家庭教師ファースト教育コラム大学受験

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理系大学生の進路・就職先ってどんなところ?【理学部・工学部】

  • 大学受験
  • 2021.12.26
  • 現役阪大生ライターS

みなさんは、理系の大学生がどういうところに就職するかご存じでしょうか。
「理系の学生」と一口に言っても、かなり多くの要素によって分けることができます。
就職に関わるものに限定して、いくつか紹介していきます。
志望する学部を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
 
また、実際に自分が志望する方向の現役大学生に話を聞くのは非常に有意義です。
家庭教師を勉強だけでなくそういった意味で活用するのも一つの方法ではないでしょうか。

はじめにー大学の基礎知識ー

はじめにー大学の基礎知識ー

まずは大学な基礎的な知識についてお話していきます。
理系大学生の就職先に関わってくる要素がたくさんあるからです。

学士・修士・博士とは

例えば「4年制の学部を出てすぐに就職する人・2年生の大学院で修士課程を卒業してから就職する人・さらにそのうえの博士課程を修了する人」など、どれくらいの期間、大学という機関に所属しているかによっても進路は変わってきます。
 
学部だけを卒業した段階では、その人は「Bachelor(学士)」と呼ばれます。
理系の学生の中で、学士を取った段階で就職する人の割合は全体の8割近くになりますが、大学によって2割以下~8割以上まで、かなりピンキリな分布になっています。
 
その先の大学院に入学し、2年制の修士課程を卒業した人は「Master(修士)」と呼ばれる称号を手にすることができます。
修士課程まで進むのは、主に工学系・理学系など研究が重要になってくる分野の学生が多いです。
割合的には全体の2割近くで、これも大学によってかなり変わってきます。
 
修士と学士の人たちの就職先はかなり違っています。
それは後程のセクションで解説します。
 
そしてまたその先、大学院にまた2年通って博士課程と呼ばれる課程を修了した人たちは「Doctor(博士)」と呼ばれます。
博士まで進む人は、全体でみるとかなり少数派です。
大学院に進んだ人のほとんどは、修士課程を終えた後に就職をします。
実際大学院に入って博士課程まで行く人の割合は10%程度です。
つまり「理系で博士号を取得する学生の割合」は2%くらいしかないのです。
 
博士を取った人の就職先は、実はある程度限定されてきます。
それも後程扱います。

学部について

言うまでもないかもしれませんが、その人がどの学部を出たかによっても就職先は全然違います。
 
文系でもこの規則は当てはまりますよね。
例えば経済学部の人のメディア・金融系の仕事に就く割合は、外国語学部のそれと比較しても高くなるわけです。
逆に外国語学部が翻訳系・インターナショナル系の仕事に就く割合は経済学部のそれを上回りますよね。
 
そんな感じで、理系でも学部による就職先の違いは顕著にみられます。
 
理系の学部と言って、まずなんの学部が思いつくでしょうか。
理学部・工学部・医学部・建築学部…などたくさんありますよね。
 
理学部は数学・物理の研究をするような仕事に就く割合が他に比べて圧倒的に高いです。
工学部はものづくり・IT関連の仕事に就くことが多いです。
医学部はほぼ100%の割合で医者になります。
建築学部の方は名前の通り建築系の仕事に進む割合が高いです。

偏差値について

そして少し現実的な話になりますが、その大学の偏差値によっても就職先は全然違います。
これはあえて言うことではないかもしれませんね。
 
一部上場している企業に勤めるような人の卒業大学を見てみると、やはり一度は耳にしたことがあるような大学である場合が多いです。
 
日本の就職には「学歴厳選」という文化が存在しています。
大手の企業だと入りたい人はたくさんいます。
特に新卒(大学・大学院を出たばっかりで、1つめのキャリアを探している人のこと)を採用する際には、その人が卒業した大学で「ふるい」がかけられる場合が多いのです。
いちいち学生の細かい情報をチェックしていては骨が折れますからね。
 
