
家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて
家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて
家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて
ここ数年において、「発達障がい」という言葉が社会に広まってきていますが、意外にもその中でも一番といって良いほどその支援方法について認知度が低いのは、本記事で取り上げる学習障がい(LD)ではないかと思います。発達障がいは、学習障がいの他に自閉スペクトラム症や、注意欠如・多動症がありますが、これらの障がいは日常生活を送る上で特性が目立つことがある一方で、学習障がいはその名の通り学習に関する障がいであるため、日常生活を送っている中で目立つ特性がほとんどありません。
そのため、発達障がいの中でも社会的な認知度は低く、十分な支援体制が構築されていないということが現状です。ただし、日常生活において大きな支障が無いとしても、子どもの「困り感」はその他の発達障がいと変わらないため、周囲の大人は障がいの特性に応じた適切な支援を行っていくことが重要になります。
本記事では、学習障がいに対する基礎的な内容から、実際に現場で活用することが出来る支援方法についてご紹介していきます。障がいの内容や程度は個人差が大きいため、全ての方に当てはまることは難しいですが、必要な部分をピックアップして参考にして頂けますと幸いです。
なお、お勉強の事でお困りの際は是非私たち家庭教師にもご相談ください!
この記事の目次
本章では、学習障がいに関する基礎的な内容について見ていきます。発達障がいは、早期発見、早期支援が重要であるにも関わらず、学習障がいは、学習が滞りなく遂行出来ないという特性として現れるため、「勉強が出来ない」という状態と混同して捉えられがちです。
学習障がいに関する基礎的な知識を有していることにより、適切な支援を行うことが出来るだけではなく、「勉強が苦手」という状態と「学習障がい」を見極め、早期支援に繋げることにも役立ちます。学習障がいとは何か、どのような状態のことを指すのか、本章を通して確認して頂けたらと思います。
学習障がいを理解する上で、前知識として発達障がいの診断について知っておくと理解がより深まります。発達障がいの診断ですが、現在世界ではWHO(世界保健機関)が作成している「ICD10」(国際疾病分類)というものと、APA(アメリカ精神医学会)が作成している「DSM-5」というものが広く用いられています。
どちらも頻繁に活用されてはいますが、「ICD10」は、WHOが出しているということもあり、発達障がいに限らず身体的な疾病も含んでいることに対し、「DSM-5」は作成元が精神医学会であるように精神疾患系の内容に特化しているため、発達障がいについてよりフォーカスされていると捉えることが出来ます。
日本の現場ではどちらも用いられていますが、医療系では「ICD」、心理・発達系では「DSM」といったように何となく使い分けがされている傾向があります。「この前言われたことと違う名前が出てきた?」ということもあるかもしれませんので、どちらも現場で用いられていることを知っておいて頂けると良いと思います。
また、現在はそれぞれ「10」、「5」が最新のものになりますが、時代の流れに沿って改訂が行われており、「ICD」については近年のうちに「11」が日本語として発表され、内容や分類も新たなものに変更となります。名称だけではなく、内容に関する変更・改訂も成されているため、どちらの基準を参照する場合でも、最新のものか否かを確認して活用するようにしてみてください。
一般的に「学習障がい」と呼ばれているものは、正式にはDSM-5の中で「特異的学習障がい」というカテゴリーに属するものになります。特異的学習障がいは、「読みの障がい」、「書き表現の障がい」、「算数の障がい」に分類されており、DSM-Ⅳからの改訂では「特定不能の学習障がい」という分類が無くなりました。
改訂による大きな変化はありませんが、元々はそれぞれ「読字障がい」、「書字表出障がい」、「算数障がい」という表現が成されていたため、より一目見て分かりやすい名称へと変更された形になります。
学習障がいの主な特性は、学習全般に障がいが生じるわけではないということです。「読字」のみ、「算数」のみというように、1つの課題内容に対して困難さがあるケースが多くなっています。苦手とする部分が必ず1つしかないということにはなりませんが、基本的には苦手のメインとなる部分はある特定の内容に限定される場合が多いということです。
