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家庭教師ファースト教育コラム大学受験

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【世界史編】大学受験「世界史」の勉強方法を、現役東大生が解説

  • 大学受験
  • 現役東大生ライター Y

大学受験において文系選択をした方は、世界史を勉強しなければいけないことが多いでしょう。世界史は特に暗記科目として見られることが多く、やる前から苦手意識を持ついわば「食わず嫌い」のような方も多くいらっしゃると思います。

世界史は確かに他の教科と比べて暗記すべき事柄も多いですが、頭を使っていかに効率的に勉強していくかを考えることで、コストパフォーマンスの高い科目になる可能性も秘めています。この記事を読んで少しでもその力になれれば幸いです。

なお、私も含め家庭教師ファーストには現役大学生の家庭教師も多数在籍しているので、家庭教師を付けて相談してみるのも一つの手かもしれません。

大学受験に向けて「世界史」を学ぶ前の心構え

学ぶ前の心構え

まずは、世界史を本格的に学ぶ前の心構えから述べていきます。

あくまでも大学受験は英語・数学をまず固める

これは皆さん陥りがちなミスですが、まずは数学や英語を固めましょう。皆さんの受ける大学が国立か私立か、学部や受験方法によって変わってくるところではありますが、往々にして大学受験では英語や数学の方が得点配分が重いことが多いです。例えば大学入学共通テストの配点では、世界史A、世界史Bなどの社会科目は100点満点なのに対して英語はリスニング、リーディング合わせて200点の配点となっています。

何故配点が英語や数学の方が高くなるかというと、学ぶべき基礎知識が多く習得に時間がかかるため、勉強した分だけ人によって得点能力に差ができやすい科目だからです。そのため、英語や数学で差をつけるor差をつけられないように早いうちから準備しておく必要があります。人によって個人差はあると思いますが、高校の前半のうち(高校二年生前半まで)は英語や数学の勉強に時間を優先的に割いていいでしょう。世界史などの社会科目は後からでも十分完成に持っていける科目です。現に私が勉強を始めたのも高校二年生の三学期からでしたが、世界史はセンター試験(当時の大学入試共通テストに代わるもの)では九割以上、二次試験では七割以上得点することができました。

もちろん個人差はありますので、どうしても英語や数学が間に合わないという人は、世界史も同時並行して早めから進めておくのもひとつの手ですし、逆に早く英語や数学が完成した人は、すぐに世界史に取り組んでもいいでしょう。あくまでも自分の科目ごとの得意不得意を考えて、最も自分が本番で得点を取れる方法を選んで逆算的に勉強に取り組んでください

自分にとって世界史はどれだけの完成度にすべき?

これは、自分が受ける大学がどこなのかによって求められる「世界史の完成度」が変わってくるので、それを把握しておくということです。

例えば、国立大学の二次試験まで世界史を使う場合は、世界史の詳細まで記述できるようにしておかなければなりませんが、私立大学を受けるなどで共通試験までしか世界史を使わない場合は、記号問題を答えられる程度までにしておけばいいでしょう。また、出題範囲や詳細さも受ける大学によって変わってくるので、その大学の過去問をよく見て出題傾向を把握しておきましょう。

世界史についての漫画を読んでおく

いきなり教科書なり資料集なりで文字に触れても覚えにくいので、時間的余裕のある方はあらかじめ世界史についての漫画を読んでおくといいでしょう。漫画は詳細ではありませんが、世界史の流れを大雑把にイラストに基づいて視覚的に理解することができます。また、漫画だけで世界史をマスターできるわけでは決してありませんが一度見たことのある内容を改めて学習すると「これは読んだことあるな」と思って理解しやすく勉強のハードルも下がるでしょう。何より勉強を漫画で手助けできるということが、お得な気分になります 笑。

私は世界史か日本史かどちらを選択しようか迷った際に、日本史の漫画と世界史の漫画を読み込んでどちらの方が自分が勉強しやすいか、ある程度両者の雰囲気を掴んでから世界史を選択することにしました。

