家庭教師ファースト教育コラム高校受験
家庭教師ファースト教育コラム高校受験
家庭教師ファースト教育コラム高校受験
高校受験における理科は、厄介です。
小学校の理科に比べて範囲が急拡大し、かつ、ややこしくなる分野が多いからです。
高校受験は国数英の三科目入試があることからわかるように、理科の重要度はさして高くありません。
かといっておろそかにすることも出来ないので、限られた時間で、最大限のパフォーマンスを発揮できる必要があります。
覚える量を減らしたり、現象について上手に考えられたりする方法をお伝えしていきます。
なお、家庭教師ファーストには私も含め現役大学生や社会人・プロの家庭教師も多数在籍しています。
もしこの記事を読んでも自分一人で対策できないようでしたら、是非家庭教師に相談してみてください。
中学内容の理科は、1分野と2分野から構成されています。
前者には、生物、地学の内容が、後者には、物理、化学の内容が入っています。
生物分野から詳しくみていきましょう。
まず、1年の時に「裸子植物と被子植物」、「植物の分類」、「動物の分類」
次に、2年の時に「細胞」、「光合成、蒸散、呼吸」、「根、茎」、「消化」、「呼吸」、「血液、排出」、「感覚と運動」
最後に、3年の時に、「細胞分裂」、「生殖」、「遺伝」を習います。
次に、地学分野です。
1年の時に、「火山」、「地震」、「地層」
2年の時に、「気象」、「湿度」、「雲のでき方」、「前線」、「大気の動きと日本の四季」
3年の時に、「天体」、「日周運動、年周運動」、「太陽系、金星」、「月の動きと見え方」を習います。
次に、化学分野です。
1年の時に、「いろいろな物質」、「水溶液」、「気体」、「状態変化」
2年の時に、「原子分子」、「化学反応式」、「分解、化合」、「酸化と還元、エネルギー」、「化学変化と質量」
3年の時に、「イオン」、「電気分解、電池」、「酸とアルカリ」、「中和」を習います。
最後に、物理分野です。
1年の時に、「光の進み方」、「凸レンズ」、「音」、「力」、「圧力」
2年の時に、「電子」、「電流と電圧」、「オームの法則」、「電流による発熱」、「磁界」
3年の時に、「力のつり合い、合成分解」、「物体の運動」、「仕事」、「エネルギー」を習います。
中学理科の全単元を挙げましたが、多いですね。
お通いの学校や教科書によって多少進み方は違いますが、おおよそ上記のような進み方です。
これから先、分野ごとに対策を説明していきます。
巷では、「生物分野は暗記!」という言葉だけがまかり通っていて多くの学習者を苦しめます。
確かに、生物分野は暗記要素は強いですが、丸暗記しろと言っているわけではありません。
単元をこえたつながりでまとめると理解がはかどり、暗記に費やす労力を減らすことができます。
生物分野は、植物、動物、遺伝の3つの分野に分けることができます。
このうち、植物と動物は1.2年で並行して学び、3年で遺伝を中心に習います。
はじめに、「裸子植物と被子植物」で、構造の違い、受粉の仕組みを習います。
次に「植物の分類」で、双子葉類、単子葉類、合弁花、離弁花、胞子で増える植物を習います。
植物の分類では、初めに裸子植物と被子植物の分類もあります。
ここは、復習です。
この2つの単元は、おおざっぱに言うと「植物の分類」に集約されます。
2年で習う、「光合成」、「蒸散」、「呼吸」や、「根、茎」は、並行脈、網状脈の話、主根と側根、ひげ根の話が単子葉類、双子葉類の分類の延長線上にあります。
2年でこれらの単元を習うとき、1年の植物の分類を念頭に置きながら学習することが出来ると、3年の夏から「さあ、受験対策だ!」というときに、1年の内容を完全に忘れていたという事態を防ぐことができます。
3年の内容は、一見、植物の分類とは深い関係がないように思われがちですが、根っこの細胞分裂の話の時に、主根と側根から植物の分類の復習を脳内でしたり、有性生殖の植物の話の時に、受粉から胚珠、子房といった内容を脳内で復習することで、1年の内容をキープすることができます。
すべての内容を網羅したまとめの植物分類表を作ると、A4の紙1枚に重要事項をまとめることができます。
ここまでできれば、植物の分野は、かなり知識を集約化できており、勉強時間をかけずに知識をキープできます。
動物に関しては、あまりつながりはありません。
脊椎動物の分類をメインとして、体温、卵の性状、呼吸の仕方などで何を聞かれても分類できるようにしておきましょう。
無脊椎動物はさらに暗記要素が強いですが、量が少ないので頑張って覚えましょう。
動物の分類は、脊椎動物の5種類の特徴をまとめた表を自力で作れるようになれば完成したといえます。