この点が、知的障がいと異なる部分と考えて頂くと分かりやすいかもしれません。学習障がいと知的障がいを混同して捉えられることがありますが、両者は異なるものであるため、次項で詳しく見ていきたいと思います。
「学習障がいというのは知能に関する障がいだから知的障がいと同じこと?」というお話を耳にしますが、結論から述べると両者は異なるものです。判断基準はそれぞれにありますが、考え方として分かりやすいのは、「困難さがある部分が学習のみか」、「学習がメインの場合、それがある領域に限定されているのか、あるいは学習全般に対して困難さがあるのか」ということです。
学習障がいは、これまでも述べている通り、基本的に困難さがある領域は限定されており、全般的な知的の発達に遅れが生じている場合には、学習障がいではなく知的障がいということになります。判断に迷う場合には、「何に困っているのか」ということを丁寧に、客観的に見ていくことが大切です。
発達障がいの他に知的障がいがある場合には、発達障がいと知的障がいの併存ということになります。判断する上で領域の他に着眼すべき点は、学齢期以降に目立つようになったのか、あるいは学齢期以前から目立っていたのか、苦手ということが目立つようになり始めた時期を考えて頂くと良いです。
学習障がいは、苦手とする内容が限定されることもあり、学齢期以降に目立つようになります。これは、他の発達障がいと比較すると、発見の時期が遅くなる傾向にあるため、より一層早い段階に対応することが重要になってきます。
また、障がいが生じる領域が限定的であるがゆえに、周囲から中々気付かれにくく、発見が遅くなることも学習障がいの特徴の1つです。読みの障がいの場合には、文字を読むことが困難ということであり、書字には特に大きな困難が見られないため、音読練習が不足しているのではないか、読書を多くさせるべきなのではないかと捉えられることも少なくありません。
算数の障がいに至っては、数的な処理能力に困難さが見られることから、算数だけ苦手で勉強を怠っているのではないかと捉えられてしまう場合もあります。そこで、学習障がいの勉強を支援していく上で大切なのは、苦手を感じていない他の領域の学習レベルと比較しないということです。
ある特定の領域に困難を抱えているため、「勉強が出来るか否か」ということは関係なく、その領域だけ配慮をして学習を進めていくということが勉強方法を考える上でも、支援を行う上でも考えるべきポイントになります。「どの領域に困難を抱えているのか」ということをしっかりと受け止め、楽しんで学習出来る環境を整えることが大切です。
学習障がいは、決して日頃の勉強を怠っていることで生じるものではないため、苦手なことを責めるのではなく、達成目標を細かく分け、少しずつ改善していくイメージで学習を進めて頂くと良いと思います。
次に、色々考えていくと行きつくことが多い「学習障がいの原因は何か」ということについて見ていきます。結論から言うと、学習障がいの原因は明確にはされていません。現代における医学のレベルでは、「学習障がいの原因は不明である」とされています。
学習障がいに限ったことではありませんが、発達障がいは基本的にどの障がいであっても「原因は不明」というのが現状です。自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症等、様々な発達障がいがありますが、どれも原因は分かっていないということになります。
だからこそ、支援の方法についても確立されていることが少ないということが現状であり、発達障がいは個人差も大きいことから、多くの現場で探り探りの状態で試行錯誤を繰り返しながら支援の在り方について模索している状態です。障がいによっては、薬物療法が行われているものもありますが、この治療法についてもここ数年で発展してきたことであり、発達障がいの医学的な側面については、今後の研究が急がれるべき部分であると捉えられます。
そのような中、可能性としては、遺伝子が関与しているのではないかという研究の進捗が報告されているケースがあり、さらに研究が発展していくことによって明確な原因が特定できるのではということが話題になっている現状もあります。
現段階では、学習障がいの根本的な原因は分かっていませんが、今後医学の進歩や研究の発展によって具体的な原因が明らかになる可能性があるため、頭の片隅に置いて頂き、原因が分かっていないからこそ、柔軟な支援体制について考えて頂けると良いと思います。
学習障がいに対する基本的な内容を見てきたところで、本章では学習障がいにおける対応について、知っておくと良い心構えと、特に気を付けるべきポイントについてご紹介していきます。特性に対する具体的な支援方法については後に述べますので、本章では基本的な対応について取り上げます。
