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家庭教師ファースト教育コラム発達障がいについて

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【発達障がい】自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つお子さんへの勉強の支援方法

  • 発達障がいについて
  • 家庭教師ライターH.K

近年、「発達障がい」という言葉を様々な場面で耳にするようになり、発達障がいに対する社会の認知も少しずつ高まっている現状が伺えます。そのような中、発達障がいがある場合の対応についても研究が進められている一方で、誰でも簡単に対応が出来るというケースはなく、基本的には専門的な知識や理解を必要とすることが多いため、勉強の指導については、さらに高い知識や理解が求められると捉える方がいらっしゃるかもしれません。

たしかに、勉強を教えるということは、定型発達の子どもに対して行う場合でも難しさはあります。大切なこととしては、「発達障がいの特性を理解して関わる」ということです。定型発達の子どもであっても、得意な教科・不得意な教科、好きな教科・嫌いな教科、自分の力を発揮することが出来る勉強方法・ただ時間が過ぎてしまう勉強方法等、勉強に対する特徴や個性は必ずといって良いほど持っています。

発達障害がい児の場合は、定型発達の子どもと比較すると、その個性や特徴の振れ幅が大きいと捉えて頂くと指導がしやすくなるかもしれません。専門的な知識が必要となることもありますが、最終的には、いかにその子どもの障がいの特性や個性を理解しているのかということが重要になります。

本記事では、自閉スペクトラム症の特性についてご紹介すると共に、特性や個性に合わせた勉強の指導方法について視点を分けながら考えていきたいと思います。自閉スペクトラム症と一言で言っても特性は様々であるため、全ての方に必ず当てはまることはありませんが、必要な部分をピックアップしながら読んで頂けますと幸いです。

なお、お勉強の事で何かお困りごとがありましたら、私たち家庭教師にもご相談ください。

自閉スペクトラム症について

自閉スペクトラム症について

本章では、自閉スペクトラム症の具体的な臨床像や特性についてご紹介していきます。「勉強の指導方法だけ知っていれば良い」と考える方もいらっしゃいますが、対応によっては子どもの学習意欲の低下や勉強嫌いに繋げてしまうこともあります。これらのことを防ぐためにも、出来るだけ具体的に特性について見ていきたいと思います。

自閉スペクトラム症の概要

発達障がいの診断については、WHO(世界保健機関)が作成している「ICD10」(国際疾病分類)というものと、APA(アメリカ精神医学会)が作成している「DSM-5」というものが世界的に用いられています。

どちらも頻繁に活用されていますが、「ICD10」は発達障がいに限らず身体的な疾病も含んでいることに対して、「DSM-5」は作成元が精神医学会であるように精神疾患系の内容に特化しているため、発達障がいについてよりフォーカスされているのは「DSM-5」ということになります。

また、現在はそれぞれ「10」、「5」が最新のものになりますが、時代の流れに沿って改訂が行われているため、どちらの基準を参照する場合でも、最新のものか否かを確認して活用するようにしてみてください。

今回テーマとなっている自閉スペクトラム症ですが、DSM-5の1つ前に用いられていたDSM-Ⅳでは、「広汎性発達障がい」というカテゴリーの中で「自閉性障害自閉症スペクトラム」という位置づけが成されていました。

そこから、DSM-5に改訂されたことにより、名称は、「自閉スペクトラム症」に変わり、同カテゴリーの中に位置づけられていたアスペルガー障がいは自閉スペクトラム症に含まれ、アスペルガー障がい(症候群)は削除される形となりました。

したがって、従来の考え方ではアスペルガー障がいの診断基準に該当していたとされる場合であっても、今後新規にアスペルガー障がいやアスペルガー症候群と診断される可能性はほとんどなく、軽度の場合は発達障がいとしての診断には至らないか、重度の場合には自閉スペクトラム症として扱われることとなります。

