家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて
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家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて
支援級や通級指導は、特別な支援を必要とする子どもたちにとって欠かせない制度です。これらの制度が適切に機能することで、子どもたちは自信を持って学び、成長し、将来的には社会で活躍できる力を身につけることができます。一方で、教員不足や保護者の不安など、まだ多くの課題が残されています。今回は支援級・通級についての詳細やその歴史、保護者が考えるべき事等を解説いたします。
なお、お勉強の事で何かお困りごとがありましたら、私たち家庭教師にもご相談ください。
支援級とは、学校において特別な支援を必要とする児童・生徒のために設置された特別支援学級のことです。支援級と特別支援学級という言葉が用いられることがありますが、両者は同義であるととらえてもらって差し支えありません。
支援級は、特別支援学校のように特別支援のために作られた学校とは違い、一般的な学校の中に設けられた特別支援を行うための学級です。ちなみに、児童・生徒の区別は、児童が小学校に通う子ども、児童・生徒を中学校・高校に通う子どものことを言います。
特別な支援とは、具体的には知的障害、発達障害(自閉症スペクトラム症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、情緒障害、身体障害、視覚障害や聴覚障害など、通常の学級での学習が困難な児童・生徒を対象としています。
支援級は、児童・生徒一人ひとりの特性に応じた教育を提供する場であり、学習だけでなく、日常生活に必要なスキルの向上も支援するいわゆる療育が行われます。
支援級での授業は少人数で行われ、指導内容は児童・生徒のニーズに合わせた形で設計されます。たとえば、数学の授業では、通常学級の抽象的なカリキュラムに代わり、実際に数を視覚的に捉えるために具体物や図形を使って学ぶことがあります。また、情緒的な安定が求められる場面では、心理的サポートも取り入れながら進めることが可能です。
支援級の最大の特徴は、児童・生徒が安心して学べる環境を提供し、自らのペースで成長できるような柔軟な教育体制が整っていることです。通常の学級ではついていけない場合でも、支援級ではその子どもに合った方法で学ぶことができるため、自尊心の低下や学習への不安を最小限に抑えることができます。
そもそも療育というのは、発達上の課題を抱える児童・生徒の発達を促すために行われる医療と教育を組み合わせた支援であり、彼らが将来的に社会で自立して生きていくための能力を育むために行われます。
通常の学級で行われる教育では周囲の児童・生徒との差異に悩み、授業のレベルについていくことが困難であるために授業で得られる教育効果が著しく低くなってしまうことや、全く授業に参加できない場合なども考えられますが、児童・生徒の特性に合わせた療育を行うことができる支援級では身体機能の発達、コミュニケーション能力の育成、社会性の発達、認知能力の育成や生活習慣の指導なども行うことができます。
ただし、これについては実際の運用がうまくいっており、さらに児童・生徒とその保護者が十分にその目的等を理解していることが条件となります。これについては後述していますが、実際には様々な障壁があります。
通級指導は、通常の学級に在籍しながらも、特別な支援を必要とする児童・生徒たちが、週に数回、特別支援級の教室で特別な指導を受ける形態です。つまり、必要に応じて通常の学級から支援級に通うという形態の指導のことを言います。
対象となるのは、支援級と同様、発達障害や学習障害(LD)、言語障害、自閉スペクトラム症(ASD)、弱視・難聴、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、特別な配慮を必要とする特性を持つ児童・生徒です。通級の目的は、通常の学級における学習や生活の中で困難を感じる場面において、必要な補助を提供し、適応力を高めることです。