学習障がいの特徴は、「認識される時期が他の発達障がいと比較すると遅い」、「周囲には気付かれにくい」という大きく2つが挙げられます。この2つの特徴により、周囲の大人が気付くよりも先に子ども自身が学習のしにくさや、そのことに起因して学校生活の送りにくさを感じていることがあります。
学習障がいは、基本的な学習が始まってから見られることが多いため、認識されることが多いのは、小学校1年生や2年生です。したがって、この時期に周囲の大人は、子どもをよく観察すること、苦手な部分を責めたり、反対に見過ごしたりしないことが重要です。
早くに気付くことが出来ると、その分早く支援を行うことが出来、学習への影響も最小限に抑えることが出来ますが、最初の段階で曖昧にしてしまうと支援に繋がるまでにかなりの遠回りをすることになります。
「幼稚園から進級したばかりで学習方法が身に付いていないだけ」、「これは苦手のうちには入らない、たまたま出来ていないだけ」ということも聞きますが、そこで一度立ち止まって客観的に見る姿勢が必要です。
本当に思っていた通りであれば、それはそれで良いですが、そうでなかった場合に困るのは子ども自身です。子どもから「自分は勉強が出来ない」と打ち明けることは簡単に出来ることではないため、子どもの学習に携わっている大人が客観的な視点を持って指導に当たるようにすると良いと思います。
学習障がいの特徴、また、全体としての数が少ないがゆえに支援に繋がりにくいケースがありますが、防ぐことが出来る部分でもあるため、小学校低学年においては、子どもの学習状況について的確に把握しておくようにしましょう。
続いては、学習障がいの子どもと接する際に特に気を付けるべき点について見ていきます。学習障がいと他の発達障がいとの大きな相違点は、「発見される確率が低い」、「周囲に中々気付いてもらえない」ということです。
「学習、それもある一定の領域にしか困難さが出現しない」という特性から、「勉強が出来ない子」、「日頃の勉強を怠っている子」といった状態と勘違いされることが高い確率で起こります。このような状況が起こると、子どもの自尊心、自己肯定感の低下に繋がる場合があり、二次障がいを引き起こします。
発達障がいの支援として、二次障がいに至らないようにすることも大切であり、学習障がいの場合は特に起こりやすいため、対応には注意が必要です。責めるような声掛けは控える、同じ目線に立って困っていることを解決していく姿勢を心掛けてみてください。
学習障がいの場合は、当事者自身も「なぜ自分はこの勉強が出来ないのか」ということを理解していないことが多く、悩んでいるケースもあります。ただ、当事者は子どもであることが多いため、学習障がいということを知らない場合がほとんどであり、「自分は勉強が出来ない」と感じている状態です。
想像して頂くと分かるかと思いますが、「自分は勉強が出来ない」ということを子どもが自ら保護者や教員等、周囲の大人に相談することは稀であり、その一方で出来ないと怒られてしまうという考えから隠したり、塞ぎこんだりするという悪循環が起こります。
このような状態になる前に、日頃の学習態度や達成度を周囲の大人はよく観察、把握し、こちら側から「困っていることは無いか」と声を掛けると、子どもも自然に応答してくれる場合が多いです。学齢期にならなければ困難さが明るみにならないという特徴と、発達障がいの中でも人数が少ないという特徴から、周囲の対応ひとつで当事者をさらに追い詰めてしまうことにも繋がります。
常に探りながら接する必要は無いですが、「勉強が出来ない」、「苦手を克服しようとしない」といったような固定観念で対応にあたることは避け、子どもが話しやすいような柔軟な対応や、同じ目線に立って考えていく姿勢が学習障がいの場は特に重要です。
ここまで、学習障がいに関する基本的な内容や、対応する上で気を付けた方が良いポイントについて見てきました。ここからは、実際に学習指導を行う場面において有効となる支援方法や、その一例についてご紹介していきます。
しかし、一つ前提としては、学習障がいの特性や程度には個人差の影響が大きいため、ここでご紹介する方法が全ての方に当てはまるわけではありません。私たちが風邪をひいて効く薬や回復が早い対処方法が異なるように、学習障がいの支援方法についてもそれぞれ有効な方法は異なります。
それぞれの特性ごとに支援の方法をご紹介しますが、こちらに記載する方法は一例です。そのため、道具を他の物にしたり、取り組む時間を変えたり、ベースは形を決めながら、状況に応じて最も有効な方法を考え、実践して頂けると良いと思います。
はじめに、読みの障がいに対する支援方法についてです。支援をするために、読みの障がいが特性となっている場合、どのような状態であるのか理解しておくことが必要です。一般的には、「き」と「さ」、「ま」と「も」等の似ている文字が同じように見えてしまう、書かれている文字が歪んで見えてしまう等がよく言われている特性です。