そういったことがあるので、自動的に有名な企業に入れるのは偏差値の高い大学を出た人が多いというのは、紛れもない事実となっています。

「学部」に焦点を当てて解説

ご覧のように、理系大学生の就職先に関わってくる要素はたくさんあります。
 
その中で今回は「学部」のみに焦点をあてて、就職先のことについて話を進めることにします。
細かいことを言えば、学部の中でもさらに「学科」という分類があって、いくつかの学部では学科によって専攻することが全然違っており就職先も別々になっている、ということもあります。
 
ただ、そういった学科による分類は、それぞれの大学によって数・名前は全然違っていますし、学科名が同じであっても大学によってその実態は異なります。
そういう訳で、いちいち学科別の就職先まで見ていてはキリがありません。
 
そこで今回の記事では「学部別」の分類によって、おおさっぱにどのような感じで就職先が決まってくるのかを紹介したいと思います。
 
流れとしては、以下の3ステップで解説をしていきます。
 
1. その学部は主に何を勉強・研究するところなのかを説明します。
2. 次に、就職先となる企業の業種はどういったものになるかを説明します。
3. 最後にその業種の具体的な会社の名前をいくつか紹介します。
 
なお今回取り扱う学部は、理系学部の中でメジャーなものに限定して紹介します。
一部の私立でしかないようなマイナーなものは取り扱わないことにします。

工学部に入った大学生の進路(就職先)

工学部に入った大学生の進路(就職先)

まず紹介するのは「工学部」です。
この記事を書いている私も大阪大学の工学部に所属しています。

工学部は何をしているところなのか

ではまず、工学部という学部では一体何が行われているのかを説明していきます。
 
大雑把に言ってしまうと、工学部で研究されていることは「ものづくり」と「技術開発」です。
専門的な言葉で言い換えると、「ハードウェア」に関する研究と「ソフトウェア」に関する研究を行っています。
 
ハードウェアというのは、例えば何かのデバイスを作るとなったときに、どういった材料を使えばいいかを考え、またその開発を行うような「材料の開発」や、現在かなり注目を浴びている半導体などの「IC設計」分野への研究のことを指しています。
 
ソフトウェアというのは、そういった実体のあるものを開発するのではなく、「OSの開発」や、「ハードウェアを制御するためのコンピュータプログラムの開発」など、何かしらのハードウェアの上で成り立つようなテクノロジーのことを言っています。
 
また、それらを融合した研究はさらに強力で実用性を持ちます。
「現在開発中の工学技術」で扱ったように、「通信技術開発」もその1つです。
高周波数帯の通信規格を実現するためにはどのような処理が必要になってくるのか考えるのは主にソフトウェアの仕事、そしてそれに必要なIC・アンテナなどのデバイスの開発にあたるのはハードウェアの仕事となります。
 
実際に大学の工学部に入学した場合、ハードウェアを専攻するか、ソフトウェアにするかを2年に上がるときに決定します。
これが「学科」です。
そして3年になる頃には、その中で何を研究テーマにしたいかを視野に入れた「コース」を決めます。
4年でそのコースの中の研究室を選択し、自分が卒業までにやりたいことを決定するという流れになります。
 
これら以外にも、化学に関することや発電システムの研究を行う「エネルギー研究」、建築に関することを専攻する「建築学」などもあります。
前者は、例えば化学物質の新たな開発を行ったり、エネルギー効率を上げるための物質の探索などを行ったりしています。
後者は、建築物を丈夫にするための設計の仕方・構造の作り方などを勉強し、新たに開発を行っています。

工学部の就職先の業種

次に、それらを踏まえた上で工学部の大学・大学院を出た学生が進む企業の業種について説明します。
 
まずハードウェアの学生について、いくつかの業種をピックアップします。
 
1つ目は、電子機器の製作・設計、材料の開発を行うような「メーカー」があります。
デバイスに関する知識・経験が最も活かされるところになっていて、工学部の学生の中でもかなり人気のある業種になります。
日本は特に工学技術に関しては世界の中でも上位にくるほど進んでいます。
自動車やパソコンは、日本製のものが海外で大きな人気があるのはご存じのとおりです。時には「日本製というブランド」がつくこともあるほど、日本のメーカーのレベルは高く世界中から評価されているのです。
 