たとえば、ADHDを持つ児童・生徒が集中力を維持できない場合、通級指導では時間管理の技術を学んだり、特定の学習方法を導入したりします。自閉スペクトラム症(ASD)の児童・生徒には、社会的なスキルを強化するための特別なコミュニケーショントレーニングが行われます。
通級の特徴は、通常の学級に所属しながらも必要な支援をピンポイントで受けられる点です。これは、特別支援教育の一部として位置づけられており、特定の時間に特別支援教員から個別の指導を受けることで、通常学級での学習において感じる困難を補う役割を果たします。
通級は平成30年(2018年)より高等学校でも制度化されていますが、高等学校では3つの実施形態があります。それが自校通級、他校通級、巡回通級です。
自校通級は先述した通り、自分の通う学校内で行う通級ですが、他校通級はその名の通り、通っている学校とは違った学校で通級の指導を受ける形態です。
3つ目の巡回通級は、通級指導を行う教員が巡回して指導を行うという形態です。この形態では、特別支援教員が複数の学校を担当し巡回します。巡回通級は特別支援を必要とする児童・生徒が分散している地域や支援体制が整っていない学校に対して行われます。
日本における特別支援教育は、1960年代から本格的に始まりました。当初は、身体障害者や知的障害者のための養護学校や盲・聾(ろう)学校が中心でしたが、時代とともに障害の理解が深まり、教育制度にも変革が求められるようになりました。
特別支援教育の根本的な考え方は、「すべての子どもたちが学ぶ権利を持ち、それぞれの特性に合わせた教育を受けるべきだ」という理念に基づいています。
特別支援教育の拡大は、2007年に改正された障害者基本法の施行によって進められました。この法律では、障害者が通常の社会生活に参加し他の市民と同じように社会で活躍できるようにするために、包括的な教育支援が求められています。
この背景のもと、支援級や通級指導が導入されました。支援級は特別支援を必要とする児童・生徒が安心して学べる場を提供するために、また通級指導は通常の学級で学ぶ児童・生徒が学習や生活の困難に対処するためのサポートとして設置されました。
実はそれ以前にも特別支援学級に近い制度はありました。これは特別級や養護学級と呼ばれ、支援級の前身として存在していました。しかし、当時の養護学級が対応できる教育上の課題は非常に限定的で、発達障害や学習障害などが社会的に認知されるようになってくるとより包括的なサポートを行うことができる現在の形へと移行しました。
設置以前より学校教育現場の具体的な問題点として以下のことが挙げられていました。
通常学級では、基本的にすべての児童・生徒が同じペースで、同じカリキュラムを学ぶことを前提としています。しかし、発達障害や知的障害、学習障害を持つ児童・生徒にとって、この一律のカリキュラムに沿って学ぶことは極めて困難です。たとえば、発達障害を持つ子どもは、言語や抽象的な概念を理解するのに時間がかかることが多く、通常の授業においてその進行についていくことが難しくなります。
たとえば、学習障害(LD)のある子どもは、特定の学科(たとえば読み書きや計算)で著しい困難を感じるため、通常の学級では授業に参加しながらも学習の理解が追いつかないという状況が頻繁に見られました。こうした児童・生徒は、自分が周囲の児童・生徒よりも劣っていると感じ、学習意欲や自己肯定感の低下に繋がることが多かったのです。
特定の児童・生徒が授業についていけないということは、授業をする教師にとっても「クラスのどの学力層にレベルをあわえて授業をするのか」という問題を抱えることになります。結局、学力差が広くなりすぎてしまうということは、多くの場合、勉強ができる児童・生徒を放置してしまうということにもつながってしまいます。
通常学級において、特別な支援を必要とする児童・生徒に対する個別のサポートを行うには限界がありました。クラス全体を指導する必要がある教員は、一人ひとりの児童・生徒の特性や学習進度に合わせた指導を行うことが難しい状況に直面していました。特に、教員が発達障害や学習障害について十分な知識や経験を持たない場合、問題がより深刻化します。