文字を読む場面になった時、このような状況が起きてしまうため、スラスラ読みたいと心の中では思っていても、実際は読み詰まることで時間が掛かってしまったり、読み間違いが多くなってしまったりします。
小学校の場合は、音読練習を毎日の宿題としている学校が多いため、授業の中で児童が順番に読んでいく場面でスラスラ読むことが出来ないと、「音読練習をさぼっているのではないか」、「何でこんな簡単な文章も読むことが出来ないのか」という言葉が飛び交うことがありますが、私たちが目にしている状態で読むことが出来ないのではなく、そもそも目に映っている段階から見え方が違うことを理解しておく必要があります。
この特性に対する具体的な支援方法は、指で文章を追いながら、最初は子どものペースで読むように練習することです。教室の授業という集団の場において、中々1人の児童のペースに合わせて音読を進めていくことは正直難しい部分があります。
そのため、授業の際に初めてその文章を目にするという状況は出来るだけ避けると良いです。しかし、自宅で練習するといっても、文章を読むことそのものに時間が掛かるため、繰り返し練習を行うことはかなり負担が掛かる作業になります。
音読練習の宿題においては、指定された範囲のページを読むことが出来るとベストですが、難しい場合は、子ども、保護者、教員と相談した上で範囲を短くしたり、一度に全ての範囲に取り組もうとはせず、何回かに分けて練習を重ねたりする方法がおすすめです。
一回でどのくらい練習するのかということは、読むことに対してどれだけの困難さやストレスを感じているのかということによって変化してくるため、よく相談して決めていくようにしましょう。
また、「ただ指で文字を追いながら読むだけ」というのは、子どもにとっては苦手な作業に対するトレーニングという感覚でしかなく、長く続けていくことは難しいです。実際に練習する際には、指の代わりに矢印型の画用紙や厚紙を用意し、そこに子どもが好きなキャラクターやマークのシールを貼って、読んでいる箇所をしっかりと目で追うことが出来るようにすることも方法の一つです。
学習の中でも、好きなものや興味があることが目の前にあるとその部分に注意が向くため、読む場所を少しずつ目で追っていくことが出来ます。支援方法と言っても、いかに楽しく困難さを軽減しながら学ぶことが出来るかという考えが根底にあるため、好きなものを積極的に取り入れていくことをおすすめします。
そして、読みの障がいの場合には、文字が書かれているものと文字の色との組み合わせによって「見えにくい」状況を作り出していることがあります。このような場合は、用紙、あるいは文字の色を工夫し、読みやすい状態に改善しましょう。
文字と用紙のコントラストが強い場合は、組み合わせを変えることが重要です。文字が黒色の場合、コントラストを弱めたい場合は用紙を青色系に、コントラストを強めたい場合は黄色系の用紙を用いるとそれぞれより見えやすくなります。
コントラストの加減は、個人や環境によって変化するため、その時々で見えやすく、読みやすい方法を実践してみてください。読みの障がいの場合は、ここまで見てきたように「読む」ということに対する部分だけの原因ではなく、視覚的に文字を捉える段階に原因がある場合があります。
読んでいる部分を示しながら練習することに加え、環境設定や使用する道具にも気を配り、「文字を読むことが最も捗りやすい状態」を考えて創り出していくことも重要な支援になります。
「書く」ことに対する困難さがある場合は、書写の授業のようにお手本を見ながら書くことをおすすめします。お手本といっても、全ての文章に対するお手本を用意することは難しく、作文や読書感想文の場合は個人の考えを書くことになるため、基本的にはひらがなやカタカナの50音表を手元に用意しておくと良いです。
状況としては、読みの障がいの場合と同じように、形が似ているものを混同して書いてしまったり、上下・左右を反転させて書いてしまったりすることが起こります。書き表現の障がいの場合は、視覚的な入力に何らかの問題があるというよりも、空間認知に苦手な部分があることが多いです。
そのため、お手本を用意するだけでは書字が難しいこともあるため、白紙ではなく行で区切られているものを用紙として用いたり、行だけで補助が足りない場合は、マスや行の中にさらに中心が点線で示されていたりするものを使用し、用紙のどの部分にどのくらいのパーツの大きさで文字を書くのかというガイドがあると書きやすくなります。
また、漢字を新たに学ぶ際には、偏と旁をパズルのようにあてはめて学んでいく方法をおすすめします。漢字練習というと、繰り返し書いて覚えていくスタイルが主流ですが、学習障がいの場合は、「苦手なことを繰り返し練習する=練習した分だけ身に付いて出来るようになる」という仕組みではありません。