世界史はインプットとアウトプット

これは正直数学でも英語でもどの科目でも共通することですが、世界史はインプットとアウトプットに分かれます。インプットとは知識を覚えることがこれにあたり、教科書や資料集などを活用して取り組みます。アウトプットは習得した知識を設問で要求されている条件に合致するように、あらかじめ習得した知識を展開していくことです。これは過去問や演習を積んでいくことで習得していきます。

次の章からインプットの局面とアウトプットの局面に分けて記述していこうと思いますので、意識していただくと幸いです。

大学受験「世界史の勉強法」~インプット編~

インプット編

インプット編では世界史を学ぶ上でどのようなことを知識として学ぶべきなのかと、そのためにはどういったツール(教科書や資料集、一問一答など)、方法を使って学んでいけばいいのかをセットにして紹介していこうと思います。

歴史の縦の流れを意識する

まずは縦の流れを意識して勉強していきましょう。世界はいうまでもなく多くの地域に分かれており、特に16世紀からの大航海時代以前は地域ごとに独自の発展を遂げている場合が多いです。

例えば殷から始まる古代中国史と、古代エジプト文明史では国交がなかった…とまでは言えませんが多くはありません。そのため古代中国や古代エジプトとの地域でそれぞれ何が起こっていったのか、どういった文化が作られていったのかを把握していくことが大切です。

まずは単語や年号などに囚われず何故この出来事が起こったのかや、ある出来事とある出来事どうしの因果関係などに着目しましょう。歴史の中で起きた出来事というのは単にその直前の出来事だけを原因にしているもののみならず、今までの何世紀にもわたる歴史的背景を考慮した上で議論しないと説明のつかないものも多くあります。そのためどういう経緯でその出来事が起こっていったのかは常に意識して学ぶことで知識を集積していくことが求められます。

歴史の縦の流れを意識した勉強方法

それでは歴史の縦の流れはどのように勉強すればいいのでしょうか。

私は教科書を読み込んで勉強していきました。教科書や参考書は大方のものは、その地域ごとに歴史を分けて縦の流れを意識して記述しているものが多いです。例えば16世紀前後のヨーロッパの歴史を一章使って書いたりした後に、同じく16世紀前後の中国の歴史を一章使って書いていたりします。そのため教科書に沿ってそのまま学習していけば、歴史の縦の流れは理解できるということになります。また、箇条書きなどではなく文章形式で作られているためスムーズに頭に入りますし、本番の記述形式に対しても応用しやすいものとなっているところも魅力の一つです。

しかし、ただ漫然と読んでいるだけでは知識は定着しません。教科書は万人が理解できるようにわかりやすく読みやすく作られている反面、引っかかったり、わかりにくかったりするところが少ないので、漫然と読み飛ばすことができ、理解した気になってしまう恐れがあります。そうした状況を回避するにはどうすればいいのか、私が考えた対策としては「書かずに、声に出して読んでいくこと」です。

何故「書かない」のかというと簡単なことで、学習の効率が悪いからです。書いて進めていくより目で追って読んでいく方が遥かにスピードは速いので、そちらを優先することがいいでしょう。

そして何故「声を出す」のかというと、意識的に発音することで漫然と読み飛ばしてしまうことを防ぐためです。黙って読んでいては、どうしても面白くないところはなんとなく読んでしまって、あとから復習してみると実は何も覚えていないなどということがよくあります。そのため私は、特に初めて読むところに関しては必ず声に出して読むようにしていました。また皆さん高校生は忙しく、特に授業や部活動などにくたくたになるまで取り組んでからまた勉強をしなくてはならないことも多いでしょう。そういった時は特に集中しづらく、ともすればウトウトとしてしまうこともあるかもしれません。実際私も運動部に所属しており、練習でボロ雑巾のようになってから家で勉強していたので、特に知識のインプット系の勉強をいている時はとてつもない眠気が襲ってきました。しかし、意識的に声を出しながら教科書を読むことで、今自分が何をやっているのか自覚して集中することができました。また自分の声で何度も発生した言葉は自分の耳に残って、非常に思い出しやすいものでした。