呼吸、消化、血液、などは、「動物は酸素と栄養分を必要としていて、呼吸で酸素を取り込んで、血液を介して全身に送り届けていて、食事を通して消化管から栄養分を取り込んでいる!」という大まかな原則から各単元の暗記に入っていきましょう。
暗記事項は多いですが、結局根幹は上記の一言に尽きます。
例えば、もし動脈血と静脈血を忘れそうになったら、肺で酸素を取り込んだ後全身に送り届ける方が動脈血というように原則から考えれば、思い出すことも可能です。
丸暗記せず、動物の体はこういう原則に基づいているんだと日ごろから意識して勉強していると、いつまでたっても忘れることはありません。
遺伝に関しては、減数分裂、生殖方法、メンデルの法則を押さえておけば大丈夫です。
生殖方法は植物や動物の復習の要素が強いので、ここを習っているときに植物や動物の内容を思い出せない人は、復習しておきましょう。
メンデルの法則は、家系図を毎回書いて解くようにすれば、だんだん慣れてきます。
生物分野は暗記要素が強いですが、丸暗記だと量が多く知識のメンテナンスが大変です。
なので上記のように、単元の垣根を越えて復習したり内容を頭の中でつなげたりしていけば、決して膨大な量にはなりません。
また、各種の性状を確かめる実験に関しては、内容、注意事項、結果を理解して覚えておきましょう。
入試では、実験をテーマにした記述、図を描く問題も散見されます。
結果を覚えているだけだとこれらの問題は解けないことが多いので、かならず実験も頭に入れておきましょう。
実験も理解することで、関連付けが増えて、より結果も強固に記憶に定着します。
地学分野は暗記要素がいちばん強いといわれている科目ですが、実はそうではありません。
1年の頃に習う、「火山」、「地震」、「地層」は暗記要素が強いのは事実ですが、2年の天気に関する内容や、3年の天体は理解を伴っていないと苦しい暗記地獄になってしまいます。
地学分野は多くの人が興味がなく(興味のある人はすみません)軽視されがちですが、入試ではしっかり出題されるので甘く見ないようにしましょう。
地学分野は、社会科の地理分野と深いつながりがあります。
厳密には地学と地理学は全く別の学問なのですが、中学までの範囲だとかぶっている部分が多いです。
1年の内容から見ていきましょう。
例えば火山の勉強をするときに、プレートを習ったときに、地理でプレートの境目に火山が多い(艦隊へよう造山帯とヒマラヤ・アルプス造山帯)といった暗記事項が脳内でつながります。
また、粘り気で分類した具体的な火山名が出てきたときに地図帳でどこか確認しておくと、日本の山地山脈の復習にもなります。
もちろん、全ての範囲が地理と関連があるわけではなく、鉱物の組成に関しては丸暗記するしかありません。
地層は小学校の復習に加えて化石の話だけ新しく覚えましょう。
2年の内容は厄介な内容が多いです。
天気は丸暗記がいちばん通用しない分野です。
湿度の計算は割合の問題なので、そこまで苦労することはないと思います(苦労する人は割合の復習を急ぎましょう)。
多くの人が苦労するのが、風の向きがどっちだっけといったところだと思います。
そこで、ここでは脱丸暗記となるような風の流れを伝授します。
まず、上昇気流と下降気流です。
上昇気流は低気圧で雨、下降気流は高気圧で晴れ、といった丸暗記を理論で説明していきます。
空気は、気温が上がると膨張、つまり、圧力は下がります。
逆に気温が下がると、空気は収縮、つまり圧力は上がります。
晴れているときは地表の気温が高く、空気が上空に比べて膨張していて圧力が低いため、上空から空気が吹きおろしてくるため、下降気流となります。
また雨の場合、地表の気温は低く空気が収縮しており、上空に比べて圧力が高いため、上昇気流となります。
なお、「風は気圧の高いところから低いところに向かって発生する」ということは前提知識としています。
これが分からない人は、冷凍庫を開けたら冷気が漏れ出してくる様子をイメージしてください。
キンキンに冷やされて収縮しまくった空気が、室温の空気と交通すると飛び出していく様子ですね。
あとは、高気圧低気圧のねじれる方向ですが、とりあえず「空気はまっすぐ進もうとすると右向きに力を強制的に受ける」と丸暗記してください。
すると、高気圧で吹きおろした風は、時計回りに広がっていきますし、低気圧で上昇していく風は、反時計回りに巻き込みながら上昇していきます。
この右向きの力の原動力は、コリオリの力というのですが、高校レベルでも理解することが難しい概念なので理解は諦めてください。
参考までにですが、南半球では、空気はまっすぐ進もうとすると左に曲げられます。