自閉スペクトラム症の特性は、大きく分けると4つあり、4つとも併存している場合もあれば、単体で特性として表れる場合もあり、この点に関しては個人差が非常に大きい部分です。次項からは、これらの4つの特性について具体的に見ていきたいと思います。

特性① 他者とのコミュニケーションの難しさ

特性① 他者とのコミュニケーションの難しさ

自閉スペクトラム症の特性の1つに、他者とのコミュニケーションを構築することへの困難さが挙げられます。この特性は、自閉症スペクトラムの特性の中でも多くの人に見られるものです。

このような特性が表れる理由として、自閉症スペクトラムの場合は、他者の気持ちを理解することが難しいためと言われています。他者の気持ちを理解することだけではなく、他者に関心を持つことが難しいということも特性の1つです。

コミュニケーションを取るということは、他者と関わろうとするモチベーションがあったり、コミュニケーションを図ろうとする気持ちの下で相手と作り上げていったりするものであるため、他者に何らかの関心や興味が向いているということが大前提になります。

しかし、自閉スペクトラム症の場合は、他者に関心を向けることが難しかったり、自分と同じように相手にも心や気持ちがあることを理解することが難しかったりするため、コミュニケーションを取ることに困難さを感じることが多いです。

ただし、ここで誤ってはいけないのが、自閉スペクトラム症の人が意識的に他者に関心を向けようとしていないのではないことを理解しておくことです。そもそも、「他者に関心を示す」ということがどのような状態なのか分からない部分があるため、コミュニケーションを上手く取ることが出来ないというよりも、コミュニケーションを取るということ自体の理解が難しい部分があります。

このような場合、上手なコミュニケーションの取り方が分からないために、ただでさえ相手を理解することの発達が未熟な年齢であるにもかかわらず、自分が考えていることが相手に伝わらなかったり、思い通りに物事が進まなかったりすることにより、自分の感情をコントロールすることが難しくなります。

周囲の大人の対応としては、まず、話に耳を傾けて気持ちを受け止めてあげることが重要であり、相手の気持ちを自分自身で理解することが難しいため、子ども達の代弁者となって気持ちを伝えてあげるようにすると良いです。

その上で、気持ちを視覚的にすると理解がしやすくなる場合があるため、相手の気持ちをイラストや簡単な絵にして表したり、玩具や遊具の絵を描いて「これは○○君(ちゃん)のもの」と近くに書いたりし、目で見て分かりやすく理解が出来るように働き掛けてみてください。

自閉スペクトラム症に限定された特性ではありませんが、発達障がい全般に対して、「情報を視覚的に表す」ということが重要であると言われています。その中でも、自閉スペクトラム症の場合は、目には見えない気持ちを見えるような形で表すことにより、理解しようという前向きな気持ちを育むことに繋がります。情報に限らず、目に見えないものを視覚化することは、学習を進める上でも有効です。

コミュニケーションを取るということは、日常生活において欠かすことが出来ないことであり、他者の気持ちを理解するということも学習において、特に国語の文章読解を解く上で必要な力になるため、視覚的に表すことを補助的な手段として活用してみてください。

特性② こだわりの強さ

2つ目の特性として、こだわりの強さをご紹介します。自閉スペクトラム症の場合、ある特定のことに強い興味や関心を示すことがあります。強い興味、関心を示す内容には個人差がありますが、何かしらの物や現象に一貫したこだわりの強さを示すことが多いです。

この特性は、学習を進めていく上で活かすことが出来るため、子どもがどのようなことに興味や関心を持っているのか理解しておくと、学習を有意義なものにしていくことが出来ます。そして、興味や関心がある物は、勉強に関係しているものに限定する必要はありません。

好きなキャラクターや、日頃よく遊んでいる玩具でも良いですし、特定の分野に関して暗記していることでも良いです。勉強は、状況によって子どもの苦痛となることがあるため、出来る限り興味がある物と関連づけて勉強に取り組むことが出来るように、遊びに近いものほどリサーチを入念にしておくようにしましょう。活用方法については、この後の章でご紹介していきます。