2つ目は、通信技術を専門にして研究を行う「通信・IT業界」があります。
これはおそらく現在最も成長の途上にある業種といえます。
通信技術に関しては、例えば「6G」の開発などもそれに該当します。
相当な市場価値を持つ技術を開発しているため、学生からの人気もここ最近で急上昇しています。
さらにITなどは、他の企業と共同で開発・研究を行うことも多く、様々な企業の人と知見を共有できるというのも大きな魅力です。
自分の企業ではあまり進んでいない研究の話を聞けるのは、工学に携わる人にとっては大きなメリットになります。
 
3つ目は、国家機関をはじめとした公共機関の情報技術などの管理・開発を行う「官公庁・公務員」という選択もあります。
やはりそれらの機関は、厳重なセキュリティシステム、サーバーを運営するテクノロジーなど、インターネット関係の工学技術に特化した人材を求めています。
工学部の中にはそれらを専攻する学科もありますので、一部の学生には人気があります。

具体的な企業名をいくつか紹介

高校の学科には大きく分け普通科と工業や商業などの専門学科があります。

① パナソニック

言わずと知れた有名企業です。生活家電などでは、日本のシェアの多くの割合を占めています。
他にもパソコンなどの開発も行っており、工学全般の分野に進出しています。
日本の中でも大変人気のある企業で、研究している内容も最高峰と言えます。

② 日立製作所

こちらも有名な電機メーカーです。コンピュータや通信機器を専門にして研究・開発を進めているメーカーになっていて、日立グループの中でも中核の企業と言えます。
自分の知り合いの先輩はこちらに無事就職しており、上位理系学部の学生からは人気がある企業です。

③NEC

NECはAI・5Gなどの最先端のICTでの研究が特に有名です。
そのような通信技術産業への進出に加えて、コンピュータの開発も行っています。自宅のパソコンがNEC製という方もいるのではないでしょうか。

④トヨタ

トヨタは日本の自動車メーカーの中でも世界進出が最も進んでいる企業です。
世界シェアを見ても、ドイツのフォルクスワーゲンに僅差で2位となっており、その技術・品質の高さは世界中で認められています。
工学の中では電気系の技術の他に、エネルギー工学の知識も生きてくるので、幅広い学生層から人気を誇る企業となっています。

⑤東京電力

東京電力は、電力に関する事業を全国に展開している有名な企業です。
東証一部上場企業であり、その市場価値の高さは言うまでもありません。
エネルギー工学・化学系の工学部の学生から人気があります。
原子力発電所の損害なども、きちんと自社で完結させようとしているなど、事業の奥行きの深さもうかがえる超優良企業です。

⑥大阪ガス

大阪ガスも社会インフラに大きく貢献している企業です。都市ガスのシェアは国内2位となっています。
ガス供給の他にも、電力の小売り事業なども行っており、こちらも幅広い工学部の学生からの人気を集めています。

⑦東レ

東レも超有名な企業です。主に合成繊維や、プラスチックなどの合成樹脂の開発を行っています。
工学部の中では化学系・繊維工学系の学生からの人気を集めています。

⑧旭化成

旭化成株式会社は、化学、繊維、住宅、建材、エレクトロニクス、医薬品、医療等の幅広い工学事業を行う日本の大手総合化学メーカーです。
こちらも東レと同様に、化学系・繊維工学系の学生から人気があります。

⑨積水ハウス

積水ハウスは、大阪府大阪市北区に本社を置く日本の住宅メーカーです。
自由設計と、先進の技術による、快適で安全安心な住まいを実現すること目的としています。
工学部の中では建築学部の学生から人気があります。

⑩NTT

NTTは、日本の通信技術の開発を主に行っています。
携帯電話回線の開発やインターネットの光回線などが特に有名です。
NTTグループの中にも種類があり、他にはNTTデータなどが人気を集めています。
NTTデータは、AI・ブロックチェーンなど最先端のテクノロジーを開発している研究機関で、コンピュータサイエンスに興味のある学生からは絶大な人気があります。