歴史の横のつながりを意識する

先ほど説明したように、歴史はその地域ごとに発展していっているケースが多いのですが、その中でもその地域間での交流というのはよくあります。そうした交流がどのような経緯で行われていったのかを把握するためには、ある地域のどの時代に他の地域ではどのような文明が栄えていたのか、どのような出来事が起こっていたのかを学習する必要があります。

例えばヨーロッパで大航海時代が始まった16世紀では、日本では戦国時代真っ盛りでした。種子島にヨーロッパから持ち込まれた火縄銃を活用して、今までは騎馬戦主体だった戦闘が銃を使った戦いへと戦術が変化していきました。長篠の戦いなどが代表例として挙げられます。

戦国時代の日本において戦術の変化が起こったのは、同時期のヨーロッパでの大航海時代の始まりによる遠方へ航海し、そこでキリスト教等を広める啓蒙活動を行なったり、香辛料等の取引を行なったりする風潮が高まっていったことが原因となっていることがわかります。

このように世界の出来事は因果関係で繋がっていることも多く、世界史について横断的に理解を問えるため作問者が好みやすい出題形式でもあります。よくあるのが、「〇〇世紀のヨーロッパと中国の国交から生まれた文化/出来事について」などをテーマに記述や記号選択をするものなどです。また他にも、単純に国交等の繋がりがなくとも同じ時代にどのようなことが起こったのか多数の地域について問われるパターンもよくあります。例えば「〇〇世紀のヨーロッパでは〇〇という文化が花開いた。その頃、イスラーム世界ではどのような文化が盛んだったか」などをテーマに記述、記号選択をさせる問題などです。

それではこうした問題に対処するためにはどうすればいいのでしょうか。

歴史の横のつながりの勉強方法

私は年表が載っている資料集を活用しました。

当時私は、縦の歴史の流れというのは教科書を読むことであらかた覚えられましたが、横の繋がりがまったくわからないという状況に陥っていました。そこで各地域で何が起こっていたのか書かれた年表が載っている資料集を購入して、その年表を横の繋がりがわからなくなった時に必ず見るようにしていました。資料集は、教科書と違って図形等を駆使してわかりやすく描かれているので、そうしてチラチラと見ていくうちに段々と、その時代に何があったのか視覚的イメージをもって覚えることができるようになりました。

資料集は写真や絵なども多く、当時の文化の中で生まれた特産品なども見られるので勉強の中では比較的楽しんでみることができます。私はよく「これから勉強しよう」と構えてから資料集を見るのではなく、「今日はもう勉強も疲れたしダラダラと資料集でも眺めるかあ」という比較的気楽な気持ちで眺めていました。しかしこれが意外なもので、資料集は先ほども説明した通り視覚的に非常にわかりやすいため記憶にはかなり残りやすく、テスト本番などでもそのイメージが浮かんでくるようになりました

資料集は学校で配られることが多いと思いますが、案外年表は載っていないことがあります。私の学校のものは載っていませんでした。しかし、いざ市販のものに目を向けてみると簡単に年表が載っているものは見つかると思います。そうしたものを活用してぜひ自分が勉強を進める上で一番合うものを見つけてください。

世界史の単語(出来事、人物名など)の勉強法

出来事の名前を覚えるのは基本中の基本でしょう。記述を書くにも、適切な記号を選ぶにもまずはその出来事や人物名を示す単語が何なのかを網羅しなくては始まりません。

しかし、世界史が苦手だという人の原因の一つに名前や出来事がカタカナが多いからだというものがあります。例えば、オスマン=トルコの重要人物である、アブデュルメジト一世やアブデュルハミトニ世など、ぱっと聞いただけではとても覚えられないような名前も出てくるのでそれも納得です。それでは、こういったカタカナが多い単語をどのように覚えていけばいいのでしょうか。