たとえば、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の児童・生徒は、集中力を維持することが難しく、授業中に落ち着いて座っていられないことが多いですが、こうした行動に対して通常学級の教員が適切な対応を行えないケースも多く見られました。結果として、その児童・生徒が授業の進行を妨げる存在とみなされ、クラス全体の学習環境にも悪影響を与えることがありました。
通常学級では、障害を持つ児童・生徒が他の児童・生徒からいじめや偏見にさらされることも大きな問題でした。特に、発達障害や知的障害を持つ児童・生徒は、コミュニケーションスキルや社会的な場面での振る舞いに困難を抱えることが多く、同級生との関係をうまく築けないことが原因で孤立するケースがありました。
こうした児童・生徒は、授業中に発言がうまくできなかったり、集団活動で適切な役割を果たせなかったりすることから、他の児童・生徒に「違う存在」として見られ、からかわれたり無視されたりすることがありました。結果として、その子どもは学校生活自体に不安を感じ、不登校になることも少なくありませんでした。
支援級や通級が導入される以前、通常の学級に通う子どもたちの中で特別な支援を必要とする子どもが十分なサポートを受けられない状況が続くと、親や保護者に対する負担も大きくなっていました。特別な支援が必要な子どもは、通常学級で十分な学習成果を得ることができないため、親が家庭でのサポートを余儀なくされることが多くありました。
親は、家庭での学習支援や、子どもが抱える問題に対処するための追加的な支援を求めて、外部の教育機関や医療機関と連携することが多かったのです。しかし、それでも適切な教育支援を得るのが難しい状況が続き、親自身が教育や子育てに対して強いプレッシャーを感じるケースがありました。
支援級や通級が存在しない時代、通常学級に通う特別なニーズを持つ子どもたちに対する支援が不十分であったことは、結果として教育全体における不平等を招いていました。障害を持つ子どもたちは、適切な支援が得られないことで十分な学力を身に着けることができず、将来的な進学や就職においても不利な立場に立たされる可能性が高くなっていました。
また、通常の学級で学んでいる他の児童・生徒にとっても、支援が不十分な障害を持つ児童・生徒がクラスにいることで、授業の進行が遅れることがあるなど、全体の学習環境に影響が出ることも考えられました。
このような問題が指摘される中、現行の支援級・通級の制度は整えられていきました。以下、導入に際しての問題対処の道筋を説明していきます。
先ほども述べましたが、2000年代に入ると、特に発達障害や学習障害など、見えにくい障害が注目され始めました。自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD、学習障害(LD)といった障害は、外見からは分かりにくいため、従来の制度では十分に支援が行き届かないケースが多くありました。
発達障害のある子どもたちは、知的能力に問題がない場合が多いため、通常学級に在籍することが多かったものの、学習面や社会的スキルに困難を感じることが多く、支援のニーズが強くありました。
このような背景から、発達障害者支援法が2005年に成立し、学校現場でも発達障害に対する理解と支援が必要であるとの認識が広がりました。これに伴い、障害の程度や種類にかかわらず、幅広く支援を行うために、より柔軟で包括的な「特別支援教育」が必要とされるようになったのです。
従来の養護学級や特別支援学校では、特定の障害ごとに分かれた教育体制が取られていました。しかし、現代の障害者教育では、障害の種類にかかわらず、すべての子どもが適切な支援を受けることができる包括的な教育体制が求められています。
これにより、知的障害、発達障害、情緒障害、身体障害など、さまざまな障害を持つ子どもたちが、一貫した教育を受けられるような体制が必要となりました。
特別支援学級や特別支援学校では、各児童・生徒の個別のニーズに応じて、柔軟に支援を行うことができるよう、学習面だけでなく、生活面や社会的スキルの指導が重視されるようになりました。また、インクルーシブ教育の推進によって、可能な限り通常の学級や社会との接点を持ち、子どもたちが社会で活躍できる力を養うことが目的となりました。