⑪マイクロソフト

お次はアメリカに本社を置く企業で、おそらく知らない人はいないであろう超有名企業、「マイクロソフト」です。
GAFAに次ぐ有名なIT企業で、みなさんの使っているパソコンのOSである「Windows」シリーズを長年にわたって開発しているところです。
 
マイクロソフトは、研究や仕事のレベルが極めて高く、ITの現場で数年の経験を積んで実績を残してきたベテランや、幼いころからコンピュータに接してきたような天才が多く在籍しています。
 
新卒で受かるには、そういった人を凌ぐ、もしくは同じ水準のものを持っていることが望ましく、簡単に入れるところではありません。
しかしごく一部の学生(もちろん工学部含む)はその難関な関門を毎年突破しています。

⑫LINE

これは少し意外なところかもしれませんが、採用された人の中にはたまに工学部出身の人もいます。
学部は色々混在していて、文系の人も多く所属する企業です。

工学部が採用された理由としては、豊富な情報工学に関する知識・経験があったからと思われます。
LINEのような、一度に多くの人がサーバーにアクセスするアプリケーションを開発する時には、その処理にかかる負担をどのように軽減し、分散するかという技術が肝になります。
LINEのサーバーが落ちた、という話はほとんど耳にしませんから、技術関連の役職を担当している人はとても優秀と言えます。

⑬国土交通省

最後に官公庁に分類される就職先を紹介します。いろいろあったのですが、一番なじみがあるであろう「国土交通省」を選びました。
官公庁はどうしても文系の人が行くイメージを持ちがちですが、実際は半分半分といった感じです。
 
国土交通省では、例えば自動車・船舶・鉄道の技術開発や安全設計への採用を行っています。
ここに応募するのは、大学で機械工学や電気工学を勉強した学生が多いです。
さらに、建物を建築する機械の設計をしたり、河川の情報を管理したりする仕事にも、そういった機械系の学生から人気があります。

工学部の就職先はかなり幅広い

さて、合計13個の企業名を具体的に挙げてみました。
みなさんはこれらを見てどのように感じたでしょうか。
 
「メーカーにいくものとばかり思ってたから、これだけ多いのは意外だった。」
「LINEなど日頃から使っているところにも就職しているなんて面白い学部だ。」
「工学部って、もしかして万能な学部?」
 
実際、工学部の扱う学問体系はかなりの量があり、この記事では紹介しきれないほどの研究テーマがあります。
そのやれることの幅広さが、工学部という場所の大きな魅力でしょう。
 
今現在自分も工学部に所属していますが、これからの時代さらに価値の高まることが勉強できるはずです。

理学部に入った大学生の進路(就職先)

理学部に入った大学生の進路(就職先)

続いて紹介するのは「理学部」です。
理系の学部と聞いてまず理学部を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
 
理学部は就職の観点から見ると、さきほど紹介した工学部と似ています。
どちらもテクノロジー・科学の職に就くという点で一致していますからね。
 
しかし学部で勉強することはかなり異なっていますし、就職先の企業は似ていても取り組む内容は違う傾向にあります。
まずは理学部では何を勉強しているのか紹介します。

理学部は何をするところなのか

理学部では、「自然科学の物理的・科学的な基礎となっていることの探求をする」ことが目的となっています。
 
簡単に言い換えると、今みなさんが学校で勉強している理科・数学を作る、みたいな感じのことをしています。
例えば数学であれば、例えば数字を0から9までの10個しかないと考える「10進法」や、直角三角形の「三平方の定理」などは、大昔の人の探求の成果です。
そんな風に、自然科学を理論立てて解釈したり原理を説明したりしようとするのが、この学部のやっていることです。
 
さきほど紹介した工学部との違いは何でしょうか。
理学部では、「科学の基礎となる理論体系を確立する」ことを行っていて、一方の工学部では「理論を活かして、便利なものづくりを行う」ことを行っています。
つまり、工学は理学の成果物である自然科学の理論があってこそ成り立っているものなのです。
その点、私のような工学部の人間にとっては、理学部の研究には日頃からお世話になっているといえます。
 
