。
この川の速さは時速何kmでしょうか。

まず、おや?と思ってほしい部分があるのです。
それは上りと下りでかかる時間が異なっている、ということです。
これは一体なぜなのでしょうか。
 
エスカレーターをイメージしてみてください。
下のエスカレーターを自分でも歩いて下ると、止まっているよりも早く下に辿り着けるのではないでしょうか。
逆に、「本当は上りに乗りたかったのに間違えて下に乗ってしまった!」と思って引き返そうとする場面を想像すると、かなり速く歩かないと無理そうなのは容易に想像ができるのではないでしょうか。
 
このように、エスカレーターの動いている向きと同じ方向に進むか、それとも違う方向に進むかによって、歩く速さが同じでも「実際にすすむ速さ」が異なるのではないでしょうか。
これと同じことが川でも起こっているのです。

この問題では、上りの時速は24÷3=8より時速8km、下の時速は24÷2=12より12kmとなります。

ここで、最初に「和差算と同じ」と最初に言ったことを覚えているでしょうか。
和差算では図を書いて問題を解決しましたね。
今回も図を書いて考えてみましょう。
 
今回は、時速を左端を揃えた線に表して考えていきましょう。
すると、上りの速さは、エンジンのついている船が、流れのない水で走っている時の速さ(以下、静水の速さ、とします)―川の速さ、下りの速さは静水の速さ+川の速さ、と表すことができます。
この図からわかることとしては、川の速さを2倍すると、12−8=4より、時速4kmになるということです。
 
あとは、4÷2=2より、川の速さは時速2kmになります。
このように、和差算と同様の図を書くことにより、流水算についても解くことができました。

特殊算④「倍数算」

特殊算④「倍数算」

倍数算は名前自体はそこまで有名なものではないので、もしかしたら聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。
問題を早速見てみましょう。

えんぴつとノートを買いました。
えんぴつが5本とノートが3冊の時は710円でした。
また、えんぴつが3本とノートが3冊の時は、570円でした。
では、えんぴつ1本とノート1冊のそれぞれの値段はいくらでしょうか。

これについても、実は少し和差算と似ています。
というのも、似た図を書くことで解決することができるからです。
 
左端を揃えた線を、2本書いてみましょう。
長い方が710円分、短い方が570円分です。
するとその差は、710−570=140より140円になりますね。
これは、何の金額になるかというと、えんぴつ5本とノート3冊の値段からえんぴつ3本とノート3冊の値段を引いたもの、すなわちえんぴつ2本の値段になります。
 
ここまでくれば、えんぴつの値段は140÷2=70より70円とわかりますね。
するとえんぴつ3本の値段は70×3=210より210円です。
 
えんぴつ3本とノート3冊の値段からえんぴつ3本の値段を引くと、ノート3冊の値段が出ます。
すなわち、ノート3冊の値段は、570−210=360より360円になりますね。
よってノート1冊の値段は、360÷3=120より120円という結果になりました。

特殊算⑤「旅人算」

特殊算⑤「旅人算」

2〜4番までの問題については、和差算の時に用いた図を用いて、考えることができました。
さて、この章からは少し異なる問題となります。
 
こちらは名前も内容も、とても有名な特殊算ですね。
一方とても苦手な人の多い特殊算の一つにもなっています。
実際に問題を見ながら解説していきましょう。

お兄さんと弟がいます。
お兄さんと弟が同じ時間に家を出て、反対方向に歩き始めました。
兄は分速100m、弟は分速60mで歩いています。
10分後に2人は何メートル離れているでしょうか。

反対側に進むとはどういうことなのか、少し考えてみましょう。
お兄さんが右側へ、弟が左側に進むということを考えたとしましょう。
この時、1分後にはどうなるか、少し考えてみてください。
 
そうですね、1分後には、お兄さんは右へ100m進んだところ、弟は60m左にいたところにいると思います。
このように、1分間で100+60=160より160m離れていきます。
 
よって、毎分160m離れていくので、10分後には160×10=1600より、1600m離れるのです。

特殊算⑥「通過算」

特殊算⑥「通過算」

通過算は、少し旅人算と似ています。
早速問題を出しますね。

2台の列車があります。
列車Aは秒速20m、列車Bは秒速25mです。
またAの列車の長さは160m、Bの列車の長さは200mです。
この時、二つの列車が完全に出会ってから完全にすれ違うまで、何秒かかるでしょうか。