ちなみに、インクルーシブ教育とは、障害の有無にかかわらず、すべての子どもが共に学び、成長できる環境を提供する教育のアプローチです。
インクルーシブ(inclusive)という言葉は「包摂的」という意味を持ち、社会全体が障害者を含むすべての人々を平等に受け入れ、尊重するという理念が基盤となっています。教育の場においては、障害のある子どもも、障害のない子どもも同じ教室で学び、社会での共生を目指すことを目的としています。
従来の特別支援教育は、障害を持つ子どもを特別支援学級や養護学校に分けて教育することが一般的でしたが、インクルーシブ教育では、可能な限り通常学級で学ぶ機会を提供し、個々の特性に応じたサポートを行いながら、すべての子どもが一緒に教育を受けることを目指しています。
特別支援学級や特別支援学校では、各児童・生徒に対して個別の個別支援計画(IEP: Individualized Education Program)が作成され、個々の児童・生徒の障害や発達段階に合わせた支援が提供されるようになりました。
これにより、従来の養護学級のように一律の支援が行われるのではなく、より個別化された教育が可能となりました。特に、発達障害や情緒障害など、個々の特性が大きく異なる子どもに対しては、この個別化された支援が重要な役割を果たしています。
そして、2007年の「特別支援教育」の導入により、以下のような成果が生まれました。
支援級や通級の設置は、地方自治体(主に都道府県や市町村)の教育委員会が最終的な権限を持っています。文部科学省が示すガイドラインや方針に基づいて、地域の教育委員会が設置の可否を判断し、学校内に支援級や通級を設置するかを決定します。この決定は、地域における特別支援教育を必要とする
児童・生徒の数や、その地域での教育資源、学校施設のキャパシティを考慮して行われます。
たとえば、ある自治体では発達障害を持つ児童・生徒が増加しているため、新たな支援級の設置が必要とされることがあります。通級指導は通常の学級に在籍する児童・生徒の補完的な支援としての役割を果たすため、その学校全体の支援体制や教育方針に基づいて設置が検討されます。
支援級や通級の運営は、主に地方自治体の教育予算によって賄われています。文部科学省からの補助金や国の特別支援教育に対する助成金がこれに含まれますが、主に地方財政によって支えられています。支援級や通級の運営に必要な教員の給与、教材の購入、設備の整備などは、すべてこれらの予算に基づいて実施されます。
たとえば、特別な教育機材を購入するための予算や、教員の研修費用もこの予算に含まれており、地方自治体はそれぞれの地域のニーズに応じた支援を行うために予算を組みます。
支援級や通級に配置される教員は、文部科学省が定める基準に基づいて、地方自治体の教育委員会が決定します。支援級には基本的には特別支援教育の資格を持つ教員が必要であり、児童・生徒数や障害の種類に応じて適切な人数が配置されます。通級指導の教員も同様に、特別支援教育に関する専門知識を持つ人材が配置されます。
具体的な基準は、児童・生徒の数や障害の程度によって異なりますが、たとえば、1クラスに3〜5人の児童・生徒が在籍し、1人の教員が個別指導を担当する形が一般的です。これにより、個別のニーズに応じた柔軟な対応が可能になります。
多くの学校では、特別支援教育の教員が不足しているため、既存の教員が兼務する形で支援級や通級を運営することがあります。これは、小規模な学校や地方の学校でよく見られる状況です。通常学級を担当する教員が特別支援の役割を兼務するため、授業準備や個別指導計画の作成において負担が増えることが課題となっています。
一方、大規模な学校や特別支援が必要な児童・生徒が多く在籍する地域では、専任の教員が配置されることがあります。専任教員は、特別支援教育の資格や経験を持っており、児童・生徒一人ひとりに対する個別指導計画(IEP)を作成し、それに基づいて指導を行います。このように、専任教員が配置されると、より専門的で効果的な支援が期待できます。