特性③ 見通しを持ったスケジュールを好む

見通しを持ったスケジュールを好む

3つ目の特性として、見通しを持ったスケジュールの中での行動のしやすさがあります。自閉スペクトラム症に特有ではありませんが、発達障がいの場合には、予定の急激な変更や、その場での臨機応変な対応を取ることが難しいと言われています。そのため、勉強に取り組む際の順序をルーティーンのように固定したり、1日の学習スケジュールを始める前に確認したりすることが有効な方法です。

具体的な対応については後に述べますが、漢字練習から始めるのであれば継続して勉強のスタートは漢字練習にして計算問題を最後にするというように順序を決めたり、普段とは異なる学習項目が組み込まれる場合にはどの部分が変更になったり追加になったりするのか、勉強に取り組み始める前に確認することが重要です。

勉強が始まってからの変更は、基本的に急な予定変更と捉えられるため、パニックに繋がる可能性があります。落ち着いて勉強に取り組むことが出来るような環境設定を行うことも、勉強の指導を行う上での大切な役割になります。

特性④ 感覚過敏・感覚鈍麻

4つ目の特性として、感覚過敏・感覚鈍麻が挙げられます。これは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感に加えて、前庭覚、固有覚という合計7つの感覚に対して見られる特性の1つです。

全ての感覚に対して過敏・鈍麻が生じるというよりも、この7つの感覚の中のいくつかに生じる場合が多いです。五感はご存知の方も多いと思いますが、前庭覚、固有覚はあまり知られていない感覚であるため簡単にご紹介します。

前庭覚は、平衡感覚やスピード等に関する感覚であり、特性の具体的な例としては、クルクル回る物をじっと眺めていたり、自分自身がクルクル回ったりする場合です。扇風機や洗濯機等の回転しているものを好む傾向にあり、自閉症スペクトラムの場合はこの状況が見られることがあると言われています。

固有覚は、身体の位置や動き、力に関する感覚であり、特性の具体的な例としては、キャッチボールで力加減が分からず強すぎる力で投げてしまったり、そこまで力が必要ない物に対しても全力の力をかけてしまったりという状況が見られることがあると言われています。

前庭覚と固有覚が学習に直接及ぼす影響は少ないですが、その他の五感の中では特に視覚と聴覚に配慮した環境設定を行う必要があります。視覚については、白い用紙に書かれている文字が読みにくいという特性があるため、ライトが当たった時に光りにくい色を用紙に用いると良いです。

聴覚については、音を人並み以上に敏感にキャッチしている場合、あるいはその反対があり、リスニングに取り組む場合や、指導の際の声量に注意を払う必要があります。また、周囲の環境音に敏感になってしまうことも考えられるため、聴覚刺激に敏感な特性が見られている場合には、学習環境を静かで守られた場に整えることも大切になります。

感覚過敏・感覚鈍麻は、自閉スペクトラム症の特性の中でも多く見られるものですが、その反面個人差が大きいことも特徴です。それぞれの特性を的確に把握し、少しでも負担を少なく落ち着いた環境で勉強が出来るように整えていきましょう。

ここまで、自閉症スペクトラムの主な特性についてご紹介してきました。勉強に取り組む上で、子どもも周囲の大人も理解しておくと方が望ましい特性を挙げたため、これらの特性を考慮して勉強に取り組みやすい環境や指導へと工夫していくことが大切です。

学習支援の具体的な方法

学習支援の具体的な方法

前章では、自閉スペクトラム症によく見られる特性について、主に勉強と関連する内容を中心に見てきました。本章では、それらの特性について具体的な支援方法について考えていきたいと思います。

特性は理論編、ここでの具体的な支援方法は実践編と捉えて見て頂くと、日常生活の学習において対応がしやすくなるかもしれません。なぜこのような支援や指導方法が有効なのか、根本的な部分も併せて考えながら読み進めて頂けますと幸いです。