世界史の「単語」勉強方法

単語については、まずそれ自体を覚えようとするのではなく、今までやってきた縦の歴史の流れと横の歴史の繋がりを抑えていく中で同時に覚えるようにしましょう。何故なら、そうした歴史を紡いでいく上で大切となるのは、ターニングポイントとなる出来事や重要なキーパーソンであり、そうした出来事や人物は教科書中に必ず紹介されており、目にする機会も多いからです。まずは専用の単語帳などに飛び付かずに、教科書や資料集を読んでいく中で学んでいくようにしましょう。

出来事の名前を覚える上で大切なことは、その出来事によって何が起きたのか、その概要とセットで覚えておくことです。例えばバスティーユ牢獄襲撃事件などでは、「フランスの国王ルイ16世とその王妃マリー=アントワネットら保守派に反発して起こした市民暴動であり、フランス革命の始まりの日とされている」などといったこととセットで覚えることができます。ちなみにバスティーユ牢獄には政治犯や凶悪犯などが大量に収容されていると想像するかもしれませんが、実際は老人が数人ほどしか収容されていなかったと言います。そうした豆知識をさらに加えるとより楽しく覚えやすくなるでしょう。

世界史の「人物名」勉強方法

また、人物名を覚える上で大切なことはもちろん、その人がどのようなことを行なったかです。例えば、先程覚えづらい人物名の例として挙げましたアブデュルハミト二世については、「19世紀後半にオスマン帝国のスルタンとして専制政治を開始。国民の立憲運動に押され、1876年にミドハト憲法を作成したが、露土戦争が始まると専制政治を再開した」などといったことをセットで覚えましょう。他にも、オスマン帝国のスルタンの権威を強めるためにスルタン=カリフ制という、スルタンは宗教的権威者を兼ねているという政策を行なったことも有名です。「スルタンの専制政治を強化した」と「スルタン=カリフ制を作った」の関係のように、その人が歴史上でどのような意味の持つことを行なったのかと、その人がそれを実現するために具体的に何をやったのかを関連づけて覚えられるとさらにいいでしょう。

それでも覚えられない場合は一問一答集を使って覚えるといいでしょう。これは、歴史の縦の流れと横の繋がりを覚えていない限りおすすめはできません。何故なら、そういった流れと分断して単語だけが問題として出てくるので流れを把握しづらくなるからです。一問一答集に手を出すのは、「自分は歴史の流れや繋がりについてはある程度覚えられているが、具体的な名前や出来事が思い出せない」という段階に至った人のみでいいと思います。一度目、二度目に間違えた問題などをチェックしておくことで素早く復習することが可能になります。

一問一答集も学校で配られる方はいるかもしれませんが、本屋などには様々なレベル別のものが売っていますので、自分が今必要なレベルのものを選んで取り組んでください。

世界史の年号

最後は、最も覚えることが大変な年号についてです。

年号は、すべての出来事について完璧に覚える必要はないと思います。それよりも、その出来事が何世紀ごろにあって、他の出来事との前後関係がしっかりわかっていることの方がはるかに大切です。大学の入試においても年号を具体的に聞くような問題は少ないと言えるでしょう。しかし、中世から近代に進んでいくにつれて歴史も詳細になってくるので、覚えるべき出来事も多くなっていきます。18世紀以降などは重要な出来事が10年単位、一桁単位で出てくることもよくあるので、そうした出来事の前後関係を掴むには年号を把握してしまうのが一番手っ取り早いと思います。

しかし覚えることが大変な年号、どうやって勉強すればいいのでしょうか。

年号の勉強方法

まずは単語の勉強方法と同じように歴史の縦の流れや横の繋がりを覚えるために教科書や資料集を読み込む中で覚えていきましょう。その年号に何があったのか、具体的なところまで覚えられるので効率がいいです。それでも覚えられない場合は自分で語呂合わせを作って覚えようとするといいでしょう。例えば、1077年カノッサの屈辱ならば

「い(1)れい(0)な(7)な(7)げき (異例な嘆きカノッサの屈辱)」

という語呂合わせがあります。

1077年 カノッサの屈辱 語呂合わせ(YouTube埋め込み)世界史 毛呂山町より

語呂が思いつかなかったら調べてみてそれを使って覚えるのいいですが、自分で語呂作りにチャレンジしてみることもいいと思います。何故なら、どうにかしてその数字に合うように語呂を作ろうとしているその過程がその数字を印象付ける一つの経験になるからです。そうして作れた語呂はあまり忘れることはありませんし、テスト中にこの年号であっていたかどうかと不安になる心配もあまりないでしょう。