通級や支援級では、教員補助員や外部の専門家がサポートに入ることもあります。教員補助員は、特別支援教育の専門的な資格を持たないものの、教員の指示に従い、授業中や日常生活の場面で児童・生徒をサポートします。また、臨床心理士や発達障害の専門家など、外部の専門スタッフが必要に応じて関与し、特別な支援を提供することもあります。
たとえば、ある学校では、支援級の授業に外部から臨床心理士を招き、情緒障害のある児童・生徒に対してカウンセリングを行うプログラムを導入しています。これにより、教員だけでは対応しきれない心理的サポートが提供され、児童・生徒が安心して学習に取り組む環境が整えられます。
特別支援教育に対して一部の保護者は、障害や学級からの隔離に対する懸念や不安を感じることがあります。特に「周囲の子と違う」というプレッシャーは時に正常な判断を鈍らせてしまいます。ですから、支援級・通級の本来の機能や意義を考える前に、健常な子供からの「隔離」のように感じてしまうことも少なくありません。
しかし重要なのは、子どもの成長と学習環境を最適化するために、何が最善の選択肢であるかを冷静に考えることです。それは自分の子どものためでもありますし、周囲の子どもにとってもまた最適な教育を受ける環境が整えられることになります。
支援級や通級は決して「隔離」ではなく、子ども一人ひとりの特性に応じた学習や社会的スキルの向上を目指す場です。特別支援を受けることで、子どもが自信を持って学び、成長できる環境が整えられます。
特に、発達障害や学習障害を持つ児童・生徒にとっては、通常の学級でつまずきを感じる場面が多く、それが自尊心の低下や学校生活への不安に繋がることもあります。
一方で、適切な支援を受けることで、子どもは自分のペースで学習を進められ、成功体験を積み重ねることができるため、自己肯定感が高まり、将来的な社会適応力も向上します。
子どもにとって何が重要であるのか、個人的な感情で判断するのではなく、周囲の様子を把握し、他者と相談しながらしっかりと向き合って判断していく必要があります。
また、これは支援を必要とする子どもとその保護者だけの問題ではありません。関係する教師であればインクルーシブ教育について知識を持っておくことが必要になりますし、頼るべき外部機関についても知っておかなければいけません。そうでなければ適切なアドバイスができず、学級全体が最適な教育を受ける機会を逃すことになってしまいます。
保護者の立場で知るべきこととして、自分の子どもが関わっている教師がどれほどの知識があるのか、知識はなくともどの程度真しに対応してくれるのかを把握しておく必要があります。こうすることでいざというときに様々な状況に対処できるようになります。
支援が必要な子どもをもつ保護者に対して周囲ができる最も重要なサポートは、正確な情報提供と具体的な支援の説明です。
多くの場合、保護者が不安を抱く理由は、特別支援教育に対する理解不足や、将来的な影響に対する漠然とした懸念です。学校や教育委員会、専門家は、支援級や通級のメリットをわかりやすく伝えると同時に、実際の教育現場でどのような支援が行われているかを見せる機会を提供することが重要です。
たとえば、学校での授業見学や説明会を通じて、保護者が支援級や通級の活動を直接見ることで、子どもにとってどのような支援が必要か、どのような成果が期待できるかを実感できるようにします。
特に学校の環境はよく把握しておく必要があります。昨今の学校教員は大学でインクルーシブ教育や特別な支援が必要な子どもに対しての知識も身に付けていることになっていますし、文部科学省からは通級による指導を担当する教師のためのガイドなども出されています。これらのことをキーワードとしてかかげて質問を投げかけてみるとよいでしょう。
また、同じように特別支援教育を利用している保護者同士の交流を促進することも、保護者の不安を軽減するために有効です。他の保護者の体験を共有することで、自分の子どもに適した支援を選択する上での参考となり、孤立感が減少します。何か問題やトラブルがあった際には出来事を共有し、適切なアドバイスを得られることもあります。