心情を記載したカードを作成する

はじめは、コミュニケーション構築に対する難しさの特性に対する指導方法ですが、他者の気持ちを理解することが難しい場合、主に国語の文章読解を解く際に困難さが見られます。国語は、全般的に回答が1つではないため、曖昧なニュアンスを含むことが苦手な自閉スペクトラム症の方にとっては、とてもエネルギーを消費する科目です。

特に、文章読解の中でも、物語文は登場人物の描写から様々な事を読み取る力が必要になるため、支援の具体的な方法として、それぞれの登場人物の特性や様子を記載したカードを作成することをオススメします。

「それでは読解力が身に着いていると言えないのでは?」と感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、そのような場合は、お子さんと一緒にカードを作成するようにしてみてください。最初のうちは、指導を行う大人が作成し、事前準備が完了した状態で文章を読み始める部分からお子さんと一緒に行うと良いですが、慣れてきたら読み進めながらお子さんと一緒に内容を整理してカードを作成していきます。

定型発達のお子さんであっても、文章から直接分からないことを読み取ることは難しい課題であるため、文章になっていること、文章になっていないことも少しヒントを伝えることで文章に出来るようにし、それを文字として視覚的に表していくと自閉スペクトラム症のお子さんでも文章が読みやすくなると思います。

文字だけのカードで理解が難しい場合は、簡単なイラストも加えたカードにし、お子さんの学習ペースに合わせて徐々に一人でも文章を読み解くことが出来るような流れに運んでいくこともオススメです。

好きなこと・興味のあること・こだわりを活かした教材を用いる

好きなこと・興味のあること・こだわりを活かした教材を用いる

自閉スペクトラム症の特性として、1つのことに強いこだわりを持ったり興味を持ったりすることがありますが、この特性を教材に用いるという方法です。教材に活用するということは、学習の教材を一から作成する場合に限らず、ノートや筆記用具を好きなものにして学習に気持ちを向きやすくすることも方法として挙げられます。

障がいの有無に関わらず、子どもは自分自身の好きなものが身の周りにあることで、やる気やモチベーションを高く保つことが出来ます。特に、シールやスタンプは多くの子どもが興味を示すものであり、ポイント制にするとゲーム感覚で楽しむことが出来るため、学習に取り組んだら1つずつ貼っていくという形で取り入れていくことがオススメです。

また、自閉スペクトラム症では、興味のあることやこだわりのあることに対して非常に強い気持ちを対象に向け、その内容や分野に関しては誰にも負けることの無い知識を持っていることがあります。この知識や興味をいかに学習に活かしていくのか、その方法を考えて実践に結び付けていくことが周囲の大人に求められていることです。

具体的には、計算が苦手なお子さんの場合、戦隊シリーズやポケモンに関心があると、攻撃ポイントを活用して計算の練習をすることが出来ます。例えば、「こちらのキャラクターは○○のポイントを持っています。別のこのキャラクターは○○のポイントを持っています。一緒に戦いに行くとしたら合わせて何ポイントで戦いが始められますか?」というような形です。

ただの数字による計算では数の操作が難しい場合でも、興味があることや普段の遊びの中で慣れ親しんでいることになると、苦手意識は軽減され、少しずつ数の操作に慣れてくることがあります。文字だけで考えることが難しい場合には、遊びで使用しているカードや、無い場合は簡易的なカードを作成して、視覚的に考えることが出来るようにすることも方法の1つです。

その中で、まだ数の操作までは難しいという場合には、小学校でも用いられている算数用のおはじきに好きなもののシールを貼り、「数」というものに抵抗感なく慣れ親しむことが出来るような練習をすることもあります。大切なのは、年齢相当の学習に無理に取り組もうとするのではなく、「今出来ること」、「少し指導すると出来るようになりそうなこと」に目を向けて指導を行うことです。