以上で、インプット編は終わりになります。続いて、アウトプット編に移ります。

大学受験「世界史の勉強法」~アウトプット編~

アウトプット編

アウトプット編では、インプット編で学んだ知識を使って設問に合致するように答えていくにはどうすればいいか、手っ取り早く言えばテストで効率良く点数を取るにはどのように勉強していけばいいのかについて学んでいきます。

アウトプットは主に記述形式と記号選択形式の二種類があり、順にそれぞれ解説していこうと思います。

「記述形式」の場合の勉強法

ステップ1.自分が受ける大学の出題形式を確認

まずは、自分の受ける大学が記述形式の問題が出るかどうかを確認しましょう。もし記述形式の問題が出されないのに勉強してしまっては時間の無駄であることこの上ありません。

ステップ2.過去問集、問題集選び

自分の受ける大学が記述形式の問題が出るとわかった時は、まずはその大学の過去問とその大学の形式に近い別の大学の過去問や問題集を駆使して解いていきましょう。

どのような過去問集や問題集を買えばいいかですが、基本的には解説が丁寧であることと、採点基準がはっきりと示されていること、この二点を基準に選びましょう。何故なら、記述形式というのは記号選択形式と異なり唯一無二の解答というものはありません。たとえ満点の答案でも書く人書く人によって少しずつ表現などが異なってきてしまいます。

そのためどのような出来事や人物に触れ、どのようなことを書いてあればいいのか、明確に採点基準が示され丁寧にその理由が解説されているものを選ばなければ、いざ自分が問題を解いてみて自己採点をしようと思っても正確にできなくなってしまう危険性があります。本屋には赤本など様々な大学の過去問や演習問題集が置いてあるので、その中でも自分が自己採点するときに最もわかりやすいものを選ぶようにしてください。

ステップ3.問題の解き方

過去問集、問題集選びをクリアしたらたくさん問題を解いていきましょう。その際に、気をつけなければならないことがいくつかありますので説明します。

まずは、時間を設定するか否かを自分の勉強の進捗度で決めることです。例えば、まだ自分は世界史も覚えたてで、記述形式の解答を書くには時間がかかりそうな場合は、時間を設定して解く必要はありません。教科書や資料集を必要とあれば参照しながら解くのがいいでしょう。何故なら本番形式で解いても時間が到底足りなくて学習として意味は薄いですし、調べながらじっくり時間を使って解くことでその設問で扱っているテーマについて理解度を深めることができます。

しかし、自分は世界史のインプットもあらかた済んでいて記述も時間以内になんとか終わりそうだという人は、時間設定をかけて解くことをおすすめします。本番はもちろん時間制限がありますから、本番よりも少し厳しめの時間設定でやることがちょうどいいでしょう。

次に、問題を解いていく上でのコツを説明します。それは、問題文のなかで書くことを求められていることを正確に把握することです。

平成31年度の東京大学の世界史第一問を例に挙げますと、

とあります。問題文としては非常に長く感じますが、問われている内容は限られています。

・18世紀半ばから1920年代までの

・オスマン帝国の解体過程について

・帝国の民族運動

・帝国の維持を目指す運動

・に注目しつつ記述

と、大きく5つに分けることができます。さらに、本文に「以上のことを踏まえ」とあることから「オスマン帝国がヨーロッパ列強の影響を受けて動揺した時代」という歴史的背景を踏まえて書くことが求められているとわかります。

このように、そもそも書くべき事柄が何なのかわからないと得点など望めるはずもありませんし、問題文を整理すると頭が整理されて書きやすくなるので、是非やってみてください。