この温かい空気、冷たい空気による風の流れは、季節風の理解にもかなり役立ちます。
上記の話を納得したうえで天気分野の学習をしていくと、丸暗記を減らして考えながら解くことができるようになります。
天体はそもそも日常生活からかけ離れており、イメージすることが難しいです。
また、天球という謎の模式図の設定に戸惑うこともあります。
この図は、観測者は地球上にいるのか、それとも宇宙から眺めているのか、月から眺めているのかといった視点に注意して図を見る必要があります。
季節による日の出日の入りの時間の変化のように、天球でも説明できなければなりませんし、太陽と地球の図からも説明できなければなりません。
これらは、視点が違うのと、着目する部分が違うだけで、同じことを説明できることがあります。
学習量自体はさほど多くありませんが、3年の最後の方に習うので、理解不足のまま入試に突入する人が後を絶ちません。
とにかくそれぞれの代表的な図を観測者はどこなのか、それぞれの現象を説明できるようにしておいてください。
結局、丸暗記要素が強いのは1年の火山のあたりになります。
他は、しっかり理論を入れたのちに暗記していくことが大切です。
天体は入試の出題頻度は低いですが、捨てることはお勧めしません。
万が一、出題された場合、理科の点数の約25%を失うことになります。
よほど、せっぱつまっている場合でも、最低限、基本問題は取れるようにしておきたいです。
化学分野は、暗記と理論の単元がバランスよく混ざっています。
それぞれ適した勉強法をしないと、かけた時間のわりに点数が延びないという事態に陥りやすい分野です。
また、学年別に傾向と対策を説明していきます。
1年は、とにかく割合が重要です。
密度、質量%濃度、溶解度などなど割合に関する単元がてんこ盛りです。
小学校の割合が苦手だった人はここで躓き、その先の理科がずっと苦手になってしまいます。
このあたりがよくわからない人は、割合の復習を最優先で行ってください。
天気の単元の湿度もそうですが、理科は割合がとても重要です。
小4で習う、単位量当たりの計算、速さなどもとても重要です。
2年は最重要単元が多く、原子、分子からの化学反応式まで習います。
元素記号という丸暗記をしなければ何も始まらないので、これは必死に覚えてください。
元素記号を覚えると、化学式は、元素記号をくっつけたり離したりしたらいいだけだということが理解できると思います。
それでも記号の順番等ある程度の丸暗記は残りますが、そこは割り切ってください。
3年になると習うイオンの概念が入るとある程度整理されます。
化学反応式は、元素記号、化学式を完璧にした状態でないと何をしているのかさっぱりわからないので、必ずその2つの暗記を得てから学習するようにしてください。
化学反応式を通して「分解」「化合」「酸化」「還元」といった現象を理解できれば、忘れることなく記憶に刻まれると思います。
とにかく、元素記号と化学式を徹底的に覚えてください。
すると、あとの理論は楽に入ってきます。
3年は、イオンの概念を習得した後、電池、電気分解、酸とアルカリによる中和を習うだけです。
2年の時に元素記号と化学式を完璧に覚えていれば、イオンの暗記は価数を覚えるだけですし、電池も電気分解も、中和も、全て化学反応式に集約されていきます。
3年の勉強の説明は残念ながらこれだけしか書くことがありません。
2年の勉強がいかに重要かということを推察していただければと思います。
化学分野は、まず割合が理解できていることが大切です。
2年の内容は3年の内容のもとにもなるので、2年のときは、理科の学習にかなり力を入れたほうがいいです。
3年になって元素記号を覚え直しているようでは、他の科目に割くべき時間がどんどん理科に吸収されてしまい、入試の合計点はあまり伸びません。
物理分野は、苦手とする人が多いです。
それは、暗記で乗り切れないからです。
毎回、考える習慣をつけることが必要です。
毎回考えて解くことで気づいたら、図を描くことも含めて理論を全部覚えられたら理想的です。
1年は凸レンズの実像虚像、像はどこにできるのかという問題でつまづく人が一定数います。
計算自体は公式が簡単なのでほとんどの人が出来るのですが、像の問題は図を描かないと理解できないので難しくなります。
毎回凸レンズを書いて、中心に線を引いて、物体から2本の線を引き、その線がむすばれたところに像が出来るという風に手が勝手に動くまで訓練しておきましょう。
定期テストの前にやるであろうワークで実践するだけでも、十分な練習回数になります。
この作業は一見無駄に見えますが記憶に定着しやすいですし、いざというときに自分で理論を構築することで像の問題が解けるようになります。