理学部にも、工学部のように様々な学科があり、それぞれ研究することは全く違ってきます。
いくつか主要なものを紹介しておきます。

①物理学科

物理学科は自然現象を実験的・理論的側面から研究しようとする学問です。
 
力学・電磁気学・量子力学・熱力学・統計力学などの分野を大学では勉強します。
特に量子力学・統計力学は現在最も研究されており重要な分野で、日々実験を伴う研究開発が行われています。
 
なので、高校などで現実的変化の見える「実験」が好きな人、自然現象に疑問を持ち、知りたい欲のある人にオススメの学科と言えます。

②数学科

数学科は、現代数学の基礎を学んでいくところです。
つまり、丸暗記や機械的計算ではなく、もっとその根本に潜む性質を研究・勉強していくことになります。
なので、高校の授業でどうしてこの公式は成り立つのか・どうやって考えついたのか・本当にこの原理は正しいのか・などと疑問を常日頃から持っている人にはオススメの学科と言えます。
 
数学は代数学、幾何学、解析学の三つに大きく分けることができます。
「代数学」では、集合論をはじめとして、方程式の文字の種類を増やした多元方程式や“数学の女王”といわれる整数論を研究しています。
扱っている内容はほとんどすべて抽象的で、非常に難解な分野です。
 
「幾何学」では、高校で学ぶ微分法を踏まえた微分幾何学や、位相幾何学と呼ばれている“トポロジー”を研究・勉強します。
トポロジーとは何か軽く説明します。トポロジーの考え方の例としてよく挙げられるのが、取っ手のついたコーヒーカップとドーナツです。
一見、似て非なるものに思えますが、取っ手の部分に穴のあるコーヒーカップの形は、連続的に変形していけばドーナツの形にすることができます。
トポロジーの考え方では、コーヒーカップとドーナツは「同じもの」なのです。
 
という感じでみなさんが持っている「幾何学 = 図形問題」というイメージとはかなり異なる分野となっています。
「解析学」では微分・積分の延長線上にあり、物理学の力学や電磁気学と密接な関係があります。また近年、コンピュータに象徴される“応用数学”も注目されています。
 
数学は純粋数学と応用数学に分ける事ができ、上記の基礎科目(代数学、幾何学、解析学)の3つはどちらにも深く関わりを持ちます。
純粋数学の研究を選ぶと、上記の基礎科目3つに重きを置いて、1つに絞って自分の専門領域を研究していきます。
 
一方、応用数学については基礎科目(代数学、幾何学、解析学)を学んだ上で、物理学、化学、生物学、統計学などに応用していく研究をしていきます。
このように、数学科は数学全般を扱っているので、学科の中でも勉強することはとても多く、数学科に入ったらとても忙しくなるというのはよく耳にします。

③生物学科

マクロな視点(地球)とミクロな視点(細胞)から生命現象を実験・観察することによって研究する学問です。
対象としては人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が対象となり、日頃から生き物に興味を持っている人にオススメです。
昆虫が好きな人もいいかもしれません。
 
生物学には個体内部の生理現象を解析する方向としての学問である「生理学」と、個体間・種間・個体と環境感など外部に目を向ける方向としての学問である「生態学」があります。
解剖などに興味のある人は前者が、昆虫・動物がどこに生息して、どのような食べ物をたべているかなどに興味のある人は後者が適していると思います。
 
また、生物学には生物の分類である「動物学」「植物学」「微生物学」や、階級で分ける「分子生物学」「生化学」「細胞生物学」「発生生物学」などがあります。
1,2年生では興味がなくてもこれらすべてを勉強して理解しておく必要があります。
その点では他の工学部や理学部と同じです。
そして3年生以降で、自分のやりたいことを専攻して研究する流れになります。

④地学環境系学科

大陸、海洋、火山活動、鉱物などの地球で起こる自然現象やその副産物を研究するための学問です。アウトドアが好きな人・自然現象に興味のある人にはオススメの学科と言えます。現在では地球だけでなく、月や木星など他の惑星も研究対象になってきています。宇宙工学との共同研究もおこなわれており、ハイレベルな研究を行うことができます。

また、地球科学の大きな特徴はフィールドワークが大学の講義のいくつがで存在することです。なので、その土地に足を運んで資料を採取したり、観察を行ったりすることも多く、そういったアクティビティが好きな人には最適です。