そして、問題文を整理できたら下書きをしてから問題を解答するようにしてください。何故なら、ぶっつけ本番でかき始めると書くべき要素が抜け落ちたり間違ってしまったりするため、それをいちいち書いては消してを繰り返していくのは時間と労力の無駄だからです。下書きと言っても文章にして書く必要はなく、自分が書きたい要素を書く順番に箇条書きにしておく程度で十分でしょう。

ステップ4.自己採点の仕方

次に、自己採点の仕方です。これは全くもって簡単なことで問題集を選んだ際に「採点基準の詳細なもの」を選んだはずですので、それに沿って採点しましょう。そのときに、自分がどこがあっていてどこが間違っていた、もしくは抜け落ちていたからこの点数なのか、をはっきりと後から見てもわかるように明示しておいてください。

ステップ5.復習の仕方

最後に、復習の仕方です。これは採点をしたときに書いておいた、何を自分が間違ってしまったのかを復習ノートというものを別冊で作って、そこに箇条書き形式で書いておくといいでしょう。復習ノートを作っておくと、自分が間違ったところだけを効率的に復習できますし、テスト前の休み時間などに見直して精神的な安定剤としても一役買ってくれます。

復習ノートに記入する際には、間違った箇所が具体的に問題集のどこなのかしっかりと記入しましょう。例えば、2019年〇〇大学第一問⑴などと詳細に書きます。あとで参照を簡単にできるようにするためです。

次に、自分がどのような文脈で間違えてしまったのかを書きましょう。例えば、「スルタン=カリフ制を書き忘れた。」と単純に書くのではなく、「オスマン帝国の歴代スルタンの政策を書く過程で、スルタン=カリフ制を書き忘れた。スルタン=カリフ制とは、〜〜いう制度で、スルタンの専制政治をより強めるためのものだった。」など自分がどう問われて書けなかったのか、その出来事の詳細はどのようなものだったのか、一目で見て分かりやすいように書くといいでしょう。

そして、復習ノートを作ったならば必ず見直すようにしましょう。ありがちなミスは、作ることに集中してしまい、作ったらそれに満足してしまい全く見直さないというものです。私も、昔復習ノートを作っただけで満足してしまい、あとで同じような問題を解いても全くできなかったという失敗をしたことがあります。しかし、そのあと徹底的に見直すようにしたら二度と同じミスをしなくなったので、見直すことさえ怠らなければ作る労力が報われてお釣りが来るくらい復習効率が上がります。

「記号選択形式」の場合の勉強法

「記号選択形式」の場合の勉強法

ステップ1.自分が受ける大学の出題形式を確認

記述形式の時と同じ理由です。しかし、記述選択がでない大学というのは少ないはずなので、むしろ記号選択の中でも正誤判定なのか、複数選択なのかなどの形式について調べるといいでしょう。

ステップ2.過去問集、問題集選び

選ぶ基準は、採点基準は記号なのではっきりしています。そのため、選ぶ基準は解答解説が詳細かどうかをよく見て選ぶようにしましょう。

ステップ3.問題の解き方

基本的には記述形式と変わりません。時間設定をするか否か、問題文の中から問われていることを正確に把握する、ということが大切になります。

ステップ4.採点の仕方

記号なので特に難しいことはありません。しかし、自分が何故その記号を選択できなかったのかについてはあとから見てもはっきりとわかるように記載しておいてください。

ステップ5.復習の仕方

これについても記述形式と変わりません。自分が何故間違えてしまったのかを箇条書き形式でわかりやすく書きましょう。また、具体的に問題集のどこを間違えたのか、あとで参照しやすいように詳細に書いておきましょう。

さいごに

これで世界史の勉強のコツは終わりになります。暗記科目として忌避されがちですが、なるべくその効率を上げればコストパフォーマンスの高い科目となりますので、ぜひ工夫して取り組んでみてください。

なお、私も含め家庭教師ファーストには現役大学生の家庭教師も多数在籍しているので、家庭教師を付けて相談してみるのも一つの手かもしれません。

この記事を書いたのは

現役東大生ライター Y

家庭教師ファーストの登録教師。東京大学法学部に在学中。国語全般、特に現代文が得意です。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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