この特性を活かした方法は、国語でも活用することが出来ます。漢字を読むことに難しさを感じている場合には、活字に慣れる練習として漫画が活用されることがあります。「漫画を読む」ということ自体、学習として行うことではないと考える方もいらっしゃいますが、「子どもの読みやすさ」という観点から考えると、いきなり活字本で読字の練習をするにはハードルが高いです。

漫画は、ひらがなが多い中にも適度に漢字が使用されているものがあり、漢字にはふり仮名がふられているものもあって、漢字を学ぶ導入段階では有効な教材と捉えることが出来ます。「学習」という観点から考えた場合、単行本と比較すると使用されている漢字は少なくなりますが、意欲的に学ぶことが出来る1つの手段として用いることは有効です。

子どもも、漫画を読んでいること=学習・勉強に取り組んでいるという印象はつきにくいため、遊びの延長のような感覚で取り組むことが出来る点は、漫画の強みであると捉えられます。興味・関心が高い漫画を選んで勉強の時間に取り入れることにより、少しでも活字や漢字に触れて「漢字を学ぶ」ということに対する抵抗感を最小限に抑えていきましょう。

学習予定の見通しを立てる

自閉スペクトラム症に限ったことではありませんが、発達障がい全般に共通して、「見通しをもった時間設定をする」ということが非常に重要になります。毎日のルーティーンや、予定したことと異なる内容に変更する場合、自閉スペクトラム症の多くの方がパニック状態に陥ってしまうことが多いです。

「予定」というのは、あくまでも行動の目安として事前に立てるものであるため、変更があっても仕方がないことと捉えられがちですが、自閉スペクトラム症の場合は、行動を始める前に立てた予定がその日1日のスケジュールとしてインプットされるため、急な予定変更は心理的な負担が大きくなります。

学習時間については、基本的に日常生活の中で固定しておくことがオススメです。例えば、下校後、手洗いうがいをして宿題から始め、〇時になったら終わりにするというような予定を立てると、周囲の大人が毎日細かく指示を出さなくても、自主的に学習に取り組むことが出来ます。

下校後に予定があって日頃の学習ルーティーンと異なってしまう場合には、前日の学習が終わった際に、「明日は下校後〇〇という予定があるから、そこから帰ってきたらいつも通りのお勉強をしよう」と確認しておくと良いです。このようにすることで、予定変更にも落ち着いて対応が出来、学習にもスムーズに向かうことが出来るようになります。

さらに、学習ルーティーンの中の細かい時間分けを行うと尚良く、学校からの宿題量を考慮しながら、宿題は〇分間、その後に漢字練習、計算練習といったような流れが決まっていると取り組みやすいです。

ホワイトボードに各学習の時間を記しておき、自分自身でタイマーをセットしながら学習に取り組んだり、慣れてきたら時計を用いて、長い針が〇のところまでと決めたりすると自分自身で取り組む力を養うことも出来ます。難しい場合には、取り組む課題を順番にして用意しておくことも1つの方法です。

パニックになってしまったり、心理的に負担がかかったりしてしまうと中々学習に取り組むことは難しくなるため、予定に見通しを持たせたり、学習内容をルーティーンのようにしたりしておくことで安心して身になる学習を行うことが出来るのです。

感覚調整を細かく行う

感覚調整を細かく行う

自閉スペクトラム症の特性として、多くの人に見られると言われているのが感覚過敏・感覚鈍麻です。学習には一見関係が無いように思われる特性ですが、状態によっては学習の妨げになっていることもあるため、周囲の大人が感覚に対するお子さんの特性を理解しておくことが大切です。

学習に影響が出る主な感覚器は、視覚と聴覚です。はじめに、視覚ですが、色によって文字の識別が困難な場合があります。すなわち、用いる教材によって、私たちにとってはハッキリと目に見えているものであっても、お子さんにとっては何が書いてあるのか分からない状態であるということです。