支援級や通級指導の運営は、特別支援教育の一環として重要な役割を果たしていますが、今後はさらにインクルーシブ教育への理解が求められるでしょう。再度述べますが、インクルーシブ教育とは、障害の有無にかかわらず、すべての子どもたちが同じ教室で共に学ぶことを目指す教育の形態です。
保護者は自分の子を思うあまり個人的・感情的な判断をしてしまう状況に陥りかねませんし、教師・教員をはじめとする周囲の人間も無知・無理解であるがゆえに「普通とは違う」ということを負担に感じ振り回されてしまいがちになりかねません。
だからこそ教育の全体像についての理解は不可欠ですし、インクルーシブ教育についても考えなければなりません。そのうえで学校であれば支援級や通級で培ったスキルを通常の学級でも生かし、全ての子どもが共に成長できる教育環境を整備することが、教育現場での新たな課題となります。
たとえば、支援級の児童・生徒が通常学級のプロジェクトに参加し、互いに協力して作品を作ることで、障害のある児童・生徒と健常な児童・生徒が互いに学び合う機会が増えることが期待されます。
また、特別支援教育を充実させるためには、学校だけでなく地域社会との連携も重要です。教育委員会や地域の特別支援団体が協力し、保護者が孤立せず子どもたちが学校外でも適切な支援を受けられる体制を整えることが求められています。特別支援教育を受けている児童・生徒やその家族が、社会全体でサポートされているという安心感を持てる環境が必要です。
今回は支援級・通級についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
支援級や通級指導は、特別な支援を必要とする子どもたちにとって欠かせない制度です。これらの制度が適切に機能することで、子どもたちは自信を持って学び、成長し、将来的には社会で活躍できる力を身につけることができます。一方で、教員不足や保護者の不安など、まだ多くの課題が残されています。
これらの課題を克服し、すべての子どもたちが平等に教育を受けられる社会の実現に向けて、学校、保護者、地域社会が一体となって取り組むことが求められています…が、地域における横の関係が希薄になってきている昨今ではこの対処はかなり難しく、依然として学校で孤立してしまったり、うまく周囲となじめず悩んでいる子は多いのが現状です。
これに関して、よく聞く話が「1クラスあたりの学習障害や発達障害の児童・生徒の数が増えている」ということです。最近の教員であれば、大学等の教職課程でこのような話を聞かされます。
筆者個人の感想としても、昨今は学習障害や発達障害など、日常生活は遅れるにせよ学校での集団生活にはうまくフィットしないような児童・生徒が増えてきているように感じます。
専門家の中には、実際にそのような児童・生徒の数が増えているのではなく、これらの認知件数が増えてきているだけだという人もいますが、おそらくそれだけのことではないでしょう。データとしてこれを立証することは難しいですが、体感的にこれを感じている人は多いはずです。
現代社会の変化は一昔前とは違い、変化がとにかく著しいです。高度経済成長以降は私たちの身の回りのもので10年前から存在しているものはほとんどないとも言われています。
そんな中で私たち人間の生活だけでなく、身体や精神に影響を及ぼしたものも数多くあるでしょう。食生活も、便利にはなりましたが、長期的な安全性が確認できていないものも多々あります。そのようなものはとても多いので、それらの影響をすべて特定することは難しいのです。さらに、複合的な影響を考慮しようとすると、データとしては計測することはほぼ不可能となってしまいます。
子どもの成長に関わる全ての人にとって関連する様々な知識は大切ですが、それ以上に自らがよく考え冷静に判断する力が欠かせません。そのような力を育てるためにも、教育現場においては最良の教育が常に求められているのだと思います。
なお、ここでいう教育現場というのは学校だけでなく家庭、社会も含まれます。このようなことは学校の先生だけで対処できないことはもはや明白です。
なお、お勉強の事で何かお困りごとがありましたら、私たち家庭教師にもご相談ください。
現役家庭教師ライター K.M
家庭教師ファーストの登録家庭教師。教員免許所持。塾講師・家庭教師歴10年以上。学習上のつまずきを環境面から考えて指導します。