「苦手なこと」は、「ほとんど出来ないこと」と同義になるため、練習で克服しようとする方法は逆効果です。したがって、繰り返し書き続ける練習をするよりも、パーツごとに位置を把握して書く上でのガイドとなるものを多くする方が有効的です。
書く練習だけではなく、パズルのようにして当てはめていくことも練習になるため、特に書くことが難しい漢字は、このような方法で学んでいくことをおすすめします。どのような方法が一番理解しやすいのか、色々話し合いながら模索してみてください。
最後に、算数の障がいに対する支援方法ですが、このタイプに分類される場合は、数の操作に対して理解することが難しいと考えて頂くと支援がしやすいです。「1と1を足すと2になる」と文字で表記されたとしても、それがどのようなことなのか理解出来ないということであり、このような場合は視覚的に捉えることが出来る道具を用いて数の操作を学ぶ方法が有効です。
例えば、先ほどの「1と1を足すと2になる」という計算では、算数おはじきを活用するということです。計算カードのように、数字だけが表記されている状態で計算することが苦手であるため、目で見て分かる道具を活用すると理解が促進します。
特に、分数の学習は、学習障がいに関わらず、多くの子どもがつまずきやすい単元と言われており、注意が必要な学習内容です。しかし、この場合も考え方は同様で、「1を2で割ると1/2」と言われるよりも、ケーキやピザを分けるという具体的な場面を想定した方が理解しやすくなるということは想像しやすいかと思います。
文字としての計算は、あくまでも計算方法や概念を理解している上で解くことが出来るものであるため、数字だけの学習ではなく、イラストや図、算数おはじきといった物を活用して学習を進めてみてください。
そして、苦手なことを練習することになるため、道具を活用するだけでは、難しい内容に直面すると取り組みにくくなることが考えられます。そのような場合は、読みの障がいにおいてご紹介したことと同様に、算数おはじきに好きなものや興味があるもののシールを貼ったり、玩具を活用して学んだりすることも方法の一つです。
学習だからといって学習用具にこだわるのではなく、子どもが楽しく学習出来るものであれば、シールや玩具等幅広く活用していくと良いです。「練習させられている」、「トレーニングをしなければいけない」という気持ちにならないように配慮しながら進めていきましょう。
ここまで、3つのタイプごとに具体的な支援方法を考えてきましたが、支援の姿勢として共通して重要なことは、「無理に決まった方法で学習させようとしない」ことです。学習障がいは、小学校において明らかになる場合が多いため、学習の基本媒体は鉛筆とノートです。集団生活の中で学んでいくため、他の児童への影響も配慮して基本的な方法で学習出来ることが望ましいですが、必ずしもそれらの道具でなければ学習出来ないかと言われるとそうではありません。
読みの障がいの場合には、文章を音声で読み上げてくれるもの、書き表現の障がいの場合にはパソコンでのタイピング、算数の障がいの場合は電卓といったように、それぞれ道具をプラスで活用すると格段に学習しやすい環境へと変化することがあります。鉛筆とノートを用いた学習形態がオーソドックスではありますが、それだけに捉われるのではなく、活用出来るものは活用しながら、少しでも学習しやすいと感じることが出来る環境を作ることが重要です。
それぞれの特性に応じて、より有効的な支援方法はありますが、学習障がいに対する支援として様々な道具を活用していくことを常に念頭に置き、個別の支援に携わっていくようにしましょう。
本記事では、発達障がいの1つである学習障がいについて、その概要と原因、それぞれの促成に応じた具体的な支援方法についてご紹介してきました。先にも述べたように、学習障がいは、発達障がいの中でも特に周囲が気付くことの難しい障がいです。
そのため、具体的な支援は非常に重要なことでありますが、何よりも「発見する」ということが重要であり、「勉強が出来ない」という勘違いによる周囲からのからかいや、叱責によって起こる自己肯定感の低下は最も避けなければいけません。
二次障がいを招く前に、落ち着いて日常生活での言動と学習場面を観察し、学習しやすい環境を整えていくことが重要です。また、無理に決まった方法で学習するような形態ではなく、様々な道具や文房具を活用し、子どもにとって最も学びやすい方法を模索してみてください。本記事が、その際の一助になれば幸いです。
なお、お勉強の事でお困りの際は是非私たち家庭教師にもご相談ください!
家庭教師ライターH.K
家庭教師ファーストの現役家庭教師。大学及び大学院では児童心理学を専攻。