さて、先程の旅人算の問題では、「反対の向きに進む」という問題になっていました。
今度も同様になっているので、一秒間に離れていくのは、20+25=45より45mとなっています。
 
ここで一つ問題が生じました。
というのも、「完全にすれ違う」とはどういう状態なのかがわからない、ということです。
 
こんな時は落ち着いて図を書いて考えてみましょう。
まずは最初に出会うときは、反対向きに進んでいる列車Aと列車Bが、頭を突き合わせているという状態になっています。
一方完全にすれ違った瞬間はどうなっているでしょうか。
電車の尻尾と尻尾が、ちょうど離れる状態になっていますね。
 
この時、列車Aの頭の部分に注目してみましょう。
この部分がどれくらい進んだかというと、列車B一本分の長さと、列車A1本分の長さとなっていますね。
つまり、200+160=360より360mです。
 
では、360mを秒速45mで進む時に何秒かかるでしょうか。
これは、360÷45=8より8秒ですね。
 
旅人算の考えを用いることと、図を書いて解くということがポイントかと思います。

特殊算⑦「植木算」

特殊算⑦「植木算」

最後に紹介するのは植木算です。
道に木を特定の感覚で植えて行った時に、木は何本植えることができるか、と言う問題です。
 
こんなふうに解き方を覚えている人も多いのではないでしょうか。
「両端に植えるときは1本多い、植えないときは1本少ない、輪っかならそのまま」
しかしこのように覚えていると、ふとした時に「あれ、足すんだっけ、引くんだっけ」という風に迷ってしまうのではないでしょうか。
 
これも「丸暗記」をするのではなく、「なぜそうなるのか」を一度考えてみて欲しいと思います。
具体的な問題を見ていきましょう。

長さ250mの道があります。その両側に10m置きに木を植えていこうと思います。
両側とも、道の端には1本ずつ木を植える場合、必要な木の本数は、何本でしょうか。

ここまで「図を描こう、図を描こう」という話をたくさんしてきました。
今回も図を書いて考えてみましょう。
と言っても、何本か木を植えてみて、どのようになるのかを考えるということです。
 
道の両端に2本、木を植える時を考えましょう。
この時「木と木の間の数」は1つになりますね。
 
なんのことだろう?と思っている方もいらっしゃると思うので、もう少し例を見てみましょう。
 
両端とその間の合計3本、木を植えた時を考えましょう。
この時、「木と木の間の数」は2つになりますね。
両端とその間に2本、合計4本木を植えた時は、「木と木の間の数」は3つ、という風になります。
 
このように、両端に木を植える時に必要な木の本数は、「木と木の間の数」+1本となっています。
 
ここで、先程の問題を見てみましょう。
250mに10mごとに木を植えていくということで、250÷10=25より、間の数は25個になります。
今、両端に植えることを考えているので、25+1=26より、26本になりますね。
 
ところで、池の周りに木を植える場合や両端には木を植えない場合についても、同様に図を書くことで、「なぜそうなるのか」を考えることができます。
ポイントは「木と木の間の数」に注目することです。
ぜひ図をかいて、少し考えてみてもらえればと思います。

まとめ

今回は以上の7つの特殊算を紹介してきました。
その中でも例えば旅人算と通過算が似ていたり、和差算と流水算で似た考えを用いたりと、似ていた部分も多くあったと思います。
 
中学受験の算数で大切なことは、「自分で図を書くことができる」ということです。
特殊算の数はたくさんあります。
そのため全ての解き方を覚えようとしていたらきりがありません。
正しい図を書いて、自分の力で解くことをたくさん繰り返していくと、自然と解き方が身に付いていくものです。
たくさん解く、ということもポイントです。
すると合格も近づくと思います。
今回の記事でよくわからなかった場合は、家庭教師の先生に相談してみてください。

皆さんが志望校に合格するための、お手伝いができていれば幸いです。

この記事を書いたのは

現役東京学芸大生ライター K

家庭教師ファーストの登録家庭教師。東京学芸大学 教育学部在学。特に算数・数学が得意。特別支援教育について大学で学んでいます。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

記事を検索

カテゴリー

新しい記事

人気の記事

TOPへ戻る