次に、圧力についてですが、まず、単位を押さえましょう。
N/m²ですね。問題によっては、辺の長さをセンチメートルで与えてくることがあるので、単位の変換には慣れておきましょう。
ここも、割合が大切なので、重くても支える面積が大きければ圧力は小さい、軽くても支える面積が小さければ圧力は大きいといったイメージがわかない人は、割合の復習を急ぎましょう。
単位を把握していれば、重さを面積で割るのは明らかなので公式の暗記が楽になります。
まず、電流と電圧の違いを明確にしておきましょう。
電圧とは、水流で言うところの高さにあたり、電流とは流れる水の量といわれます。
電気は流れているところや電圧の高低を視覚的にとらえることは出来ないので、イメージがわかず、とんでもない計算をしてしまうことがあります。
水流でイメージを掴んだ後は、オームの法則を単位もしっかり覚えて、回路図を書く練習をしましょう。
問題によっては、並列回路に見えるけど実際は直列回路であった、という間違いをしたことのある人は多いと思います。
単純な回路であれば、問題の図をみたままで計算できるのですが、見慣れない配置の回路の時は、いったん回路図を書いて、どこが直列でどこが並列なのか、回路を一周するようすが分かりやすいように回路図を書き直すことをお勧めします。
電力、電力量の計算は、電流×電圧をもとに、あとはオームの法則から抵抗を使ってでも計算できるようにしておきましょう。
大体、各抵抗の消費電力を求めることが多いので、抵抗値を利用することが多いです。
磁力の範囲も目に見えないので厄介です。
まず、基本である、導線による磁界、右ねじの法則、コイルから生じる磁界のそれぞれのパターンを習得することに専念してください。
その後電磁誘導といった、より複雑な分野に手を広げて行くことになります。
フレミング左手の法則をもとに、毎回、電流の向き、磁界の向き、力の向きを確認し、誘導電流が流れる方向を決める習慣をつけてください。
電磁誘導は、まず、誘導電流の向きを決めるのが大きなヤマ場です。
この磁石の配置なら、電流はこの向きだ!といった暗記は必ず破滅するのでやめておきましょう。
3年は、1年の時のフックの法則やニュートンから話を拡張させていきます。
つり合い、力のかかる運動では、必ず図を描き、力の矢印を書く習慣をつけましょう。
力の矢印は、何が何を押す力か正確に説明できれば、作用反作用の力で混乱することもありません。
物体の運動は目に見えるためイメージしやすく、図を描かない人が多発しますが、難しい問題になると、図無しでは解くことが困難になってきます。
日ごろから図を描く習慣があると、難しい問題になっても力の図示が終わっていれば、解きやすくなります。
速さも、等速運動なのか等加速度運動で時間、速さ、移動距離といったグラフをすらすら書けるようにしておきましょう。グラフを読み取るときは、縦軸と横軸が何なのかを確認してから読み取りましょう。グラフの形状だけで等速運動か等加速度運動なのかの判断をすると、2分の1の確率で間違えることになります。
物理分野は、理論の理解が最重要です。
しかし、公式や単位の暗記も不可欠です。
毎回、何が起こっているのか、図を描いて考える習慣をつけると、忘れませんし、難問にも立ち向かえるようになってきます。
一度完成すると、暗記事項が少ない分、あまり手を加えなくても点数が下落することはありません。
ぜひ、定期テストの時に真剣に向き合って仕上げて、入試前には手のかからない状態にしておくことが理想的です。
各分野の学年別の傾向と対策を説明してきました。
2分野は暗記、1分野は理解といったおおざっぱなイメージだけでは中学理科は攻略できません。
それぞれの単元ごとに暗記要素、理解要素の割合がことなってきますので、正しい戦略の元、少ない時間で高得点を維持し、国語、数学、英語の学習時間を確保することを祈っています。
説明に地理や割合の話が何度か登場したことからわかるように、理科は独立した科目というよりは、他の科目とつながりのある科目なので、可能な限り、他の科目の力を借りつつ仕上げていけば、両方の科目で楽できます。
範囲は広いですが、この記事で各分野の特色を掴んで、日々の勉強に役立ててください。
理科だけでなく「勉強のやり方」に不安があれば、是非私たち家庭教師に相談してみてください。
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現役医学部生ライター I
家庭教師ファーストの登録教師。和歌山県立医科大学 医学部に在学中。学生ながら、家庭教師指導人数は20名以上。塾講師経験も。