理学部の就職先の業種

そういった多数の学科を持っている理学部ですが、その就職先もかなり多岐にわたります。
就活生は自分の学んだことをきちんと活かせるように、つまり適材適所をよく考えて就職先を選択する必要があります。
紹介した学科に対応する形で、その就職先の主要な業種をピックアップします。

①物理学科

物理学科の就活生に人気があるのが、メーカーやIT業界、コンサル業界など、工学部の電気系・機械系と似たような業種になっています。
物理学科の就活生は力学や電磁気学、量子力学や統計力学の知識があるため、電機メーカーや半導体メーカー、医療機器メーカーで新製品の開発に携わる人が多くいるというわけです。
工学と理学の知識を合わせることで、ミクロな面とマクロな面の両方から、より質の高い研究・開発ができるようになります。
 
また、IT業界とも親和性が高く、ビッグデータの解析やプログラミングの仕事に就く人も少なくありません。
特に「理工学部」という理学部と工学部の中間のような学部からの人気も高いです。

②数学科

数学科の就活生に人気があるのが、保険業界やIT業界、メーカーなどです。
 
保険業界では、新たな保険商品を考案するアクチュアリーや、主に統計学などの数学・物理学に基づいた金融商品開発をおこなうクオンツとして活躍する理学部生も多くいます。
そういった自然科学の理論に基づいた商品は、そうでないものに比べて合理性を持ち売り上げも上がるので、それらの知識を持つ人材は不可欠なのです。
 
IT業界では、数学や統計学の知識を活かしてITエンジニアとして働く人が多いようです。
先ほど言及したビッグデータをはじめとした最先端テクノロジーの根本的な開発を行っています。

③生物学科

生物学科の就活生に人気があるのが、バイオ系メーカーや食品業界、製薬業界などです。
バイオ系メーカーとは、生き物の生活をよりよくするための製品を開発するメーカーのことです。
 
生物学科で身に付けた知識を活かして、食品メーカーや製薬メーカーの研究開発職に就く人は多いのです。

④地学環境系学科

地学科の就活生に人気があるのが、建設・土木業界やエネルギー業界などです。
建設では、その土地の地質を調査したり、今後の土地の変化を推測したりするのが地学環境系学科の学生の主な仕事内容になります。
エネルギー業界では、エネルギーを環境の面で効率よく生み出すための燃料(バイオマスなど)の開発を主に行っています。

さいごに

さて、今回の記事では工学部・理学部の就職先が一体どういったものになるのかを紹介しました。
本当は医学部・農学部・薬学部なども紹介すべきなのですが、それらの就職先は割と想像通りで記事にしても内容がなくなってしまうので割愛させて頂きました。
 
工学部・理学部の就職先を見てみてどうだったでしょうか。
意外と身近な業種にもたくさん進んでいることがお分かりいただけたでしょう。
 
理系の学部は、就職においては文系よりも難易度が低いと個人的には考えています。
その理由として「大学院」の存在があります。
理系の学生は大学院で研究したことを丸ごと就職に活かすことができるのです。
さらにこれからの時代のキーワードとなるITに親しんでいるのも強みでしょう。
 
まだ受験までに時間のある人は理系への進学を考えてみるのもいいかもしれません。
特に研究することが好きな人や、人を喜ばせられる職業に就きたいと考えているひとには、どの学部にしろ「理系学部」は最適な場所になってくれるでしょう。
 
繰り返しになりますが、実際に自分が志望する学部の現役大学生に話を聞くのは非常に有意義です。
家庭教師を勉強だけでなく、そういった意味で活用するのも一つの方法ではないでしょうか。

この記事を書いたのは

現役阪大生ライターS

家庭教師ファーストの登録教師。大阪大学工学部に在学中。中学時代から独学で私立TOP校・大阪大に合格。

著作・制作

家庭教師ファースト/株式会社エムズグラント

『質の高いサービスを、良心的な価格で』をモットーに、全国で20年以上家庭教師を紹介しています。実際に担当する教師による体験指導受付中。教育に関する相談もお気軽に。

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