最も多いのは、白い用紙に書かれている文字が光って見えにくいというもので、このような場合には用紙の色を変更する工夫が必要です。用紙と文字でどのような色の組み合わせが最も見やすいのかということは、個人差が大きい部分です。一般的には見えにくい色の組み合わせであっても、そちらの方が見やすいということもあるため、色々な組み合わせを試してベストな用紙の色と文字の色を決定出来ると良いと思います。

また、一般的に黒色を文字の色のベースとして、強調したい部分や重要な部分は赤色や青色の文字で記すことが多いですが、この配色もこのようにしなければいけないという決まりはありません。ベースの文字の色の他に新たな色を探すことが難しい場合は、括弧でくくったり下線を引いたりする等の対応が良いです。

続いて聴覚の特性についてですが、学習面で主に影響があるのは、国語の聞き取りや英語のリスニングです。大勢で行うことも多いため、中々個別の対応が難しい部分ではありますが、音量設定に関する配慮が重要な部分になります。

聴覚に対して過敏がある場合には、私たちがちょうどよい音量の音や声であると感じていても、お子さんにとっては工事現場の音を耳元で聴いているかのような状態に聴こえている場合があり、リスニングの音声で集中力が途切れてしまうことが考えられます。

一方で、聴覚に対して鈍麻がある場合には、私たちがちょうどよい音量の音や声であると感じていても、お子さんにとっては何も聞こえていない、音はかすかに聞こえているが内容を詳細に聞き取ることが出来ないということがあります。

このような場合も、「聞こうとはしているのに聞き取れない」という気持ちから、自分の思うように学習が進められなかったり、諦めたりしてしまうことも考えられます。感覚は、過敏・鈍麻どちらであっても、お子さんが「困っている」という現状に直面していると、学習に対しての意欲が失われがちです。

私たちが当たり前のように感じている感覚や、ちょうど良い・適切であると思っている感覚が、お子さんにとってはそうではないと感じていることも十分に考えられるため、状態を適切に把握し、一人ひとりに合った代替案や支援方法を考えて学習指導を行うことが大切です。

ここまで、自閉スペクトラム症によく見られる特性をピックアップし、それぞれに対する具体的な支援や指導方法についてご紹介してきました。先にも述べていますが、私たちにも様々な個性があるように、自閉スペクトラム症の特性も非常に個人差があります。

ここでご紹介している方法は、基本的に多くの人が該当していたり、幅広く用いられることが多かったりしているものを取り上げているため、全てのケースに当てはまるものではありません。お子さんの様子に合わせ、ここでご紹介した方法にアレンジを加えて活用して頂いたり、専門家の助言を受けたりしながら、ベストな学習形態や指導方法を模索して頂けたらと思います。

おわりに

本記事では、「自閉スペクトラム症特有の症状があるお子さんへの勉強の教え方」というテーマで、自閉スペクトラム症の具体的な特性や、それに基づく学習支援についてご紹介してきました。

「障がいがある」ということにより、勉強に対して不安を抱える方が多くいらっしゃると思いますが、「障がいがある=勉強が出来ない」ということはありません。指導の方法を理解したり、適切な環境調整のための支援を行ったりすることで、前向きに学習に取り組むことが出来ます。

はじめは、難しいと感じる部分があるかもしれませんが、お子さんの好きなことや得意なことをよく見極め、学習の中に積極的に取り入れるようにしてみてください。発達障がいは個人差が大きいため、本記事の内容が全ての方に当てはまるわけではありませんが、今後の学習支援に対して一部分でもお役に立てる部分がありましたら幸いです。

なお、お勉強の事で何かお困りごとがありましたら、私たち家庭教師にもご相談ください。

この記事を書いたのは

家庭教師ライターH.K

家庭教師ファーストの現役家庭教師。大学及び大学院では児童心理学を専攻。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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